草稿集

通知

 時刻は零時を回ろうとしていた。

 仕事にひと段落つけ何気なく携帯に手を伸ばす。

 ちょうど零時を回った時だった。

 なにかのアプリで勝手に登録されていたメールが来る。

 「あなた方が付き合い始めてちょうど五年が経ちました。」

 いつか付き合っていた女のことだろう。

 たった五年と思うかもしれないがその間にも多くの出会いや別れ、そのほかの出来事があった私にとってそれはとても古いことのように思えた。

 一瞬だけその人のことを思い出そうと考えた。

 しかしそのあと考え直してそれをやめた。

 未練のようなものも無かったし、それ以前に私はあの時からもう違う人物になっていたからである。

 そうしてそうして最後にはそのメールをすっかり削除した。

  メールが来てからわずか十秒ほどの出来事である。