48 / 144
第4章 炎上
6 殺意の渦
しおりを挟む
公安調査庁の調査用車両で宇根野駅東側の坂を登り、ノワールとその大家の家の前を通り過ぎ、最高地にある空き地で車を停めた。そこは雑草の生い茂る荒れ野原で、東に広がる山裾が見渡せた。そこから南側は家も無く、源の鳥居駅に向かう道路が細々と下っていくだけだ。周囲の木々から鳴くセミの声と、草むらに生息するバッタたちの声が、指揮者のいないオーケストラのように煩くそれぞれの旋律を主張し合っていた。
音声録音と画像録画機能のある最新式のペン型スパイグッズを持たされ、弓削はそこからゴロゴロとキャリーバッグを引きながらシェアハウスへ向かう。
「主任~!がんばってくださあ~い!」
「フーミン、女子たちのセクシー動画よろしく~!」
真美と朝霧の声には完全無視で振り向きもしない。彼らはいざという時のために車に残って張り込むのだ。交代要因の番場は公民館で眠りについている。浦安はどこに行くのか、山神駅で別れた。特務調査室の他の面々は朝からずっと姿が見えない。浦安によると、もし弓削が入居することで逃げ出す住人がいたら即座に確保すると室長の室町は言っていたらしいが、もしかするとすでにノワールから離れている住人を張り込んでいるのかもしれない。
大家の家のクリーム色の壁の前を通り過ぎ、ノワールの入り口前に着く。そこで一度汗を拭い、周囲の環境を見渡した。歩道もない二車線の道路にはほとんど行き交う車はなく、すぐ西側は斜面となって禍津町の家々を眼下に収めることができた。ノワールの壁は近くで見ても真っ黒で、二階部分から突き出た鐘楼が相変わらず異様な雰囲気を醸している。バルコニーと思われるところに溜まったカラスたちが、弓削を歓迎しているのか警告しているのか、ホラーゲームかと思えるくらいの音量でガアガアとがなり立てていた。
建物の周囲は大家の家から続く生け垣で囲われており、黒い鉄の門扉は不用心にも開きっぱなしだ。こんな田舎町の家に入る泥棒もいないのかもしれないが、殺人事件が起こっているのだ、もう少し警戒心を強く持って欲しいと思う。せめて自分が入居している間は。
門扉を抜けるとすぐ左手に犬小屋がある。一応、番犬はいるのかと中を覗く。明らかに犬ではない形状の白い動物が飛び出し、パンプスから出た弓削の足首に噛みついた。
「ギョエ~~~!」
咄嗟の事態に情けない声が出た。声を聞きつけ、見覚えのある青年が玄関から走り出てくる。
「こら!ピノン!だめじゃないか!」
青年は駆け寄ると足元の動物を抱きかかえ、急いで引き離してくれた。
「すみません、おかしいなあ。噛み付くなんてこと今まで一度もなかったっすのに」
青年…青井草太は白い動物を抱いたまま、こちらにニッコリと笑顔を向ける。弓削は一瞬晒した醜態を慌てて取り繕い、んんっと喉を鳴らした。
「弓削刑事ですね。お待ちしてました」
「ええ、お久しぶり。何かあたし、あまり歓迎されてないみたい」
弓削は足元の唾液を払い、気持ちを落ち着かせようと胸に手を当てる。そして青井の胸に収まっている動物を見た。ブタかと思ったが、それにしては毛深い。
「あ、こいつ、ピノンっていうっす。イノシシのアルビノ種らしいっす。最近ここに居着いたんすよね」
イノシシ…確かによく見ると薄っすらと縞模様がある。まるで挨拶するように、こちらを見てフガフガ言っている。
「よろしくね、ピノンちゃん。初見の人に噛み付くのは防犯上いいことだけど、あたしにはもう噛み付かないでね」
恐る恐る頭を撫でてやると、弓削の言葉に頷くようにフガッと大きく鼻を鳴らした。
「青井君もよろしく。で、お願いなんだけど、刑事って付けるのは止めて欲しい。弓削さん、もしくはあたし、史子っていうんだけど、史子さんって呼んでくれないかな」
「分かりました。じゃあ、みんな下の名前で呼び合ってるんで史子さんで。みんなにもそう紹介しますね。あ、僕のことは草太って呼んで下さい」
「分かった、草太君ね。改めてよろしく」
それから草太は、二階の7号室まで案内し、鍵を渡してくれた。古めかしい外観と違い、中は明るい木彫で意外に綺麗だった。部屋は六畳のフローリング、黒いフレームベッドが東角に置かれている以外は何も無い。北側に小さな窓と、東側にも大きな窓がある。窓からは山の尾根が真正面に見えてあまりいい景色とは言えないが、これならカーテンを付けなくても朝の直射に悩まされなくて済みそうだ。窓の上のエアコンからは草太が気を効かせてくれたのか、涼しい風が流れている。弓削は部屋のど真ん中にキャリーバッグをドンと置き、フレームベッドに腰掛けて首筋の汗を拭った。
「あの、荷物ってそれだけっすか?」
弓削がくつろぎ始めたのを見て、ドアの前で立っていた草太が遠慮気味な視線をキャリーバッグに落とす。
「ええ、まあね。これはあんまり他の住人の方にはオープンにしないで欲しいんだけど、あたしはここに調査しに来ただけだから、用が済んだらすぐに引き払うから。荷物は最低限でいいの」
「え、じゃあ、刑事さんってことも言わない方が?」
「ああ、うん、それは言っていいわ。どうせあなたも大家さんも知ってることだし。でもそうね…休暇中ってことにしてもらえるかな。捜査中に体調を崩して、ちょっと休んでるとか何とか。どうせ薄々は捜査の一貫だって分かるだろうし、表向きはそんな感じで」
「分かったっす。じゃあ…特にお手伝いすることなければ僕はダイニングキッチンにいますね。史子さんも落ち着いたら覗いて下さい。今いる住人に紹介しますから」
草太はそう言ってドアを締めかけるが、何かを思いついてまたドアを開き、
「あ、そうだ。三階に住人たちがいらない物をいろいろ置いてるんで、もしいる物があるば持っていっていいっすよ。確か布団も一式くらいあった気がするし、本棚なんかもあるっすから。手が必要な時はいつでも呼んで下さい」
そう付け加えてパタンとドアを閉めた。他のシェアハウスに管理人なんているのだろうか?お手伝い付きで家賃1万5千円は安いかもしれない。自分で払うわけではないが、もしこれで食事も作ってもらえるなら、ありっちゃありだな、と、足元が映るくらいピカピカのフローリングと真っ白い壁を見回しながら思った。
そしてうーんと伸びをし、ゴロンとベッドに倒れる。直管型蛍光灯が二本付いたオーソドックスな電灯からスイッチの紐がぶら下がっている。そこは昭和仕様なのだなと、少し口角を上げる。心地よい冷風に、まぶたが下がる。昨夜は悪夢を何度も見たようで、うなされては自分の声で目が覚めていた。ずっと続いていた片頭痛も、今は消えている。猛烈な睡魔に抗えず、まるで時空の違う場所にトリップするように、弓削は夢の中に埋没していった。
血なまぐさい鉄の匂いとともに、熱風が吹き荒れている。周囲の家屋は燃え上がり、テラテラと赤い炎が影を揺らす。目の前の人影がバシュッと刀を振り下ろし、切られた男は血しぶきを上げた。
『あ、兄者ー!』
男は断末魔のように叫んでこちらに手を伸ばした。そして、クワガタムシのような角が生えた兜の下からヌラヌラと血を滴らせ、持っていた刀をポロリと落として地に伏せた。
激しい怒りが自分の中に駆け抜けた。いや、自分なのだろうか、視界の下にあるのは必要以上に盛り上がった胸ではなく、顎下で結わえられた赤い緒の結び目だ。どうやら自分も兜を被り、甲冑を着ているようだ。右手に持った刀がブルブルと怒りで震える。
殺さなければ!
自分たちをこんな目に遭わせたヤツらを全員、殺して殺して、殺しまくるのだ!
殺意の渦が、赤黒く燃え上る炎とシンクロし、全身を飲み込んでいった。
音声録音と画像録画機能のある最新式のペン型スパイグッズを持たされ、弓削はそこからゴロゴロとキャリーバッグを引きながらシェアハウスへ向かう。
「主任~!がんばってくださあ~い!」
「フーミン、女子たちのセクシー動画よろしく~!」
真美と朝霧の声には完全無視で振り向きもしない。彼らはいざという時のために車に残って張り込むのだ。交代要因の番場は公民館で眠りについている。浦安はどこに行くのか、山神駅で別れた。特務調査室の他の面々は朝からずっと姿が見えない。浦安によると、もし弓削が入居することで逃げ出す住人がいたら即座に確保すると室長の室町は言っていたらしいが、もしかするとすでにノワールから離れている住人を張り込んでいるのかもしれない。
大家の家のクリーム色の壁の前を通り過ぎ、ノワールの入り口前に着く。そこで一度汗を拭い、周囲の環境を見渡した。歩道もない二車線の道路にはほとんど行き交う車はなく、すぐ西側は斜面となって禍津町の家々を眼下に収めることができた。ノワールの壁は近くで見ても真っ黒で、二階部分から突き出た鐘楼が相変わらず異様な雰囲気を醸している。バルコニーと思われるところに溜まったカラスたちが、弓削を歓迎しているのか警告しているのか、ホラーゲームかと思えるくらいの音量でガアガアとがなり立てていた。
建物の周囲は大家の家から続く生け垣で囲われており、黒い鉄の門扉は不用心にも開きっぱなしだ。こんな田舎町の家に入る泥棒もいないのかもしれないが、殺人事件が起こっているのだ、もう少し警戒心を強く持って欲しいと思う。せめて自分が入居している間は。
門扉を抜けるとすぐ左手に犬小屋がある。一応、番犬はいるのかと中を覗く。明らかに犬ではない形状の白い動物が飛び出し、パンプスから出た弓削の足首に噛みついた。
「ギョエ~~~!」
咄嗟の事態に情けない声が出た。声を聞きつけ、見覚えのある青年が玄関から走り出てくる。
「こら!ピノン!だめじゃないか!」
青年は駆け寄ると足元の動物を抱きかかえ、急いで引き離してくれた。
「すみません、おかしいなあ。噛み付くなんてこと今まで一度もなかったっすのに」
青年…青井草太は白い動物を抱いたまま、こちらにニッコリと笑顔を向ける。弓削は一瞬晒した醜態を慌てて取り繕い、んんっと喉を鳴らした。
「弓削刑事ですね。お待ちしてました」
「ええ、お久しぶり。何かあたし、あまり歓迎されてないみたい」
弓削は足元の唾液を払い、気持ちを落ち着かせようと胸に手を当てる。そして青井の胸に収まっている動物を見た。ブタかと思ったが、それにしては毛深い。
「あ、こいつ、ピノンっていうっす。イノシシのアルビノ種らしいっす。最近ここに居着いたんすよね」
イノシシ…確かによく見ると薄っすらと縞模様がある。まるで挨拶するように、こちらを見てフガフガ言っている。
「よろしくね、ピノンちゃん。初見の人に噛み付くのは防犯上いいことだけど、あたしにはもう噛み付かないでね」
恐る恐る頭を撫でてやると、弓削の言葉に頷くようにフガッと大きく鼻を鳴らした。
「青井君もよろしく。で、お願いなんだけど、刑事って付けるのは止めて欲しい。弓削さん、もしくはあたし、史子っていうんだけど、史子さんって呼んでくれないかな」
「分かりました。じゃあ、みんな下の名前で呼び合ってるんで史子さんで。みんなにもそう紹介しますね。あ、僕のことは草太って呼んで下さい」
「分かった、草太君ね。改めてよろしく」
それから草太は、二階の7号室まで案内し、鍵を渡してくれた。古めかしい外観と違い、中は明るい木彫で意外に綺麗だった。部屋は六畳のフローリング、黒いフレームベッドが東角に置かれている以外は何も無い。北側に小さな窓と、東側にも大きな窓がある。窓からは山の尾根が真正面に見えてあまりいい景色とは言えないが、これならカーテンを付けなくても朝の直射に悩まされなくて済みそうだ。窓の上のエアコンからは草太が気を効かせてくれたのか、涼しい風が流れている。弓削は部屋のど真ん中にキャリーバッグをドンと置き、フレームベッドに腰掛けて首筋の汗を拭った。
「あの、荷物ってそれだけっすか?」
弓削がくつろぎ始めたのを見て、ドアの前で立っていた草太が遠慮気味な視線をキャリーバッグに落とす。
「ええ、まあね。これはあんまり他の住人の方にはオープンにしないで欲しいんだけど、あたしはここに調査しに来ただけだから、用が済んだらすぐに引き払うから。荷物は最低限でいいの」
「え、じゃあ、刑事さんってことも言わない方が?」
「ああ、うん、それは言っていいわ。どうせあなたも大家さんも知ってることだし。でもそうね…休暇中ってことにしてもらえるかな。捜査中に体調を崩して、ちょっと休んでるとか何とか。どうせ薄々は捜査の一貫だって分かるだろうし、表向きはそんな感じで」
「分かったっす。じゃあ…特にお手伝いすることなければ僕はダイニングキッチンにいますね。史子さんも落ち着いたら覗いて下さい。今いる住人に紹介しますから」
草太はそう言ってドアを締めかけるが、何かを思いついてまたドアを開き、
「あ、そうだ。三階に住人たちがいらない物をいろいろ置いてるんで、もしいる物があるば持っていっていいっすよ。確か布団も一式くらいあった気がするし、本棚なんかもあるっすから。手が必要な時はいつでも呼んで下さい」
そう付け加えてパタンとドアを閉めた。他のシェアハウスに管理人なんているのだろうか?お手伝い付きで家賃1万5千円は安いかもしれない。自分で払うわけではないが、もしこれで食事も作ってもらえるなら、ありっちゃありだな、と、足元が映るくらいピカピカのフローリングと真っ白い壁を見回しながら思った。
そしてうーんと伸びをし、ゴロンとベッドに倒れる。直管型蛍光灯が二本付いたオーソドックスな電灯からスイッチの紐がぶら下がっている。そこは昭和仕様なのだなと、少し口角を上げる。心地よい冷風に、まぶたが下がる。昨夜は悪夢を何度も見たようで、うなされては自分の声で目が覚めていた。ずっと続いていた片頭痛も、今は消えている。猛烈な睡魔に抗えず、まるで時空の違う場所にトリップするように、弓削は夢の中に埋没していった。
血なまぐさい鉄の匂いとともに、熱風が吹き荒れている。周囲の家屋は燃え上がり、テラテラと赤い炎が影を揺らす。目の前の人影がバシュッと刀を振り下ろし、切られた男は血しぶきを上げた。
『あ、兄者ー!』
男は断末魔のように叫んでこちらに手を伸ばした。そして、クワガタムシのような角が生えた兜の下からヌラヌラと血を滴らせ、持っていた刀をポロリと落として地に伏せた。
激しい怒りが自分の中に駆け抜けた。いや、自分なのだろうか、視界の下にあるのは必要以上に盛り上がった胸ではなく、顎下で結わえられた赤い緒の結び目だ。どうやら自分も兜を被り、甲冑を着ているようだ。右手に持った刀がブルブルと怒りで震える。
殺さなければ!
自分たちをこんな目に遭わせたヤツらを全員、殺して殺して、殺しまくるのだ!
殺意の渦が、赤黒く燃え上る炎とシンクロし、全身を飲み込んでいった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
化想操術師の日常
茶野森かのこ
キャラ文芸
たった一つの線で、世界が変わる。
化想操術師という仕事がある。
一般的には知られていないが、化想は誰にでも起きる可能性のある現象で、悲しみや苦しみが心に抱えきれなくなった時、人は無意識の内に化想と呼ばれるものを体の外に生み出してしまう。それは、空間や物や生き物と、その人の心を占めるものである為、様々だ。
化想操術師とは、頭の中に思い描いたものを、その指先を通して、現実に生み出す事が出来る力を持つ人達の事。本来なら無意識でしか出せない化想を、意識的に操る事が出来た。
クズミ化想社は、そんな化想に苦しむ人々に寄り添い、救う仕事をしている。
社長である九頭見志乃歩は、自身も化想を扱いながら、化想患者限定でカウンセラーをしている。
社員は自身を含めて四名。
九頭見野雪という少年は、化想を生み出す能力に長けていた。志乃歩の養子に入っている。
常に無表情であるが、それは感情を失わせるような過去があったからだ。それでも、志乃歩との出会いによって、その心はいつも誰かに寄り添おうとしている、優しい少年だ。
他に、志乃歩の秘書でもある黒兎、口は悪いが料理の腕前はピカイチの姫子、野雪が生み出した巨大な犬の化想のシロ。彼らは、山の中にある洋館で、賑やかに共同生活を送っていた。
その洋館に、新たな住人が加わった。
記憶を失った少女、たま子。化想が扱える彼女は、記憶が戻るまでの間、野雪達と共に過ごす事となった。
だが、記憶を失くしたたま子には、ある目的があった。
たま子はクズミ化想社の一人として、志乃歩や野雪と共に、化想を出してしまった人々の様々な思いに触れていく。
壊れた友情で海に閉じこもる少年、自分への後悔に復讐に走る女性、絵を描く度に化想を出してしまう少年。
化想操術の古い歴史を持つ、阿木之亥という家の人々、重ねた野雪の過去、初めて出来た好きなもの、焦がれた自由、犠牲にしても守らなきゃいけないもの。
野雪とたま子、化想を取り巻く彼らのお話です。
幽子さんの謎解きレポート~しんいち君と霊感少女幽子さんの実話を元にした本格心霊ミステリー~
しんいち
キャラ文芸
オカルト好きの少年、「しんいち」は、小学生の時、彼が通う合気道の道場でお婆さんにつれられてきた不思議な少女と出会う。
のちに「幽子」と呼ばれる事になる少女との始めての出会いだった。
彼女には「霊感」と言われる、人の目には見えない物を感じ取る能力を秘めていた。しんいちはそんな彼女と友達になることを決意する。
そして高校生になった二人は、様々な怪奇でミステリアスな事件に関わっていくことになる。 事件を通じて出会う人々や経験は、彼らの成長を促し、友情を深めていく。
しかし、幽子にはしんいちにも秘密にしている一つの「想い」があった。
その想いとは一体何なのか?物語が進むにつれて、彼女の心の奥に秘められた真実が明らかになっていく。
友情と成長、そして幽子の隠された想いが交錯するミステリアスな物語。あなたも、しんいちと幽子の冒険に心を躍らせてみませんか?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる