草稿集

酔い覚め

 いつだって「酔った勢いで」って言う私の嘘も、きっと君は全部わかっていたんだ。

 それなのに君の答えときたら「大丈夫？」ってどっちともとれるような口ぶりで誤魔化すんだ。

 私だって自分が意気地なしなんてことはわかっていたんだ。

 多分君だってそれを知っていたんだろう。

 それでも君が気づかないふりをし続けるのは一体なぜなのか話てはくれないか。
 本音を言おう。
 
 君を独り占めしたかったわけじゃないと言えば嘘になるけど、君の元に居続けることができないこともわかっていたんだ。

 ほんの少し私の鼓膜を揺すってくれればそれでよかったんだ。
 
 永久に隣にいてほしいなんてことは私の口からは言えないよ。

 馬鹿な私にはそれ以上のことは信じられなかったんだ。