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第5章 懐疑
4 心の澱
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狐につままれたような気がした。まるで昔観たテレビ番組のドッキリにかけられたような、そんな心地だ。こちらにニヤけた顔を向けている男には見覚えがある。新見逸生がマンションから飛び降りた際、青髪のユァチューバーと一緒に屋上に居合わせていた小太りの男だ。
「俺は怪しいもんじゃない。ほら、一緒にコーヒーを飲んだだろ?」
男の名前は確か二本松。あの時一人だけケーキを食べていた。
「こっちに来るでつ。みんな待ってるでつよ」
二本松はそう言うと部屋の前の階段を降りていく。浦安も慌てて追った。みんな待ってる?どういうことなのだろう。弓削の部屋の扉を閉め、階段を降りるとさっき数人の声がしていた部屋へ入る。部屋の中にはざっと数えて自分を除いて6人の人間が真ん中のテーブルを囲んでいた。ここは住人共用のダイニングキッチンのようで、ダイニング部分には壁以外の三方にコの字型で三人掛けのソファが備えられている。二本松はキッチン側のソファの端に身をねじ込ませた。そこには青井と黒髪の少女がすでに座っていて窮屈そうだ。壁に沿って置かれたテレビの向かいに二人、入り口側に一人がゆったり座ってバランスが悪い。全員の目線が興味深そうに浦安に集中していた。
「よー!刑事さん、フーミン歓迎パーティ&アキさんを慰める会にようこそ!」
ど真ん中に座っていた男が声を上げる。
「浦安刑事さんは何がいいっすか?発泡酒、焼酎、ウイスキーとありますけど」
青井がキッチンに立ち、食器洗い器からゴソゴソとコップを取る。
「いや、私は…勤務中なもので」
どうやら酒盛りの最中に呼ばれたらしい。すでに部屋の中は酒気で充満している。
「勤務中て、刑事さん、謹慎中なんでしょ?せっかくフーミンの歓迎会してたのに彼女倒れちゃったからさあ、代わりに参加してよ。彼女の上司なんだろ?」
なぜ謹慎中なんてことを知っているのかと訝る。弓削が言ったのだろうか?いや、職務に忠実な彼女がそんな余計なことを言うはずないのだが……。そもそも自分は弓削の盗聴器の確認のためにやって来たのだ。こんなことで酒盛りしている場合じゃない。そういえば盗聴器は…?さっき弓削はスーツを脱いでいた。とするとどこかに掛けられているその上着の中だ。もう一度弓削の部屋に戻るために部屋から出ようとすると、目の隅に携帯をチラチラかざしている二本松の姿が目に入る。あの携帯の中にはさっき撮られた弓削のブラを触る姿が映っている。あれを揺すりに使おうというのか?
この場の人間たちに何か魂胆があるのを察し、入り口側のソファの端に諦めたように腰を下ろす。
「わかった、じゃあ一杯だけ。ビールを」
「お、そうこなくちゃ!でもビールなんて高価なもんはここには無い。発泡酒で我慢してくれ」
テレビ正面の目つきの鋭い男がそう言うと、青井が浦安の前に発泡酒の缶を置き、方々からグラスを突き出されたのでプルタブを引いて掲げる。
「カンパーイ!!」
それぞれがグラスに口をつける中、自分も一口飲んで改めてその場を見回す。そして予め朝霧から教えられていた住人の数よりも少ないのに気づく。
「ここのシェアハウスはこれで全員なのかな?」
情報は知らないことにして聞いてみると、
「おいおい刑事さんよお、まずは自己紹介からだろ?」
と、この場を仕切っているらしい目つきの鋭い男が突っ込みを入れた。
「あーこれは失礼。K署の刑事の浦安です。青井君と二本松君とは会ってるよね」
そう言うと、青井と二本松の真ん中に座っていた少女が口を尖らせた。
「ぶー!ボクのこと忘れた?」
よく見ると確かにツルンとした風貌に既視感がある。頭の中に青い髪がちらつく。
「あー!君は確か、青髪の!」
「乃愛たんでつ。乃愛たんのこと忘れるなんてあり得ないんでつ」
「そうそう、ユァチューバーの…九郎原乃愛さん!いやあ、仮装してないと印象違うもんですなあ」
何とかフルネームを思い出し、男の子のように刈り上げられた黒髪短髪をまじまじと見た。ウイッグの邪魔にならないように普段は短くしているのだろうか、若いアイドルなんかの顔が判別できなくなってしまった浦安でなくても、これはなかなか気付けないだろう。
「みんな馴れ馴れしく話してるけど、浦安さんは警部補なんすよ?」
「おー!警部補!俺、ドラマでしか見たことないわ」
青井のフォローとも取れないフォローに、仕切り男が感心した声を出す。一体この場の人間にどんな魂胆があるのか知らないが、弓削が体調を崩してしまった以上、こうなったら自分が代わりに情報を取ろうかとも考えた。朝霧からはそういうことをしないように釘を刺されていたが、この成り行きを見逃す手はない。
「いやあ、年の割には大したことない役職だよ。よかったら他の人も紹介してくれないかな」
「おう、俺は一乗寺弾正。しがない探偵だよ。ま、探偵っつっても何でも屋みたいなもんだけどな。警部補さんさあ、今回の事件、苦戦してるんだろ?俺も捜査に加えてくんないかなあ?手当は安くしとくぜ?」
まず仕切り男が名乗りを上げる。無精髭を生やし、無頼漢な雰囲気が漂っているが昭和のムービースターを思わせる端正さも伺える。
「ドラマや映画では探偵さんが活躍するなんてこともあるけどねえ、実際の捜査ってのは人海戦術のように大勢が組織立って動くもんだからね、探偵じゃなくても一人の刑事の推理が事件を解決するなんてことはなかなか無いんだよ」
ああそうですかい、と残念そうに言う一乗寺の隣りで、やや俯き加減にグラスを持っている男に目をやる。グラスを持つ手には力が入っていないようで、今にもツルンと手の中から落ちそうだ。
「彼は三国明彦。ほら、今日工場を爆破したやついただろ?やつと同じ工場で働いてるんだ」
工場を爆破した高瀬陽翔と!?浦安は驚いてその男をまじまじと見た。弓削の報告では、高瀬は同じ工場の工員とノワールの坂を登ってきたということだった。だとしたら彼は今回の事件の重要参考人ということになる。なぜ袴田はこの三国を一緒に連行しなかったのか?朝霧からの交渉が入ったとはいえ、それは本部の捜査一課らしからぬ落ち度のように思えた。
「自分で自己紹介しないのは悪く思わないでやってくれ。アキさんはさあ、可愛がってた部下が目の前で射殺されて落ち込んでるんだ。だから今は、アキさんを慰めようと集まって飲んでるわけ。なあ、警部補さんよお、確かにやつは大それたことをやらかしたかもしれない。けどなあ、日本には司法制度ってもんがあんだろ?罪を犯したやつは裁判にかけられて初めて刑が確定するんじゃないのか?あいつはここで傷の手当を受けてただけなんだぜ?それなのにいきなり銃殺するってよお、いくらなんでもやり過ぎなんじゃないのか?ええ、警部補さんよお」
酒が深まっているのか、幾分絡み酒気味ではあるが、一乗寺の言うことは筋が通っている。この男、意外に学があるのかもしれない。彼に言われるまでもなく、浦安自身捜一のやり方がおかしいと感じ、独自で捜査しようと決意しているのだ。だが一般市民である彼らにそれを言ってどうなるというのか。彼らにしてみれば、警察庁だろうと所轄警察だろうとそんなカテゴリーなど関係ない。自分も袴田と同じ、警察組織の一員なのだ。浦安は深く息を吐き、ゆっくりと立ち上がった。そしてソファの後ろを回ってみんなから見えやすい位置に移動し、そこで土下座をする。
「申し訳ない!仰っしゃる通り、今日の警察の判断は間違いだったと思う。彼らに代わり、この通り、謝罪します」
自分がこの場で謝罪したところで、それは警察の正式なものではあり得ない。だが浦安はここ最近ずっと抱えていた心の澱を吐き出さずにはいられなかった。聖蓮女子の生徒を射殺した件にしてもそう、あんな行為が市民の方を向いて行われているわけがない。強行した袴田が当然断罪されるべきなのだが、もし警察庁全体が組織ぐるみで隠匿しようというならば、それはもはや警察庁という組織が国民に背いているということだ。せめて現場にいた自分が断罪しようにも、謹慎を食らうのが落ちだった。この場でこんなことしたって自己満足にもなりはしない。そう思いながらも、冷たい床に頭を押し付けた。
「ふん、茶番もいいとこだ」
そんな浦安の頭上から冷蔑な言葉が投げ落とさせる。驚いて顔を上げると、浦安が座っていた隣りにいた男が、顔の向きは変えずに侮蔑の表情を浮かべて目の端から浦安を見下ろしていた。浦安はその男と三国の間の、ちょうどソファが切れる角に正座していた。
「まあまあ、傑もさあ、そんな冷たいこと言わないの。ほらほら、警部補さんも座って座って。俺ら別にそんなのが見たいわけじゃないんだ」
一乗寺の言った傑という名前を脳内検索にかける。確か四條畷傑、弓削が今回ターゲットにしていた一人だ。
「俺は怪しいもんじゃない。ほら、一緒にコーヒーを飲んだだろ?」
男の名前は確か二本松。あの時一人だけケーキを食べていた。
「こっちに来るでつ。みんな待ってるでつよ」
二本松はそう言うと部屋の前の階段を降りていく。浦安も慌てて追った。みんな待ってる?どういうことなのだろう。弓削の部屋の扉を閉め、階段を降りるとさっき数人の声がしていた部屋へ入る。部屋の中にはざっと数えて自分を除いて6人の人間が真ん中のテーブルを囲んでいた。ここは住人共用のダイニングキッチンのようで、ダイニング部分には壁以外の三方にコの字型で三人掛けのソファが備えられている。二本松はキッチン側のソファの端に身をねじ込ませた。そこには青井と黒髪の少女がすでに座っていて窮屈そうだ。壁に沿って置かれたテレビの向かいに二人、入り口側に一人がゆったり座ってバランスが悪い。全員の目線が興味深そうに浦安に集中していた。
「よー!刑事さん、フーミン歓迎パーティ&アキさんを慰める会にようこそ!」
ど真ん中に座っていた男が声を上げる。
「浦安刑事さんは何がいいっすか?発泡酒、焼酎、ウイスキーとありますけど」
青井がキッチンに立ち、食器洗い器からゴソゴソとコップを取る。
「いや、私は…勤務中なもので」
どうやら酒盛りの最中に呼ばれたらしい。すでに部屋の中は酒気で充満している。
「勤務中て、刑事さん、謹慎中なんでしょ?せっかくフーミンの歓迎会してたのに彼女倒れちゃったからさあ、代わりに参加してよ。彼女の上司なんだろ?」
なぜ謹慎中なんてことを知っているのかと訝る。弓削が言ったのだろうか?いや、職務に忠実な彼女がそんな余計なことを言うはずないのだが……。そもそも自分は弓削の盗聴器の確認のためにやって来たのだ。こんなことで酒盛りしている場合じゃない。そういえば盗聴器は…?さっき弓削はスーツを脱いでいた。とするとどこかに掛けられているその上着の中だ。もう一度弓削の部屋に戻るために部屋から出ようとすると、目の隅に携帯をチラチラかざしている二本松の姿が目に入る。あの携帯の中にはさっき撮られた弓削のブラを触る姿が映っている。あれを揺すりに使おうというのか?
この場の人間たちに何か魂胆があるのを察し、入り口側のソファの端に諦めたように腰を下ろす。
「わかった、じゃあ一杯だけ。ビールを」
「お、そうこなくちゃ!でもビールなんて高価なもんはここには無い。発泡酒で我慢してくれ」
テレビ正面の目つきの鋭い男がそう言うと、青井が浦安の前に発泡酒の缶を置き、方々からグラスを突き出されたのでプルタブを引いて掲げる。
「カンパーイ!!」
それぞれがグラスに口をつける中、自分も一口飲んで改めてその場を見回す。そして予め朝霧から教えられていた住人の数よりも少ないのに気づく。
「ここのシェアハウスはこれで全員なのかな?」
情報は知らないことにして聞いてみると、
「おいおい刑事さんよお、まずは自己紹介からだろ?」
と、この場を仕切っているらしい目つきの鋭い男が突っ込みを入れた。
「あーこれは失礼。K署の刑事の浦安です。青井君と二本松君とは会ってるよね」
そう言うと、青井と二本松の真ん中に座っていた少女が口を尖らせた。
「ぶー!ボクのこと忘れた?」
よく見ると確かにツルンとした風貌に既視感がある。頭の中に青い髪がちらつく。
「あー!君は確か、青髪の!」
「乃愛たんでつ。乃愛たんのこと忘れるなんてあり得ないんでつ」
「そうそう、ユァチューバーの…九郎原乃愛さん!いやあ、仮装してないと印象違うもんですなあ」
何とかフルネームを思い出し、男の子のように刈り上げられた黒髪短髪をまじまじと見た。ウイッグの邪魔にならないように普段は短くしているのだろうか、若いアイドルなんかの顔が判別できなくなってしまった浦安でなくても、これはなかなか気付けないだろう。
「みんな馴れ馴れしく話してるけど、浦安さんは警部補なんすよ?」
「おー!警部補!俺、ドラマでしか見たことないわ」
青井のフォローとも取れないフォローに、仕切り男が感心した声を出す。一体この場の人間にどんな魂胆があるのか知らないが、弓削が体調を崩してしまった以上、こうなったら自分が代わりに情報を取ろうかとも考えた。朝霧からはそういうことをしないように釘を刺されていたが、この成り行きを見逃す手はない。
「いやあ、年の割には大したことない役職だよ。よかったら他の人も紹介してくれないかな」
「おう、俺は一乗寺弾正。しがない探偵だよ。ま、探偵っつっても何でも屋みたいなもんだけどな。警部補さんさあ、今回の事件、苦戦してるんだろ?俺も捜査に加えてくんないかなあ?手当は安くしとくぜ?」
まず仕切り男が名乗りを上げる。無精髭を生やし、無頼漢な雰囲気が漂っているが昭和のムービースターを思わせる端正さも伺える。
「ドラマや映画では探偵さんが活躍するなんてこともあるけどねえ、実際の捜査ってのは人海戦術のように大勢が組織立って動くもんだからね、探偵じゃなくても一人の刑事の推理が事件を解決するなんてことはなかなか無いんだよ」
ああそうですかい、と残念そうに言う一乗寺の隣りで、やや俯き加減にグラスを持っている男に目をやる。グラスを持つ手には力が入っていないようで、今にもツルンと手の中から落ちそうだ。
「彼は三国明彦。ほら、今日工場を爆破したやついただろ?やつと同じ工場で働いてるんだ」
工場を爆破した高瀬陽翔と!?浦安は驚いてその男をまじまじと見た。弓削の報告では、高瀬は同じ工場の工員とノワールの坂を登ってきたということだった。だとしたら彼は今回の事件の重要参考人ということになる。なぜ袴田はこの三国を一緒に連行しなかったのか?朝霧からの交渉が入ったとはいえ、それは本部の捜査一課らしからぬ落ち度のように思えた。
「自分で自己紹介しないのは悪く思わないでやってくれ。アキさんはさあ、可愛がってた部下が目の前で射殺されて落ち込んでるんだ。だから今は、アキさんを慰めようと集まって飲んでるわけ。なあ、警部補さんよお、確かにやつは大それたことをやらかしたかもしれない。けどなあ、日本には司法制度ってもんがあんだろ?罪を犯したやつは裁判にかけられて初めて刑が確定するんじゃないのか?あいつはここで傷の手当を受けてただけなんだぜ?それなのにいきなり銃殺するってよお、いくらなんでもやり過ぎなんじゃないのか?ええ、警部補さんよお」
酒が深まっているのか、幾分絡み酒気味ではあるが、一乗寺の言うことは筋が通っている。この男、意外に学があるのかもしれない。彼に言われるまでもなく、浦安自身捜一のやり方がおかしいと感じ、独自で捜査しようと決意しているのだ。だが一般市民である彼らにそれを言ってどうなるというのか。彼らにしてみれば、警察庁だろうと所轄警察だろうとそんなカテゴリーなど関係ない。自分も袴田と同じ、警察組織の一員なのだ。浦安は深く息を吐き、ゆっくりと立ち上がった。そしてソファの後ろを回ってみんなから見えやすい位置に移動し、そこで土下座をする。
「申し訳ない!仰っしゃる通り、今日の警察の判断は間違いだったと思う。彼らに代わり、この通り、謝罪します」
自分がこの場で謝罪したところで、それは警察の正式なものではあり得ない。だが浦安はここ最近ずっと抱えていた心の澱を吐き出さずにはいられなかった。聖蓮女子の生徒を射殺した件にしてもそう、あんな行為が市民の方を向いて行われているわけがない。強行した袴田が当然断罪されるべきなのだが、もし警察庁全体が組織ぐるみで隠匿しようというならば、それはもはや警察庁という組織が国民に背いているということだ。せめて現場にいた自分が断罪しようにも、謹慎を食らうのが落ちだった。この場でこんなことしたって自己満足にもなりはしない。そう思いながらも、冷たい床に頭を押し付けた。
「ふん、茶番もいいとこだ」
そんな浦安の頭上から冷蔑な言葉が投げ落とさせる。驚いて顔を上げると、浦安が座っていた隣りにいた男が、顔の向きは変えずに侮蔑の表情を浮かべて目の端から浦安を見下ろしていた。浦安はその男と三国の間の、ちょうどソファが切れる角に正座していた。
「まあまあ、傑もさあ、そんな冷たいこと言わないの。ほらほら、警部補さんも座って座って。俺ら別にそんなのが見たいわけじゃないんだ」
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