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Episode③ 魂の居場所
第11章|エイチアイ石鹸株式会社 <1>総務部長 大山彦和さん
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<1>
「お約束の時間に、間に合いましたね…………」
時計を見て、ホッとしながら私は言った。
待ち合わせ場所からさらにしばらく歩いたところに、今日の訪問先……『エイチアイ石鹸株式会社』はあった。
『エイチアイ石鹸株式会社』の社屋は、5階建てくらいの素朴な雰囲気のビルだった。
外壁は薄いクリーム色に塗られていて、入口付近にプランターの花が飾ってある。脇には自転車も置かれていた。
「3分前到着。理想的ですね」鈴木先生がエントランスのドアを手で引いて開けてくれた。ドアは自動ではなかった。
失礼します、といって先に中に入らせてもらった。
鈴木先生のすぐ横を通ったとき、ふっとまた、以前嗅いだことのある、いい匂いがした気がした。先生の愛用している香水かな??
会社の中に入ると、受付に人はおらず、電話だけが置いてある。
電話機で総務部の担当者を呼び出して、名刺交換の準備をした。
ほどなくして、上のフロアから太った男の人が階段を下りてきた。推定BMIは…31くらい?
BMIというのは、Body Mass Indexのこと。身長と体重の比率で示される数値で、25を超えると“肥満”と判定される。
「お待たせしましたァ~」その総務部の男性が、人の好さそうな笑顔で頭を下げた。
「こんにちは。いつもお世話になっております。今日は研修中の保健師、足立さんと一緒にお伺いしました。メールでお伝えしましたように、今月と次月だけ同行してもらうことになっています」鈴木先生も挨拶をした。
鈴木先生に紹介してもらい、名刺交換をした。
-----------------------------
エイチアイ石鹸株式会社
総務部長
大山 彦和
-----------------------------
大山さんは、頂戴します、と私の名刺を受け取ったあと、ポケットからハンカチを取り出して額をぬぐった。半袖のワイシャツにスラックスという組み合わせだけれど、太め体型のせいか、急いで階段を下りてきたせいか、暑いようだ。短く刈り上げている少し薄めの頭も、汗できらっと光って見えた。
大山さんのあとについて、『安全衛生委員会』が開かれる3階の会議室へ向かった。
このビルにはエレベーターはないようで、3人でぞろぞろと、階段を登っていく。
階段は来る人、行く人ですれ違うのがやっとくらいの幅だったので、先頭に大山さん、次に私、最後に鈴木先生と一列になって歩いた。
「お約束の時間に、間に合いましたね…………」
時計を見て、ホッとしながら私は言った。
待ち合わせ場所からさらにしばらく歩いたところに、今日の訪問先……『エイチアイ石鹸株式会社』はあった。
『エイチアイ石鹸株式会社』の社屋は、5階建てくらいの素朴な雰囲気のビルだった。
外壁は薄いクリーム色に塗られていて、入口付近にプランターの花が飾ってある。脇には自転車も置かれていた。
「3分前到着。理想的ですね」鈴木先生がエントランスのドアを手で引いて開けてくれた。ドアは自動ではなかった。
失礼します、といって先に中に入らせてもらった。
鈴木先生のすぐ横を通ったとき、ふっとまた、以前嗅いだことのある、いい匂いがした気がした。先生の愛用している香水かな??
会社の中に入ると、受付に人はおらず、電話だけが置いてある。
電話機で総務部の担当者を呼び出して、名刺交換の準備をした。
ほどなくして、上のフロアから太った男の人が階段を下りてきた。推定BMIは…31くらい?
BMIというのは、Body Mass Indexのこと。身長と体重の比率で示される数値で、25を超えると“肥満”と判定される。
「お待たせしましたァ~」その総務部の男性が、人の好さそうな笑顔で頭を下げた。
「こんにちは。いつもお世話になっております。今日は研修中の保健師、足立さんと一緒にお伺いしました。メールでお伝えしましたように、今月と次月だけ同行してもらうことになっています」鈴木先生も挨拶をした。
鈴木先生に紹介してもらい、名刺交換をした。
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エイチアイ石鹸株式会社
総務部長
大山 彦和
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大山さんは、頂戴します、と私の名刺を受け取ったあと、ポケットからハンカチを取り出して額をぬぐった。半袖のワイシャツにスラックスという組み合わせだけれど、太め体型のせいか、急いで階段を下りてきたせいか、暑いようだ。短く刈り上げている少し薄めの頭も、汗できらっと光って見えた。
大山さんのあとについて、『安全衛生委員会』が開かれる3階の会議室へ向かった。
このビルにはエレベーターはないようで、3人でぞろぞろと、階段を登っていく。
階段は来る人、行く人ですれ違うのがやっとくらいの幅だったので、先頭に大山さん、次に私、最後に鈴木先生と一列になって歩いた。
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