301 / 562
第六章 ダンジョンはお嫌い?
27.反則技vol.2
しおりを挟む
第三十一層は紫の迷宮だった。通路の広さは変わらずだったが、壁、床、天井が全て濃い紫色に変わり、出てくる魔物も初級から中級クラスになっていた。
だが俺達にとってはまだまだ余裕のある相手。サラの火魔法とモニカの水魔法でどちらが多く狩れるかの勝負をしていると、あっと言う間に第三十二層に辿り着いてしまった。
「今日は私一人でやるわっ!」
アレぐらいの魔物なら任せても良いだろうと思い、今朝の出来事で落ち込んでいたティナに「頑張れ」と頭を撫でて送り出すと、張り切って魔物退治が始まった。
「コレットさん、紅茶貰える?」
「はい、少々お待ちを」
「ちょっと!何してるのよっ、ちゃんと私の頑張りを見ててよ!」
文句を言いつつティナの振る剣が一匹の猿を捉えると、イライラで魔力を込め過ぎたのか、胴体を両断された猿が「ギャーーッ」と言う断末魔と共に地面に落ち消えて行く。
「ちゃんと見てるよ。ほらっ、ティナこそ前を見て!次が来るよ」
「もぉっ!!」
それでも自分でやると言い出したのだ、意識はこちらに向けながらも視線は迫る次の猿に向かっている。すぐに行動に移ると叫びながら向かって来た猿の腕を切り落とした。
「ケーキ焼けましたよぉ、お一つ如何ですか?」
「頂戴っ。アンタが作ったヤツ美味しいから好きだわ」
「お褒めに預かり光栄です。沢山ありますからゆっくり食べてくださいね、リリィさん?」
「うっ……わ、わかってるわよ」
「俺にも一つくれよ」
「はい、もちろんです。クロエさんもお一つ如何ですか?」
「私はアルのを貰うからいいのです。ありがとうなのです」
迫る二匹の猿の素早い攻撃をヒラリと優雅に避けつつ剣を叩き込んで腕を落とす。痛みのあまり動きの止まった所にトドメの突きが決まり、また一体地面に消えて行く。
「おっ、今のは見事だったぞ。ティナその調子で頑張れ~」
「ちょっとぉ!私の分も取っておいてよ!」
「はいは~い、取り置きしておきますね。ティナさん、頑張ってくださいっ」
「くっそぉ~~っ!」
「カカさま、エレナ姉様の作るオヤツは美味しいですよね」
「うんうん、そうよね。今度教えてもらおうかな?」
「あ、一緒にやります?お料理って楽しいですよ」
「それなら私も混ぜてください。あんまり料理ってした事ないけど、やってみたいのよね」
「ホントですか、サラさん。じゃあ帰ったらみんなでやりましょう!そうよ、そうしましょうっ」
飛びかかって来た片腕の猿に向けカウンターで剣を突き出すと、小さくても鋭い爪の生えた手を掻い潜り見事に腹を捉える。投げ捨てられた猿は静かに床へと消えて行く。
「ちょっとぉ!私も仲間に入れなさいよっ!」
「オヤツ作りの材料はあんまりないので、帰ったらティナさんも一緒にやりましょう。リリィさんもやりませんか?」
「私は食べる専門でいいからパスっ。美味しいの作らないと許さないわよ?」
「はいっ、もちろんですぅ」
「キキッ!」と声がすると、またしても猿が姿を見せていた。うんざりした顔で剣を握り直すティナ、自分の言い出した事に後悔しつつも「これも修行よ!」と呟きながら襲い来る猿へと意識を向けて行く。
「なぁ、レイ。こんな便利な魔法が出来るなら、なんでもっと早くやらなかったんだ?」
「魔法ってイメージだろ?思い付いたのがさっきだったってだけだよ」
「でもさ、お兄ちゃん。これってズルだよね?」
「そっか?歩かなきゃ行けないなんてルールあるの?」
「今迄そんなルールあるなんて聞いたことあらへんよ?迷宮なんて進めればええんちゃうの?」
現在、俺達は床に座ったままだ。正確に言うと床のすぐ上に作られた風の壁の上に座っている。
柔らかな座り心地はまるで布団の上にいるようで、アルなんか既にゴロンと横になり、そのすぐ隣に寝転んだクロエさんとイチャイチャしていやがる。
君達、ここ、迷宮。今、迷宮探索、まっ 最中!
そういう俺も人に言えるような格好ではなく、ダラリと足を伸ばして後ろ手を突いている。股の間には雪が背中を預けて同じように足を伸ばして座り、出来上がったばかりのカップケーキを美味しそうに食べているのだ。
「トトさまも食べますか?」
そのままの姿勢で顎を仰け反らし手見上げて来た雪が、小さくちぎったケーキを差し出すので口を開けると放り込んでくれる。
「うん、美味しいね」
美味しさが共感してもらえて嬉しかったのかニッコリ笑うとまた前を向き、ティナの勇姿を観ながらまた食べ始める。
それを隣で見ていて微笑んでいるモニカ。なんとも平和な、まるでキャンプでのひと時のような和やかな雰囲気。
きっかけは歩くのが面倒になった、ただそれだけだ。エレナが空を飛んでいるのを見てルミアの空飛ぶ絨毯を思い出すと、貰ってくれば楽だったのにと思い始めたのだ。
そこで考え出したのが “空飛ぶ風の壁”
冒険者崩れの野党共を閉じ込めた風の結界魔法を思い通りに飛ばす事は出来たのだ。だったら自分達が入ったままでも飛ばせるんじゃね?と、やってみたらあっさり出来たという訳。
最初は通路のおよそ半分、五メートル四方の風の床を作って座っていたのだが、姿勢良く座っているのも疲れて来てアルのように寝転び出すと、人数が人数なので狭く感じてしまった。
そこでもう少し拡張し、七メートル四方という通路の三分の二を占めるくらいの大きな風の床になったという訳だ。
もちろん床だけでなく前後、左右、上下を囲まれた風の結界に隙はなく、たとえ背後から襲われようとも、ティナが突破されようとも、問題が起こらない安心設計になっている。なので皆が一様に寛ぎモードになっており、エレナなどケーキを焼き出す始末になっているのだ。
「もぉっ、あったま来た!なんで私だけ戦ってるのよっ、私もゴロゴロしたいっ!私もイチャイチャしたいっ!こんなの魔法でチャチャッと倒せばいいじゃない!?」
いや、君がね……言い出したのよ?
仕方がないと体を起こすと『どうしたの?』と雪が見上げてくる。
「ちょっと我儘なお姉ちゃんとお話ししてくるよ」
もたれていた背中を押して一人で座る態勢を整えてやると、ケーキを千切って俺の口に入れてくれる。それは『あんまり怒っちゃダメだよ』という雪の思いやりだったように感じたので、そっと頭に手を置き ポンポン してから立ち上がった。
恨めしそうにこちらを見ているティナの背後から三匹の猿が向かって来ていることに本人は気が付いていない。戦闘中に注意力が無くなると怪我をするんだぞ?と思いつつも、彼女の不満も分かるので小さく溜息を吐き出すと結界を突き抜け、唖然とするティナを飛び越し朔羅を振り抜けば二つの猿首が飛んで行く。もう一匹はタイミングが合わなかったので同時に風の弾丸を撃ち込んでやった。
この弾丸も新しく試したかったもので、風の刃と違い スパッ と切り裂くのではなく、風で出来た丸い輪っかを二つ交差させて回転させることにより風の玉のように見えるというものだ。
モニカの水蛇にも採用した動きを付けた魔力の波はとても有効ということが分かっていたので、風でも出来ないかとやってみたのだ。エレナの深緑乱舞と同じく対象を抉り取る……《風弾》とでも名付けておこう。
結果、威力は絶大で、直撃した猿の体は真ん中の部分がすっぽりと抜け落ちたにも関わらず、飛びかかって来た勢いそのままに皆の寛ぐ風結界まで飛んで行くと音もなくぶち当たり、一瞬の停滞の後に床に落ちて消えていった。
「なんてもん見せやがるんだ」
「グロイのです」
「お兄ちゃん……」
「…………」
「凄いっ!あんなことがっ……」
また悪口を言われている気がするが今はティナだ。いきなりの俺の飛び込みにびっくりしたのも束の間、一瞬で三匹仕留めたことに驚きを隠せないでいる。しかしすぐに次の二匹が気配探知に引っかかったので姿が見えると同時に飛び込み朔羅を二振りすれば床に落ちて消えて行く。
「俺はティナに強くなって欲しい訳じゃない。けど、ティナは自分で強くなりたいって言ったんだろ?だったら他の誘惑に負けてる場合じゃないんじゃないか?
そりゃ人間誰しも楽しそうな事の方が気になるに決まってる。けど、遊んでばかりいたら自分の成長なんて微々たるものだぞ?」
再び現れた二匹の猿に先程より大きな風弾を叩き込み跡形も無く消しとばした。こんな過剰攻撃しなくとも朔羅を チョイッ と振るだけで仕留めることは可能なのだが、ティナに力の差を見せつけた方がいいと感じてワザとそうしてみれば効果覿面、悔しそうに唇を噛み締めて俯いてしまった。
ティナとてそんな事は言われなくても分かっている筈だ。けど、みんなが楽しそうにしている中で一人だけ戦っていて寂しくなったのだろう。
“仲間ハズレ” そう感じても仕方のない状況だった。けど、それを選んだのは他ならないティナなのだ。ならばそれでも頑張れるように背中を押してやるのが俺の役目だと考えた。
「私だけ弱いままは……仲間ハズレは嫌。やるわよ、やればいいんでしょっ」
不貞腐れたように答えたティナだったが、自分の目標を再認識したその目にはヤル気が満ちていた。
だが俺達にとってはまだまだ余裕のある相手。サラの火魔法とモニカの水魔法でどちらが多く狩れるかの勝負をしていると、あっと言う間に第三十二層に辿り着いてしまった。
「今日は私一人でやるわっ!」
アレぐらいの魔物なら任せても良いだろうと思い、今朝の出来事で落ち込んでいたティナに「頑張れ」と頭を撫でて送り出すと、張り切って魔物退治が始まった。
「コレットさん、紅茶貰える?」
「はい、少々お待ちを」
「ちょっと!何してるのよっ、ちゃんと私の頑張りを見ててよ!」
文句を言いつつティナの振る剣が一匹の猿を捉えると、イライラで魔力を込め過ぎたのか、胴体を両断された猿が「ギャーーッ」と言う断末魔と共に地面に落ち消えて行く。
「ちゃんと見てるよ。ほらっ、ティナこそ前を見て!次が来るよ」
「もぉっ!!」
それでも自分でやると言い出したのだ、意識はこちらに向けながらも視線は迫る次の猿に向かっている。すぐに行動に移ると叫びながら向かって来た猿の腕を切り落とした。
「ケーキ焼けましたよぉ、お一つ如何ですか?」
「頂戴っ。アンタが作ったヤツ美味しいから好きだわ」
「お褒めに預かり光栄です。沢山ありますからゆっくり食べてくださいね、リリィさん?」
「うっ……わ、わかってるわよ」
「俺にも一つくれよ」
「はい、もちろんです。クロエさんもお一つ如何ですか?」
「私はアルのを貰うからいいのです。ありがとうなのです」
迫る二匹の猿の素早い攻撃をヒラリと優雅に避けつつ剣を叩き込んで腕を落とす。痛みのあまり動きの止まった所にトドメの突きが決まり、また一体地面に消えて行く。
「おっ、今のは見事だったぞ。ティナその調子で頑張れ~」
「ちょっとぉ!私の分も取っておいてよ!」
「はいは~い、取り置きしておきますね。ティナさん、頑張ってくださいっ」
「くっそぉ~~っ!」
「カカさま、エレナ姉様の作るオヤツは美味しいですよね」
「うんうん、そうよね。今度教えてもらおうかな?」
「あ、一緒にやります?お料理って楽しいですよ」
「それなら私も混ぜてください。あんまり料理ってした事ないけど、やってみたいのよね」
「ホントですか、サラさん。じゃあ帰ったらみんなでやりましょう!そうよ、そうしましょうっ」
飛びかかって来た片腕の猿に向けカウンターで剣を突き出すと、小さくても鋭い爪の生えた手を掻い潜り見事に腹を捉える。投げ捨てられた猿は静かに床へと消えて行く。
「ちょっとぉ!私も仲間に入れなさいよっ!」
「オヤツ作りの材料はあんまりないので、帰ったらティナさんも一緒にやりましょう。リリィさんもやりませんか?」
「私は食べる専門でいいからパスっ。美味しいの作らないと許さないわよ?」
「はいっ、もちろんですぅ」
「キキッ!」と声がすると、またしても猿が姿を見せていた。うんざりした顔で剣を握り直すティナ、自分の言い出した事に後悔しつつも「これも修行よ!」と呟きながら襲い来る猿へと意識を向けて行く。
「なぁ、レイ。こんな便利な魔法が出来るなら、なんでもっと早くやらなかったんだ?」
「魔法ってイメージだろ?思い付いたのがさっきだったってだけだよ」
「でもさ、お兄ちゃん。これってズルだよね?」
「そっか?歩かなきゃ行けないなんてルールあるの?」
「今迄そんなルールあるなんて聞いたことあらへんよ?迷宮なんて進めればええんちゃうの?」
現在、俺達は床に座ったままだ。正確に言うと床のすぐ上に作られた風の壁の上に座っている。
柔らかな座り心地はまるで布団の上にいるようで、アルなんか既にゴロンと横になり、そのすぐ隣に寝転んだクロエさんとイチャイチャしていやがる。
君達、ここ、迷宮。今、迷宮探索、まっ 最中!
そういう俺も人に言えるような格好ではなく、ダラリと足を伸ばして後ろ手を突いている。股の間には雪が背中を預けて同じように足を伸ばして座り、出来上がったばかりのカップケーキを美味しそうに食べているのだ。
「トトさまも食べますか?」
そのままの姿勢で顎を仰け反らし手見上げて来た雪が、小さくちぎったケーキを差し出すので口を開けると放り込んでくれる。
「うん、美味しいね」
美味しさが共感してもらえて嬉しかったのかニッコリ笑うとまた前を向き、ティナの勇姿を観ながらまた食べ始める。
それを隣で見ていて微笑んでいるモニカ。なんとも平和な、まるでキャンプでのひと時のような和やかな雰囲気。
きっかけは歩くのが面倒になった、ただそれだけだ。エレナが空を飛んでいるのを見てルミアの空飛ぶ絨毯を思い出すと、貰ってくれば楽だったのにと思い始めたのだ。
そこで考え出したのが “空飛ぶ風の壁”
冒険者崩れの野党共を閉じ込めた風の結界魔法を思い通りに飛ばす事は出来たのだ。だったら自分達が入ったままでも飛ばせるんじゃね?と、やってみたらあっさり出来たという訳。
最初は通路のおよそ半分、五メートル四方の風の床を作って座っていたのだが、姿勢良く座っているのも疲れて来てアルのように寝転び出すと、人数が人数なので狭く感じてしまった。
そこでもう少し拡張し、七メートル四方という通路の三分の二を占めるくらいの大きな風の床になったという訳だ。
もちろん床だけでなく前後、左右、上下を囲まれた風の結界に隙はなく、たとえ背後から襲われようとも、ティナが突破されようとも、問題が起こらない安心設計になっている。なので皆が一様に寛ぎモードになっており、エレナなどケーキを焼き出す始末になっているのだ。
「もぉっ、あったま来た!なんで私だけ戦ってるのよっ、私もゴロゴロしたいっ!私もイチャイチャしたいっ!こんなの魔法でチャチャッと倒せばいいじゃない!?」
いや、君がね……言い出したのよ?
仕方がないと体を起こすと『どうしたの?』と雪が見上げてくる。
「ちょっと我儘なお姉ちゃんとお話ししてくるよ」
もたれていた背中を押して一人で座る態勢を整えてやると、ケーキを千切って俺の口に入れてくれる。それは『あんまり怒っちゃダメだよ』という雪の思いやりだったように感じたので、そっと頭に手を置き ポンポン してから立ち上がった。
恨めしそうにこちらを見ているティナの背後から三匹の猿が向かって来ていることに本人は気が付いていない。戦闘中に注意力が無くなると怪我をするんだぞ?と思いつつも、彼女の不満も分かるので小さく溜息を吐き出すと結界を突き抜け、唖然とするティナを飛び越し朔羅を振り抜けば二つの猿首が飛んで行く。もう一匹はタイミングが合わなかったので同時に風の弾丸を撃ち込んでやった。
この弾丸も新しく試したかったもので、風の刃と違い スパッ と切り裂くのではなく、風で出来た丸い輪っかを二つ交差させて回転させることにより風の玉のように見えるというものだ。
モニカの水蛇にも採用した動きを付けた魔力の波はとても有効ということが分かっていたので、風でも出来ないかとやってみたのだ。エレナの深緑乱舞と同じく対象を抉り取る……《風弾》とでも名付けておこう。
結果、威力は絶大で、直撃した猿の体は真ん中の部分がすっぽりと抜け落ちたにも関わらず、飛びかかって来た勢いそのままに皆の寛ぐ風結界まで飛んで行くと音もなくぶち当たり、一瞬の停滞の後に床に落ちて消えていった。
「なんてもん見せやがるんだ」
「グロイのです」
「お兄ちゃん……」
「…………」
「凄いっ!あんなことがっ……」
また悪口を言われている気がするが今はティナだ。いきなりの俺の飛び込みにびっくりしたのも束の間、一瞬で三匹仕留めたことに驚きを隠せないでいる。しかしすぐに次の二匹が気配探知に引っかかったので姿が見えると同時に飛び込み朔羅を二振りすれば床に落ちて消えて行く。
「俺はティナに強くなって欲しい訳じゃない。けど、ティナは自分で強くなりたいって言ったんだろ?だったら他の誘惑に負けてる場合じゃないんじゃないか?
そりゃ人間誰しも楽しそうな事の方が気になるに決まってる。けど、遊んでばかりいたら自分の成長なんて微々たるものだぞ?」
再び現れた二匹の猿に先程より大きな風弾を叩き込み跡形も無く消しとばした。こんな過剰攻撃しなくとも朔羅を チョイッ と振るだけで仕留めることは可能なのだが、ティナに力の差を見せつけた方がいいと感じてワザとそうしてみれば効果覿面、悔しそうに唇を噛み締めて俯いてしまった。
ティナとてそんな事は言われなくても分かっている筈だ。けど、みんなが楽しそうにしている中で一人だけ戦っていて寂しくなったのだろう。
“仲間ハズレ” そう感じても仕方のない状況だった。けど、それを選んだのは他ならないティナなのだ。ならばそれでも頑張れるように背中を押してやるのが俺の役目だと考えた。
「私だけ弱いままは……仲間ハズレは嫌。やるわよ、やればいいんでしょっ」
不貞腐れたように答えたティナだったが、自分の目標を再認識したその目にはヤル気が満ちていた。
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる