6 / 144
第1章 始動
3 1号室の依頼人
しおりを挟む
「あ、ああ…大丈夫です。どうぞどうぞ…ええと…あなたは…?」
草太は大音量の鐘の直撃でぼやけた視界を何とか女性の立ち位置に合わせ、貧血になったようにふらつく頭を両手で押えながらフォーカスを絞っていく。やがてピントが合い、戸口からおずおずと玄関に入ってきた女性はどう見てもまだ10代で、所在なさげに立っている姿は今にも消え入りそうに不安定に思えた。草太のここでの経験上、こうやってはるばる丘を登って訪ねて来る理由には主に二つ思い当たる。一つは一階奥の1号室で看板を掲げている弾正の探偵事務所で、もう一つは二階手前の5号室でやっている天冥の占いの館。少女が用事のあるのは占いの方ではないかと思われた。
「ええと…占い、ですか?」
「あ、いえ、あの…ネットで検索して…一乗寺探偵事務所ってここで合ってますか?」
ああ、そっちね、と、草太は少女に聞こえるかどうか分からないくらいの小声で呟いた。となると、草太の客とも言えるかもしれない。弾正の草太への要望は探偵助手として弾正を手伝うことで、雑用とも思えるような依頼があると彼は草太に丸投げすることも多かった。ちなみに、天冥の要望の方が探偵っぽい内容の場合が多い。予め予約の入った占いの客の身辺調査で、それはいわゆるホットリーディングに使う資料となるもののようだったが、その調査内容はあからさまにインチキ占いを思わせた。まあ占い師なんて者は多かれ少なかれそんなことをやっているのだろうと、草太はただ黙々と言われたことをこなしていたのだが、そっちの手伝いの方がよほど探偵っぽかった。
「どうぞどうぞ。こっちへ」
草太は上がり框に手を付き、文庫本を拾うと、玄関横の黒いフレームのスリッパ立てから来客用のスリッパを一足取って少女の前に置いた。少女は恐縮したようにペコンと頭を下げると、エナメルの赤いローファーを脱いで差し出されたスリッパに足を通し、後ろ向きにしゃがんで自分の靴を整えた。その所作を見て草太の口元が緩む。この段階でどんな依頼内容なのかという期待が持てた。もう何日もいなくなった飼い犬の捜索や、大人気のチケット発売日に列に並んで買いに行くなどといった雑用を依頼してくる人間はたいてい靴を脱ぎっぱなしにする。大体「一乗寺探偵事務所」などと大仰な看板を掲げてはいるが、こんな辺鄙な所までわざわざ依頼に来る内容といったらほとんどが雑用といってもいいもので、事件の捜索とまで言わないまでも、探偵に依頼する内容の上位にくると思われる浮気調査なんて色っぽいものも皆目だった。そもそも小説なんかのように事件の調査を警察が探偵に依頼するなんてことがあるはずもないのだが……。
少女をダイニングへと案内し、先程まで明彦が座っていたテレビの正面に誘導し、まだ片付けていない食器を流しに移す。
「早いねえ。今日は学校は休み?」
テーブルを拭きながら、両手を膝の上に置き、背筋をピンと伸ばして座る少女の緊張を解いてやろうとザックバランに話し掛ける。見た目で中学生か高校生だと当たりをつけ、口調も年下に向けるような軽口になる。ちょうど夏休みに入ったところだろうと話を振ったが、草太の言った内容に少女はさらに身を固くした。
「す、すみません、早すぎましたよね。夏休みに入ったら速攻で来ようと思ってたんですけど、お家にいると何だか落ち着かなくて…早いとは思ったんですけど来ちゃいました」
草太の早いねの言葉に反応して萎縮したみたいだ。口調から何やら切羽詰まったものを抱えているように伺える。
「そんなに固くならないで大丈夫だよ。コーヒーでいいかなあ?」
草太が極力柔らかい口調でそう尋ねると、少女はコクコクと二回頷いた。
「ホットとアイス、どっちがいい?甘い方がいいよね?」
「あ、あの…アイスで。どうぞ、おかま…いなく」
お構いなくがスムーズに言えなくて少し噛む。まあ若い子が普段使う言葉じゃないもんな、と、草太はクスッとなった。さっき作ったコーヒーメーカーのコーヒーは幸い冷めていて、それを氷を入れたグラスに注ぐ。結局甘いかどうかの返答はなかったのでスーパーで買ったコーヒーフレッシュとシロップを一つずつ付けてやる。ちなみにコーヒーメーカーや調理器具、マグカップ以外の食器類は基本的に共有で、コーヒー粉やシロップなどは草太が大家から月々に備品費としてもらう1万円の中から捻出していた。
「じゃあちょっと待っててくれる?今から探偵さんを起こしてくるから」
草太がそう声をかけると少女はまた恐縮しきりに、シロップの上ラベルを剥がす手を止めて深々と頭を下げる。これがコミックならきっと少女の頭の上には汗マークがたくさん散っているだろう。そんな光景を微笑ましく思い描き、ダイニングを出るとすぐ前の階段を仰ぎ見た。さっき何故鐘が鳴ったのか原因を調べに行きたいところだが、おそらくそれはかなり後回しになるだろう。一乗寺がそう簡単に起きるとは思えないからだ。
それにしても……
草太の今日の予定が入っていなかったのはおそらく住人たちの予定が今日はみんな緩慢だからなのだろう。だからきのうは遅くまで酒盛りしていたに違いない。そのことを鑑みても、さっきはあんなに大きな音を立てて鐘が鳴ったのだ。一人くらい何があったのかと起きてきてもよさそうなものを……。まあ三回で鳴り止んでくれたのは助かった。もし鳴り止んでいなければ、鐘の音だけでなく近隣からの苦情の嵐に耐えることになっただろう。
草太は安堵とも呆れとも取れないため息をつき、自分の部屋に入って休日が返上された名残惜しさを感じながら文庫本を棚に戻し、隣りの部屋の前まで行ってノックした。ちょうど目の位置にフックシールにかかったお粗末な探偵事務所の看板が揺れるだけで中からは返答が無い。だろうねと思いながら、何度もノックするといった無駄なことはせず、木の扉の丸いノブをそっと引いた。ノブには内側から押し込む式の鍵がついているが、一乗寺はいつもその鍵をかけない。すんなり開いた扉から中を覗くと、酒気の混じった冷たい風が顔に吹き付ける。管理人室以外の各部屋にはエアコンが備え付けてあり、そこから吹く冷気が溜まって外の暖気を押し退けて流れ出てくる。北の壁際のソファーベッドからは毛布からはみ出た足がだらし無く垂れ下がり、耳をすますと深い寝息がスースーと聞こえた。
「弾正さーん、お客さんですよー!」
一乗寺探偵事務所の探偵、一乗寺弾正はそれくらいの声掛けでは起きない。だからといって何度も呼びかけるのは体力の無駄。草太は遠慮なく部屋に入り、弾正の横に立って涎の垂れた締まりの無い寝顔を上から覗くと、その頬をペシペシと一往復ビンタした。
「う、う~ん…にゃむにゃむ」
口元から何やら言葉にならない音が発せられたが目は開く気配がない。仕方ないのでもう二往復ばかりペシペシする。
「弾正さーん!お客さんですってば。ピチピチの女子高生ですよ~!」
ピチピチの女子高生のあたりで口元がにへらと緩むも、まぶたは難攻不落の城のように閉じたままだ。草太は軽くため息をつき、弾正の耳元まで口を近づけてから大きく息を吸い込んだ。
「おい弾正!さっさと起きろー!!」
そこまでしてやっと弾正の目がうっすらと開かれた。そして真横にある草太の顔に目線だけ向ける。
「今、呼び捨てにした?」
「何寝ぼけてるんすか弾正さん、依頼のお客さんが来てますよ」
「あー、う~ん…今何時?」
「朝の9時前です」
「げ!アホか。俺はまだ寝るから要件聞いといて。そんでお前に出来そうな内容だったら一人でやっといて」
弾正はそこまで言うと、速攻でまたスースーと寝息を立て始めた。
(アホかって…どこの会社員が朝の9時前にグースカ眠るのか)
草太は目の前に横たわるでっかい体躯に冷冷ややかな眼差しを向けると、またため息をついて部屋を出た。予想がついていたこととはいえ、情けなさに自然と首が左右に振れる。そして今度はホッと気合いを入れるための息を吐き、ダイニングで待つ少女の元に向かうのだった。
草太は大音量の鐘の直撃でぼやけた視界を何とか女性の立ち位置に合わせ、貧血になったようにふらつく頭を両手で押えながらフォーカスを絞っていく。やがてピントが合い、戸口からおずおずと玄関に入ってきた女性はどう見てもまだ10代で、所在なさげに立っている姿は今にも消え入りそうに不安定に思えた。草太のここでの経験上、こうやってはるばる丘を登って訪ねて来る理由には主に二つ思い当たる。一つは一階奥の1号室で看板を掲げている弾正の探偵事務所で、もう一つは二階手前の5号室でやっている天冥の占いの館。少女が用事のあるのは占いの方ではないかと思われた。
「ええと…占い、ですか?」
「あ、いえ、あの…ネットで検索して…一乗寺探偵事務所ってここで合ってますか?」
ああ、そっちね、と、草太は少女に聞こえるかどうか分からないくらいの小声で呟いた。となると、草太の客とも言えるかもしれない。弾正の草太への要望は探偵助手として弾正を手伝うことで、雑用とも思えるような依頼があると彼は草太に丸投げすることも多かった。ちなみに、天冥の要望の方が探偵っぽい内容の場合が多い。予め予約の入った占いの客の身辺調査で、それはいわゆるホットリーディングに使う資料となるもののようだったが、その調査内容はあからさまにインチキ占いを思わせた。まあ占い師なんて者は多かれ少なかれそんなことをやっているのだろうと、草太はただ黙々と言われたことをこなしていたのだが、そっちの手伝いの方がよほど探偵っぽかった。
「どうぞどうぞ。こっちへ」
草太は上がり框に手を付き、文庫本を拾うと、玄関横の黒いフレームのスリッパ立てから来客用のスリッパを一足取って少女の前に置いた。少女は恐縮したようにペコンと頭を下げると、エナメルの赤いローファーを脱いで差し出されたスリッパに足を通し、後ろ向きにしゃがんで自分の靴を整えた。その所作を見て草太の口元が緩む。この段階でどんな依頼内容なのかという期待が持てた。もう何日もいなくなった飼い犬の捜索や、大人気のチケット発売日に列に並んで買いに行くなどといった雑用を依頼してくる人間はたいてい靴を脱ぎっぱなしにする。大体「一乗寺探偵事務所」などと大仰な看板を掲げてはいるが、こんな辺鄙な所までわざわざ依頼に来る内容といったらほとんどが雑用といってもいいもので、事件の捜索とまで言わないまでも、探偵に依頼する内容の上位にくると思われる浮気調査なんて色っぽいものも皆目だった。そもそも小説なんかのように事件の調査を警察が探偵に依頼するなんてことがあるはずもないのだが……。
少女をダイニングへと案内し、先程まで明彦が座っていたテレビの正面に誘導し、まだ片付けていない食器を流しに移す。
「早いねえ。今日は学校は休み?」
テーブルを拭きながら、両手を膝の上に置き、背筋をピンと伸ばして座る少女の緊張を解いてやろうとザックバランに話し掛ける。見た目で中学生か高校生だと当たりをつけ、口調も年下に向けるような軽口になる。ちょうど夏休みに入ったところだろうと話を振ったが、草太の言った内容に少女はさらに身を固くした。
「す、すみません、早すぎましたよね。夏休みに入ったら速攻で来ようと思ってたんですけど、お家にいると何だか落ち着かなくて…早いとは思ったんですけど来ちゃいました」
草太の早いねの言葉に反応して萎縮したみたいだ。口調から何やら切羽詰まったものを抱えているように伺える。
「そんなに固くならないで大丈夫だよ。コーヒーでいいかなあ?」
草太が極力柔らかい口調でそう尋ねると、少女はコクコクと二回頷いた。
「ホットとアイス、どっちがいい?甘い方がいいよね?」
「あ、あの…アイスで。どうぞ、おかま…いなく」
お構いなくがスムーズに言えなくて少し噛む。まあ若い子が普段使う言葉じゃないもんな、と、草太はクスッとなった。さっき作ったコーヒーメーカーのコーヒーは幸い冷めていて、それを氷を入れたグラスに注ぐ。結局甘いかどうかの返答はなかったのでスーパーで買ったコーヒーフレッシュとシロップを一つずつ付けてやる。ちなみにコーヒーメーカーや調理器具、マグカップ以外の食器類は基本的に共有で、コーヒー粉やシロップなどは草太が大家から月々に備品費としてもらう1万円の中から捻出していた。
「じゃあちょっと待っててくれる?今から探偵さんを起こしてくるから」
草太がそう声をかけると少女はまた恐縮しきりに、シロップの上ラベルを剥がす手を止めて深々と頭を下げる。これがコミックならきっと少女の頭の上には汗マークがたくさん散っているだろう。そんな光景を微笑ましく思い描き、ダイニングを出るとすぐ前の階段を仰ぎ見た。さっき何故鐘が鳴ったのか原因を調べに行きたいところだが、おそらくそれはかなり後回しになるだろう。一乗寺がそう簡単に起きるとは思えないからだ。
それにしても……
草太の今日の予定が入っていなかったのはおそらく住人たちの予定が今日はみんな緩慢だからなのだろう。だからきのうは遅くまで酒盛りしていたに違いない。そのことを鑑みても、さっきはあんなに大きな音を立てて鐘が鳴ったのだ。一人くらい何があったのかと起きてきてもよさそうなものを……。まあ三回で鳴り止んでくれたのは助かった。もし鳴り止んでいなければ、鐘の音だけでなく近隣からの苦情の嵐に耐えることになっただろう。
草太は安堵とも呆れとも取れないため息をつき、自分の部屋に入って休日が返上された名残惜しさを感じながら文庫本を棚に戻し、隣りの部屋の前まで行ってノックした。ちょうど目の位置にフックシールにかかったお粗末な探偵事務所の看板が揺れるだけで中からは返答が無い。だろうねと思いながら、何度もノックするといった無駄なことはせず、木の扉の丸いノブをそっと引いた。ノブには内側から押し込む式の鍵がついているが、一乗寺はいつもその鍵をかけない。すんなり開いた扉から中を覗くと、酒気の混じった冷たい風が顔に吹き付ける。管理人室以外の各部屋にはエアコンが備え付けてあり、そこから吹く冷気が溜まって外の暖気を押し退けて流れ出てくる。北の壁際のソファーベッドからは毛布からはみ出た足がだらし無く垂れ下がり、耳をすますと深い寝息がスースーと聞こえた。
「弾正さーん、お客さんですよー!」
一乗寺探偵事務所の探偵、一乗寺弾正はそれくらいの声掛けでは起きない。だからといって何度も呼びかけるのは体力の無駄。草太は遠慮なく部屋に入り、弾正の横に立って涎の垂れた締まりの無い寝顔を上から覗くと、その頬をペシペシと一往復ビンタした。
「う、う~ん…にゃむにゃむ」
口元から何やら言葉にならない音が発せられたが目は開く気配がない。仕方ないのでもう二往復ばかりペシペシする。
「弾正さーん!お客さんですってば。ピチピチの女子高生ですよ~!」
ピチピチの女子高生のあたりで口元がにへらと緩むも、まぶたは難攻不落の城のように閉じたままだ。草太は軽くため息をつき、弾正の耳元まで口を近づけてから大きく息を吸い込んだ。
「おい弾正!さっさと起きろー!!」
そこまでしてやっと弾正の目がうっすらと開かれた。そして真横にある草太の顔に目線だけ向ける。
「今、呼び捨てにした?」
「何寝ぼけてるんすか弾正さん、依頼のお客さんが来てますよ」
「あー、う~ん…今何時?」
「朝の9時前です」
「げ!アホか。俺はまだ寝るから要件聞いといて。そんでお前に出来そうな内容だったら一人でやっといて」
弾正はそこまで言うと、速攻でまたスースーと寝息を立て始めた。
(アホかって…どこの会社員が朝の9時前にグースカ眠るのか)
草太は目の前に横たわるでっかい体躯に冷冷ややかな眼差しを向けると、またため息をついて部屋を出た。予想がついていたこととはいえ、情けなさに自然と首が左右に振れる。そして今度はホッと気合いを入れるための息を吐き、ダイニングで待つ少女の元に向かうのだった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
化想操術師の日常
茶野森かのこ
キャラ文芸
たった一つの線で、世界が変わる。
化想操術師という仕事がある。
一般的には知られていないが、化想は誰にでも起きる可能性のある現象で、悲しみや苦しみが心に抱えきれなくなった時、人は無意識の内に化想と呼ばれるものを体の外に生み出してしまう。それは、空間や物や生き物と、その人の心を占めるものである為、様々だ。
化想操術師とは、頭の中に思い描いたものを、その指先を通して、現実に生み出す事が出来る力を持つ人達の事。本来なら無意識でしか出せない化想を、意識的に操る事が出来た。
クズミ化想社は、そんな化想に苦しむ人々に寄り添い、救う仕事をしている。
社長である九頭見志乃歩は、自身も化想を扱いながら、化想患者限定でカウンセラーをしている。
社員は自身を含めて四名。
九頭見野雪という少年は、化想を生み出す能力に長けていた。志乃歩の養子に入っている。
常に無表情であるが、それは感情を失わせるような過去があったからだ。それでも、志乃歩との出会いによって、その心はいつも誰かに寄り添おうとしている、優しい少年だ。
他に、志乃歩の秘書でもある黒兎、口は悪いが料理の腕前はピカイチの姫子、野雪が生み出した巨大な犬の化想のシロ。彼らは、山の中にある洋館で、賑やかに共同生活を送っていた。
その洋館に、新たな住人が加わった。
記憶を失った少女、たま子。化想が扱える彼女は、記憶が戻るまでの間、野雪達と共に過ごす事となった。
だが、記憶を失くしたたま子には、ある目的があった。
たま子はクズミ化想社の一人として、志乃歩や野雪と共に、化想を出してしまった人々の様々な思いに触れていく。
壊れた友情で海に閉じこもる少年、自分への後悔に復讐に走る女性、絵を描く度に化想を出してしまう少年。
化想操術の古い歴史を持つ、阿木之亥という家の人々、重ねた野雪の過去、初めて出来た好きなもの、焦がれた自由、犠牲にしても守らなきゃいけないもの。
野雪とたま子、化想を取り巻く彼らのお話です。
幽子さんの謎解きレポート~しんいち君と霊感少女幽子さんの実話を元にした本格心霊ミステリー~
しんいち
キャラ文芸
オカルト好きの少年、「しんいち」は、小学生の時、彼が通う合気道の道場でお婆さんにつれられてきた不思議な少女と出会う。
のちに「幽子」と呼ばれる事になる少女との始めての出会いだった。
彼女には「霊感」と言われる、人の目には見えない物を感じ取る能力を秘めていた。しんいちはそんな彼女と友達になることを決意する。
そして高校生になった二人は、様々な怪奇でミステリアスな事件に関わっていくことになる。 事件を通じて出会う人々や経験は、彼らの成長を促し、友情を深めていく。
しかし、幽子にはしんいちにも秘密にしている一つの「想い」があった。
その想いとは一体何なのか?物語が進むにつれて、彼女の心の奥に秘められた真実が明らかになっていく。
友情と成長、そして幽子の隠された想いが交錯するミステリアスな物語。あなたも、しんいちと幽子の冒険に心を躍らせてみませんか?
失恋少女と狐の見廻り
紺乃未色(こんのみいろ)
キャラ文芸
失恋中の高校生、彩羽(いろは)の前にあらわれたのは、神の遣いである「千影之狐(ちかげのきつね)」だった。「協力すれば恋の願いを神へ届ける」という約束のもと、彩羽はとある旅館にスタッフとして潜り込み、「魂を盗る、人ならざる者」の調査を手伝うことに。
人生初のアルバイトにあたふたしながらも、奮闘する彩羽。そんな彼女に対して「面白い」と興味を抱く千影之狐。
一人と一匹は無事に奇妙な事件を解決できるのか?
不可思議でどこか妖しい「失恋からはじまる和風ファンタジー」
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる