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第十章 嬉しい悲鳴をあげた大森林
19.意外なる事実
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燃え盛る窯から出て来たのは、かなり離れていても熱が伝わる程に真っ赤に染まった一つの壺。
膝を抱えれば大人でも入れそうな大きさの壺は誰の手も借りる事なく規定の場所まで移動を終えると、遠くの方から作業をしている人の掛け声が聞こえて来る。
「やるどー!!」
「「「へいさー!」」」
緩やかなスロープに向かい真っ赤な壺が傾き始めれば、内に擁した少しだけ粘度のある溶岩のような液体が流れ出し、その先に待つ銀色の液体が満ちたプールへと入水して行く。
赤みが取れ、透明な板へと見た目を変えた液体は、何人もの作業員に見守られながら長いプールを泳ぎきると クルクル と回る丸い棒が横並びになった浜へと打ち上げられて行く。
「詳すくは言えねぇげど、材料となる砂利や岩を溶かし、液体金属っつぅ魔力を溶かし込んだ特殊な金属の中を潜らせて平らに固めてるんだべさ」
全貌を現したのは長い長いガラスの板。
液体金属を通して伝えられた土の魔力により成形されたガラスは隅々まで均一な厚みを保っており、ガラス上に置かれた薄い鉄の板に合わせてペンを走らせれば コンッ と軽く叩いただけで綺麗な直線を保ったままに小さく切り分けられる。
「こうすて出来たガラスは注文毎に鞄に詰められて人間の手に渡るんだ。この工房では鏡も造ってっげど、ついでに見て行ぐべか?」
鏡は小さく切られたガラスの板の上に極薄に伸ばした銀を貼り付け、その上から銅でコーティングを施していた。
後はガラスの端で手を切らないように木の枠を取り付けて完成らしいが、それは別の工房で行うそうだ。
族長ゼノの家を出て村の北へと歩けば、やけに長細くて大きな工房が目に入り興味を惹かれた。
案内してくれるクララに聞いてみれば『世界で唯一ココでしか見られない』なんて誘い文句にますます興味を唆られ「見せて」と言ってみれば二つ返事で承諾、今に至る。
「なぁ、ガラスって割れやすい物だよな?鞄に入れてってもしかして……」
「鞄はガラスの取引をすとる人間の偉い人を通して職人から買った便利な物を使っとるべ。兄さんも持ってる空間魔法のががった鞄は、割れやすくて運ぶのが大変なガラスを人間界にばら撒ぐのにメチャメチャ役にだっどる。
まぁ、そのお陰で懐が潤いすぎて皆すて酒ばっが ガバガバ 飲むもんだがら、村中ぷくぷくぷくぷく丸くなる奴ばっがすで困っちまうだがね」
「人間の偉い人って……まさか貴族?」
「んだ。魔導車で三日かげて来るらすいげど、なんでも貴族の中ではフェルニアに一番近い所に住んでるっつぅ話だべ。 偉い人の割には気さくなええ人で鞄職人の方の貴族さんとも仲が良さぞうだったべさ。
鞄職人と言えば、兄さんも相当な色男だげんども、銀色の瞳のあのお人も線の細い色っぺぇ男だったべな」
世界広しと言えども空間魔法のかかった鞄を造れるイケメンなど何人も居るものでは無いし、貴族のお抱え職人で更に銀の瞳などと指定されれば、まず間違いなくあの人だろう。
拠点であるレピエーネからは魔導車での移動とはいえ何日もかかるだろうに、こんな所までわざわざ顔を出すと言うことは余程の得意先ということか。
──鞄、貴族、友人関係、住処、バラバラだったパズルのピースが正しく嵌れば、今まで見えていなかった現実が全部繋がってくる。
ここは王都から見て北の果てにある大森林フェルニア。
サルグレッド王家の血が流れる公爵家でありながら王都の西や南といった栄えている地域ではなく、敢えて特筆する事のない北側に家を構えるのは、プリッツェレという町が大森林フェルニアに一番近い場所にあるからなのだろう。
俺の想像の真偽を確かめる為にその事実を知るだろう白髪の美女へと視線を向ければ、にっこり微笑みながら優雅に前髪を掻き上げる。
「ゴーレムの発想といい、今回の事といい、カンが冴えて来ましたね、レイ様?」
「何の話し?」
「サルグレッド王城から貴族屋敷、教会や民家に至るまで、窓ガラスという物はあらゆる場所で使われています。
冷たい風は防いでくれるのに、暖かい陽射しは室内に入れてくれるという大変利便性の高い板状のガラス。割れた物を溶かして造るグラスやコップとは違い薄く均一な厚みの板ガラスの製造方法はおろか、製造されている場所ですらご存知無かったでしょう? それは先程クララ様が仰ったように世界で唯一此処でしか造れない事が背景にあります。
では、どなたがここのガラスを買い付け、秘密裏に世界へと流通させているのか、と言うお話ですよ、モニカお嬢様」
腕に抱く雪と顔を見合わせ、二人して小首を傾げると「それで?」とコレットさんに問う。
「地方貴族である我がヒルヴォネン家はプリッツェレの治安や経済を維持する代わりに、町に暮らす者達から税を取り収入を得ています。もちろんそれだけでも人口二万人規模の都市ともなれば莫大な収入になるのですが、世界有数の資産家となるには不十分なのです。
大体どこの貴族でも何かしらの商売を営んでおられますが、ヒルヴォネン家が手がけるのは世界規模の市場を持つ窓ガラスの卸売り業。つまり、ここで造られたガラスは、我がヒルヴォネン家が酒や食料などの生活物資、もしくは要望のある鉱石等と物々交換で外へと持ち出し、世の皆様方へとお届けしているのです」
田舎だったフォルテア村はそうでもなかったが、ベルカイムのような町ともなると殆どの家にガラス窓があり、それが当たり前になっている。
単純に一軒につき十枚は使うと考えて、人口一万人の町で三千戸の家があれば三万枚。それに店や教会、貴族の屋敷ともなればどれだけのガラスが使われているのか知れないが、仮に窓ガラス一枚が金貨一枚だとしても一つの町だけで相当な金額になる。
また、窓ガラスの破損や建て替えがあるのは当たり前で、継続的な利益を得ることが出来る。
世界にいくつ町があるかなんて知らないが、その分だけの全てお金のを手にしているヒルヴォネン家は正しく大富豪であり、もしかしたらサルグレッド王家をも凌いでいるのかも知れない。
「もののついでに申し上げれば、その商売を手助けするのはヒルヴォネン公爵家と親交の深いカミーノ伯爵家。
年二回の取引きの際に空間魔法のかけられた鞄は大量の荷物を持ち運ぶのに最適で、生活物資を詰められここまで運ばれれば、空になった鞄にガラスを詰め込み世界各地に散らばって行きます。
大森林フェルニアとの交流という常識外れの取引は秘密裏に行われてはいますが、近くはなくとも親戚筋に当たるサルグレッド国王も黙認している事実です。
この三家の当主仲が良いのは、ガラス取引きの繋がりにより子供の頃からの付き合いがあったところが大きいようですね」
膝を抱えれば大人でも入れそうな大きさの壺は誰の手も借りる事なく規定の場所まで移動を終えると、遠くの方から作業をしている人の掛け声が聞こえて来る。
「やるどー!!」
「「「へいさー!」」」
緩やかなスロープに向かい真っ赤な壺が傾き始めれば、内に擁した少しだけ粘度のある溶岩のような液体が流れ出し、その先に待つ銀色の液体が満ちたプールへと入水して行く。
赤みが取れ、透明な板へと見た目を変えた液体は、何人もの作業員に見守られながら長いプールを泳ぎきると クルクル と回る丸い棒が横並びになった浜へと打ち上げられて行く。
「詳すくは言えねぇげど、材料となる砂利や岩を溶かし、液体金属っつぅ魔力を溶かし込んだ特殊な金属の中を潜らせて平らに固めてるんだべさ」
全貌を現したのは長い長いガラスの板。
液体金属を通して伝えられた土の魔力により成形されたガラスは隅々まで均一な厚みを保っており、ガラス上に置かれた薄い鉄の板に合わせてペンを走らせれば コンッ と軽く叩いただけで綺麗な直線を保ったままに小さく切り分けられる。
「こうすて出来たガラスは注文毎に鞄に詰められて人間の手に渡るんだ。この工房では鏡も造ってっげど、ついでに見て行ぐべか?」
鏡は小さく切られたガラスの板の上に極薄に伸ばした銀を貼り付け、その上から銅でコーティングを施していた。
後はガラスの端で手を切らないように木の枠を取り付けて完成らしいが、それは別の工房で行うそうだ。
族長ゼノの家を出て村の北へと歩けば、やけに長細くて大きな工房が目に入り興味を惹かれた。
案内してくれるクララに聞いてみれば『世界で唯一ココでしか見られない』なんて誘い文句にますます興味を唆られ「見せて」と言ってみれば二つ返事で承諾、今に至る。
「なぁ、ガラスって割れやすい物だよな?鞄に入れてってもしかして……」
「鞄はガラスの取引をすとる人間の偉い人を通して職人から買った便利な物を使っとるべ。兄さんも持ってる空間魔法のががった鞄は、割れやすくて運ぶのが大変なガラスを人間界にばら撒ぐのにメチャメチャ役にだっどる。
まぁ、そのお陰で懐が潤いすぎて皆すて酒ばっが ガバガバ 飲むもんだがら、村中ぷくぷくぷくぷく丸くなる奴ばっがすで困っちまうだがね」
「人間の偉い人って……まさか貴族?」
「んだ。魔導車で三日かげて来るらすいげど、なんでも貴族の中ではフェルニアに一番近い所に住んでるっつぅ話だべ。 偉い人の割には気さくなええ人で鞄職人の方の貴族さんとも仲が良さぞうだったべさ。
鞄職人と言えば、兄さんも相当な色男だげんども、銀色の瞳のあのお人も線の細い色っぺぇ男だったべな」
世界広しと言えども空間魔法のかかった鞄を造れるイケメンなど何人も居るものでは無いし、貴族のお抱え職人で更に銀の瞳などと指定されれば、まず間違いなくあの人だろう。
拠点であるレピエーネからは魔導車での移動とはいえ何日もかかるだろうに、こんな所までわざわざ顔を出すと言うことは余程の得意先ということか。
──鞄、貴族、友人関係、住処、バラバラだったパズルのピースが正しく嵌れば、今まで見えていなかった現実が全部繋がってくる。
ここは王都から見て北の果てにある大森林フェルニア。
サルグレッド王家の血が流れる公爵家でありながら王都の西や南といった栄えている地域ではなく、敢えて特筆する事のない北側に家を構えるのは、プリッツェレという町が大森林フェルニアに一番近い場所にあるからなのだろう。
俺の想像の真偽を確かめる為にその事実を知るだろう白髪の美女へと視線を向ければ、にっこり微笑みながら優雅に前髪を掻き上げる。
「ゴーレムの発想といい、今回の事といい、カンが冴えて来ましたね、レイ様?」
「何の話し?」
「サルグレッド王城から貴族屋敷、教会や民家に至るまで、窓ガラスという物はあらゆる場所で使われています。
冷たい風は防いでくれるのに、暖かい陽射しは室内に入れてくれるという大変利便性の高い板状のガラス。割れた物を溶かして造るグラスやコップとは違い薄く均一な厚みの板ガラスの製造方法はおろか、製造されている場所ですらご存知無かったでしょう? それは先程クララ様が仰ったように世界で唯一此処でしか造れない事が背景にあります。
では、どなたがここのガラスを買い付け、秘密裏に世界へと流通させているのか、と言うお話ですよ、モニカお嬢様」
腕に抱く雪と顔を見合わせ、二人して小首を傾げると「それで?」とコレットさんに問う。
「地方貴族である我がヒルヴォネン家はプリッツェレの治安や経済を維持する代わりに、町に暮らす者達から税を取り収入を得ています。もちろんそれだけでも人口二万人規模の都市ともなれば莫大な収入になるのですが、世界有数の資産家となるには不十分なのです。
大体どこの貴族でも何かしらの商売を営んでおられますが、ヒルヴォネン家が手がけるのは世界規模の市場を持つ窓ガラスの卸売り業。つまり、ここで造られたガラスは、我がヒルヴォネン家が酒や食料などの生活物資、もしくは要望のある鉱石等と物々交換で外へと持ち出し、世の皆様方へとお届けしているのです」
田舎だったフォルテア村はそうでもなかったが、ベルカイムのような町ともなると殆どの家にガラス窓があり、それが当たり前になっている。
単純に一軒につき十枚は使うと考えて、人口一万人の町で三千戸の家があれば三万枚。それに店や教会、貴族の屋敷ともなればどれだけのガラスが使われているのか知れないが、仮に窓ガラス一枚が金貨一枚だとしても一つの町だけで相当な金額になる。
また、窓ガラスの破損や建て替えがあるのは当たり前で、継続的な利益を得ることが出来る。
世界にいくつ町があるかなんて知らないが、その分だけの全てお金のを手にしているヒルヴォネン家は正しく大富豪であり、もしかしたらサルグレッド王家をも凌いでいるのかも知れない。
「もののついでに申し上げれば、その商売を手助けするのはヒルヴォネン公爵家と親交の深いカミーノ伯爵家。
年二回の取引きの際に空間魔法のかけられた鞄は大量の荷物を持ち運ぶのに最適で、生活物資を詰められここまで運ばれれば、空になった鞄にガラスを詰め込み世界各地に散らばって行きます。
大森林フェルニアとの交流という常識外れの取引は秘密裏に行われてはいますが、近くはなくとも親戚筋に当たるサルグレッド国王も黙認している事実です。
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