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#43 覚悟はできているか?
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「なんで……って言う? え? もしかして逢いたいって思っていたの私だけ? それとも来たら何か困ることでもあるのかなー?」
ケティは俺のすぐ目の前に膝をつく。
そして俺の頬に頭をすりつけてきた。
「な、で、て」
「は、はい」
なぜか勢いに呑まれてケティの頭を撫でる俺――だけど。
待って待って。
思考が追いつかない。
ケティは――呪詛を解除する魔術研究のために、カエルレウム師匠のとこに行ったはずで――どうなってんの?
「おーや。あたしも撫でてもらわないといけない流れかね?」
笑いながら馬車に乗り込んできたのは、体が大きく、やけに胸板の厚い牛種の――角があるから半返りの女性。
「ん? あたしの胸が気になるかい? 副乳を見るのは初めてかい?」
「副……乳?」
言われてみれば、鎧の隙間から見える胸の谷間が、首のとこだけじゃなく、腕の付け根近くにも見える。
「おっぱいが四つあるのさ。あたしたち牛種や猫種、そこにいる犬種もそうだね。先祖返りや半返りだとおっぱいの数が増えるんだよ」
そこでハッと気付く。
ルブルムとケティの俺を見る目に。
ルブルムは「へー、トシテルっておっぱい好きなんだ?」みたいに誤解したまま学習してますって感じの目で、ケティは「ふーん、リテルって見境ないくらいおっぱい好きんだね?」って感じの冷たい目。
い、いや、おっぱいに夢中なんじゃなく、副乳なんてものを純粋に知らなかっただけで。
「旦那ぁ、お揃いのようですね。じゃあ、出ますよ」
馬車がようやく出発したばかりだというのになんだこの疲労感は――と俺が呆けている間に、ケティは藁詰めクッションを皆に配り始める。
俺以外へは笑顔で。
俺に対しては顔を近付け、小さな声で「後でいろいろ説明してね」という囁き付きで。
無理くり作った笑顔で俺は藁詰めクッションへと腰掛けた。
「さて。改めて自己紹介させてもらう。あたしはメリアン。しがない傭兵だ」
そう言って差し出された右手の二の腕は、ルブルムのウエストよりも太いかも。
「メリアンさん、よろしくです」
ドキドキしながら自分も右手を出すと、メリアンは思ったよりも優しく握ってくれた。
これ、絶対にぎゅっと握りしめられて痛いパターンだと思ってた。
「へぇ。自分の身は自分で守れるくらいには鍛えているようだね」
ニヤリと笑うメリアンさんご当人はそんな俺の筋肉を小指で引きちぎれそうな筋肉をしているもんだから、お世辞感が半端ない。
牛種はただでさえ獣種の中でも体格が大きい方だが、メリアンさんはそれに加えて筋肉を鍛え抜いているせいか、相当な威圧感がある。
身長だって五クビトゥムはあるだろう。
全身の要所要所に取り付けられた部分鎧は革ベースのを金属プレートで補強。
全身を覆っているわけではないのに、鍛え上げられた筋肉により、そこらの鎧よりも頑丈そうな印象を受ける。
両腕に中型の円盾を、腰には両側に小剣を一本ずつ装備し、拳には棘付きの金属プレートを装着している。
笑顔なのにこの迫力よ。
傭兵って言ってたよな。
兵士あがりのテニール兄貴もかなりカッコいい筋肉してるんだけど、このメリアンさんは別次元。
始めて異世界っぽい戦士に出遭った、という感じ。
「リテルです。こちらの魔術師ルブルムの従者です。そしてこちらのマドハトも従者で、俺の弟分です」
ルブルムとマドハトは俺に続いて挨拶する。
二人にはそういう体でいくという了解も取れている。
「ふーん。私の後ろをついてきていたリテルに弟分ねぇ……あ、私はケティ。ストウ村の鍛冶屋の娘で、リテルとは幼馴染です。私とメリアンが護衛ということになるの。よろしくね」
ケティは傍らに置いていた長柄のハンマーを片手で軽々と持ち上げて、半回転させる。
これ、ケティが家業の鍛冶屋を手伝うとか言って練習用に使っているハンマーだ。
日々使いこなす練習しているのはリテルも知っていたし、一年くらい前の時点では腕相撲でリテルより確実に強かったのは記憶に刻まれている。
けど、ケティが護衛?
リテルの記憶の中には、物怖じこそしないもののケティの優しさや、対人対獣の戦いに不慣れな記憶もちゃんと入っている。
リテルなら心配してダメだって言いそうだ。
「よろしく。ルブルムだ」
「よろしくです! 僕、マドハトです!」
「ルブルムもなかなかいい体している。マドハトはちょっと鍛え方が足りないね」
そうだよ。マドハトだって、本体の方はちょっと前まで床に臥せっていたんだ。
いつもはしゃいでいるイメージでいたけれど、けっこう無理しているのかもしれない。
それには気を配らなきゃだし、俺だって獣以外は実戦経験のない素人同然だし――いざってとき、ルブルムとケティとマドハトと、このリテルの体をもちゃんと守りきれるのだろうか。
「不安そうな顔をしているな、リテル。話は聞いているよ。あと最初に言っておくが、緊急時にもどかしいのは嫌だから普段からさん付けはなしだ」
メリアンさん――メリアン――の年齢はおそらく二十代だろうか。
学校の先生くらいの人を呼び捨てってのは抵抗あるけれど、こういうのは従った方がいいんだろうな。
そういやマクミラ師匠も「狩りのときは長々と名前を呼んでから用件を告げる必要はない」っておっしゃっていたな。
そういうわずかな間を省けるかどうかが重要な場所で生き延びてきた人なんだろうな、メリアンは――って!
気がついたらもうフォーリーの北門に着いているじゃないか!
「ケティ、本当に一緒に来るのか?」
この時間ならまだテニール兄貴たちもフォーリーに居るだろうし、てっきり紹介だけして帰ると思っていたというか、なんでフォーリーに居る?
俺たちはけっこうな強行軍で来たけれど、その出発時、ケティはカエルレウム師匠のとこへ行っていたはずなのに。
「なーに? リテル。私が一緒に居たら困ることでもあるの?」
「こ、困るとかじゃなくて……フォーリー以北は危険って聞いてるし、俺は従者という立場上、ルブルムを優先的に守らなきゃいけない。ケティだ大事だから、その安全を考えたら……」
ケティが心配だということはリテルだったら絶対に言うはずのこと。
そこはしっかり伝えておく。
「大丈夫だよ。なんなら今、腕相撲する?」
ケティは不敵に笑う。
リテルならケティの強さを知っているのだろうけれど、俺が体験したケティの体はとても柔らかかったし――おい、何を思い出しているんだ、俺。
「あはは。リテルのそういう顔、久々に見たよ。ずっと森にこもってたリテルは知らないだろうけどさ、私、最近は父さんの仕事を手伝わせてもらえるくらいまでになってんだよ?」
プリクスさんは腕力だけで言えば、ストウ村でも一、二を争う力自慢で、いわゆる頑固職人タイプの鍛冶屋。
ケティには甘いんだけど、仕事のことはキッチリしている人。
そのプリクスさんがOKだしたっていうのなら、ケティの腕はそこそこだってことになる――じゃなくて。
騙されないぞ?
「鍛冶仕事と、護衛の仕事は別物だろ?」
「どうした? 揉め事か?」
北門の門番さんが馬車の幌をめくって覗き込んできた。
通行証を確認しに来たのだろう。
「いえ。通行証はこちらになります」
ルブルムが立ち上がり、俺たち分――カエルレウム師匠が作った表向きの方のと、ディナ先輩から受け取った護衛分の通行証を門番さんへと見せる。
「……心配、してくれてんだよね。それは嬉しいよ……でも、迷惑はかけないから。ほら防具だって」
ケティは立ち上がり、全身の様子を俺へと見せる。
どこで調達したのか、ベストのような厚手の革鎧を着て、厚手の肘までの革手袋と、真新しい脛当てには、金属プレートが取り付けられている。
ストウ村を出たときの俺よりも全然防御力があるじゃないか。
しかも……ずるいよケティ。
そんな切なそうな目で見つめられたら、帰れだなんて言えないじゃないか。
でもさ――いざってとき、例えばケティとルブルム、そのどちらかしか守れないような状況になったとき、俺はどうするべきなんだ?
リテルのためにケティを守りたい気持ちと、自分自身やケティの実力に対する不安とがせめぎ合って、俺が会話を続けられないでいると、メリアンが明るい声で笑い出した。
「大丈夫だよ。あんたらを鍛えてくれって依頼も同時に受けているからさ」
そうだな。
不安を埋めるためにできることなんて、地道な修行しかないんだろうな。
ディナ先輩に散々脅されたせいで不安ばかりが大きくなっていたけれど、その不安は努力で少しずつ減らしていけばいい。
「わかった。でもケティ、くれぐれも無理はしないでほしい」
「ありがと、リテル」
ケティが俺をリテルと呼ぶたびに、ささくれのように心に走る小さな痛みにも、なんとか慣れて痛みを少しずつ減らしていかないとな。
「よし。通っていいぞ。無事な道中を!」
馬車が再び動きだす。
北門を抜け、フォーリーを出た。
ここからは気の抜けない世界。
『魔力感知』もなるべく途切れさせずに続けていかないと。
「じゃあ、早速始めるか……自分の身を守るために必要なことはたくさんある。その中で一番大切なことってなんだと思う?」
メリアンが俺とルブルムとマドハトとに視線を送った。
俺は「防具」と答え、ルブルムは「技術」と答え、マドハトは「逃げること」と答えた。
マドハトはマドハトなりにちゃんと考えているんだと、ちょっとホッとする。
「それらは確かに大切だ。だけど一番大事なのは覚悟だ」
覚悟……か。
「いいかい。人を殴るときはな、殴る覚悟と殴られる覚悟とをするもんなんだ。殴るかもしれない殴られるかもしれない、じゃない。殴る! 殴られる! ……だ。明確に覚悟をしているかどうかがね、いざってときのとっさの判断に、判断したあと体を動かせるかどうかに響くんだ」
メリアンは殴るという表現したけれど、ようは殺す覚悟と殺される覚悟はしておけ、ってことだよね。
人を殺すこと、への覚悟。
元の世界ではする必要がなかった覚悟。
そしてこの世界では――少なくとも、ルブルムやケティを守るためにはしておかなければならない覚悟。
俺にそんなこと、できるんだろうか。
「少し練習してみようかね」
れ、練習?
そんなことできるの?
「いいね、君らのどうすんのさって顔。まぁそんなに難しいことじゃない……練習だよ。まずは手を見つめてみようか。右手でも左手でもいいから自分の手をね」
メリアンの言う通りに右手を見つめてみる。
「その手が、手首から外れて逃げ出したところを想像してみよう」
え?
手首から……外れる?
なんだかよく分からないが、講師様がそうおっしゃるのならと想像してみる――でも、逃げ出すって、遊星からの物体なんとか的なアレ? それともなんとかファミリーの、あのコミカルなやつ?
想像はしてみているものの――人を殺す覚悟とどうつながってくるんだ?
血生臭さを覚悟するつもりだったのに、どうにもコメディっぽく感じてしまうのは俺に覚悟が足りないとかなんだろうか。
「逃げ出した手が君等の周囲をちょこちょこ逃げ回っているところを思い浮かべて……そしてふと自分の手を見る」
「手は逃げてないです!」
マドハトが元気よく答える。
「そうだね、マドハト。君らの手は戻った。でも……逃げ回っている手はまだそのへんをうろちょろしている」
「手の形をした虫……みたいな感じですかね」
「いいね、リテル。そんな感じだ。それを、手持ちの武器でしとめるところを想像してごらん。例えばケティ、その手の形の虫が、リテルの肩に居たら? ハンマーで殴ったらリテルも一緒に怪我をするだろうねぇ?」
「その場合は……ハンマーの柄で押し出すように突いて……うーん。ハンマーじゃない方がいいのかな」
「今はそうやって考えるだけでいい。いざとなってから考えるんじゃなく、普段からこうした方がいいか、ああした方がいいかってね。でね、ここまでは練習の練習。本当の練習は、手じゃなくて首だ。防具で覆われていない確率も、攻撃が成功したときの致命傷っぷりも、首が一番よいだろうな。首の形をした虫がうろちょろしていると想像して、それをうまく仕留めるんだ」
首の形の虫ってのがまた難しいな――バウムクーヘンでも想像してみるか。
形はアレだけど、目的が明確になったおかげでコメディ要素が思考から消える。
俺のメイン武器は弓と手斧。
一応短剣も持っているが、それは倒した獲物を捌いたりするのに使うだけで、基本は距離を取って戦うことを考えていた。
斧は振りかぶった方が威力も出るし――でもこういう超近距離戦も想定した戦い方もちゃんと考えなきゃなんだな。
今手持ちの装備でどう戦うことができるのか。
すごいな。思考が膨らむ。
これは勉強になる。
――バウムクーヘン虫がケティの肩に止まったなら、短剣を抜いて刺す――短剣を握っているイメージで右手をケティの肩へ突き出そうとしたら、メリアンはケティの両肩をつかんでぐいっと動かした――俺の短剣の先がケティの喉元に来るように。
「虫は力が強い。人を動かすくらいの力があると思っておいた方がいい」
「はい!」
そうだよな。
今、完全に虫で考えていたけが、実際にはケティを人質に取っているやつの首ってことなんだよな。
「……虫って考えると確かに抵抗は減りましたけど……最終的にはちゃんと人に向き合わないと、動きについていけないものですね」
「最初はみんなそんなもんさ。ある一点に集中すれば、良くも悪くもその一点の周囲が見えづらくなる。人と対峙したとき、その相手の背景を考えずに済みやすくなる反面、意識の外側の範囲が広くなって……例えば奇襲に弱くなる」
ああ、ウェスさんが教えてくれたこともそういうことだよな。
俺には教えてくださる人がいっぱい居る。
それがとってもありがたいし、この世界の異物なんじゃないかと思っていた俺の不安も少しずつ減らしていけそうな気がする。
● 主な登場者
・有主利照/リテル
猿種、十五歳。リテルの体と記憶、利照の自意識と記憶とを持つ。魔術師見習い。
ラビツ一行をルブルム、マドハトと共に追いかけている。ゴブリン用呪詛と『虫の牙』の呪詛と二つの呪詛に感染している。
・ケティ
リテルの幼馴染の女子。猿種、十六歳。黒い瞳に黒髪、肌は日焼けで薄い褐色の美人。胸も大きい。
リテルとは両想い。熱を出したリテルを一晩中看病してくれていた。フォーリーから護衛として合流した。
・ラビツ
久々に南の山を越えてストウ村を訪れた傭兵四人組の一人。ケティの唇を奪った。
フォーリーではやはり娼館街を訪れていたっぽい。
・マドハト
ゴブリン魔法『取り替え子』の被害者。ゴド村の住人で、とうとう犬種の体を取り戻した。
リテルに恩を感じついてきている。元の世界で飼っていたコーギーのハッタに似ている。街中で魔法を使い捕まっていた。
・ルブルム
魔女様の弟子である赤髪の少女。整った顔立ちのクールビューティー。華奢な猿種。
槍を使った戦闘も得意で、知的好奇心も旺盛。様々なことを学び、成長中。
・アルブム
魔女様の弟子である白髪に銀の瞳の少女。鼠種の兎亜種。
外見はリテルよりも二、三歳若い。知的好奇心が旺盛。
・カエルレウム
寄らずの森の魔女様。深い青のストレートロングの髪が膝くらいまである猿種。
ルブルムとアルブムをホムンクルスとして生み出し、リテルの魔法の師匠となった。『解呪の呪詛』を作成中。
・ディナ
カエルレウムの弟子。ルブルムの先輩にあたる。重度で極度の男嫌い。壮絶な過去がある。
アールヴを母に持ち、猿種を父に持つ。精霊と契約している。トシテルをようやく信用してくれた。
・ウェス
ディナに仕えており、御者の他、幅広く仕事をこなす。肌は浅黒く、ショートカットのお姉さん。蝙蝠種。
魔法を使えないときのためにと麻痺毒の入った金属製の筒をくれた。
・『虫の牙』所持者
キカイー白爵の館に居た警備兵と思われる人物。
『虫の牙』と呼ばれる呪詛の傷を与える異世界の魔法の武器を所持し、ディナに呪詛の傷を付けた。
・メリアン
ディナ先輩が手配した護衛。リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。
ものすごい筋肉と角と副乳とを持つ牛種の半返りの女傭兵。
■ はみ出しコラム【冒険者的な仕事】
ホルトゥスにおいては、いわゆる「冒険者」的な職業は存在しない。
その最たる理由は、魔物の出現の可能性である。
いつ出現するかわからない脅威に対して備える戦力は、常設する必要があるという考え方が一般的である。
また、魔法の性質が自分の寿命を削って発動するというものであることも、個人ではなく集団での戦闘力を重要視する理由にもなっている。
では、いわゆる「冒険者的な仕事」的なものはどう分担されているのか、それについて説明する。
・都市の防衛、近隣に発生した魔物の討伐
これには領主や国に仕える兵士があたる。
相手が魔物である場合でも、人である場合でも同じである。
状況によっては近隣の同じ国に属する地域から援軍が駆けつける場合もある。
ホルトゥスにおいて、街と街との間隔があまり離れていないのは、この相互防衛を可能とする距離感のためである。
また魔物の討伐においては、国や領主より直轄の魔術師が異門が発生しやすい近辺に配置されている場合が多く、魔術師が協力することは一般的である。
・村の防衛
一般的には郷土兵、それから村人による自警が主である。
門番や、交易時の護衛、村を守る戦闘などを専門的に行う郷土兵と、交代でその手伝いをする村人たちをまとめて自警団と呼ぶ。
自警団は、村を囲う塀や門などの補修なども行う。
領地内の各集落へは領監や国監が派遣されており、彼らは都市と交信できる魔法品を所持しているため、いざとなれば、領兵なり国兵なりの派遣依頼を行う。
時折、街道の補修や見回りを兼ねて、領兵の集団が領内を回ることもある。
彼らは、村の自警団へ戦闘の手ほどきを行ったりもする。戦時下における予備兵としての練度を上げるためである。
・採集
何かが採れる場所、そして採れたものの保存方法などは、地元民の財産でもある。
また税金の都合もあり、採集という行為は地元民のみが行うことが一般的である。
とある地域では、採集者と自警団が一緒に行動するし、また別の地域では、採集者自体が自警団を兼ねている場合もある。
・街道護衛
都市と都市とを結ぶ定期便馬車などは、領兵や国兵が護衛として同乗する。
これには密輸や犯罪者の発見という狙いもある。
また、今回のルブルムたちのように、個人的に馬車を用意して都市間を移動する場合、個人で護衛を雇うのが常である。
裕福な商人などであれば自身の居住区の警備兵を別報酬で雇うことが多いが、そうでない場合は、傭兵と呼ばれる人々がこれにあたる。
信頼性の担保については「実績紋」が活用される。
傭兵の経歴としては、大抵が元兵士、元自警団である。
・戦争従軍
これには領主や国に仕える兵士、そして傭兵があたる。
ケティは俺のすぐ目の前に膝をつく。
そして俺の頬に頭をすりつけてきた。
「な、で、て」
「は、はい」
なぜか勢いに呑まれてケティの頭を撫でる俺――だけど。
待って待って。
思考が追いつかない。
ケティは――呪詛を解除する魔術研究のために、カエルレウム師匠のとこに行ったはずで――どうなってんの?
「おーや。あたしも撫でてもらわないといけない流れかね?」
笑いながら馬車に乗り込んできたのは、体が大きく、やけに胸板の厚い牛種の――角があるから半返りの女性。
「ん? あたしの胸が気になるかい? 副乳を見るのは初めてかい?」
「副……乳?」
言われてみれば、鎧の隙間から見える胸の谷間が、首のとこだけじゃなく、腕の付け根近くにも見える。
「おっぱいが四つあるのさ。あたしたち牛種や猫種、そこにいる犬種もそうだね。先祖返りや半返りだとおっぱいの数が増えるんだよ」
そこでハッと気付く。
ルブルムとケティの俺を見る目に。
ルブルムは「へー、トシテルっておっぱい好きなんだ?」みたいに誤解したまま学習してますって感じの目で、ケティは「ふーん、リテルって見境ないくらいおっぱい好きんだね?」って感じの冷たい目。
い、いや、おっぱいに夢中なんじゃなく、副乳なんてものを純粋に知らなかっただけで。
「旦那ぁ、お揃いのようですね。じゃあ、出ますよ」
馬車がようやく出発したばかりだというのになんだこの疲労感は――と俺が呆けている間に、ケティは藁詰めクッションを皆に配り始める。
俺以外へは笑顔で。
俺に対しては顔を近付け、小さな声で「後でいろいろ説明してね」という囁き付きで。
無理くり作った笑顔で俺は藁詰めクッションへと腰掛けた。
「さて。改めて自己紹介させてもらう。あたしはメリアン。しがない傭兵だ」
そう言って差し出された右手の二の腕は、ルブルムのウエストよりも太いかも。
「メリアンさん、よろしくです」
ドキドキしながら自分も右手を出すと、メリアンは思ったよりも優しく握ってくれた。
これ、絶対にぎゅっと握りしめられて痛いパターンだと思ってた。
「へぇ。自分の身は自分で守れるくらいには鍛えているようだね」
ニヤリと笑うメリアンさんご当人はそんな俺の筋肉を小指で引きちぎれそうな筋肉をしているもんだから、お世辞感が半端ない。
牛種はただでさえ獣種の中でも体格が大きい方だが、メリアンさんはそれに加えて筋肉を鍛え抜いているせいか、相当な威圧感がある。
身長だって五クビトゥムはあるだろう。
全身の要所要所に取り付けられた部分鎧は革ベースのを金属プレートで補強。
全身を覆っているわけではないのに、鍛え上げられた筋肉により、そこらの鎧よりも頑丈そうな印象を受ける。
両腕に中型の円盾を、腰には両側に小剣を一本ずつ装備し、拳には棘付きの金属プレートを装着している。
笑顔なのにこの迫力よ。
傭兵って言ってたよな。
兵士あがりのテニール兄貴もかなりカッコいい筋肉してるんだけど、このメリアンさんは別次元。
始めて異世界っぽい戦士に出遭った、という感じ。
「リテルです。こちらの魔術師ルブルムの従者です。そしてこちらのマドハトも従者で、俺の弟分です」
ルブルムとマドハトは俺に続いて挨拶する。
二人にはそういう体でいくという了解も取れている。
「ふーん。私の後ろをついてきていたリテルに弟分ねぇ……あ、私はケティ。ストウ村の鍛冶屋の娘で、リテルとは幼馴染です。私とメリアンが護衛ということになるの。よろしくね」
ケティは傍らに置いていた長柄のハンマーを片手で軽々と持ち上げて、半回転させる。
これ、ケティが家業の鍛冶屋を手伝うとか言って練習用に使っているハンマーだ。
日々使いこなす練習しているのはリテルも知っていたし、一年くらい前の時点では腕相撲でリテルより確実に強かったのは記憶に刻まれている。
けど、ケティが護衛?
リテルの記憶の中には、物怖じこそしないもののケティの優しさや、対人対獣の戦いに不慣れな記憶もちゃんと入っている。
リテルなら心配してダメだって言いそうだ。
「よろしく。ルブルムだ」
「よろしくです! 僕、マドハトです!」
「ルブルムもなかなかいい体している。マドハトはちょっと鍛え方が足りないね」
そうだよ。マドハトだって、本体の方はちょっと前まで床に臥せっていたんだ。
いつもはしゃいでいるイメージでいたけれど、けっこう無理しているのかもしれない。
それには気を配らなきゃだし、俺だって獣以外は実戦経験のない素人同然だし――いざってとき、ルブルムとケティとマドハトと、このリテルの体をもちゃんと守りきれるのだろうか。
「不安そうな顔をしているな、リテル。話は聞いているよ。あと最初に言っておくが、緊急時にもどかしいのは嫌だから普段からさん付けはなしだ」
メリアンさん――メリアン――の年齢はおそらく二十代だろうか。
学校の先生くらいの人を呼び捨てってのは抵抗あるけれど、こういうのは従った方がいいんだろうな。
そういやマクミラ師匠も「狩りのときは長々と名前を呼んでから用件を告げる必要はない」っておっしゃっていたな。
そういうわずかな間を省けるかどうかが重要な場所で生き延びてきた人なんだろうな、メリアンは――って!
気がついたらもうフォーリーの北門に着いているじゃないか!
「ケティ、本当に一緒に来るのか?」
この時間ならまだテニール兄貴たちもフォーリーに居るだろうし、てっきり紹介だけして帰ると思っていたというか、なんでフォーリーに居る?
俺たちはけっこうな強行軍で来たけれど、その出発時、ケティはカエルレウム師匠のとこへ行っていたはずなのに。
「なーに? リテル。私が一緒に居たら困ることでもあるの?」
「こ、困るとかじゃなくて……フォーリー以北は危険って聞いてるし、俺は従者という立場上、ルブルムを優先的に守らなきゃいけない。ケティだ大事だから、その安全を考えたら……」
ケティが心配だということはリテルだったら絶対に言うはずのこと。
そこはしっかり伝えておく。
「大丈夫だよ。なんなら今、腕相撲する?」
ケティは不敵に笑う。
リテルならケティの強さを知っているのだろうけれど、俺が体験したケティの体はとても柔らかかったし――おい、何を思い出しているんだ、俺。
「あはは。リテルのそういう顔、久々に見たよ。ずっと森にこもってたリテルは知らないだろうけどさ、私、最近は父さんの仕事を手伝わせてもらえるくらいまでになってんだよ?」
プリクスさんは腕力だけで言えば、ストウ村でも一、二を争う力自慢で、いわゆる頑固職人タイプの鍛冶屋。
ケティには甘いんだけど、仕事のことはキッチリしている人。
そのプリクスさんがOKだしたっていうのなら、ケティの腕はそこそこだってことになる――じゃなくて。
騙されないぞ?
「鍛冶仕事と、護衛の仕事は別物だろ?」
「どうした? 揉め事か?」
北門の門番さんが馬車の幌をめくって覗き込んできた。
通行証を確認しに来たのだろう。
「いえ。通行証はこちらになります」
ルブルムが立ち上がり、俺たち分――カエルレウム師匠が作った表向きの方のと、ディナ先輩から受け取った護衛分の通行証を門番さんへと見せる。
「……心配、してくれてんだよね。それは嬉しいよ……でも、迷惑はかけないから。ほら防具だって」
ケティは立ち上がり、全身の様子を俺へと見せる。
どこで調達したのか、ベストのような厚手の革鎧を着て、厚手の肘までの革手袋と、真新しい脛当てには、金属プレートが取り付けられている。
ストウ村を出たときの俺よりも全然防御力があるじゃないか。
しかも……ずるいよケティ。
そんな切なそうな目で見つめられたら、帰れだなんて言えないじゃないか。
でもさ――いざってとき、例えばケティとルブルム、そのどちらかしか守れないような状況になったとき、俺はどうするべきなんだ?
リテルのためにケティを守りたい気持ちと、自分自身やケティの実力に対する不安とがせめぎ合って、俺が会話を続けられないでいると、メリアンが明るい声で笑い出した。
「大丈夫だよ。あんたらを鍛えてくれって依頼も同時に受けているからさ」
そうだな。
不安を埋めるためにできることなんて、地道な修行しかないんだろうな。
ディナ先輩に散々脅されたせいで不安ばかりが大きくなっていたけれど、その不安は努力で少しずつ減らしていけばいい。
「わかった。でもケティ、くれぐれも無理はしないでほしい」
「ありがと、リテル」
ケティが俺をリテルと呼ぶたびに、ささくれのように心に走る小さな痛みにも、なんとか慣れて痛みを少しずつ減らしていかないとな。
「よし。通っていいぞ。無事な道中を!」
馬車が再び動きだす。
北門を抜け、フォーリーを出た。
ここからは気の抜けない世界。
『魔力感知』もなるべく途切れさせずに続けていかないと。
「じゃあ、早速始めるか……自分の身を守るために必要なことはたくさんある。その中で一番大切なことってなんだと思う?」
メリアンが俺とルブルムとマドハトとに視線を送った。
俺は「防具」と答え、ルブルムは「技術」と答え、マドハトは「逃げること」と答えた。
マドハトはマドハトなりにちゃんと考えているんだと、ちょっとホッとする。
「それらは確かに大切だ。だけど一番大事なのは覚悟だ」
覚悟……か。
「いいかい。人を殴るときはな、殴る覚悟と殴られる覚悟とをするもんなんだ。殴るかもしれない殴られるかもしれない、じゃない。殴る! 殴られる! ……だ。明確に覚悟をしているかどうかがね、いざってときのとっさの判断に、判断したあと体を動かせるかどうかに響くんだ」
メリアンは殴るという表現したけれど、ようは殺す覚悟と殺される覚悟はしておけ、ってことだよね。
人を殺すこと、への覚悟。
元の世界ではする必要がなかった覚悟。
そしてこの世界では――少なくとも、ルブルムやケティを守るためにはしておかなければならない覚悟。
俺にそんなこと、できるんだろうか。
「少し練習してみようかね」
れ、練習?
そんなことできるの?
「いいね、君らのどうすんのさって顔。まぁそんなに難しいことじゃない……練習だよ。まずは手を見つめてみようか。右手でも左手でもいいから自分の手をね」
メリアンの言う通りに右手を見つめてみる。
「その手が、手首から外れて逃げ出したところを想像してみよう」
え?
手首から……外れる?
なんだかよく分からないが、講師様がそうおっしゃるのならと想像してみる――でも、逃げ出すって、遊星からの物体なんとか的なアレ? それともなんとかファミリーの、あのコミカルなやつ?
想像はしてみているものの――人を殺す覚悟とどうつながってくるんだ?
血生臭さを覚悟するつもりだったのに、どうにもコメディっぽく感じてしまうのは俺に覚悟が足りないとかなんだろうか。
「逃げ出した手が君等の周囲をちょこちょこ逃げ回っているところを思い浮かべて……そしてふと自分の手を見る」
「手は逃げてないです!」
マドハトが元気よく答える。
「そうだね、マドハト。君らの手は戻った。でも……逃げ回っている手はまだそのへんをうろちょろしている」
「手の形をした虫……みたいな感じですかね」
「いいね、リテル。そんな感じだ。それを、手持ちの武器でしとめるところを想像してごらん。例えばケティ、その手の形の虫が、リテルの肩に居たら? ハンマーで殴ったらリテルも一緒に怪我をするだろうねぇ?」
「その場合は……ハンマーの柄で押し出すように突いて……うーん。ハンマーじゃない方がいいのかな」
「今はそうやって考えるだけでいい。いざとなってから考えるんじゃなく、普段からこうした方がいいか、ああした方がいいかってね。でね、ここまでは練習の練習。本当の練習は、手じゃなくて首だ。防具で覆われていない確率も、攻撃が成功したときの致命傷っぷりも、首が一番よいだろうな。首の形をした虫がうろちょろしていると想像して、それをうまく仕留めるんだ」
首の形の虫ってのがまた難しいな――バウムクーヘンでも想像してみるか。
形はアレだけど、目的が明確になったおかげでコメディ要素が思考から消える。
俺のメイン武器は弓と手斧。
一応短剣も持っているが、それは倒した獲物を捌いたりするのに使うだけで、基本は距離を取って戦うことを考えていた。
斧は振りかぶった方が威力も出るし――でもこういう超近距離戦も想定した戦い方もちゃんと考えなきゃなんだな。
今手持ちの装備でどう戦うことができるのか。
すごいな。思考が膨らむ。
これは勉強になる。
――バウムクーヘン虫がケティの肩に止まったなら、短剣を抜いて刺す――短剣を握っているイメージで右手をケティの肩へ突き出そうとしたら、メリアンはケティの両肩をつかんでぐいっと動かした――俺の短剣の先がケティの喉元に来るように。
「虫は力が強い。人を動かすくらいの力があると思っておいた方がいい」
「はい!」
そうだよな。
今、完全に虫で考えていたけが、実際にはケティを人質に取っているやつの首ってことなんだよな。
「……虫って考えると確かに抵抗は減りましたけど……最終的にはちゃんと人に向き合わないと、動きについていけないものですね」
「最初はみんなそんなもんさ。ある一点に集中すれば、良くも悪くもその一点の周囲が見えづらくなる。人と対峙したとき、その相手の背景を考えずに済みやすくなる反面、意識の外側の範囲が広くなって……例えば奇襲に弱くなる」
ああ、ウェスさんが教えてくれたこともそういうことだよな。
俺には教えてくださる人がいっぱい居る。
それがとってもありがたいし、この世界の異物なんじゃないかと思っていた俺の不安も少しずつ減らしていけそうな気がする。
● 主な登場者
・有主利照/リテル
猿種、十五歳。リテルの体と記憶、利照の自意識と記憶とを持つ。魔術師見習い。
ラビツ一行をルブルム、マドハトと共に追いかけている。ゴブリン用呪詛と『虫の牙』の呪詛と二つの呪詛に感染している。
・ケティ
リテルの幼馴染の女子。猿種、十六歳。黒い瞳に黒髪、肌は日焼けで薄い褐色の美人。胸も大きい。
リテルとは両想い。熱を出したリテルを一晩中看病してくれていた。フォーリーから護衛として合流した。
・ラビツ
久々に南の山を越えてストウ村を訪れた傭兵四人組の一人。ケティの唇を奪った。
フォーリーではやはり娼館街を訪れていたっぽい。
・マドハト
ゴブリン魔法『取り替え子』の被害者。ゴド村の住人で、とうとう犬種の体を取り戻した。
リテルに恩を感じついてきている。元の世界で飼っていたコーギーのハッタに似ている。街中で魔法を使い捕まっていた。
・ルブルム
魔女様の弟子である赤髪の少女。整った顔立ちのクールビューティー。華奢な猿種。
槍を使った戦闘も得意で、知的好奇心も旺盛。様々なことを学び、成長中。
・アルブム
魔女様の弟子である白髪に銀の瞳の少女。鼠種の兎亜種。
外見はリテルよりも二、三歳若い。知的好奇心が旺盛。
・カエルレウム
寄らずの森の魔女様。深い青のストレートロングの髪が膝くらいまである猿種。
ルブルムとアルブムをホムンクルスとして生み出し、リテルの魔法の師匠となった。『解呪の呪詛』を作成中。
・ディナ
カエルレウムの弟子。ルブルムの先輩にあたる。重度で極度の男嫌い。壮絶な過去がある。
アールヴを母に持ち、猿種を父に持つ。精霊と契約している。トシテルをようやく信用してくれた。
・ウェス
ディナに仕えており、御者の他、幅広く仕事をこなす。肌は浅黒く、ショートカットのお姉さん。蝙蝠種。
魔法を使えないときのためにと麻痺毒の入った金属製の筒をくれた。
・『虫の牙』所持者
キカイー白爵の館に居た警備兵と思われる人物。
『虫の牙』と呼ばれる呪詛の傷を与える異世界の魔法の武器を所持し、ディナに呪詛の傷を付けた。
・メリアン
ディナ先輩が手配した護衛。リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。
ものすごい筋肉と角と副乳とを持つ牛種の半返りの女傭兵。
■ はみ出しコラム【冒険者的な仕事】
ホルトゥスにおいては、いわゆる「冒険者」的な職業は存在しない。
その最たる理由は、魔物の出現の可能性である。
いつ出現するかわからない脅威に対して備える戦力は、常設する必要があるという考え方が一般的である。
また、魔法の性質が自分の寿命を削って発動するというものであることも、個人ではなく集団での戦闘力を重要視する理由にもなっている。
では、いわゆる「冒険者的な仕事」的なものはどう分担されているのか、それについて説明する。
・都市の防衛、近隣に発生した魔物の討伐
これには領主や国に仕える兵士があたる。
相手が魔物である場合でも、人である場合でも同じである。
状況によっては近隣の同じ国に属する地域から援軍が駆けつける場合もある。
ホルトゥスにおいて、街と街との間隔があまり離れていないのは、この相互防衛を可能とする距離感のためである。
また魔物の討伐においては、国や領主より直轄の魔術師が異門が発生しやすい近辺に配置されている場合が多く、魔術師が協力することは一般的である。
・村の防衛
一般的には郷土兵、それから村人による自警が主である。
門番や、交易時の護衛、村を守る戦闘などを専門的に行う郷土兵と、交代でその手伝いをする村人たちをまとめて自警団と呼ぶ。
自警団は、村を囲う塀や門などの補修なども行う。
領地内の各集落へは領監や国監が派遣されており、彼らは都市と交信できる魔法品を所持しているため、いざとなれば、領兵なり国兵なりの派遣依頼を行う。
時折、街道の補修や見回りを兼ねて、領兵の集団が領内を回ることもある。
彼らは、村の自警団へ戦闘の手ほどきを行ったりもする。戦時下における予備兵としての練度を上げるためである。
・採集
何かが採れる場所、そして採れたものの保存方法などは、地元民の財産でもある。
また税金の都合もあり、採集という行為は地元民のみが行うことが一般的である。
とある地域では、採集者と自警団が一緒に行動するし、また別の地域では、採集者自体が自警団を兼ねている場合もある。
・街道護衛
都市と都市とを結ぶ定期便馬車などは、領兵や国兵が護衛として同乗する。
これには密輸や犯罪者の発見という狙いもある。
また、今回のルブルムたちのように、個人的に馬車を用意して都市間を移動する場合、個人で護衛を雇うのが常である。
裕福な商人などであれば自身の居住区の警備兵を別報酬で雇うことが多いが、そうでない場合は、傭兵と呼ばれる人々がこれにあたる。
信頼性の担保については「実績紋」が活用される。
傭兵の経歴としては、大抵が元兵士、元自警団である。
・戦争従軍
これには領主や国に仕える兵士、そして傭兵があたる。
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