4 / 4
4話
しおりを挟む月日が流れ大学も危なげなく合格し、入学初日に誰かさんに肩を叩かれることも無く俺はすっかり大学生活に慣れた。
坂木が居ないと、出来ることが沢山ある。
例えば
「黒田くん!」
振り返ると、そこには黒髪の可愛い女の子がにこにことした姿で居た
「さくらちゃん!」
俺が名前を呼ぶとさくらちゃんはふにゃ、と破顔した
飯田桜 同じ学年・学部の女の子。趣味は読書、好きな食べ物はサバの味噌煮と意外に渋い。染めたことは無いであろう艶やかな髪をオシャレに巻いている。
いつも笑顔で誰にでも優しくて、さくらちゃんが居るとどんな場所でもふわりと和む
俺はそんなこの子が好きだ。正直付き合いたい。だけど、まだ告白は出来ずにいる。
(我ながら臆病だなあ)
そう思いながらも、心の底には何処か余裕があった。さくらちゃんも俺が好きなんじゃないかと最近薄々感じている。
よくお茶に誘われるし、俺の事を見つけたら直ぐに声をかけてくれるから。
早く付き合いたいな~
❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥
「ごめんシャー芯貸してくんね?」
大学の授業にて、いつものように真面目にノートを取っていたら後ろから声がかかった
振り向くと、そこにはイケメンが居た
パッと見ただ単に細い感じに見えるが、よく見ると腕やら腹やらに筋肉が付いているように見えた。
鍛えてるのだろう
「・・・ん、いいよ 0.5?」
「うん。ありがと」
にこ、と笑うイケメン。
授業中ということもあり、それきりは会話はしなかった
授業終了後に、イケメンから声を掛けてくれた。
「さっきはありがとね、これからも関わることあると思うしLINE交換せん?」
「ああ、分かった」
いそいそと携帯を出しているとイケメンから視線を感じた。
それもかなりじっと見てくるので流石に居心地が悪い
「あのー なんですかね...?」
何見てんだコラの意を込めて質問するとイケメンははっと我に返り、笑った
「いやー、黒田くんさ、結構近寄り難いオーラ出してるから怖いんかなって思ってたけど、案外普通の人で拍子抜けしたわ」
「は...?それはー、何が言いたいんだ?」
「・・・いんや。やっぱナシ。なんでもなーい」
なんなんだこいつ。
「いやでも、飯田さんとも普通に話してるし近寄り難いとはならなくね?」
ちょっと不服なので言い返すと、今度は目を丸くした
「それはー.....まあまあ!」
はぐらかされた。
❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥
月日は流れ、もうすぐ俺たちは2年生になる
2年に上がる頃、俺は遂にさくらちゃんと付き合い始めた。やはりさくらちゃんも俺のことが好きだったらしい。告白は俺からした
ちなみにあのイケメンは伊賀良圭と言う名前で、あれからもそこそこ話している
「今日は入学式だねえ」
食堂でさくらちゃんは1年前のことを思い出しながら、懐かしそうに微笑む。可愛い
「そうだね」
「私、入学式は凄く緊張したなあ。みんな凄く可愛いし、自分も可愛くならなきゃ!ってなった時期だったよ」
「さくらちゃんは昔も今も可愛いよ」
「えへへ、ありがとう」
さくらちゃんは最近凄く可愛くなった。前も可愛かったけど、更に垢抜けた感じがする。大好きな彼女だ。
そして1年前というと、俺は凄く大変な思いをした。最近は思い出すことも滅多に無くなったが。
あいつは俺が上京する直前までずっと引っ付いてた。行かないで行かないでと凄くうるさかった
高校入学では逃げきれたと思ったが、結局あいつも同じとこに入ったし。入学式で肩を叩かれた時の恐怖よ
ポン
「うみちゃん♡」
「そうそうこんな風に・・・」
丁度肩を叩かれたので、タイミング良いなと思いながら振り返れば
「ひ゜」
やつがいた。
「な、ななななななななんでお前が居るんだ」
思いっきり立ち上がったため、ガタリと椅子が倒れる。周りから視線が集まるが、それどころじゃなかった
「酷いよ、置いてった上に僕のことをお化けでも見るような目をして!」
坂木はぷりぷりしながら怒っていた
相変わらずまつ毛はバサバサしているし、相変わらずイケメンだ。
なんでこいつがここに。
混乱した頭が何とか現状を呑み込む。今日は入学式。こいつはスーツを見に纏っている
「おまえ、まさか」
「うん、入学しちゃった!よろしくね、センパイ♡」
「よろしくじゃねえよ.......」
こうして俺の地獄のハッピーライフが始まったのだ。
32
お気に入りに追加
45
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結・短編】game
七瀬おむ
BL
仕事に忙殺される社会人がゲーム実況で救われる話。
美形×平凡/ヤンデレ感あり/社会人
<あらすじ>
社会人の高井 直樹(たかい なおき)は、仕事に忙殺され、疲れ切った日々を過ごしていた。そんなとき、ハイスペックイケメンの友人である篠原 大和(しのはら やまと)に2人組のゲーム実況者として一緒にやらないかと誘われる。直樹は仕事のかたわら、ゲーム実況を大和と共にやっていくことに楽しさを見出していくが……。
周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)
ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに
ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子
天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。
可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている
天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。
水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。
イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする
好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた
自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い
そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語
蔑まれ王子と愛され王子
あぎ
BL
蔑まれ王子と愛され王子
蔑まれ王子
顔が醜いからと城の別邸に幽閉されている。
基本的なことは1人でできる。
父と母にここ何年もあっていない
愛され王子
顔が美しく、次の国大使。
全属性を使える。光魔法も抜かりなく使える
兄として弟のために頑張らないと!と頑張っていたが弟がいなくなっていて病んだ
父と母はこの世界でいちばん大嫌い
※pixiv掲載小説※
自身の掲載小説のため、オリジナルです
過保護な不良に狙われた俺
ぽぽ
BL
強面不良×平凡
異能力者が集まる学園に通う平凡な俺が何故か校内一悪評高い獄堂啓吾に呼び出され「付き合え」と壁ドンされた。
頼む、俺に拒否権を下さい!!
━━━━━━━━━━━━━━━
王道学園に近い世界観です。
ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です
隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する
知世
BL
大輝は悩んでいた。
完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。
自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは?
自分は聖の邪魔なのでは?
ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。
幼なじみ離れをしよう、と。
一方で、聖もまた、悩んでいた。
彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。
自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。
心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。
大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。
だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。
それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。
小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました)
受けと攻め、交互に視点が変わります。
受けは現在、攻めは過去から現在の話です。
拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
宜しくお願い致します。
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる