草稿集

藤堂Máquina

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内臓

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 内臓が沸騰していた。

大釜の中で煮え繰り返るそれらの塊は、役割というものを理解してはいなかった。

時折暴れ、釜に傷をつけ、そして蓋を飛ばしては息をし続けた。

それらは捌かれたことに気づかぬ魚のそれのようであった。

大釜はそれらを抑えつけるのには不十分であった。

内側から殴られ、外側からも圧力をかけられていた。

そしてその厚みというものは本来必要なものの半分以下であった。

職人の怠りであろう。

鍛え直さなければ使うことを拒むべきであった。

しかしこうして使われ続けているというのは、代わりの釜もなく、使わざるを得ない状況であったに他ならない。

蓋が簡単に飛んでいくのも合っていないからであった。

心臓の鼓動はもうずっと前から弱くなっている。

肺も痙攣を起こしている。

胃や腸は暴れては傷つき、傷ついてはまた暴れている。

釜の内側は赤く染まり、それらが噴き出した窯の口は錆びかけていた。

それでも新しいものを用意するまでは火を止める訳にはいかず、むしろ火を強くした。

厨房には酷い臭いが漂っている。

火をつけた本人というのは、そちらを見ずに、よく鍛えられた釜のカタログを眺める。

選ばれた品は2、3日で届くそうだ。

それまでにあの釜は壊れてしまうだろう。

壊れたら捨てるだけだ。

新しい釜が来ればこの厨房も随分とすっきりしてしまうのだろう。
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