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#44 横転した馬車
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そういやマクミラ師匠がおっしゃっていたことの中に「準備に振り回されるな」ってのがあったな。
予測と罠はかわされることも考えて作戦を組み立てろと。
準備不足は論外だけど、十分に準備をしたとしても、その準備したすべてを使う必要はないのだとも。
むしろ準備したものを捨てる勇気を持てないと、せっかくの機会を自ら逃してしまう恐れもあると。
カエルレウム師匠から思考を止めるなと教わったこと、ディナ先輩やウェスさんやメリアンのありがたいお言葉を聞いたこと、そういうものも含めて、生き延びるために必要な心構えがうっすら見えてきた気がする。
対人戦も、どこかで気を引いてその隙に攻撃したり罠にかけたり――基本的な思考は狩りと一緒だから、リテルが貯め込んでくれた記憶という経験値もとてもありがたい。
思考にも動きにも柔軟性が重要なんだな。
ただそれを理解できても、実践できるかというのはまた別で。
地味で地道な努力は必須だろうな――筋トレも含めた。
これが地球の俺の肉体だとかなり無理ゲーなんだけど、リテルがちゃんと鍛えてくれていたから動ける感じ。
リテルがマクミラ師匠から教わっていたことも役立つことが多いし。
リテルのためにも、俺自身も生き残るための強さを身に着けていかないとな。
「その実際に動きたくて落ち着かない感じ、いいねぇ」
メリアンの笑いに周囲を見回すと、ケティもルブルムもマドハトも見えない武器を構えたり振り回したりしていた。
俺もつられて笑うと、皆も一緒になって笑う――その中で、ルブルムが小さくあくびを噛み殺したのに気付く。
「マドハト、ルブルム、ちょっと仮眠を取ったらどうだろう?」
「私は大丈夫だ」
「僕、牢屋でたっぷり寝たです!」
マドハト、お前、大物だよ。
「ルブルム。休憩は大丈夫なうちに取っておこうよ。もちろん交代で」
「そうか。わかった」
あっさり納得してくれたルブルムへ、藁詰めクッションをルブルムへ多めに渡す。
受け取ったルブルムはおとなしく横になった。
「へぇ……信頼関係できてるんだねー?」
ケティがからんでくる――でもそれは、ストウ村を出る前の俺がケティへとった態度を考えたら、おかしなことじゃない。
だってケティは多分、リテルともう恋人同士だと思っている。
リテルの気持ちを知っている俺は、ケティを拒絶するわけにはいかなかった。
ただ今思えば、もうちょっと適切な距離感を選ぶことはできたはず。
俺があのとき欲望に流されたりしたから、だからこの危険な旅へケティを参加させてしまった。
俺のせいだ。
ルブルムと同じくらい、俺はケティを守りぬかなきゃいけない。
そしていつか必ず、ちゃんと謝らないといけないんだ。
リテルのフリをして騙した俺のことを。
「ケティ……理由は後でちゃんと説明する。けれどこの任務が終わるまで、俺が村を出る前にケティに言ったこと、いったん寝かしつけておいてくれないか」
ケティの表情が険しくなる。
「寝かしつける」というのは、いわゆる「棚に上げる」的なホルトゥスの言い回しだ。
「それって……そこで寝ている子に関係あったりする?」
「ないよ」
「どうだか」
ケティの機嫌があからさまに悪くなる。
「私も、ちょっと仮眠取るから」
俺に背を向けて横たわろうとしたケティへ、藁詰めクッションをいくつか渡す。
ケティは黙ってそれを受け取って、体をそこへ埋めた。
ごめんな、ケティ。
ケティは悪くない。
怒る権利がある。
でもこれは楽しい観光旅行とかじゃないんだ。
リテルと同様に外部からの脅威がとても少ないストウ村で生まれ育ったケティは、俺がピリピリしている理由をきっとまだわからないだろう。
「まあ、リテルの言うことも一理あるさ。家族だろうが友達だろうが恋人だろうが、戦場じゃぁ仲間として行動すべきなんだ。そうしないと生存率が下がるということを言おうとしているんだよ」
メリアンのフォローに、ケティは小さく「わかってる」と答えた。
馬車の揺れる音だけが響く中で一人、様々なシチュエーションを思い浮かべては脳内模擬戦を繰り返す。
メリアンは馬車の外へと注意を向けている。
街を出てどのくらい経っただろうか。
ずっと偽装の渦を維持し、『魔力感知』もほぼ欠かさずに継続している。
さすがに集中力も途切れかけてきた。
ルブルムかケティのどちらかが起きたら、今度は俺が仮眠を――そんなことを考えていた矢先、馬車のスピードが急に落ちた。
ブレーキ革が車軸に擦れる摩擦音が、否が応でも緊張を高める。
御者席ごしの前方に見えるアレが原因だろう。
馬車はそのまま減速し続け、やがて停まった。
メリアンと一緒に御者席の方へ移動しようとすると、マドハトも一緒についてこようとする。
「マドハト、馬車の後ろの方を警戒していてくれ。何かが近づいてきたなら二人を起こすように」
小さな声でそう告げると、マドハトは笑顔になる。
「リテルさま、わかったです!」
その元気いっぱいな声で、二人が目を覚ます……そうかそうか。
マドハトは察するのが苦手さんか。
「ト……リテル、どうしたんだ?」
「道の前方で馬車が横転している。付近に馬は見えないから、時間が経っている気はするけれど……事故じゃなく襲撃だったとしたら……ということでルブルムたちは周囲を……誰かがこちらの様子を見ているかもしれないことも含めて警戒しておいて」
そう言いながら外套のフードをかぶると、ルブルムとマドハトもそれに倣う。
弓を持ち、矢筒から一本つがえる。
「メリアン、どうですか?」
「特に怪しい動きは見えないが、隠れている可能性は十分にあるな」
街道の両側は見晴らしの良い草原だが、風の軌跡を目で追える程度には草の背が高く膝上くらいまである。
そしてその黄緑がそよぐ海に、濃い緑の小さな森が浮島のようにあちこちに点在していて、幾つかは街道からも近い。
身を隠せる場所は十分にある。
「御者さん、馬車の向きを正反対に向けることってすぐにできますか?」
「来た道を戻るんで? ……あ、いや、ここいらの道幅なら何度か切り返しゃぁできなくはないすがね……あの横だって通れなくはないと思いやすが……」
御者の言うように確かに通り抜けられはする。
ただ、スピードを落とさずに通過することはできなさげだ。
「じゃあ、馬車をいったん逆向きにして、いつでも走り出せるように準備しておいてください。俺とメリアンがあの馬車の残骸を調べて、危険がないことを確認したら、もう一回向きを戻して進みましょう……というのはどうです? メリアン」
「悪かないね。御者さん、あたしが手を大きくぐるぐる回したらフォーリーに向かって馬車を走らせ始めていい。あたしらが追いついてなくても、だ」
メリアンも馬車から降りる。
「もしも俺たちの帰りが遅かったら、ルブルムの判断に従ってください」
そう言い残すと俺もメリアンに続く。
もうここは戦場だ――その覚悟を胸にしっかりと刻んで。
メリアンは中型円盾を装着した両腕を体の前面へと軽く突き出し、大胆に歩いてゆく。左腕は首の近く、右腕は腰の近くで。
俺も臨戦態勢で、矢をつがえた弓を軽く引いた状態で歩く。
あまり周囲にばかり意識を向けていると、轍につまずきそうになる。
『魔力感知』の範囲には大きな寿命の渦は見えないままだ。
誰も居ないのなら、あの馬車に乗っていた人たちはどこへ行ったのか。
人数が少くて馬が無事ならば、馬車だけ残して移動するって方法もなくはない。
ただ、ここへ着くまで誰ともすれ違ってはいないし――あっ! 居る!
それを感じたのは、横転した馬車が『魔力感知』の範囲に入って間もなくのこと。
街道の転倒している場所から草原へ少し入り込んだ樹々の塊、その裏側に獣種と思われる寿命の渦が一つ。
種類は見たことあるやつだが、どの獣種かはすぐには思い出せない。
フォーリーの街なかでも何度か見たから、メジャーな獣種だとは思うけど。
その獣種は動かない――動けないのか、隠れているのか。
「メリアン、あの樹々の陰に一人隠れているっぽい」
「だな。他に気配は感じんが、罠の可能性は考えるべきだな」
気配というのは、魔術師が寿命の渦と呼んでいるものの別称だ。
『戦技』を使う戦士たちの表現だと聞いている。
ということはメリアンは『戦技』を使えるってことだ。
ちなみに『戦技』の詳細までは教えてもらっていないので、現時点ではいわゆる異世界モノで読むような「スキル」的なアレなのかな、というおぼろげなイメージのみである。
「俺たちがそちらを見に行っている間に、馬車が襲われる可能性はある?」
「かもな。ルブルムは魔術師ってこたぁ、『魔力感知』が使えるんだろ?」
メリアンの探るような会話がちょっと引っかかる――だけどすぐに気付く。
俺が先に「一人隠れている」って自分からカミングアウトしちゃってることに。
「はい」
「おい見な。定期便だなこれ。護衛が一人殺されている。最低でも二人乗るはずだから、もう一人は……馬がいないことを考えると、客を乗せて逃げたか……ここからならフォーリーの方が近いが、名無し森砦の方へ逃げれば街道巡回の兵士たちに出会える可能性も低くない」
「じゃあ、あの木の陰のは反撃された襲撃者?」
「あとは馬に乗り切れなかった乗客とかだな。あたしはもうちょっとこれを調べていく。何かあったら感情を泡立てろ」
「感情を泡立てろ……って何です?」
「あー。そうか。魔術師が『魔力』と呼んだり、あたしらが気配と呼ぶもんは、命とか感情とかそういったものがにじみ出る。例えばな……」
メリアンの寿命の渦が、ちょっとざわついた。
「今のは慌てるときの感情を意図的に自分の中に起こしてみた。異変は感じ取れたか?」
「はい」
「焦りってのは、本当に危険に直面したときにも自然と出ちまうもんだ。だから声を出さないで何かあったときの連絡手段としてはなかなかに有効な感情なんだ」
感情を意図的に作って連絡手段にする、か。
すごいな――という高揚も伝わってしまうんだよな。偽装の渦にしてなければ。
一つ賢くなった俺は、一人で草むらへと踏み入る。
膝が完全に隠れる草むらは、這いつくばれば人でも隠れられる――アルティバティラエを思い出し『魔力感知』の割合を増やしかけて、ディナ先輩の言葉を思い出す。
「『魔力感知』は万能ではない。飛来する石や矢を見落とす恐れもある。自分の目による確認も忘れるな」というやつを。
ありがとうございますディナ先輩、と目視による確認もちゃんと行いつつ、静かに樹々へと近づいてゆく。
やがて樹々の陰から向こうへ伸びている足を発見する。
素足にサンダル。そしてスカート?
スカート丈は決して短くはないのだが、片膝を立てているため、かなりまくれて太ももまでしっかり見えている。
これ、足下の方へ移動したら完全に見えちゃうやつだろ。
意識はないのかな?
警戒を解かぬまま、その人以外へも気を配りながら真横まで回り込む。
顔まで見える――耳を見て思い出した。猫種だ。
しかも可愛い女の子。
その猫種の女の子は、売春宿の娼婦みたいなワンピースを着ていた。
胸元はちょっと空き気味というか、首元スリットがかなり大胆に入っていて、紐で締め上げるタイプ。
寝ているのだろうか、大きな呼吸と共に上下している胸はまあなかなかのサイズ。
武器防具の類は周囲に見当たらない。
これ、あれだろ?
どう見ても誘ってるだろ?
ディナ先輩たちのご指導を受けていなかったら俺はのこのこ近づいていったかもしれない。
だが今の俺は紳士だから。
冷静に状況を分析しよう。
そもそもなんで倒れている?
服に多少の汚れはあるものの、見える範囲で傷はない。
魔物と遭遇するかもしれないこんな場所で堂々と寝られるか?
――もしや猫種って獣種でも猫みたいによく寝ちゃう感じなのかな。
いやいや、盗賊に襲われた後でこのあざと怪しい寝姿はあまりにも、だよな。
念のためいつでも短剣を取り出せるよう、留め具を外しておく。
弓矢も構えたまま、少し離れたところか声をかけてみる。
「あの……大丈夫ですか?」
……起きないな。
「あのー」
これ体を軽く揺すってみるほうがいいのかな。
いやでも、横転していた馬車からして、頭を打ったままここまで逃げてきたとかだったら?
脳震盪とか起こしていたら、揺さぶらないほうがいいんだっけか。
「あのー!」
心持ち大きな声で。
「……ん……」
気がついた?
目を開けた女の子は上半身を起こして、猫耳をくるんとさせた。
年齢はリテルと近そうだな。
「……私……生きてるの?」
胸の前で両手をぽんと合わせるのだが、それがどうにも胸を強調するポーズに見えて仕方がない。
「あなたが助けてくれたの?」
女の子は立ち上がり、俺の方へと近づいてくる。
ちょっとツリ目気味の潤んだ瞳で上目遣いに俺の顔をのぞきこむ女の子は、文句なしの美人。
しかも声まで相当に可愛い――媚びっ媚びに。
「ありがとうございますぅ!」
女の子は無造作に俺へと近づき、矢をつがえている俺の右手を両手でつかみ、自分の胸へと押し付ける。
だからこそ、俺は警戒をさらに強めた……はずなのに……。
「あなたみたいに素敵な恩人さんに助けてもらえるなんて……私……好きになっちゃいそう」
そんなあからさまに罠っぽいセリフと同時に急激な眠気に襲われた。
遠のき始めた意識の底から、湧き上がる痛み。
「っああああああっ!」
自分の声で、その声よりも大きな痛みで、眠気はすぐに消し飛んだ。
俺は女の子の手を振り払いつつ一歩下がり、矢をすぐ射れるよう弓を引き絞り、女の子へと向けた。
女の子はびっくりした顔で俺を見つめている。
いやびっくりしたのは俺もだよ。
『虫の牙』の呪詛傷は、俺が魔法をかけようとしたら咬んでくるわけじゃない。
俺が『魔法』にかかった状態になっている間ずっと咬み続けてくることが実験で分かっている。
昨晩は「これで不意に魔法をかけられてもすぐにわかるな」なんて笑っていたが、まさか本当にわかるとは。
「……なんで効かないの……」
女の子が口にしてしまった言葉――これはもう確定だろ。
矢は女の子の胸元付近へ狙いをつけたまま。
「抵抗はやめろ」
「抵抗は……しないよ。今のが効かなかった時点で私に勝ち目はないから」
そう言いながら女の子は両手を上にあげた。
こっちの世界でも無抵抗の意思表示はバンザイなんだな――だけど降参してくれて本当に良かった。
もしもこの子が歯向かってきたら――俺はこの子を。
手が震えそうになるのをぐっと堪える。
「大丈夫か?」
メリアンが走って近づいてきた。
そして立ち止まったかと思うと、大きな木片を少し離れた草むらへと投げつけた。
「痛ぇ!」
『魔力感知』的には何も居ないはずの場所から声が聞こえた。
● 主な登場者
・有主利照/リテル
猿種、十五歳。リテルの体と記憶、利照の自意識と記憶とを持つ。魔術師見習い。
ラビツ一行をルブルム、マドハトと共に追いかけている。ゴブリン用呪詛と『虫の牙』の呪詛と二つの呪詛に感染している。
・ケティ
リテルの幼馴染の女子。猿種、十六歳。黒い瞳に黒髪、肌は日焼けで薄い褐色の美人。胸も大きい。
リテルとは両想い。熱を出したリテルを一晩中看病してくれていた。フォーリーから護衛として合流した。
・ラビツ
久々に南の山を越えてストウ村を訪れた傭兵四人組の一人。ケティの唇を奪った。
フォーリーではやはり娼館街を訪れていたっぽい。
・マドハト
ゴブリン魔法『取り替え子』の被害者。ゴド村の住人で、とうとう犬種の体を取り戻した。
リテルに恩を感じついてきている。元の世界で飼っていたコーギーのハッタに似ている。街中で魔法を使い捕まっていた。
・ルブルム
魔女様の弟子である赤髪の少女。整った顔立ちのクールビューティー。華奢な猿種。
槍を使った戦闘も得意で、知的好奇心も旺盛。様々なことを学び、成長中。
・アルブム
魔女様の弟子である白髪に銀の瞳の少女。鼠種の兎亜種。
外見はリテルよりも二、三歳若い。知的好奇心が旺盛。
・カエルレウム
寄らずの森の魔女様。深い青のストレートロングの髪が膝くらいまである猿種。
ルブルムとアルブムをホムンクルスとして生み出し、リテルの魔法の師匠となった。『解呪の呪詛』を作成中。
・ディナ
カエルレウムの弟子。ルブルムの先輩にあたる。重度で極度の男嫌い。壮絶な過去がある。
アールヴを母に持ち、猿種を父に持つ。精霊と契約している。トシテルをようやく信用してくれた。
・ウェス
ディナに仕えており、御者の他、幅広く仕事をこなす。肌は浅黒く、ショートカットのお姉さん。蝙蝠種。
魔法を使えないときのためにと麻痺毒の入った金属製の筒をくれた。
・『虫の牙』所持者
キカイー白爵の館に居た警備兵と思われる人物。
『虫の牙』と呼ばれる呪詛の傷を与える異世界の魔法の武器を所持し、ディナに呪詛の傷を付けた。
・メリアン
ディナ先輩が手配した護衛。リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。
ものすごい筋肉と角と副乳とを持つ牛種の半返りの女傭兵。
・御者
ディナが管理する娼婦街の元締め、ロズの用意してくれた馬車の御者。ちょっと訛っている。
・猫種の女の子
街道で横転している馬車から少し入った草むらに倒れていた、ちょっとエッチな姿のあざと可愛い女の子。
「助けてくれてありがとう」と言いながらリテルへ近づき、急激な眠気を催す魔法をかけてきた。
■ はみ出しコラム【天体】
ホルトゥスにおける方位は、東、西、南、北、という単語が用いられている。
地図に対する上下左右の感覚は地球と変わらない。
ただし、ホルトゥスにおいては、太陽も月も星も、西から昇り、東へと沈む。
すでに物語内において「双子月が西から昇る」ということへの言及があるが、これは間違いではない。
その理由については物語の中でいずれ語られるため、ここでは記述しない。
・月
また夜空において特徴的な双子月だが、横並びの二つの月は明るさも大きさも満ち欠けの周期もほぼ同じである。
それ以上の情報については、現段階では明かすことはできない。
※【宗教】の項においても触れたが、双子月は「安息週」と呼ばれる、毎年の終わりに存在する五~六日の期間以外は、規則正しい満ち欠けが繰り返される。
ただし、安息週の期間は常に満月状態である。
・星
星の並びは地球とは異なり、特に輝く星を結んだ「星座」という概念も存在する。
一部の星座においては、地球の各地域に存在する星座と同一名称の星座も存在するが、両者の星構成は異なる。
予測と罠はかわされることも考えて作戦を組み立てろと。
準備不足は論外だけど、十分に準備をしたとしても、その準備したすべてを使う必要はないのだとも。
むしろ準備したものを捨てる勇気を持てないと、せっかくの機会を自ら逃してしまう恐れもあると。
カエルレウム師匠から思考を止めるなと教わったこと、ディナ先輩やウェスさんやメリアンのありがたいお言葉を聞いたこと、そういうものも含めて、生き延びるために必要な心構えがうっすら見えてきた気がする。
対人戦も、どこかで気を引いてその隙に攻撃したり罠にかけたり――基本的な思考は狩りと一緒だから、リテルが貯め込んでくれた記憶という経験値もとてもありがたい。
思考にも動きにも柔軟性が重要なんだな。
ただそれを理解できても、実践できるかというのはまた別で。
地味で地道な努力は必須だろうな――筋トレも含めた。
これが地球の俺の肉体だとかなり無理ゲーなんだけど、リテルがちゃんと鍛えてくれていたから動ける感じ。
リテルがマクミラ師匠から教わっていたことも役立つことが多いし。
リテルのためにも、俺自身も生き残るための強さを身に着けていかないとな。
「その実際に動きたくて落ち着かない感じ、いいねぇ」
メリアンの笑いに周囲を見回すと、ケティもルブルムもマドハトも見えない武器を構えたり振り回したりしていた。
俺もつられて笑うと、皆も一緒になって笑う――その中で、ルブルムが小さくあくびを噛み殺したのに気付く。
「マドハト、ルブルム、ちょっと仮眠を取ったらどうだろう?」
「私は大丈夫だ」
「僕、牢屋でたっぷり寝たです!」
マドハト、お前、大物だよ。
「ルブルム。休憩は大丈夫なうちに取っておこうよ。もちろん交代で」
「そうか。わかった」
あっさり納得してくれたルブルムへ、藁詰めクッションをルブルムへ多めに渡す。
受け取ったルブルムはおとなしく横になった。
「へぇ……信頼関係できてるんだねー?」
ケティがからんでくる――でもそれは、ストウ村を出る前の俺がケティへとった態度を考えたら、おかしなことじゃない。
だってケティは多分、リテルともう恋人同士だと思っている。
リテルの気持ちを知っている俺は、ケティを拒絶するわけにはいかなかった。
ただ今思えば、もうちょっと適切な距離感を選ぶことはできたはず。
俺があのとき欲望に流されたりしたから、だからこの危険な旅へケティを参加させてしまった。
俺のせいだ。
ルブルムと同じくらい、俺はケティを守りぬかなきゃいけない。
そしていつか必ず、ちゃんと謝らないといけないんだ。
リテルのフリをして騙した俺のことを。
「ケティ……理由は後でちゃんと説明する。けれどこの任務が終わるまで、俺が村を出る前にケティに言ったこと、いったん寝かしつけておいてくれないか」
ケティの表情が険しくなる。
「寝かしつける」というのは、いわゆる「棚に上げる」的なホルトゥスの言い回しだ。
「それって……そこで寝ている子に関係あったりする?」
「ないよ」
「どうだか」
ケティの機嫌があからさまに悪くなる。
「私も、ちょっと仮眠取るから」
俺に背を向けて横たわろうとしたケティへ、藁詰めクッションをいくつか渡す。
ケティは黙ってそれを受け取って、体をそこへ埋めた。
ごめんな、ケティ。
ケティは悪くない。
怒る権利がある。
でもこれは楽しい観光旅行とかじゃないんだ。
リテルと同様に外部からの脅威がとても少ないストウ村で生まれ育ったケティは、俺がピリピリしている理由をきっとまだわからないだろう。
「まあ、リテルの言うことも一理あるさ。家族だろうが友達だろうが恋人だろうが、戦場じゃぁ仲間として行動すべきなんだ。そうしないと生存率が下がるということを言おうとしているんだよ」
メリアンのフォローに、ケティは小さく「わかってる」と答えた。
馬車の揺れる音だけが響く中で一人、様々なシチュエーションを思い浮かべては脳内模擬戦を繰り返す。
メリアンは馬車の外へと注意を向けている。
街を出てどのくらい経っただろうか。
ずっと偽装の渦を維持し、『魔力感知』もほぼ欠かさずに継続している。
さすがに集中力も途切れかけてきた。
ルブルムかケティのどちらかが起きたら、今度は俺が仮眠を――そんなことを考えていた矢先、馬車のスピードが急に落ちた。
ブレーキ革が車軸に擦れる摩擦音が、否が応でも緊張を高める。
御者席ごしの前方に見えるアレが原因だろう。
馬車はそのまま減速し続け、やがて停まった。
メリアンと一緒に御者席の方へ移動しようとすると、マドハトも一緒についてこようとする。
「マドハト、馬車の後ろの方を警戒していてくれ。何かが近づいてきたなら二人を起こすように」
小さな声でそう告げると、マドハトは笑顔になる。
「リテルさま、わかったです!」
その元気いっぱいな声で、二人が目を覚ます……そうかそうか。
マドハトは察するのが苦手さんか。
「ト……リテル、どうしたんだ?」
「道の前方で馬車が横転している。付近に馬は見えないから、時間が経っている気はするけれど……事故じゃなく襲撃だったとしたら……ということでルブルムたちは周囲を……誰かがこちらの様子を見ているかもしれないことも含めて警戒しておいて」
そう言いながら外套のフードをかぶると、ルブルムとマドハトもそれに倣う。
弓を持ち、矢筒から一本つがえる。
「メリアン、どうですか?」
「特に怪しい動きは見えないが、隠れている可能性は十分にあるな」
街道の両側は見晴らしの良い草原だが、風の軌跡を目で追える程度には草の背が高く膝上くらいまである。
そしてその黄緑がそよぐ海に、濃い緑の小さな森が浮島のようにあちこちに点在していて、幾つかは街道からも近い。
身を隠せる場所は十分にある。
「御者さん、馬車の向きを正反対に向けることってすぐにできますか?」
「来た道を戻るんで? ……あ、いや、ここいらの道幅なら何度か切り返しゃぁできなくはないすがね……あの横だって通れなくはないと思いやすが……」
御者の言うように確かに通り抜けられはする。
ただ、スピードを落とさずに通過することはできなさげだ。
「じゃあ、馬車をいったん逆向きにして、いつでも走り出せるように準備しておいてください。俺とメリアンがあの馬車の残骸を調べて、危険がないことを確認したら、もう一回向きを戻して進みましょう……というのはどうです? メリアン」
「悪かないね。御者さん、あたしが手を大きくぐるぐる回したらフォーリーに向かって馬車を走らせ始めていい。あたしらが追いついてなくても、だ」
メリアンも馬車から降りる。
「もしも俺たちの帰りが遅かったら、ルブルムの判断に従ってください」
そう言い残すと俺もメリアンに続く。
もうここは戦場だ――その覚悟を胸にしっかりと刻んで。
メリアンは中型円盾を装着した両腕を体の前面へと軽く突き出し、大胆に歩いてゆく。左腕は首の近く、右腕は腰の近くで。
俺も臨戦態勢で、矢をつがえた弓を軽く引いた状態で歩く。
あまり周囲にばかり意識を向けていると、轍につまずきそうになる。
『魔力感知』の範囲には大きな寿命の渦は見えないままだ。
誰も居ないのなら、あの馬車に乗っていた人たちはどこへ行ったのか。
人数が少くて馬が無事ならば、馬車だけ残して移動するって方法もなくはない。
ただ、ここへ着くまで誰ともすれ違ってはいないし――あっ! 居る!
それを感じたのは、横転した馬車が『魔力感知』の範囲に入って間もなくのこと。
街道の転倒している場所から草原へ少し入り込んだ樹々の塊、その裏側に獣種と思われる寿命の渦が一つ。
種類は見たことあるやつだが、どの獣種かはすぐには思い出せない。
フォーリーの街なかでも何度か見たから、メジャーな獣種だとは思うけど。
その獣種は動かない――動けないのか、隠れているのか。
「メリアン、あの樹々の陰に一人隠れているっぽい」
「だな。他に気配は感じんが、罠の可能性は考えるべきだな」
気配というのは、魔術師が寿命の渦と呼んでいるものの別称だ。
『戦技』を使う戦士たちの表現だと聞いている。
ということはメリアンは『戦技』を使えるってことだ。
ちなみに『戦技』の詳細までは教えてもらっていないので、現時点ではいわゆる異世界モノで読むような「スキル」的なアレなのかな、というおぼろげなイメージのみである。
「俺たちがそちらを見に行っている間に、馬車が襲われる可能性はある?」
「かもな。ルブルムは魔術師ってこたぁ、『魔力感知』が使えるんだろ?」
メリアンの探るような会話がちょっと引っかかる――だけどすぐに気付く。
俺が先に「一人隠れている」って自分からカミングアウトしちゃってることに。
「はい」
「おい見な。定期便だなこれ。護衛が一人殺されている。最低でも二人乗るはずだから、もう一人は……馬がいないことを考えると、客を乗せて逃げたか……ここからならフォーリーの方が近いが、名無し森砦の方へ逃げれば街道巡回の兵士たちに出会える可能性も低くない」
「じゃあ、あの木の陰のは反撃された襲撃者?」
「あとは馬に乗り切れなかった乗客とかだな。あたしはもうちょっとこれを調べていく。何かあったら感情を泡立てろ」
「感情を泡立てろ……って何です?」
「あー。そうか。魔術師が『魔力』と呼んだり、あたしらが気配と呼ぶもんは、命とか感情とかそういったものがにじみ出る。例えばな……」
メリアンの寿命の渦が、ちょっとざわついた。
「今のは慌てるときの感情を意図的に自分の中に起こしてみた。異変は感じ取れたか?」
「はい」
「焦りってのは、本当に危険に直面したときにも自然と出ちまうもんだ。だから声を出さないで何かあったときの連絡手段としてはなかなかに有効な感情なんだ」
感情を意図的に作って連絡手段にする、か。
すごいな――という高揚も伝わってしまうんだよな。偽装の渦にしてなければ。
一つ賢くなった俺は、一人で草むらへと踏み入る。
膝が完全に隠れる草むらは、這いつくばれば人でも隠れられる――アルティバティラエを思い出し『魔力感知』の割合を増やしかけて、ディナ先輩の言葉を思い出す。
「『魔力感知』は万能ではない。飛来する石や矢を見落とす恐れもある。自分の目による確認も忘れるな」というやつを。
ありがとうございますディナ先輩、と目視による確認もちゃんと行いつつ、静かに樹々へと近づいてゆく。
やがて樹々の陰から向こうへ伸びている足を発見する。
素足にサンダル。そしてスカート?
スカート丈は決して短くはないのだが、片膝を立てているため、かなりまくれて太ももまでしっかり見えている。
これ、足下の方へ移動したら完全に見えちゃうやつだろ。
意識はないのかな?
警戒を解かぬまま、その人以外へも気を配りながら真横まで回り込む。
顔まで見える――耳を見て思い出した。猫種だ。
しかも可愛い女の子。
その猫種の女の子は、売春宿の娼婦みたいなワンピースを着ていた。
胸元はちょっと空き気味というか、首元スリットがかなり大胆に入っていて、紐で締め上げるタイプ。
寝ているのだろうか、大きな呼吸と共に上下している胸はまあなかなかのサイズ。
武器防具の類は周囲に見当たらない。
これ、あれだろ?
どう見ても誘ってるだろ?
ディナ先輩たちのご指導を受けていなかったら俺はのこのこ近づいていったかもしれない。
だが今の俺は紳士だから。
冷静に状況を分析しよう。
そもそもなんで倒れている?
服に多少の汚れはあるものの、見える範囲で傷はない。
魔物と遭遇するかもしれないこんな場所で堂々と寝られるか?
――もしや猫種って獣種でも猫みたいによく寝ちゃう感じなのかな。
いやいや、盗賊に襲われた後でこのあざと怪しい寝姿はあまりにも、だよな。
念のためいつでも短剣を取り出せるよう、留め具を外しておく。
弓矢も構えたまま、少し離れたところか声をかけてみる。
「あの……大丈夫ですか?」
……起きないな。
「あのー」
これ体を軽く揺すってみるほうがいいのかな。
いやでも、横転していた馬車からして、頭を打ったままここまで逃げてきたとかだったら?
脳震盪とか起こしていたら、揺さぶらないほうがいいんだっけか。
「あのー!」
心持ち大きな声で。
「……ん……」
気がついた?
目を開けた女の子は上半身を起こして、猫耳をくるんとさせた。
年齢はリテルと近そうだな。
「……私……生きてるの?」
胸の前で両手をぽんと合わせるのだが、それがどうにも胸を強調するポーズに見えて仕方がない。
「あなたが助けてくれたの?」
女の子は立ち上がり、俺の方へと近づいてくる。
ちょっとツリ目気味の潤んだ瞳で上目遣いに俺の顔をのぞきこむ女の子は、文句なしの美人。
しかも声まで相当に可愛い――媚びっ媚びに。
「ありがとうございますぅ!」
女の子は無造作に俺へと近づき、矢をつがえている俺の右手を両手でつかみ、自分の胸へと押し付ける。
だからこそ、俺は警戒をさらに強めた……はずなのに……。
「あなたみたいに素敵な恩人さんに助けてもらえるなんて……私……好きになっちゃいそう」
そんなあからさまに罠っぽいセリフと同時に急激な眠気に襲われた。
遠のき始めた意識の底から、湧き上がる痛み。
「っああああああっ!」
自分の声で、その声よりも大きな痛みで、眠気はすぐに消し飛んだ。
俺は女の子の手を振り払いつつ一歩下がり、矢をすぐ射れるよう弓を引き絞り、女の子へと向けた。
女の子はびっくりした顔で俺を見つめている。
いやびっくりしたのは俺もだよ。
『虫の牙』の呪詛傷は、俺が魔法をかけようとしたら咬んでくるわけじゃない。
俺が『魔法』にかかった状態になっている間ずっと咬み続けてくることが実験で分かっている。
昨晩は「これで不意に魔法をかけられてもすぐにわかるな」なんて笑っていたが、まさか本当にわかるとは。
「……なんで効かないの……」
女の子が口にしてしまった言葉――これはもう確定だろ。
矢は女の子の胸元付近へ狙いをつけたまま。
「抵抗はやめろ」
「抵抗は……しないよ。今のが効かなかった時点で私に勝ち目はないから」
そう言いながら女の子は両手を上にあげた。
こっちの世界でも無抵抗の意思表示はバンザイなんだな――だけど降参してくれて本当に良かった。
もしもこの子が歯向かってきたら――俺はこの子を。
手が震えそうになるのをぐっと堪える。
「大丈夫か?」
メリアンが走って近づいてきた。
そして立ち止まったかと思うと、大きな木片を少し離れた草むらへと投げつけた。
「痛ぇ!」
『魔力感知』的には何も居ないはずの場所から声が聞こえた。
● 主な登場者
・有主利照/リテル
猿種、十五歳。リテルの体と記憶、利照の自意識と記憶とを持つ。魔術師見習い。
ラビツ一行をルブルム、マドハトと共に追いかけている。ゴブリン用呪詛と『虫の牙』の呪詛と二つの呪詛に感染している。
・ケティ
リテルの幼馴染の女子。猿種、十六歳。黒い瞳に黒髪、肌は日焼けで薄い褐色の美人。胸も大きい。
リテルとは両想い。熱を出したリテルを一晩中看病してくれていた。フォーリーから護衛として合流した。
・ラビツ
久々に南の山を越えてストウ村を訪れた傭兵四人組の一人。ケティの唇を奪った。
フォーリーではやはり娼館街を訪れていたっぽい。
・マドハト
ゴブリン魔法『取り替え子』の被害者。ゴド村の住人で、とうとう犬種の体を取り戻した。
リテルに恩を感じついてきている。元の世界で飼っていたコーギーのハッタに似ている。街中で魔法を使い捕まっていた。
・ルブルム
魔女様の弟子である赤髪の少女。整った顔立ちのクールビューティー。華奢な猿種。
槍を使った戦闘も得意で、知的好奇心も旺盛。様々なことを学び、成長中。
・アルブム
魔女様の弟子である白髪に銀の瞳の少女。鼠種の兎亜種。
外見はリテルよりも二、三歳若い。知的好奇心が旺盛。
・カエルレウム
寄らずの森の魔女様。深い青のストレートロングの髪が膝くらいまである猿種。
ルブルムとアルブムをホムンクルスとして生み出し、リテルの魔法の師匠となった。『解呪の呪詛』を作成中。
・ディナ
カエルレウムの弟子。ルブルムの先輩にあたる。重度で極度の男嫌い。壮絶な過去がある。
アールヴを母に持ち、猿種を父に持つ。精霊と契約している。トシテルをようやく信用してくれた。
・ウェス
ディナに仕えており、御者の他、幅広く仕事をこなす。肌は浅黒く、ショートカットのお姉さん。蝙蝠種。
魔法を使えないときのためにと麻痺毒の入った金属製の筒をくれた。
・『虫の牙』所持者
キカイー白爵の館に居た警備兵と思われる人物。
『虫の牙』と呼ばれる呪詛の傷を与える異世界の魔法の武器を所持し、ディナに呪詛の傷を付けた。
・メリアン
ディナ先輩が手配した護衛。リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。
ものすごい筋肉と角と副乳とを持つ牛種の半返りの女傭兵。
・御者
ディナが管理する娼婦街の元締め、ロズの用意してくれた馬車の御者。ちょっと訛っている。
・猫種の女の子
街道で横転している馬車から少し入った草むらに倒れていた、ちょっとエッチな姿のあざと可愛い女の子。
「助けてくれてありがとう」と言いながらリテルへ近づき、急激な眠気を催す魔法をかけてきた。
■ はみ出しコラム【天体】
ホルトゥスにおける方位は、東、西、南、北、という単語が用いられている。
地図に対する上下左右の感覚は地球と変わらない。
ただし、ホルトゥスにおいては、太陽も月も星も、西から昇り、東へと沈む。
すでに物語内において「双子月が西から昇る」ということへの言及があるが、これは間違いではない。
その理由については物語の中でいずれ語られるため、ここでは記述しない。
・月
また夜空において特徴的な双子月だが、横並びの二つの月は明るさも大きさも満ち欠けの周期もほぼ同じである。
それ以上の情報については、現段階では明かすことはできない。
※【宗教】の項においても触れたが、双子月は「安息週」と呼ばれる、毎年の終わりに存在する五~六日の期間以外は、規則正しい満ち欠けが繰り返される。
ただし、安息週の期間は常に満月状態である。
・星
星の並びは地球とは異なり、特に輝く星を結んだ「星座」という概念も存在する。
一部の星座においては、地球の各地域に存在する星座と同一名称の星座も存在するが、両者の星構成は異なる。
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