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月日が流れ大学も危なげなく合格し、入学初日に誰かさんに肩を叩かれることも無く俺はすっかり大学生活に慣れた。
坂木が居ないと、出来ることが沢山ある。
例えば

「黒田くん!」

振り返ると、そこには黒髪の可愛い女の子がにこにことした姿で居た

「さくらちゃん!」

俺が名前を呼ぶとさくらちゃんはふにゃ、と破顔した
飯田桜 同じ学年・学部の女の子。趣味は読書、好きな食べ物はサバの味噌煮と意外に渋い。染めたことは無いであろう艶やかな髪をオシャレに巻いている。
いつも笑顔で誰にでも優しくて、さくらちゃんが居るとどんな場所でもふわりと和む
俺はそんなこの子が好きだ。正直付き合いたい。だけど、まだ告白は出来ずにいる。

(我ながら臆病だなあ)

そう思いながらも、心の底には何処か余裕があった。さくらちゃんも俺が好きなんじゃないかと最近薄々感じている。
よくお茶に誘われるし、俺の事を見つけたら直ぐに声をかけてくれるから。

早く付き合いたいな~

❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥

「ごめんシャー芯貸してくんね?」
大学の授業にて、いつものように真面目にノートを取っていたら後ろから声がかかった
振り向くと、そこにはイケメンが居た
パッと見ただ単に細い感じに見えるが、よく見ると腕やら腹やらに筋肉が付いているように見えた。
鍛えてるのだろう

「・・・ん、いいよ 0.5?」

「うん。ありがと」

にこ、と笑うイケメン。

授業中ということもあり、それきりは会話はしなかった


授業終了後に、イケメンから声を掛けてくれた。

「さっきはありがとね、これからも関わることあると思うしLINE交換せん?」

「ああ、分かった」

いそいそと携帯を出しているとイケメンから視線を感じた。
それもかなりじっと見てくるので流石に居心地が悪い

「あのー なんですかね...?」

何見てんだコラの意を込めて質問するとイケメンははっと我に返り、笑った

「いやー、黒田くんさ、結構近寄り難いオーラ出してるから怖いんかなって思ってたけど、案外普通の人で拍子抜けしたわ」

「は...?それはー、何が言いたいんだ?」

「・・・いんや。やっぱナシ。なんでもなーい」

なんなんだこいつ。

「いやでも、飯田さんとも普通に話してるし近寄り難いとはならなくね?」

ちょっと不服なので言い返すと、今度は目を丸くした

「それはー.....まあまあ!」

はぐらかされた。


❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥


月日は流れ、もうすぐ俺たちは2年生になる

2年に上がる頃、俺は遂にさくらちゃんと付き合い始めた。やはりさくらちゃんも俺のことが好きだったらしい。告白は俺からした
ちなみにあのイケメンは伊賀良圭と言う名前で、あれからもそこそこ話している

「今日は入学式だねえ」

食堂でさくらちゃんは1年前のことを思い出しながら、懐かしそうに微笑む。可愛い

「そうだね」

「私、入学式は凄く緊張したなあ。みんな凄く可愛いし、自分も可愛くならなきゃ!ってなった時期だったよ」

「さくらちゃんは昔も今も可愛いよ」

「えへへ、ありがとう」

さくらちゃんは最近凄く可愛くなった。前も可愛かったけど、更に垢抜けた感じがする。大好きな彼女だ。
そして1年前というと、俺は凄く大変な思いをした。最近は思い出すことも滅多に無くなったが。
あいつは俺が上京する直前までずっと引っ付いてた。行かないで行かないでと凄くうるさかった
高校入学では逃げきれたと思ったが、結局あいつも同じとこに入ったし。入学式で肩を叩かれた時の恐怖よ

ポン
「うみちゃん♡」

「そうそうこんな風に・・・」

丁度肩を叩かれたので、タイミング良いなと思いながら振り返れば

「ひ゜」

やつがいた。

「な、ななななななななんでお前が居るんだ」
思いっきり立ち上がったため、ガタリと椅子が倒れる。周りから視線が集まるが、それどころじゃなかった

「酷いよ、置いてった上に僕のことをお化けでも見るような目をして!」

坂木はぷりぷりしながら怒っていた
相変わらずまつ毛はバサバサしているし、相変わらずイケメンだ。

なんでこいつがここに。
混乱した頭が何とか現状を呑み込む。今日は入学式。こいつはスーツを見に纏っている

「おまえ、まさか」

「うん、入学しちゃった!よろしくね、センパイ♡」

「よろしくじゃねえよ.......」


こうして俺の地獄のハッピーライフが始まったのだ。
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