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Episode⑥ イッツ・ライク・マジック
第49章| トモコとのファミレスディナー <3>神秘のハーブ? その2
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<3>
【オンライン ハーブシェア会の様子 その2】
3名の発表者が体験談を話し終えると、先ほどの美人司会者の顔がアップになる。
『はい。3名の方々、素敵な体験談をシェアしてくださりありがとうございました。ここまでで、我々の貴重なハーブについて、ご参加の皆さんにもご興味を持っていただけたことと思います。
では次は私のほうから、このハーブ製品の詳しい情報と、販売会社についてご共有いたします』
司会者は、淀みなく、自信を持っている様子で話す。
“ハーブの秘密をもっと知りたいな~” と、私も思わず引き込まれてしまった。
その後に流れたスライドは、かなり情報量が多くて全部は追い切れなかった。
トモコが勧めてくれたハーブは『中国・韓国・インドの名医が集まって厳選した伝統医療の有効成分を、管理されたアメリカの清潔な工場で製品化した特別な品』と事前に聞いていた。
その触れ込みの通り、漢方薬や高麗人参、アーユルヴェーダで使う薬草の有効成分など色々なものを、アメリカ・ナントカ州のナントカシティという場所にある自社工場で製品化しているという。
スライド画面には巨大な工場やアメリカ本社の立派な写真が提示されて、このハーブの販売会社はアメリカでは企業情報調査会社から、とても高い信頼性スコアをつけられている(これはみんなが知っている某有名企業と同じランク)だとか、近いうちに株式市場にも上場する準備があるという話、工場の衛生管理基準も外部機関から高い評価を得ていること、研究設備が充実していることなどが伝えられた。
「アメリカのことはよくわからないけど、つまり、しっかりした会社が販売している製品だってことなのかな・・・・・・」私がつぶやく。
「うん。あたしにも詳細はよくわからない。でも身体に入れるものだから、どうやら医薬品を作る工場と同じように高い水準で管理されているらしいってのは、なんとなく安心感あるよね」トモコが言った。
次に美人司会者が提示したのはハーブの成分だったけど、これもスライドが早くて覚えきれなかった。
ただ、ビタミン、ミネラルなど、そのへんでよく売られているサプリメントの成分として聞いたことのあるものが多かったように思う。
それでどうして2週間で6キロも痩せるんだろう?? と思ったけど、司会者の話では、成分そのものだけでなく、原材料の厳選や調合バランスなどが製品の特性を生み出しているとの説明だった。
そのあとに紹介されたのは、売り上げシステムについてのようだった。
このハーブは一般のお店には置いていない。
インターネット販売もしていない。
人から人へと口コミで広げていくことで売られている。
そのぶん過剰な在庫の管理費、流通費用、広告宣伝費がかからないので、質の良いものを適正な価格で広めることができるといい、製品を紹介した人にもお小遣いが入る仕組みになっているそうだ。
「さっきの人たちが “収入が上がった” って言ってたの、これかな? 」
「そういうこと。いいものを広めて、お金までもらえるなんて凄くない?? 」
カレーを食べ終わったトモコが口を拭きながら言う。
司会者が示したスライドには三角形のネットワーク組織が表示されていて、キックバックの割合、たくさんの人に広めた場合のボーナスポイント数などが書かれていたけれども、ここも複雑すぎて、何人に紹介していくつ売ったら何円貰えるのかは、よく分からなかった。
『こちらの会社では、新しくビジネスとしてハーブを広める方々への教育制度を充実させています。ですから初めてこういったお仕事をされる方でも安心です』
司会者がそう言いながら、オスカー賞の授賞式みたいなギラギラのドレスを着て、外国人と肩を組み笑っている女性の写真、ロングドレスや高そうな着物、モーニングコートを着て一列に並び、満面の笑顔を見せる人々の写真を出した。
『私たちの革新的なハーブと洗練された販売システムによって、人生の新たな価値を手に入れたメンバーがたくさんいます。ぜひ、あなたも次の仲間となり、ともに高め合い、輝かしいハーブの輪を広げていきましょう! 』
【オンライン ハーブシェア会の様子 その2】
3名の発表者が体験談を話し終えると、先ほどの美人司会者の顔がアップになる。
『はい。3名の方々、素敵な体験談をシェアしてくださりありがとうございました。ここまでで、我々の貴重なハーブについて、ご参加の皆さんにもご興味を持っていただけたことと思います。
では次は私のほうから、このハーブ製品の詳しい情報と、販売会社についてご共有いたします』
司会者は、淀みなく、自信を持っている様子で話す。
“ハーブの秘密をもっと知りたいな~” と、私も思わず引き込まれてしまった。
その後に流れたスライドは、かなり情報量が多くて全部は追い切れなかった。
トモコが勧めてくれたハーブは『中国・韓国・インドの名医が集まって厳選した伝統医療の有効成分を、管理されたアメリカの清潔な工場で製品化した特別な品』と事前に聞いていた。
その触れ込みの通り、漢方薬や高麗人参、アーユルヴェーダで使う薬草の有効成分など色々なものを、アメリカ・ナントカ州のナントカシティという場所にある自社工場で製品化しているという。
スライド画面には巨大な工場やアメリカ本社の立派な写真が提示されて、このハーブの販売会社はアメリカでは企業情報調査会社から、とても高い信頼性スコアをつけられている(これはみんなが知っている某有名企業と同じランク)だとか、近いうちに株式市場にも上場する準備があるという話、工場の衛生管理基準も外部機関から高い評価を得ていること、研究設備が充実していることなどが伝えられた。
「アメリカのことはよくわからないけど、つまり、しっかりした会社が販売している製品だってことなのかな・・・・・・」私がつぶやく。
「うん。あたしにも詳細はよくわからない。でも身体に入れるものだから、どうやら医薬品を作る工場と同じように高い水準で管理されているらしいってのは、なんとなく安心感あるよね」トモコが言った。
次に美人司会者が提示したのはハーブの成分だったけど、これもスライドが早くて覚えきれなかった。
ただ、ビタミン、ミネラルなど、そのへんでよく売られているサプリメントの成分として聞いたことのあるものが多かったように思う。
それでどうして2週間で6キロも痩せるんだろう?? と思ったけど、司会者の話では、成分そのものだけでなく、原材料の厳選や調合バランスなどが製品の特性を生み出しているとの説明だった。
そのあとに紹介されたのは、売り上げシステムについてのようだった。
このハーブは一般のお店には置いていない。
インターネット販売もしていない。
人から人へと口コミで広げていくことで売られている。
そのぶん過剰な在庫の管理費、流通費用、広告宣伝費がかからないので、質の良いものを適正な価格で広めることができるといい、製品を紹介した人にもお小遣いが入る仕組みになっているそうだ。
「さっきの人たちが “収入が上がった” って言ってたの、これかな? 」
「そういうこと。いいものを広めて、お金までもらえるなんて凄くない?? 」
カレーを食べ終わったトモコが口を拭きながら言う。
司会者が示したスライドには三角形のネットワーク組織が表示されていて、キックバックの割合、たくさんの人に広めた場合のボーナスポイント数などが書かれていたけれども、ここも複雑すぎて、何人に紹介していくつ売ったら何円貰えるのかは、よく分からなかった。
『こちらの会社では、新しくビジネスとしてハーブを広める方々への教育制度を充実させています。ですから初めてこういったお仕事をされる方でも安心です』
司会者がそう言いながら、オスカー賞の授賞式みたいなギラギラのドレスを着て、外国人と肩を組み笑っている女性の写真、ロングドレスや高そうな着物、モーニングコートを着て一列に並び、満面の笑顔を見せる人々の写真を出した。
『私たちの革新的なハーブと洗練された販売システムによって、人生の新たな価値を手に入れたメンバーがたくさんいます。ぜひ、あなたも次の仲間となり、ともに高め合い、輝かしいハーブの輪を広げていきましょう! 』
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