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第23話「邪魔者」
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「おい! 何事だ?! 一体どうなってる?」
正面を勢いよく割って入ってきたのは、筋骨隆々の偉丈夫。
「ま、マスター?! お、おかえりなさい」
「おかえりなさいじゃない! メリッサ、何事だ? 一体どうして『放浪者』が伸されている?!」
ズカズカとギルドに踏み入ってきた偉丈夫は、肩で冒険者の壁を割ると、レイルとロード達の間に立ち塞がった。
「え、えっとぉ……そのぉ」
胸倉をつかまれんばかりの勢いで詰め寄られたメリッサはしどろもどろになり、チラチラとレイルとロードに視線を送る。
「お、いいところに来たな、マスター」
マスター?
「「「おせぇぞ! ギルドマスターよぉ!!」」」
「「「何やってなんだよ、ゴリラ!」」」
「「「ギルドが無茶苦茶じゃねーか、ハーーゲ!!」」」
バァン!!
「誰がハゲじゃぁぁああ! 今言うた奴ツラ貸せやぁ!」
しーん。
(いや、キレるとこそこかよ!!)
物凄い剣幕で冒険者ども一睨みし、威圧する偉丈夫。
……そう、このハゲ──もとい、偉丈夫こそこのギルドの責任者、ギルドマスターであった。
元Aランク冒険者で名をカロンという。
「は、ハゲ……──。じゃない、マスター! これには深い事情が……!」
「いま、ハゲっつったろ」
ギロリとメリッサを睨むギルドマスター。
「い、いえ! 言ってません!! そ、それよりもいくつかお耳に入れたい事態がございまして──」
「何だ。言ってみろ────もしかすると、そこで伸びてるボフォートや、このグリフォンの首に関係があるのか?」
さすがギルドマスター。
目ざとく床に鎮座しているグリフォンの首に目を付けたらしい。
「は、ハゲ! その通りな──……。こほん、はい! その通りなんです!」
「──ハゲっつーなつってんだろ!!」
ダァン!! テーブルをぶったたいて、物凄い剣幕。
これ、パワハラじゃね? っていうか、メリッサさん。「はい」と「ハゲ」を間違うって、相当だぞ?
普段、絶対に陰でハゲハゲって皆で言ってるよね? これ。
「す、すすすみません! い、今から説明しますから!」
「てめぇええ!」
激怒するギルドマスターを宥めつつ、なんとか全員を再びギルドの応接セットに誘うと、遠目に冒険者が見ているのを尻目に説明し始めた。
メリッサが聞き取った内容と──そして、本日の出来事などを、できるだけ私心を交えず事実のみを淡々と────。
時々、ロード達がギャイギャイとイチャモンをつけていたが、ギルドマスターはムッツリと押し黙って聞いていた。
「────そして、グリフォンの生首を見たことで、場の雰囲気が一変しまして……。レイルさんとボフォートさんが、その謝罪をもとめて……ゴニョゴニョ。い、以上です」
メリッサの見たまま聞いたままの報告が終わり、彼女もドっと汗をかいていた。
胸元を少し開けてパタパタと手で仰いでいる。
まだまだ下っ端の彼女にはギルドマスターに報告するのも、いっぱいいっぱいなのだろう。
そして、ロード達とレイル。
広めのソファーに身を預けつつ、キツイ目線でレイルを睨むロード達。ボフォートは完全に伸びてしまい、セリアム・レリアムの魔法で最低限の治療を保護越された後転がされたままだ。
「ふ~……む」
腕を組んだマスターが深く頷くと、
「おい、メリッサ。今のは客観的な観点からの報告なんだな? 意図的に隠している情報なんかはないだろうな?」
「は、はい!! い、いえ、ハゲ!! あ、じゃない! はい!! ありません」
いや、ハイって言ってからハゲって言いなおすとか、相当テンパってますね、メリッサさん────。
「ハゲじゃねぇっつってんだろ!!! スキンヘッドといえ、スキンヘッドとぉぉおお!!」
「「「「いや、ハゲじゃん」」」」
「ハゲじゃねーーーーー!!!」
はぁ、はぁ、はぁ。
「テメェら、覚えてろよ。……で、それはそれとして、────今回の件」
腕を組んだまま、ギルドマスターはぐるりと首を回すとゴキゴキと音を鳴らす。
そして、パチリと片目だけを開けるとレイルを見る。
「…………レイル。お前マズいことになったぞ」
「……………………あ゛?」
据わった声を出すレイルに少しも怯まないギルドマスターは淡々という。
「やっちまったと言ったんだ。わかってるのか? お前が誰を相手に喧嘩を吹っかけてるのか」
チラリとギルドマスターが視線をよこす先をみれば、ロード達の胸にキランと輝くSランクの冒険者認識票。
「──知るかッ」
「知るかで済むか! だいたいなー、おまえ自身の評判は、ギルドどころか、町中でも最低なんだぞ?」
「ッッ! それに何の関係がある!!」
そうだ……ッ。
評判と俺の受けた仕打ちに何の関係がある!!
──評判と事実は今この場で関係ないだろうが!!
いっそギルドマスターの胸倉をつかんで追求したくなるも、それをグッと堪えたレイル。
今は、正規の方法でロード達を糾弾しなければならない。……だから堪えどころなのだ。
「…………つまり、何が言いたいんだ?」
反射的に握りこむ拳をさりげなく隠しつつ、レイルはゆっくりと怒気を吐きながら問いかける。
「そんなこともわからんのか?……お前がやったのは、ギルド内での暴行。そして、有名パーティに対する誹謗中傷。さらには────」
あ゛? 暴行だぁ?
…………あんなくらいで足りるかよ。
っていうか、誹謗中傷も何も、ただの事実だろうが!!
思わず、言い返そうとするレイルに言葉を被せるギルドマスター。
「──────仲間の報酬の横取りだ」
…………。
……。
「はぁぁああ???」
正面を勢いよく割って入ってきたのは、筋骨隆々の偉丈夫。
「ま、マスター?! お、おかえりなさい」
「おかえりなさいじゃない! メリッサ、何事だ? 一体どうして『放浪者』が伸されている?!」
ズカズカとギルドに踏み入ってきた偉丈夫は、肩で冒険者の壁を割ると、レイルとロード達の間に立ち塞がった。
「え、えっとぉ……そのぉ」
胸倉をつかまれんばかりの勢いで詰め寄られたメリッサはしどろもどろになり、チラチラとレイルとロードに視線を送る。
「お、いいところに来たな、マスター」
マスター?
「「「おせぇぞ! ギルドマスターよぉ!!」」」
「「「何やってなんだよ、ゴリラ!」」」
「「「ギルドが無茶苦茶じゃねーか、ハーーゲ!!」」」
バァン!!
「誰がハゲじゃぁぁああ! 今言うた奴ツラ貸せやぁ!」
しーん。
(いや、キレるとこそこかよ!!)
物凄い剣幕で冒険者ども一睨みし、威圧する偉丈夫。
……そう、このハゲ──もとい、偉丈夫こそこのギルドの責任者、ギルドマスターであった。
元Aランク冒険者で名をカロンという。
「は、ハゲ……──。じゃない、マスター! これには深い事情が……!」
「いま、ハゲっつったろ」
ギロリとメリッサを睨むギルドマスター。
「い、いえ! 言ってません!! そ、それよりもいくつかお耳に入れたい事態がございまして──」
「何だ。言ってみろ────もしかすると、そこで伸びてるボフォートや、このグリフォンの首に関係があるのか?」
さすがギルドマスター。
目ざとく床に鎮座しているグリフォンの首に目を付けたらしい。
「は、ハゲ! その通りな──……。こほん、はい! その通りなんです!」
「──ハゲっつーなつってんだろ!!」
ダァン!! テーブルをぶったたいて、物凄い剣幕。
これ、パワハラじゃね? っていうか、メリッサさん。「はい」と「ハゲ」を間違うって、相当だぞ?
普段、絶対に陰でハゲハゲって皆で言ってるよね? これ。
「す、すすすみません! い、今から説明しますから!」
「てめぇええ!」
激怒するギルドマスターを宥めつつ、なんとか全員を再びギルドの応接セットに誘うと、遠目に冒険者が見ているのを尻目に説明し始めた。
メリッサが聞き取った内容と──そして、本日の出来事などを、できるだけ私心を交えず事実のみを淡々と────。
時々、ロード達がギャイギャイとイチャモンをつけていたが、ギルドマスターはムッツリと押し黙って聞いていた。
「────そして、グリフォンの生首を見たことで、場の雰囲気が一変しまして……。レイルさんとボフォートさんが、その謝罪をもとめて……ゴニョゴニョ。い、以上です」
メリッサの見たまま聞いたままの報告が終わり、彼女もドっと汗をかいていた。
胸元を少し開けてパタパタと手で仰いでいる。
まだまだ下っ端の彼女にはギルドマスターに報告するのも、いっぱいいっぱいなのだろう。
そして、ロード達とレイル。
広めのソファーに身を預けつつ、キツイ目線でレイルを睨むロード達。ボフォートは完全に伸びてしまい、セリアム・レリアムの魔法で最低限の治療を保護越された後転がされたままだ。
「ふ~……む」
腕を組んだマスターが深く頷くと、
「おい、メリッサ。今のは客観的な観点からの報告なんだな? 意図的に隠している情報なんかはないだろうな?」
「は、はい!! い、いえ、ハゲ!! あ、じゃない! はい!! ありません」
いや、ハイって言ってからハゲって言いなおすとか、相当テンパってますね、メリッサさん────。
「ハゲじゃねぇっつってんだろ!!! スキンヘッドといえ、スキンヘッドとぉぉおお!!」
「「「「いや、ハゲじゃん」」」」
「ハゲじゃねーーーーー!!!」
はぁ、はぁ、はぁ。
「テメェら、覚えてろよ。……で、それはそれとして、────今回の件」
腕を組んだまま、ギルドマスターはぐるりと首を回すとゴキゴキと音を鳴らす。
そして、パチリと片目だけを開けるとレイルを見る。
「…………レイル。お前マズいことになったぞ」
「……………………あ゛?」
据わった声を出すレイルに少しも怯まないギルドマスターは淡々という。
「やっちまったと言ったんだ。わかってるのか? お前が誰を相手に喧嘩を吹っかけてるのか」
チラリとギルドマスターが視線をよこす先をみれば、ロード達の胸にキランと輝くSランクの冒険者認識票。
「──知るかッ」
「知るかで済むか! だいたいなー、おまえ自身の評判は、ギルドどころか、町中でも最低なんだぞ?」
「ッッ! それに何の関係がある!!」
そうだ……ッ。
評判と俺の受けた仕打ちに何の関係がある!!
──評判と事実は今この場で関係ないだろうが!!
いっそギルドマスターの胸倉をつかんで追求したくなるも、それをグッと堪えたレイル。
今は、正規の方法でロード達を糾弾しなければならない。……だから堪えどころなのだ。
「…………つまり、何が言いたいんだ?」
反射的に握りこむ拳をさりげなく隠しつつ、レイルはゆっくりと怒気を吐きながら問いかける。
「そんなこともわからんのか?……お前がやったのは、ギルド内での暴行。そして、有名パーティに対する誹謗中傷。さらには────」
あ゛? 暴行だぁ?
…………あんなくらいで足りるかよ。
っていうか、誹謗中傷も何も、ただの事実だろうが!!
思わず、言い返そうとするレイルに言葉を被せるギルドマスター。
「──────仲間の報酬の横取りだ」
…………。
……。
「はぁぁああ???」
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