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第五章 変わりゆく関係
7.犠牲と信頼
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モニカのおかげで頭の中の黒い声は鳴りを潜めた、それと同時に体を覆う黒い霧も霧散していたようだ。
ならば俺の相棒、朔羅を持って奴を斬る!
不敵に笑い続けるケネス、飛び込みざまに朔羅を振えば折れた剣に紫炎を纏わせ右手一本で対抗してくる。
「なんだ、もう少し待ってろよ。今あの女を殺してやるからよぉぉっ」
「黙れ!もう誰も、お前などに奪わせやしない」
腕一本ではさっきまでのパワーは無く、朔羅に押され徐々に後退して行くがその顔から狂気の笑みが消える事はない。なんだか哀れに思えて来たがそれでも大切なモノを守るために手を緩める事は出来ない。
「うぉぉおっ!」
一気に畳み掛けるべく全身の魔力を総動員して身体強化に注ぎ込んだ。湧き出した熱く沸る力に身体が軽くなる。あの時とは違うのだと、自分も成長したのだと自分自身に言い聞かせ、握りしめた朔羅を渾身の力を込めて振り下ろした。
──今だ!
響き渡る剣撃の音と共に堪えきれず崩れた体勢、素早く刀を返し追撃を放てば驚愕に変化した奴の顔。心の隅にこびり付いた僅かばかりの憎しみを込めて朔羅を振り抜いた。
骨に当たった僅かな抵抗、黒い刃が醜い腕との接合部を通り抜ければ、肉体に別れを告げた右腕がくるくると宙を舞う。苦悶の表情を浮かべて傷口を逸らすケネス、そこからは腕と同じく赤黒い血が噴き出していた。
──まだだ
更に踏み込んだ一歩、舞い戻る朔羅が前に出された形となった左肩を走り抜ける。
再び宙を舞う歪な腕、それを目の当たりにしてようやく達成感のようなものを僅かにだけ感じることができた。
──ケネスに……勝った
立ちすくむモニカから遠ざけるため、苦悶の顔で両肩から血を垂れ流すケネスを思いきり蹴り飛ばす。
土煙を上げて地面を滑るケネス、だがそんな折、俺と奴とを隔てるよう何の前触れもなくソレは突如として姿を現した。
「うちの者が迷惑をかけたようだな、すまない」
シルクハットと呼ばれる円柱形の黒い帽子に左目には小さなモノクル、皺の目立つ顔はそれでもどこか品の良い感じが現れ、鼻の下にピンっと横に伸びる髭が印象的だ。
仕立ての良さそうな黒い礼服を着込んでおり、それに合わせるように黒い杖を持って立つ様は紳士と呼ぶに相応しい外貌だった。
フォルテア村近郊の森でアリサと言い争い、ゾルタインの町で師匠の剣を止めた。そして今ここで三度目の邂逅、かつて貴族風の魔族と呼ばれた男は地面に倒れ込むケネスをチラリと横目で確かめると俺へと向き直った。
「医療施設で寝ていた筈だったのだが、アリサ、アリサと喚き散らして気が付いた時には逃げ出していてね、困ったものだよ。
それで提案なんだがね、お互い守る者が在っては全力で戦えないだろう?今回は互いの為に痛み分けという事にしてはもらえまいか?」
穏やかな口調で語りかける男からは微塵も敵意というものが感じられない。師匠とタメが張れるほどの力を持つこの魔族、俺など簡単にひねり潰せる筈なのに何故このような提案をしてくるのか理解が出来ない。
「こちらから持ちかけた話だ、もちろんタダでとは言わないよ。君はアリサとの対話を求めている、そうだね?だが肝心な彼女は君の意に反してそれに応じようとしない、そこでだ。
アレの命と引き換えにするのに君達二人が顔を合わせる席を設けてやれないのは心苦しいが代わりにアリサの向かう先を教える、それで手を打ってくれんかね?」
「てめぇっ!!アリサの居場所を知ってるなら教えやが……」
「怪我人は大人しく養生しろと言わなかったかね?今、私は彼と話をしている。少しの間黙っていたまえ」
奴に向けられた手のひら、男が何かしらの魔法を使ったのは分かった。地べたを這いながらも首を上げて息巻くケネスが頭でも殴られたかのように突然地面に押し付けられ意識を失う。
たった一つの魔法……弱っていたとはいえあのケネスを一撃で黙らせた。剣術のみならず魔法まで凄い、やはり今の俺ではコイツに敵わないのだろうな。
何故コイツが俺とアリサの事を知っているのか、また、俺達の事を多少なりとも知っていたとしても敵であるはずの俺にわざわざ塩を送る意図が分からない。
しかし今の俺にはこの男を撃退するだけの力が無い事は明白。みんなを守る為にはこの話に乗るしか道は無いだろうと思い、その意思を示す為に朔羅を鞘に納めると チンッ という白結氣と同じ高い鍔鳴りの音が静かな平原に響いた。
「良い音色だな、そして良い刀だ。君が私の提案に乗ってくれたこと嬉しく思うよ。
それでアリサだがな、約二十日後、君が拠点としているベルカイムからずっと南にある砂漠の町 《ティリッジ》に現れるだろう。君達の乗る魔導車なら三日もあれば苦もなく辿り着ける場所だよ。そんなところで良いかな?
では、慌ただしくて申し訳ないが怪我人を回収してお暇する。そうそう、剣聖にもよろしく伝えておいてくれ。貴方と闘える時を楽しみにしている、とね。 では、失礼するよ」
帽子を少し持ち上げ挨拶をした魔族は、パチンという指を鳴らす音と共にケネス諸共姿が消え去った。
どうやら本当にアリサの情報だけを残して見逃してくれたらしい。
殺気が全く無かったとは言え、たった何分かの最上級とも言える魔族との相対で感じた凄まじいまでの重圧、息が詰まるような空気から解放されてようやく一息吐けた。
そこで思い出したのが闇に囚われようとする俺を救ってくれた声の主。
振り返ればペタンと地面にへたり込んで呆然としていたので、無事な姿を見て安心すると共に、こんな危険なところに足を踏み入れた事に対する軽い憤りが湧いてきた。
肺の中の空気を一新させるべく深い深い深呼吸して気持ちを入れ替える。
モニカの側にしゃがみ込んで目線を同じくし、目が合ったところでオデコをツイっと突つけば キョトン とした顔で目をパチクリしていた。
「こら、逃げろって言ったろ?こんな危険な所に来てモニカにもしもの事があってみろ、俺、泣いちゃうぞ?」
「ごめんなさい。でもお兄ちゃんを置いて逃げるなんて出来なかったの、だって私達夫婦なのよ?どんなときでもお兄ちゃんを支えますって女神様の前で誓ったわ、だから殺されるかもしれないと分かっていても一緒に居たいの。私だけ逃げろとか言わないで」
目に涙を溜めながらも真剣な眼差しで思いの丈をぶつけてくるモニカ。危ない時は逃げて安全な場所にいて欲しいとは思うがモニカの言うことも分かるから強くは言えないな。
そうだよな、俺達夫婦だもんな。困難に二人で向かって行くと誓ったばかりだった、忘れててゴメンよ。
立ち上がり手を差し伸べれば、ゆっくりとながらもその手を取ってくれる。
彼女を立たせて青い瞳に溜まった涙を拭い終わると、一歩近寄りきつく抱きしめた。
「モニカのおかげで俺の中の黒い力に飲まれずに済んだ、助かったよ、ありがとう。モニカの言い分ももっともだし、俺も同じ気持ちだ。けどな、気持ちだけではどうにもならないこともあるんだ。
さっきの魔族、アレが本気で俺達を襲って来たら勝てる気がしない。でも、勝てなくても俺一人なら逃げることくらいは出来ると思う。だから俺を犠牲にするんじゃなくて、俺を信じて戦いの場から離れて欲しい。それじゃダメか?」
「わかったわ。でも、もし一人で死んだりしたら私も後を追うから覚悟しといてよねっ!」
目を瞑り、俺の胸へと顔を押し付けるモニカの髪の匂いを嗅ぐと、そこに彼女が居る事が実感でき安心感で心が満たされていく。
少しばかり満足するとこの場に居るもう一人にもお願いをしておかなくてはと、モニカの頭を撫でながらも視線を上げた。
「コレットさんも同じだからね。モニカを守ろうとしてくれた事には感謝するけど、それでコレットさんが死んだりしたら何にもならないから。俺にとってコレットさんも大切な人だ、だから身を呈して守るんじゃなく一緒に生きてくれないとダメだからね?」
少し考えたように間が空いた後で コクリ と頷いてくれたコレットさん。賢い彼女ならば俺の意志は正確に伝わってるはず……はずだ。
何故 ニヤリ と笑ったのか理解出来なかったし、何故か キラリ と目が光ったような感じがしたが俺の意志は伝わったと信じよう。
ならば俺の相棒、朔羅を持って奴を斬る!
不敵に笑い続けるケネス、飛び込みざまに朔羅を振えば折れた剣に紫炎を纏わせ右手一本で対抗してくる。
「なんだ、もう少し待ってろよ。今あの女を殺してやるからよぉぉっ」
「黙れ!もう誰も、お前などに奪わせやしない」
腕一本ではさっきまでのパワーは無く、朔羅に押され徐々に後退して行くがその顔から狂気の笑みが消える事はない。なんだか哀れに思えて来たがそれでも大切なモノを守るために手を緩める事は出来ない。
「うぉぉおっ!」
一気に畳み掛けるべく全身の魔力を総動員して身体強化に注ぎ込んだ。湧き出した熱く沸る力に身体が軽くなる。あの時とは違うのだと、自分も成長したのだと自分自身に言い聞かせ、握りしめた朔羅を渾身の力を込めて振り下ろした。
──今だ!
響き渡る剣撃の音と共に堪えきれず崩れた体勢、素早く刀を返し追撃を放てば驚愕に変化した奴の顔。心の隅にこびり付いた僅かばかりの憎しみを込めて朔羅を振り抜いた。
骨に当たった僅かな抵抗、黒い刃が醜い腕との接合部を通り抜ければ、肉体に別れを告げた右腕がくるくると宙を舞う。苦悶の表情を浮かべて傷口を逸らすケネス、そこからは腕と同じく赤黒い血が噴き出していた。
──まだだ
更に踏み込んだ一歩、舞い戻る朔羅が前に出された形となった左肩を走り抜ける。
再び宙を舞う歪な腕、それを目の当たりにしてようやく達成感のようなものを僅かにだけ感じることができた。
──ケネスに……勝った
立ちすくむモニカから遠ざけるため、苦悶の顔で両肩から血を垂れ流すケネスを思いきり蹴り飛ばす。
土煙を上げて地面を滑るケネス、だがそんな折、俺と奴とを隔てるよう何の前触れもなくソレは突如として姿を現した。
「うちの者が迷惑をかけたようだな、すまない」
シルクハットと呼ばれる円柱形の黒い帽子に左目には小さなモノクル、皺の目立つ顔はそれでもどこか品の良い感じが現れ、鼻の下にピンっと横に伸びる髭が印象的だ。
仕立ての良さそうな黒い礼服を着込んでおり、それに合わせるように黒い杖を持って立つ様は紳士と呼ぶに相応しい外貌だった。
フォルテア村近郊の森でアリサと言い争い、ゾルタインの町で師匠の剣を止めた。そして今ここで三度目の邂逅、かつて貴族風の魔族と呼ばれた男は地面に倒れ込むケネスをチラリと横目で確かめると俺へと向き直った。
「医療施設で寝ていた筈だったのだが、アリサ、アリサと喚き散らして気が付いた時には逃げ出していてね、困ったものだよ。
それで提案なんだがね、お互い守る者が在っては全力で戦えないだろう?今回は互いの為に痛み分けという事にしてはもらえまいか?」
穏やかな口調で語りかける男からは微塵も敵意というものが感じられない。師匠とタメが張れるほどの力を持つこの魔族、俺など簡単にひねり潰せる筈なのに何故このような提案をしてくるのか理解が出来ない。
「こちらから持ちかけた話だ、もちろんタダでとは言わないよ。君はアリサとの対話を求めている、そうだね?だが肝心な彼女は君の意に反してそれに応じようとしない、そこでだ。
アレの命と引き換えにするのに君達二人が顔を合わせる席を設けてやれないのは心苦しいが代わりにアリサの向かう先を教える、それで手を打ってくれんかね?」
「てめぇっ!!アリサの居場所を知ってるなら教えやが……」
「怪我人は大人しく養生しろと言わなかったかね?今、私は彼と話をしている。少しの間黙っていたまえ」
奴に向けられた手のひら、男が何かしらの魔法を使ったのは分かった。地べたを這いながらも首を上げて息巻くケネスが頭でも殴られたかのように突然地面に押し付けられ意識を失う。
たった一つの魔法……弱っていたとはいえあのケネスを一撃で黙らせた。剣術のみならず魔法まで凄い、やはり今の俺ではコイツに敵わないのだろうな。
何故コイツが俺とアリサの事を知っているのか、また、俺達の事を多少なりとも知っていたとしても敵であるはずの俺にわざわざ塩を送る意図が分からない。
しかし今の俺にはこの男を撃退するだけの力が無い事は明白。みんなを守る為にはこの話に乗るしか道は無いだろうと思い、その意思を示す為に朔羅を鞘に納めると チンッ という白結氣と同じ高い鍔鳴りの音が静かな平原に響いた。
「良い音色だな、そして良い刀だ。君が私の提案に乗ってくれたこと嬉しく思うよ。
それでアリサだがな、約二十日後、君が拠点としているベルカイムからずっと南にある砂漠の町 《ティリッジ》に現れるだろう。君達の乗る魔導車なら三日もあれば苦もなく辿り着ける場所だよ。そんなところで良いかな?
では、慌ただしくて申し訳ないが怪我人を回収してお暇する。そうそう、剣聖にもよろしく伝えておいてくれ。貴方と闘える時を楽しみにしている、とね。 では、失礼するよ」
帽子を少し持ち上げ挨拶をした魔族は、パチンという指を鳴らす音と共にケネス諸共姿が消え去った。
どうやら本当にアリサの情報だけを残して見逃してくれたらしい。
殺気が全く無かったとは言え、たった何分かの最上級とも言える魔族との相対で感じた凄まじいまでの重圧、息が詰まるような空気から解放されてようやく一息吐けた。
そこで思い出したのが闇に囚われようとする俺を救ってくれた声の主。
振り返ればペタンと地面にへたり込んで呆然としていたので、無事な姿を見て安心すると共に、こんな危険なところに足を踏み入れた事に対する軽い憤りが湧いてきた。
肺の中の空気を一新させるべく深い深い深呼吸して気持ちを入れ替える。
モニカの側にしゃがみ込んで目線を同じくし、目が合ったところでオデコをツイっと突つけば キョトン とした顔で目をパチクリしていた。
「こら、逃げろって言ったろ?こんな危険な所に来てモニカにもしもの事があってみろ、俺、泣いちゃうぞ?」
「ごめんなさい。でもお兄ちゃんを置いて逃げるなんて出来なかったの、だって私達夫婦なのよ?どんなときでもお兄ちゃんを支えますって女神様の前で誓ったわ、だから殺されるかもしれないと分かっていても一緒に居たいの。私だけ逃げろとか言わないで」
目に涙を溜めながらも真剣な眼差しで思いの丈をぶつけてくるモニカ。危ない時は逃げて安全な場所にいて欲しいとは思うがモニカの言うことも分かるから強くは言えないな。
そうだよな、俺達夫婦だもんな。困難に二人で向かって行くと誓ったばかりだった、忘れててゴメンよ。
立ち上がり手を差し伸べれば、ゆっくりとながらもその手を取ってくれる。
彼女を立たせて青い瞳に溜まった涙を拭い終わると、一歩近寄りきつく抱きしめた。
「モニカのおかげで俺の中の黒い力に飲まれずに済んだ、助かったよ、ありがとう。モニカの言い分ももっともだし、俺も同じ気持ちだ。けどな、気持ちだけではどうにもならないこともあるんだ。
さっきの魔族、アレが本気で俺達を襲って来たら勝てる気がしない。でも、勝てなくても俺一人なら逃げることくらいは出来ると思う。だから俺を犠牲にするんじゃなくて、俺を信じて戦いの場から離れて欲しい。それじゃダメか?」
「わかったわ。でも、もし一人で死んだりしたら私も後を追うから覚悟しといてよねっ!」
目を瞑り、俺の胸へと顔を押し付けるモニカの髪の匂いを嗅ぐと、そこに彼女が居る事が実感でき安心感で心が満たされていく。
少しばかり満足するとこの場に居るもう一人にもお願いをしておかなくてはと、モニカの頭を撫でながらも視線を上げた。
「コレットさんも同じだからね。モニカを守ろうとしてくれた事には感謝するけど、それでコレットさんが死んだりしたら何にもならないから。俺にとってコレットさんも大切な人だ、だから身を呈して守るんじゃなく一緒に生きてくれないとダメだからね?」
少し考えたように間が空いた後で コクリ と頷いてくれたコレットさん。賢い彼女ならば俺の意志は正確に伝わってるはず……はずだ。
何故 ニヤリ と笑ったのか理解出来なかったし、何故か キラリ と目が光ったような感じがしたが俺の意志は伝わったと信じよう。
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