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#41 お前も、だからな
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ルブルムの言葉を、ディナ先輩の怒声が遮った。
でも今のディナ先輩の声は、会った直後のような冷徹な拒絶は感じない。
「偽装消費命の練習を今やれと言ったか? 睡眠は取れるときに取れっ!」
「ディナ先輩、すみません」
「ディナ先輩、できるようになった!」
俺とルブルムの返事が噛み合っていない。
まだ笑みが抜けないでいるルブルムを、ディナ先輩は優しく諭しはじめた。
「いいか、ルブルムはまだ経験がないから分からないかもしれないが、敵の来襲を心配せずに眠れる場所というのは、本当に貴重なんだ。これから先、気の抜けない夜も少なくないだろう。例え町の中の宿屋であっても、旅人から金品を奪おうとする盗人が現れないとも限らない。宿屋で寝る時でも交代で見張りを立ててもいいくらいだ。睡眠不足は集中力や判断力を阻害する。寝られるときにしっかり寝ることも、生き延びるための大事な手段なのだぞ」
「そうか……ごめんなさい。ちゃんと寝る」
ルブルムは素直に謝り、上がっていたテンションも元へと戻る。
俺たちに「おやすみなさい」を言った後、自身にあてがわれた部屋へ戻っていった――けど、ディナ先輩はまだ出てゆく気配がない。
それどころか、こちらへ近づいてきてますよね。
あー、これはお叱りを受けるのか。
覚悟して構えていた俺のすぐ目の前に何かが突き出された。
剣先ではない――何だこれ?
ディナ先輩が俺の鼻先へ突き出したのは、魔石のはまったベルト、それから指輪?
ベルトは二本がクロスしてX型になっているもので、交差部分の金具に魔石が取り付けられている。
部屋の仄かな明るさを反射するその色は赤……紅魔石!
カエルレウム師匠からいただいた白魔石よりもさらに希少な魔石だ。
「使い方の説明をする。ベルトの方は、生命持たなき物へ装着しろ。このベルトが装着できるものならば何でもよい。装着されたものは、ゴーレムとなる」
「ゴーレム! 確か無機物を肉体としたものがゴーレムで、有機物を肉体としたものがゾンビーですよね」
「そうだ。この指輪をはめている者がゴーレムの主となる。本来ならば、可動部分や顔を備えた人形を造り、それをゴーレムとするものだが、そんな人形を用意する時間はないだろう。そこいらの石でもよい。動くことと、そのゴーレムを起点として寿命の渦を感知することは可能だから、離れた場所の見張りとして使うことができる」
見張り――なるほど。
普段だったらそれを自分で考えろとおっしゃいそうなものだが、カエルレウム師匠と同じくらい教えるモードになってくださっているのを感じる。
「ありがとうございます。本来は顔を備えた……ということはもしかして顔があれば、ゴーレムを起点として視覚や聴覚なども得られるということですか?」
「ああ。だがその顔に目や耳として認識できるほどの精巧さがなければ同調は困難だ。それに動くといってもゴーレムの内部からしか動かすことはできない。例えば石にしても、石の内部で重心をずらして転がることは可能だが、外から石に力を加えて動かす……例えば石を投げる類の動作は単体ではできない」
「石を動かす、ではなく、石が動く方法なんですね。試してみてもよいですか?」
「試したモノをずっとゴーレムとすると決めるならば構わんぞ。一度共有した感覚を切断し、また別のものに接続するというのは、慣れていても戸惑いがある。魔法品の機能としては可能だが、それを操る者の感覚がついていかない。お前は目玉を他の生き物のものと取り替えて、すぐに使えるようになる自信はあるか?」
「ないです……かなり一心同体になるのですね。だとすると、ゴーレムが受けたダメージは指輪の使用者にも?」
「肉体は傷つかない。しかし寿命の渦には傷がつく……寿命の渦が痺れるような感じとなり、しばらくの間は消費命の集中が困難になる」
「ありがとうございます。大切に使わせていただきます」
「ゴーレムは最初に発動させた瞬間と、それから一日が経過する毎に、魔法代償を一ディエスずつ消費する。あとはなんらかの動きを命令したとき、その動作の運動量に見合う量の魔法代償を要求される。動作の命令は条件付けでの発動も可能だし、予め封じておくならば魔法の使用も可能だ。ただし、魔石の空き容量に収まる魔法代償量の魔法でなければ封じることはできない」
「条件を付けられるってすごいですね……誰かが前を横切ったら、とかですか」
「何をもって前とするか、ゴーレムを通して認識できれば、だがな。それに誰かというのも簡単ではない。ゴーレムの知覚で感知できるものでないといけない。寿命の渦だけで特定するのであれば、ゴーレムに命令をする時点で対象の寿命の渦を『魔力感知』で認識できている必要がある」
なんかプログラミングみたいだなと思った。
そう考えれば使い勝手はもっと広げられるかも。
「魔石への消費命の封じ方は習ったか?」
「いえ」
「魔石に触れて、自分の体の一部だと思い込むのだ。そういう認識ができたら、消費命を魔石の中へ集中する。魔石の中には、寿命の渦のようなものを感じることができる。そこへ集中した消費命を合流させれば、魔法代償として魔石へ蓄積できる」
「魔術師組合でしか充填できないと思ってました」
「ああ、あれは他者の寿命の渦を抜き出して魔石へ封じる魔術だ。効率よく封じるには大規模な補助魔法品を必要とする。自分で封じる方法ならば、魔術師であれば誰にでもできる」
「そうなんですね……封じるのを、やってみても良いですか?」
ディナ先輩の許可をいただき、試しにやってみる。
手のひらに握り込むと、魔石の中に寿命の渦を感じる――触れるまでは認識できなかった寿命の渦を。
感知できないってすごいな。
魔石の表面に何か特徴があるのかな。
この感じ、偽装の渦にも応用できそうだな。
でもそうだよな。
そうじゃないと、罠としての設置がバレバレになっちゃうもんな。
逆に言えば、そういう罠が設置してあることも今後は考慮の中に入れていかないといけないってことだな。
消費命を一ディエス分、魔石の中に封印するのは簡単だった。
魔石の中の寿命の渦総量もそのタイミングで知ることができた……百十二ディエスも入っている。
「あ! 今、消費命を消費したのに、『虫の牙』の傷ムカデに咬まれていません!」
「そうだ。魔石へ消費命そのものを封じるのは、実際には消費ではなく移動だからな。ただし魔石へ魔法を封じるときには、封じた時点で咬まれるぞ。封じた魔法を魔石から解放するときは咬まれないが、魔法を魔石へ定着させる魔法を組み合わせて魔術にしてから封じておかない場合は、一日かそこらで魔法は消費命へと戻ってしまう。魔石へ収納された消費命はいかなる理由があろうとも、二度と自分の寿命の渦へ再合流させることはできない」
そうか。
ディナ先輩は、俺が『虫の牙』の傷ムカデを引き受けてしまったから、戦闘中に咬まれるリスクを減らす方法を教えてくださっているのか。
他にも、魔法を使う際の魔法代償として魔石から取り出した消費命を使用する場合も咬まれることや、定着魔法を伴わない魔法は一つの魔石に一つしか封じられないこと、その定着魔法自体も教えてくださった。
「すみません。俺なんかのために何から何まで……」
魔石は決して安くない。
ゴーレムを作る魔法を封じた魔法品だって、実際の価格は知らないが恐らくとんでもない高価なものだろう。
「結果的にお前に『虫の牙』の呪詛を押し付けた。これでもまだ足りぬくらいだ。本当はボクも同行できたら良いのだがな、やらねばならぬことがる。くれぐれもルブルムのことを頼む」
「はいっ。命がけで」
「それは言うな。トシテルの体ではないのだろう」
「は、はい」
なぜか頬が熱くなる。
さっきまで殺されかけていた俺が、今は体の心配までされている。
「トシテルはすぐ泣くな……ほら、指輪はもうはめておけ」
涙を拭い、指輪を手に取る。
特に装飾もなくシンプルなもの――ちょっと小さめだけど。
右手にはめてみよう――小指ならなんとか入るかな――おおっ! いける!
このくらいキツめの方が、簡単には抜けなくて良いかもしれない。
「端の指でやっとか? 少し広げたのだがな……貸してみろ」
ディナ先輩はいったんドアの外に出られると、台座付きの細長い金属の棒と共に戻られた。
台座が付いていない方は先細りになっていて、俺の右手から引き抜かれた指輪がそこにはめられる。
なるほど。台座は机の上に立て、指輪にノミを当て木槌で叩きながら台座を何周かくるくる回すのか。
指輪のサイズ調整までしていただけるとは恐れ多い。
「指輪はただの銀の指輪だ。この指輪を魔法と紐付けているのは紅魔石内に格納されている魔術だ。だから魔石さえ守れるのであれば、指輪は奪われても構わない」
再び渡された指輪は薬指にちょうどいい。
「端の指につけておくと、何かにひっかけたりする恐れがある。それに端の指は落とされやすいからな」
落とされやすいって――刃物に、だよね?
怖い世界を垣間見た。
「何から何まで本当にすみません」
「ルブルムは素直がゆえ人の悪意に疎い。お前が居なくなったらルブルムは誰かに騙されると思え……だからトシテル、ルブルムを守るためにはお前も死んではならぬ。リテルの体に対して言っているのではない。トシテル、無事にもどってくるのはお前も、だからな」
「はいっ!」
ディナ先輩が部屋から出ていかれた後、ゴーレム作成ベルトを畳み、さっきディナ先輩からいただいた新しい革鎧の隠しポケットへとしまうと、俺はようやく泥のような眠りの底へ身を沈めた。
凄まじい激痛で目を覚ました。
見開いた目に最初に飛び込んできたのは、同じ様に目を見開いたルブルム。
……ああ、そうか。
きっとルブルムが『同じ皮膚』を使ったんだ。
魔術特異症のせいで俺に定着してしまった『虫の牙』の呪詛ムカデは、もはや『同じ皮膚』では移らなくなってしまった。
ただし俺か、俺に触れている人が『同じ皮膚』を使った場合、俺とその人が触れ合っている間、呪詛ムカデの痛みだけは共有される。
もちろん向こうが使った場合は触れ合いが離れた途端、痛みは終わるのだがって、おい!
二回触るな! 二回は! 一回で目が覚めるって!
「起きた起きた! もう起きたから!」
「トシテル、おはよう。この痛み、慣れない」
「ルブルム、おはよう。俺も全然慣れないよ」
ベッドに腰掛け、ブーツを履こうとして気づく。
ん?
ルブルムのブーツのつま先あたり、こんな模様みたいなのついてたっけ?
顔を上げると、ルブルムの格好が全体的に昨日とは違う。
服なんかはボタンで留めるタイプのちゃんとしたやつだし、フリルみたいな飾りまで付いている。
「服装か? 虹爵様にお目にかかるということで、ディナ先輩に用意してもらったんだ」
「似合ってるよ」
「でも、胸が苦しい。私もアールヴのホムンクルスが良かったな。精霊と契約できるし、胸もキツくないし、生理も滅多に来ない」
アールヴのような長命種族は、生産に使用するエネルギーを肉体の維持に割り振っている、らしい。
だから生殖に熱心ではなく、体の構造もそれに対応している、と。
種族的に胸は小さく、生理も数年に一度で、それ以外の期間は性欲もほぼないらしい――薬でも用いられない限り。
ディナ先輩はアールヴと猿種とのハーフだけど、肉体的な特徴はかなりアールヴよりらしい。
耳の尖っていた部分も自分で切り落として『生命回復』で他の猿種と見分けがつかないように調整したとか。
ディナ先輩の境遇を考えると、耳でアールヴとバレないようにという処置は必須なんだろうな。
「トシテルのその表情は……胸が大きい方が良いということか?」
「え?」
ちょ。そんなことは……多分ない?
彼女が居たことさえない童貞男子としては、胸の大きさで選ぶなんて発想自体がなかった。
「……いや、そうじゃない。胸の大きさは関係ない」
「そうか。前にカエルレウム様がホムンクルス作成のために精を絞り出したときの話を聞かせてくれた。胸が大きい方が絞り出しやすくなると聞いていたのだが」
カエルレウム師匠……ナニ教えてるんですか。
でもホルトゥスの一般的な価値観ってそうなのか?
ストウ村の、恋人が居る男性陣の面々を思い出す。
あっ、テニール兄貴がなんか言ってたな。
「そうでもないぞ。出っ張っているから目にはつくけれど、一番触りたいのは惚れた女の胸だって聞いたことがある」
とルブルムに伝えておいてなんだけど、テニール兄貴のあの言い方、暗に二番目以降もあるって白状だよな。
「お前らっ! 二人きりにするとすぐに時間を無駄使いするっ!」
正装のディナ先輩に呼ばれて、俺たちは慌てて部屋を出た。
● 主な登場者
・有主利照/リテル
猿種、十五歳。リテルの体と記憶、利照の自意識と記憶とを持つ。魔術師見習い。
ラビツ一行をルブルム、マドハトと共に追いかけている。ゴブリン用呪詛と『虫の牙』の呪詛と二つの呪詛に感染している。
・ケティ
リテルの幼馴染の女子。猿種、十六歳。黒い瞳に黒髪、肌は日焼けで薄い褐色の美人。胸も大きい。
リテルとは両想い。熱を出したリテルを一晩中看病してくれていた。リテルが腰紐を失くしたのを目ざとく見つけた。
・ラビツ
久々に南の山を越えてストウ村を訪れた傭兵四人組の一人。ケティの唇を奪った。
フォーリーではやはり娼館街を訪れていたっぽい。
・マドハト
ゴブリン魔法『取り替え子』の被害者。ゴド村の住人で、とうとう犬種の体を取り戻した。
リテルに恩を感じついてきている。元の世界で飼っていたコーギーのハッタに似ている。街中で魔法を使い捕まった。
・ルブルム
魔女様の弟子である赤髪の少女。整った顔立ちのクールビューティー。華奢な猿種。
槍を使った戦闘も得意で、知的好奇心も旺盛。様々なことを学び、成長中。
・アルブム
魔女様の弟子である白髪に銀の瞳の少女。鼠種の兎亜種。
外見はリテルよりも二、三歳若い。知的好奇心が旺盛。
・カエルレウム
寄らずの森の魔女様。深い青のストレートロングの髪が膝くらいまである猿種。
ルブルムとアルブムをホムンクルスとして生み出し、リテルの魔法の師匠となった。『解呪の呪詛』を作成中。
・ディナ
カエルレウムの弟子。ルブルムの先輩にあたる。重度で極度の男嫌い。壮絶な過去がある。
アールヴを母に持ち、猿種を父に持つ。精霊と契約している。トシテルをようやく信用してくれた。
・ウェス
ディナに仕えており、御者の他、幅広く仕事をこなす。肌は浅黒く、ショートカットのお姉さん。蝙蝠種。
リテルに対して貧民街での最低限の知識やマナーを教えてくれた。
・『虫の牙』所持者
キカイー白爵の館に居た警備兵と思われる人物。
『虫の牙』と呼ばれる呪詛の傷を与える異世界の魔法の武器を所持し、ディナに呪詛の傷を付けた。
■ はみ出しコラム【武器】
ホルトゥスにおいては魔物が出現する恐れがあるため、日常的に武器を携帯する。
村人であっても短剣や槍などを携帯している。
刃物の部分については、炭を用いた製鋼技術が存在するため、鋼鉄が用いられる。
銃も存在はしているが、炎を用いる魔獣や魔法を使う野盗によって引火した際の被害が大きく、実用化はされていない。
・剣
剣の類は、長さがあると有利なため、兵士であれば短剣ではなく長剣を装備していることが多い。
しかし短剣はいざというとき投擲にも用いることができるため、補助武器として剣とともに用いる者も少なくない。
ホルトゥスにおいては両刃の剣が多いが、山間部や森林部などにおいては山刀のような片刃の剣を用いる者が少なくない。
・槍
屋外や敵の動きを制限することができる場所においては、ある程度の射程を確保できる槍は重宝される。
都市と都市とを結ぶ定期便の馬車には、共用の槍が搭載されていることが常である。
・鈍器
同じ長さの剣に対しては突き攻撃ができないため不利となる鈍器はあまり一般的ではないが、傭兵などの中には人体破壊効果の大きな長柄の鈍器を好む者もいる。
・斧
斧や手斧は、武器というよりは道具というカテゴリになる。道具を武器としても使う。
剣が一般的に両刃である平野部において森へよく踏み入る職種の者は、剣よりも斧を装備することが多い。
・農具
鋤や鎌、鍬や掘り棒、踏み鋤、ピッチフォーク、金属製の熊手など。
それらはそのまま武器としても用いられる。
・武装盾
盾の役割は、攻撃を受け止めるだけではなく、受け流すことに対しても有用だ。
また、縦に鋭い突起や刃物などを取り付けて、身を守りながら接近した相手を攻撃できるようにしたものもある。
・飛び道具
弓と矢が一般的。弓のタイプは、いわゆる長弓、単弓、それらを強化した弓もある。
弩は存在するが、機構の複雑さと矢をつがえる手間とで、携帯用というよりは、城や建物の防備補助として用いられることが多い。
さらには投石具、狩猟用の絡め紐なども、手軽に持ち歩ける上に手頃な石を弾として用いることができるため好まれる。
・その他の特殊な武器
傭兵においては、自分の戦闘方法に合わせて独自の武器を開発、装備している者もいる。
ちなみにホルトゥスにおいて日本刀は存在していない。
銃が好まれないのと同じ理由で爆弾の類いも好まれないが、存在しないわけではない。
・魔法の武器
ホルトゥスにおける魔法が、発動のたびに魔法代償を要求されるという性質であり、その必要となるエネルギーが寿命の渦という生物の中に存在するエネルギーであるため、一般的なファンタジーに登場する「常に魔法がかかっている魔法品」や「自動的に魔力を周囲から供給して効果を継続させる魔法品」といった類いの魔法品が存在せず、そのため、魔法の武器というものも、「魔法を発動できる魔石がはめ込まれた武器」程度である。
その魔石にどのような魔法がセットされるかは、人それぞれであり、魔石そのものが高価かつ希少であることからも一般的に流通しているとは言い難い。
でも今のディナ先輩の声は、会った直後のような冷徹な拒絶は感じない。
「偽装消費命の練習を今やれと言ったか? 睡眠は取れるときに取れっ!」
「ディナ先輩、すみません」
「ディナ先輩、できるようになった!」
俺とルブルムの返事が噛み合っていない。
まだ笑みが抜けないでいるルブルムを、ディナ先輩は優しく諭しはじめた。
「いいか、ルブルムはまだ経験がないから分からないかもしれないが、敵の来襲を心配せずに眠れる場所というのは、本当に貴重なんだ。これから先、気の抜けない夜も少なくないだろう。例え町の中の宿屋であっても、旅人から金品を奪おうとする盗人が現れないとも限らない。宿屋で寝る時でも交代で見張りを立ててもいいくらいだ。睡眠不足は集中力や判断力を阻害する。寝られるときにしっかり寝ることも、生き延びるための大事な手段なのだぞ」
「そうか……ごめんなさい。ちゃんと寝る」
ルブルムは素直に謝り、上がっていたテンションも元へと戻る。
俺たちに「おやすみなさい」を言った後、自身にあてがわれた部屋へ戻っていった――けど、ディナ先輩はまだ出てゆく気配がない。
それどころか、こちらへ近づいてきてますよね。
あー、これはお叱りを受けるのか。
覚悟して構えていた俺のすぐ目の前に何かが突き出された。
剣先ではない――何だこれ?
ディナ先輩が俺の鼻先へ突き出したのは、魔石のはまったベルト、それから指輪?
ベルトは二本がクロスしてX型になっているもので、交差部分の金具に魔石が取り付けられている。
部屋の仄かな明るさを反射するその色は赤……紅魔石!
カエルレウム師匠からいただいた白魔石よりもさらに希少な魔石だ。
「使い方の説明をする。ベルトの方は、生命持たなき物へ装着しろ。このベルトが装着できるものならば何でもよい。装着されたものは、ゴーレムとなる」
「ゴーレム! 確か無機物を肉体としたものがゴーレムで、有機物を肉体としたものがゾンビーですよね」
「そうだ。この指輪をはめている者がゴーレムの主となる。本来ならば、可動部分や顔を備えた人形を造り、それをゴーレムとするものだが、そんな人形を用意する時間はないだろう。そこいらの石でもよい。動くことと、そのゴーレムを起点として寿命の渦を感知することは可能だから、離れた場所の見張りとして使うことができる」
見張り――なるほど。
普段だったらそれを自分で考えろとおっしゃいそうなものだが、カエルレウム師匠と同じくらい教えるモードになってくださっているのを感じる。
「ありがとうございます。本来は顔を備えた……ということはもしかして顔があれば、ゴーレムを起点として視覚や聴覚なども得られるということですか?」
「ああ。だがその顔に目や耳として認識できるほどの精巧さがなければ同調は困難だ。それに動くといってもゴーレムの内部からしか動かすことはできない。例えば石にしても、石の内部で重心をずらして転がることは可能だが、外から石に力を加えて動かす……例えば石を投げる類の動作は単体ではできない」
「石を動かす、ではなく、石が動く方法なんですね。試してみてもよいですか?」
「試したモノをずっとゴーレムとすると決めるならば構わんぞ。一度共有した感覚を切断し、また別のものに接続するというのは、慣れていても戸惑いがある。魔法品の機能としては可能だが、それを操る者の感覚がついていかない。お前は目玉を他の生き物のものと取り替えて、すぐに使えるようになる自信はあるか?」
「ないです……かなり一心同体になるのですね。だとすると、ゴーレムが受けたダメージは指輪の使用者にも?」
「肉体は傷つかない。しかし寿命の渦には傷がつく……寿命の渦が痺れるような感じとなり、しばらくの間は消費命の集中が困難になる」
「ありがとうございます。大切に使わせていただきます」
「ゴーレムは最初に発動させた瞬間と、それから一日が経過する毎に、魔法代償を一ディエスずつ消費する。あとはなんらかの動きを命令したとき、その動作の運動量に見合う量の魔法代償を要求される。動作の命令は条件付けでの発動も可能だし、予め封じておくならば魔法の使用も可能だ。ただし、魔石の空き容量に収まる魔法代償量の魔法でなければ封じることはできない」
「条件を付けられるってすごいですね……誰かが前を横切ったら、とかですか」
「何をもって前とするか、ゴーレムを通して認識できれば、だがな。それに誰かというのも簡単ではない。ゴーレムの知覚で感知できるものでないといけない。寿命の渦だけで特定するのであれば、ゴーレムに命令をする時点で対象の寿命の渦を『魔力感知』で認識できている必要がある」
なんかプログラミングみたいだなと思った。
そう考えれば使い勝手はもっと広げられるかも。
「魔石への消費命の封じ方は習ったか?」
「いえ」
「魔石に触れて、自分の体の一部だと思い込むのだ。そういう認識ができたら、消費命を魔石の中へ集中する。魔石の中には、寿命の渦のようなものを感じることができる。そこへ集中した消費命を合流させれば、魔法代償として魔石へ蓄積できる」
「魔術師組合でしか充填できないと思ってました」
「ああ、あれは他者の寿命の渦を抜き出して魔石へ封じる魔術だ。効率よく封じるには大規模な補助魔法品を必要とする。自分で封じる方法ならば、魔術師であれば誰にでもできる」
「そうなんですね……封じるのを、やってみても良いですか?」
ディナ先輩の許可をいただき、試しにやってみる。
手のひらに握り込むと、魔石の中に寿命の渦を感じる――触れるまでは認識できなかった寿命の渦を。
感知できないってすごいな。
魔石の表面に何か特徴があるのかな。
この感じ、偽装の渦にも応用できそうだな。
でもそうだよな。
そうじゃないと、罠としての設置がバレバレになっちゃうもんな。
逆に言えば、そういう罠が設置してあることも今後は考慮の中に入れていかないといけないってことだな。
消費命を一ディエス分、魔石の中に封印するのは簡単だった。
魔石の中の寿命の渦総量もそのタイミングで知ることができた……百十二ディエスも入っている。
「あ! 今、消費命を消費したのに、『虫の牙』の傷ムカデに咬まれていません!」
「そうだ。魔石へ消費命そのものを封じるのは、実際には消費ではなく移動だからな。ただし魔石へ魔法を封じるときには、封じた時点で咬まれるぞ。封じた魔法を魔石から解放するときは咬まれないが、魔法を魔石へ定着させる魔法を組み合わせて魔術にしてから封じておかない場合は、一日かそこらで魔法は消費命へと戻ってしまう。魔石へ収納された消費命はいかなる理由があろうとも、二度と自分の寿命の渦へ再合流させることはできない」
そうか。
ディナ先輩は、俺が『虫の牙』の傷ムカデを引き受けてしまったから、戦闘中に咬まれるリスクを減らす方法を教えてくださっているのか。
他にも、魔法を使う際の魔法代償として魔石から取り出した消費命を使用する場合も咬まれることや、定着魔法を伴わない魔法は一つの魔石に一つしか封じられないこと、その定着魔法自体も教えてくださった。
「すみません。俺なんかのために何から何まで……」
魔石は決して安くない。
ゴーレムを作る魔法を封じた魔法品だって、実際の価格は知らないが恐らくとんでもない高価なものだろう。
「結果的にお前に『虫の牙』の呪詛を押し付けた。これでもまだ足りぬくらいだ。本当はボクも同行できたら良いのだがな、やらねばならぬことがる。くれぐれもルブルムのことを頼む」
「はいっ。命がけで」
「それは言うな。トシテルの体ではないのだろう」
「は、はい」
なぜか頬が熱くなる。
さっきまで殺されかけていた俺が、今は体の心配までされている。
「トシテルはすぐ泣くな……ほら、指輪はもうはめておけ」
涙を拭い、指輪を手に取る。
特に装飾もなくシンプルなもの――ちょっと小さめだけど。
右手にはめてみよう――小指ならなんとか入るかな――おおっ! いける!
このくらいキツめの方が、簡単には抜けなくて良いかもしれない。
「端の指でやっとか? 少し広げたのだがな……貸してみろ」
ディナ先輩はいったんドアの外に出られると、台座付きの細長い金属の棒と共に戻られた。
台座が付いていない方は先細りになっていて、俺の右手から引き抜かれた指輪がそこにはめられる。
なるほど。台座は机の上に立て、指輪にノミを当て木槌で叩きながら台座を何周かくるくる回すのか。
指輪のサイズ調整までしていただけるとは恐れ多い。
「指輪はただの銀の指輪だ。この指輪を魔法と紐付けているのは紅魔石内に格納されている魔術だ。だから魔石さえ守れるのであれば、指輪は奪われても構わない」
再び渡された指輪は薬指にちょうどいい。
「端の指につけておくと、何かにひっかけたりする恐れがある。それに端の指は落とされやすいからな」
落とされやすいって――刃物に、だよね?
怖い世界を垣間見た。
「何から何まで本当にすみません」
「ルブルムは素直がゆえ人の悪意に疎い。お前が居なくなったらルブルムは誰かに騙されると思え……だからトシテル、ルブルムを守るためにはお前も死んではならぬ。リテルの体に対して言っているのではない。トシテル、無事にもどってくるのはお前も、だからな」
「はいっ!」
ディナ先輩が部屋から出ていかれた後、ゴーレム作成ベルトを畳み、さっきディナ先輩からいただいた新しい革鎧の隠しポケットへとしまうと、俺はようやく泥のような眠りの底へ身を沈めた。
凄まじい激痛で目を覚ました。
見開いた目に最初に飛び込んできたのは、同じ様に目を見開いたルブルム。
……ああ、そうか。
きっとルブルムが『同じ皮膚』を使ったんだ。
魔術特異症のせいで俺に定着してしまった『虫の牙』の呪詛ムカデは、もはや『同じ皮膚』では移らなくなってしまった。
ただし俺か、俺に触れている人が『同じ皮膚』を使った場合、俺とその人が触れ合っている間、呪詛ムカデの痛みだけは共有される。
もちろん向こうが使った場合は触れ合いが離れた途端、痛みは終わるのだがって、おい!
二回触るな! 二回は! 一回で目が覚めるって!
「起きた起きた! もう起きたから!」
「トシテル、おはよう。この痛み、慣れない」
「ルブルム、おはよう。俺も全然慣れないよ」
ベッドに腰掛け、ブーツを履こうとして気づく。
ん?
ルブルムのブーツのつま先あたり、こんな模様みたいなのついてたっけ?
顔を上げると、ルブルムの格好が全体的に昨日とは違う。
服なんかはボタンで留めるタイプのちゃんとしたやつだし、フリルみたいな飾りまで付いている。
「服装か? 虹爵様にお目にかかるということで、ディナ先輩に用意してもらったんだ」
「似合ってるよ」
「でも、胸が苦しい。私もアールヴのホムンクルスが良かったな。精霊と契約できるし、胸もキツくないし、生理も滅多に来ない」
アールヴのような長命種族は、生産に使用するエネルギーを肉体の維持に割り振っている、らしい。
だから生殖に熱心ではなく、体の構造もそれに対応している、と。
種族的に胸は小さく、生理も数年に一度で、それ以外の期間は性欲もほぼないらしい――薬でも用いられない限り。
ディナ先輩はアールヴと猿種とのハーフだけど、肉体的な特徴はかなりアールヴよりらしい。
耳の尖っていた部分も自分で切り落として『生命回復』で他の猿種と見分けがつかないように調整したとか。
ディナ先輩の境遇を考えると、耳でアールヴとバレないようにという処置は必須なんだろうな。
「トシテルのその表情は……胸が大きい方が良いということか?」
「え?」
ちょ。そんなことは……多分ない?
彼女が居たことさえない童貞男子としては、胸の大きさで選ぶなんて発想自体がなかった。
「……いや、そうじゃない。胸の大きさは関係ない」
「そうか。前にカエルレウム様がホムンクルス作成のために精を絞り出したときの話を聞かせてくれた。胸が大きい方が絞り出しやすくなると聞いていたのだが」
カエルレウム師匠……ナニ教えてるんですか。
でもホルトゥスの一般的な価値観ってそうなのか?
ストウ村の、恋人が居る男性陣の面々を思い出す。
あっ、テニール兄貴がなんか言ってたな。
「そうでもないぞ。出っ張っているから目にはつくけれど、一番触りたいのは惚れた女の胸だって聞いたことがある」
とルブルムに伝えておいてなんだけど、テニール兄貴のあの言い方、暗に二番目以降もあるって白状だよな。
「お前らっ! 二人きりにするとすぐに時間を無駄使いするっ!」
正装のディナ先輩に呼ばれて、俺たちは慌てて部屋を出た。
● 主な登場者
・有主利照/リテル
猿種、十五歳。リテルの体と記憶、利照の自意識と記憶とを持つ。魔術師見習い。
ラビツ一行をルブルム、マドハトと共に追いかけている。ゴブリン用呪詛と『虫の牙』の呪詛と二つの呪詛に感染している。
・ケティ
リテルの幼馴染の女子。猿種、十六歳。黒い瞳に黒髪、肌は日焼けで薄い褐色の美人。胸も大きい。
リテルとは両想い。熱を出したリテルを一晩中看病してくれていた。リテルが腰紐を失くしたのを目ざとく見つけた。
・ラビツ
久々に南の山を越えてストウ村を訪れた傭兵四人組の一人。ケティの唇を奪った。
フォーリーではやはり娼館街を訪れていたっぽい。
・マドハト
ゴブリン魔法『取り替え子』の被害者。ゴド村の住人で、とうとう犬種の体を取り戻した。
リテルに恩を感じついてきている。元の世界で飼っていたコーギーのハッタに似ている。街中で魔法を使い捕まった。
・ルブルム
魔女様の弟子である赤髪の少女。整った顔立ちのクールビューティー。華奢な猿種。
槍を使った戦闘も得意で、知的好奇心も旺盛。様々なことを学び、成長中。
・アルブム
魔女様の弟子である白髪に銀の瞳の少女。鼠種の兎亜種。
外見はリテルよりも二、三歳若い。知的好奇心が旺盛。
・カエルレウム
寄らずの森の魔女様。深い青のストレートロングの髪が膝くらいまである猿種。
ルブルムとアルブムをホムンクルスとして生み出し、リテルの魔法の師匠となった。『解呪の呪詛』を作成中。
・ディナ
カエルレウムの弟子。ルブルムの先輩にあたる。重度で極度の男嫌い。壮絶な過去がある。
アールヴを母に持ち、猿種を父に持つ。精霊と契約している。トシテルをようやく信用してくれた。
・ウェス
ディナに仕えており、御者の他、幅広く仕事をこなす。肌は浅黒く、ショートカットのお姉さん。蝙蝠種。
リテルに対して貧民街での最低限の知識やマナーを教えてくれた。
・『虫の牙』所持者
キカイー白爵の館に居た警備兵と思われる人物。
『虫の牙』と呼ばれる呪詛の傷を与える異世界の魔法の武器を所持し、ディナに呪詛の傷を付けた。
■ はみ出しコラム【武器】
ホルトゥスにおいては魔物が出現する恐れがあるため、日常的に武器を携帯する。
村人であっても短剣や槍などを携帯している。
刃物の部分については、炭を用いた製鋼技術が存在するため、鋼鉄が用いられる。
銃も存在はしているが、炎を用いる魔獣や魔法を使う野盗によって引火した際の被害が大きく、実用化はされていない。
・剣
剣の類は、長さがあると有利なため、兵士であれば短剣ではなく長剣を装備していることが多い。
しかし短剣はいざというとき投擲にも用いることができるため、補助武器として剣とともに用いる者も少なくない。
ホルトゥスにおいては両刃の剣が多いが、山間部や森林部などにおいては山刀のような片刃の剣を用いる者が少なくない。
・槍
屋外や敵の動きを制限することができる場所においては、ある程度の射程を確保できる槍は重宝される。
都市と都市とを結ぶ定期便の馬車には、共用の槍が搭載されていることが常である。
・鈍器
同じ長さの剣に対しては突き攻撃ができないため不利となる鈍器はあまり一般的ではないが、傭兵などの中には人体破壊効果の大きな長柄の鈍器を好む者もいる。
・斧
斧や手斧は、武器というよりは道具というカテゴリになる。道具を武器としても使う。
剣が一般的に両刃である平野部において森へよく踏み入る職種の者は、剣よりも斧を装備することが多い。
・農具
鋤や鎌、鍬や掘り棒、踏み鋤、ピッチフォーク、金属製の熊手など。
それらはそのまま武器としても用いられる。
・武装盾
盾の役割は、攻撃を受け止めるだけではなく、受け流すことに対しても有用だ。
また、縦に鋭い突起や刃物などを取り付けて、身を守りながら接近した相手を攻撃できるようにしたものもある。
・飛び道具
弓と矢が一般的。弓のタイプは、いわゆる長弓、単弓、それらを強化した弓もある。
弩は存在するが、機構の複雑さと矢をつがえる手間とで、携帯用というよりは、城や建物の防備補助として用いられることが多い。
さらには投石具、狩猟用の絡め紐なども、手軽に持ち歩ける上に手頃な石を弾として用いることができるため好まれる。
・その他の特殊な武器
傭兵においては、自分の戦闘方法に合わせて独自の武器を開発、装備している者もいる。
ちなみにホルトゥスにおいて日本刀は存在していない。
銃が好まれないのと同じ理由で爆弾の類いも好まれないが、存在しないわけではない。
・魔法の武器
ホルトゥスにおける魔法が、発動のたびに魔法代償を要求されるという性質であり、その必要となるエネルギーが寿命の渦という生物の中に存在するエネルギーであるため、一般的なファンタジーに登場する「常に魔法がかかっている魔法品」や「自動的に魔力を周囲から供給して効果を継続させる魔法品」といった類いの魔法品が存在せず、そのため、魔法の武器というものも、「魔法を発動できる魔石がはめ込まれた武器」程度である。
その魔石にどのような魔法がセットされるかは、人それぞれであり、魔石そのものが高価かつ希少であることからも一般的に流通しているとは言い難い。
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