家出少年と私

夕紅

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はいどーも、アラサー独身の倉橋舞です。彼氏無し。
 職場の御局様と愚痴り合っていたのも今は昔。
 今となっちゃあ御局様も結婚して、あなたも早く良い人見つけなさいよ、なんて説教食らうようになっちゃって。
で、なんでですかね、今、我が家、と言っても安アパートですが、そこに十六歳の男の子が住んでいます。
なんで?と聞かれましても、むしろ私が聞きたい位で。
 今も畳の上に座り込んで、互いに背中を合わせてもたれかかりながら彼は漫画を読み、私は物思いに耽っている訳ですね。
そしてそれも終わりな訳です。
なんでかって?
パタン、と漫画を閉じた音がしたのね。
これは来るぞ。

 「舞さん」

 私の家に上がりこんだ青少年、大船雅臣が私の膝に転がりこむ。

 「なに?」

 仰向けに私の顔を覗き込む雅臣に、下を向き応える。

 「暇、なんかしよう」

 暇なら帰れよ、と思うが、居ないとそれはそれで寂しいだろうな、とも思う。

 「なんかって何?」

エッチな事を考えているんじゃないだろうな。

 「エッチな事」

 何処まで本気で言っているんだろうか、と思案する。
 本気なら、無理やり私を押し倒すことだって出来る筈だ。
まあ、その後にしっぺ返しを食らう訳だけど。
と言うか、常識的な人間ならそんな事をしない、いや、家出する時点で常識が無いのか?

 「ダメ」

あんまり考え込むと、関係がギクシャクしそうで、軽い返事をする。

 「ケチ」

 「ケチで結構」

 十六歳の家出少年を匿う時点で、私も十分非常識なんだけど、ね。

 「もう八時だから、夕食を作るわよ」

なんだか女言葉が出てしまった。
 私は女なんだから、不自然では無いのだけれど、不思議な気分だった。

 「なんか手伝う」

 雅臣は立ち上がり気合いを見せる。

 「じゃあ、野菜切って、皮剥いて。肉じゃが作るから」

 「わあい!」

 私と雅臣は台所に並び立ち、料理を始める。
 明日からまた仕事が始まる。
そしたら帰りも遅くなるから、今日は少しだけ優しくしようかな、なんて。
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