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第四章 海まで行こう
2.サラの頑張り
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浮かない顔で席に着いたサラ王女、続いて俺達も中に戻れば再び馬車が動き出す。
「モニカはなんで平気なんですか?あんなもの見て気持ち悪くないの?」
小さな声の呟き、サラ王女は顔色があまりよろしくない。
彼女は一国の王女様だ。魔物など今まで見たこともなかったのだろう。恐らく血ですらあまり目にする機会がなかったろうに、爆発して肉片を撒き散らすのを目の当たりにすれば……まぁ、気持ちは察する。
剣も魔法も扱えるとは本人が言っていた。特に頼る気もないし頼る時もないだろうけど、習っただけの技術など実戦では役に立たない事くらい知っている。実戦を側で見て根を上げるようなら彼女に旅は無理だ。戻る事になるが王都へ送って行こう。
「私も最初は駄目だったよぉ。でも、慣れたかな?まぁ、誰かさんに蛙の目玉を取らされたときは流石に泣きそうだったけど、ねぇ?」
笑って誤魔化しておいたけど、あれだって立派な仕事なんだって教えたよな?
本当はやらせたくなかったんだぞ?本当は……たぶん。
「嫌になったのなら家まで送って行くよ。お城に戻られますか?王女殿下」
眉間に皺を寄せてプイッと横を向き「帰りませんっ!」と意地を張るサラ王女。
「もぉっお兄ちゃん、意地悪しすぎだよ?サラだってお兄ちゃん助けるの手伝ってくれた……って言うより、一番頑張ってくれたんだからっ!サラのお陰でお兄ちゃんはここに居るんだよ?」
「ちょ、ちょっとモニカ!そんな事言わないでいいからっ」
違う違うと両の掌を開いたまま振りながら、慌てた様子でワタワタとするサラ王女──そういうところは何とも言えない可愛いらしさがあるな。
「そうだったな、ごめん。助けてくれた事には本当に感謝してます、ありがとう。
でもさっき言った事も本心だ。王城の生活とはまるで違うはず。辛くなったら、もしも帰りたくなったら遠慮なく言ってくれ」
さっきまでの照れた可愛い顔は何処へやら。気を遣ったつもりがまた何か気に障ったのか、ツンと澄ました余所行きの顔で横を向く。
「利用されたとはいえ私が要因となり貴方が捕まったのです。あのまま処刑でもされたら寝起きが悪いでしょう?ですから手伝っただけです。
それに、ここでの生活にもすぐに慣れます。大丈夫ですのでご心配なく」
大きな溜息を吐くモニカに『どうした?』と視線を投げかけるがフルフルと首を振られた。
俺、ちゃんと謝ったよ?お礼も言ったぞ?なんでお姫様は機嫌悪くなったんだ?
△▽
馬車の中では気配探知の練習をしていたので時間が経つのが早かった。夕暮れより遥か前に着いた今日の宿場、夜中に王都を出発したのだから当然だよな。
「コレットさん、夜は焼肉でよろしく」
宿場のすぐ近くにはそれほど大きくはないが森があり、獲物の気配に誘われ一人で狩りに出かけた。ガサガサと揺れる藪の中、美味しいご飯を見つけたのでラッキーと手を叩きながら小ぶりのシビルボアを一頭狩った。四人で食べるにはちょっとばかり大きいが、またベーコンにでもすれば日持ちもするだろう。
「「お帰りなさいっ」」
狩りを終えて血抜きをしながらのんびり戻ればモニカと一緒にサラ王女がにこやかにお出迎えしてくれる。
「あ、あの……レイ?」
やけに遠慮がちな態度に小首を傾げてしまうような少しばかりの違和感を感じはしたが『まぁいいや』と流せば、何故か恥ずかしげに話し掛けてくるサラ王女……言い難い事でもあったのか?
「あの……ですね。これから先、人が居る所にも行くじゃないですか。それで……ですね、えと……あの……『サラ王女』と呼ばれると人目を惹いてしまうと思うのです。
ですから……私の事は『サラ』と呼んでくださいませんか?」
いやはや、おっしゃる通り。手配中の身だし、いくらギルドカードに細工してもらったとは言え注目を集めるのは好ましくない。
「わかったよ」と納得の返事をすればサラの顔が花が咲いたように明るくなる。なになに?どういうこと?
「で、では私も貴方の事を《レイ》と呼んでもよろしいですか?」
あ、はい……どうぞご自由に?っつか、そんなこと断る必要あるのか?変な所で律儀なお姫さんだな。
何故だか分からないがモニカと二人で小さくガッツポーズしてる。まぁ、楽しそうだから気にしないでおこう。
「今夜の夕食はレイが作ると聞きました。私もお手伝いしてもいいですか?」
「あ、あぁ……良いけど、コレだぜ?」
俺が鞄からシビルボアを取り出すと意味を察したらしく サーッ とあからさまに顔が青くなる。まだ初日だろ?無理するなよ。
「気持ちだけ貰っておくよ。モニカ、やってみるか?」
「やるやるーっ」っと、張り切ってシビルボアの皮を剥ぎ始めたモニカの隣で技術指導をしながら見守る俺、その影に隠れながら見ちゃいけないものを見る目でなんとか慣れようと努力するサラの姿が在った。
背中に捕まり顔を出したり引っ込めたりと忙しい。時折「うっ」とか聞こえるが、そこまで無理してたらご飯食べられなくなるぞ?大丈夫かよ。
「サラ、頑張る君の気持ちは分かったけど、無理は良くないと思う。少しずつ慣れていけば良いんじゃないかな?」
「そうね」と言った彼女はそのまま俺の背中に額を押し付けて固まった。そんなに辛いの我慢してたのか、何を思ったか知らないけど極端な子だな。意地っ張りというか負けず嫌いというか。
一方のモニカはというと、ろくにやった事もなかったにも関わらず熱心に何度もナイフを通して続けて徐々に上手くなって来た。何をやらしても器用にこなす。モニカ、素敵!
「後は俺がやるよ」
初めてやったにしては綺麗に皮が剥がされ丸裸になったシビルボア、ナイフを受け取ると手際良く解体を始める。
それも覚えようと真剣な眼差しで見つめるモニカとその後ろに隠れてチラチラと見ているサラ。
「サラ、無理するなよ。コレットさんを手伝ってきたらどうだ?」
「わ、分かったわ」
青い顔をしたサラはとフラフラとコレットさんの方へと歩いて行ったが本当に大丈夫か?そこまで頑張らなくても良かったんじゃなかろうか。
「モニカはなんで平気なんですか?あんなもの見て気持ち悪くないの?」
小さな声の呟き、サラ王女は顔色があまりよろしくない。
彼女は一国の王女様だ。魔物など今まで見たこともなかったのだろう。恐らく血ですらあまり目にする機会がなかったろうに、爆発して肉片を撒き散らすのを目の当たりにすれば……まぁ、気持ちは察する。
剣も魔法も扱えるとは本人が言っていた。特に頼る気もないし頼る時もないだろうけど、習っただけの技術など実戦では役に立たない事くらい知っている。実戦を側で見て根を上げるようなら彼女に旅は無理だ。戻る事になるが王都へ送って行こう。
「私も最初は駄目だったよぉ。でも、慣れたかな?まぁ、誰かさんに蛙の目玉を取らされたときは流石に泣きそうだったけど、ねぇ?」
笑って誤魔化しておいたけど、あれだって立派な仕事なんだって教えたよな?
本当はやらせたくなかったんだぞ?本当は……たぶん。
「嫌になったのなら家まで送って行くよ。お城に戻られますか?王女殿下」
眉間に皺を寄せてプイッと横を向き「帰りませんっ!」と意地を張るサラ王女。
「もぉっお兄ちゃん、意地悪しすぎだよ?サラだってお兄ちゃん助けるの手伝ってくれた……って言うより、一番頑張ってくれたんだからっ!サラのお陰でお兄ちゃんはここに居るんだよ?」
「ちょ、ちょっとモニカ!そんな事言わないでいいからっ」
違う違うと両の掌を開いたまま振りながら、慌てた様子でワタワタとするサラ王女──そういうところは何とも言えない可愛いらしさがあるな。
「そうだったな、ごめん。助けてくれた事には本当に感謝してます、ありがとう。
でもさっき言った事も本心だ。王城の生活とはまるで違うはず。辛くなったら、もしも帰りたくなったら遠慮なく言ってくれ」
さっきまでの照れた可愛い顔は何処へやら。気を遣ったつもりがまた何か気に障ったのか、ツンと澄ました余所行きの顔で横を向く。
「利用されたとはいえ私が要因となり貴方が捕まったのです。あのまま処刑でもされたら寝起きが悪いでしょう?ですから手伝っただけです。
それに、ここでの生活にもすぐに慣れます。大丈夫ですのでご心配なく」
大きな溜息を吐くモニカに『どうした?』と視線を投げかけるがフルフルと首を振られた。
俺、ちゃんと謝ったよ?お礼も言ったぞ?なんでお姫様は機嫌悪くなったんだ?
△▽
馬車の中では気配探知の練習をしていたので時間が経つのが早かった。夕暮れより遥か前に着いた今日の宿場、夜中に王都を出発したのだから当然だよな。
「コレットさん、夜は焼肉でよろしく」
宿場のすぐ近くにはそれほど大きくはないが森があり、獲物の気配に誘われ一人で狩りに出かけた。ガサガサと揺れる藪の中、美味しいご飯を見つけたのでラッキーと手を叩きながら小ぶりのシビルボアを一頭狩った。四人で食べるにはちょっとばかり大きいが、またベーコンにでもすれば日持ちもするだろう。
「「お帰りなさいっ」」
狩りを終えて血抜きをしながらのんびり戻ればモニカと一緒にサラ王女がにこやかにお出迎えしてくれる。
「あ、あの……レイ?」
やけに遠慮がちな態度に小首を傾げてしまうような少しばかりの違和感を感じはしたが『まぁいいや』と流せば、何故か恥ずかしげに話し掛けてくるサラ王女……言い難い事でもあったのか?
「あの……ですね。これから先、人が居る所にも行くじゃないですか。それで……ですね、えと……あの……『サラ王女』と呼ばれると人目を惹いてしまうと思うのです。
ですから……私の事は『サラ』と呼んでくださいませんか?」
いやはや、おっしゃる通り。手配中の身だし、いくらギルドカードに細工してもらったとは言え注目を集めるのは好ましくない。
「わかったよ」と納得の返事をすればサラの顔が花が咲いたように明るくなる。なになに?どういうこと?
「で、では私も貴方の事を《レイ》と呼んでもよろしいですか?」
あ、はい……どうぞご自由に?っつか、そんなこと断る必要あるのか?変な所で律儀なお姫さんだな。
何故だか分からないがモニカと二人で小さくガッツポーズしてる。まぁ、楽しそうだから気にしないでおこう。
「今夜の夕食はレイが作ると聞きました。私もお手伝いしてもいいですか?」
「あ、あぁ……良いけど、コレだぜ?」
俺が鞄からシビルボアを取り出すと意味を察したらしく サーッ とあからさまに顔が青くなる。まだ初日だろ?無理するなよ。
「気持ちだけ貰っておくよ。モニカ、やってみるか?」
「やるやるーっ」っと、張り切ってシビルボアの皮を剥ぎ始めたモニカの隣で技術指導をしながら見守る俺、その影に隠れながら見ちゃいけないものを見る目でなんとか慣れようと努力するサラの姿が在った。
背中に捕まり顔を出したり引っ込めたりと忙しい。時折「うっ」とか聞こえるが、そこまで無理してたらご飯食べられなくなるぞ?大丈夫かよ。
「サラ、頑張る君の気持ちは分かったけど、無理は良くないと思う。少しずつ慣れていけば良いんじゃないかな?」
「そうね」と言った彼女はそのまま俺の背中に額を押し付けて固まった。そんなに辛いの我慢してたのか、何を思ったか知らないけど極端な子だな。意地っ張りというか負けず嫌いというか。
一方のモニカはというと、ろくにやった事もなかったにも関わらず熱心に何度もナイフを通して続けて徐々に上手くなって来た。何をやらしても器用にこなす。モニカ、素敵!
「後は俺がやるよ」
初めてやったにしては綺麗に皮が剥がされ丸裸になったシビルボア、ナイフを受け取ると手際良く解体を始める。
それも覚えようと真剣な眼差しで見つめるモニカとその後ろに隠れてチラチラと見ているサラ。
「サラ、無理するなよ。コレットさんを手伝ってきたらどうだ?」
「わ、分かったわ」
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