Plasma_Network~プラズマネットワーク(アルファポリス版)

カチコミぱいせん

文字の大きさ
上 下
53 / 114
Chapter_2:コーズ&エフェクト

Note_43

しおりを挟む
 【フェニコプテラス】の下町にある【第2中央塔】にて、下院議員の【アブロ・ホルミウス】が次の取引相手と談話していた。

 今回の取引相手は、女性のみで形成されている5人組のチームであった。リーダーの隣で立っている1人が、テーブルを強く叩き、アブロに怒鳴り散らす。


「おい!この変態クソカマキモジジイ!

……姉貴にエロい目してたの知ってんだよ!それで上げねぇんなら、覚悟しておけよ!」

「ムッフフ……そう顔を赤くしないでくれたまえお嬢さん方、それとエロい目で悪かったね。

……でも、【サファイア】1つで取引しろって言われてもなぁ……純度も悪いし……装飾にしたって、貴族に鼻で笑われるっつーの。

上げるわけには、い か な い の。」

「……んだとゴルァ!!」

「やめろ!」


 リーダーが部下を諫める。そこに居合わせているのは、右腕の義手を破壊された大傷の女性であった。


「……礼儀を欠いて交渉なんざできねぇよ。それはお互い様だ。“お得意様”相手にこの体たらくじゃ、文句も言えねぇ。」

「ムッフフ~ン!チミも分かってきたようで、何よりだよぉ……【スザンナ】さん。」

「だがクソデブ……次ぃ胸を見たら政府関係者だろうが、三枚におろす。こういう時代に生まれてきたんだ。ヘマは許さん。」


 アブロ議員は電子タバコを吸おうとする。姉貴分のスザンナは脚でテーブルを叩き、議員を黙らせる。


「……そのタバコすぐ捨てろ。それ以上、使う素振り見せたら砂漠に埋めるぞ。」

「……タバコ1つでそんな……」

「いいな?」

「……ひん。」


 アブロ議員は渋々、電子タバコを部下に手渡した。だがビジネスは別であった。


「……でも、でかけりゃいいってもんじゃないのよ!せいぜい、Bランクの2150Uドルってとこじゃないの?

スザンナさんとは、何度も交渉した仲だけど……流石に、何か理由があるんじゃないの?もしくはど~しても聞きたいことがあるとか……。」

「………。」


 スザンナはひと呼吸置いてから、事情について話し始める。


「お前の耳にも届いているだろうが、上町の地球人の噂……何か手がかりとかあるか?」


 アブロ議員はしばらく考えてから答える。


「……無いよ。噂だけは聞いているけどね。地球人がこっちに来たとか、他にもいるとか……

もしそれが明らかになったら、ボクなら部下を潜入させて突き止めてやりたいけどね。」

「男子禁制だったんだろ。くだらねぇ……できなきゃ私達に任せてもいい。いつも通り報酬はいただくがな。」

「姉貴がいるなら、百人力だな!」


 メンバーが意気揚々とスザンナを持ち上げる。しかしアブロ議員の答えは、彼女達の望んだものではなかった。


「……流石に、噂を聞いてからじゃあ遅すぎるのよ。どんなに腕っぷしが良くてもね。」

「……何だと?」


 アブロ議員は、サファイアを入れた箱を閉ざして彼女達に返す。


「それに、ボクは既に……投資したのよ。」


_____


 姉弟は上町にある【第1中央塔】の地下の駐機場にて、地球の人達と一時的な退避を試みようとしている。エレベーターから降りた場所はB地下3階にあたり、下には広大な空間が見られる。

 レオは端末に表示されたマップを頼りに、先頭に立って集団を導く。真正面から外の光が漏れ出ている。


(入り口がでかいな……50mメートル以上の大型機体を格納してんのか?一応、警護的な口実で入れてるんだろうな。

道もやけに広い。貴族の機体となると、こうもデカブツを並べられると厄介だな。)


 レオは走り出す。皆も付いていく。目指すは地下のエレベーター。階段など存在しない。

 サドは次の行動をレオに伝える。


「僕1人で、B1階にある管制室に行ってここの機体を調達する。レオはみんなを連れてB4階で待ってて。」

「……1人で大丈夫か?」

「できる。その代わり、みんなをよろしくね。」

「分かったよ。」


 一旦サドと離れることになる。先にサドがエレベーターを使って扉を閉めた。ライラが心配していた。


「1人で向かわせて、大丈夫……?」

「静かだしな。みんな上に行って、人もいないと思う。でも、ここに敵が来るのも時間の問題だな。さっさと出ていくのが身のためだ。」


 レオ達はエレベーターを使って下に降りる。B4階は最下層ではなく、先ほど見たような広い空間でもない。その魂胆について、ライラが疑問に思う。


「あれ、もう1つ下じゃないの?」

「……事故らねぇようにするためだろ。安全確認次第、サドと下に向かう。」

「そっか……こっち側は結構暗いし……あんまり離れられないと思うけど……。」

「まあ、何かあったら端末で知らせるだろ。」

「………。」


 ライラは心配しながらも律儀に待つ。しばらく暇なので、レオに話しかける。


「レオさんって……サド君以外に仲間がいないんですか?」

「元々は大きなグループの1人だけど、他の人達が逃げ出したり、亡くなったりして……今は2人でやりくりしている。」

「2人で頑張って……偉いなぁ。結構大変じゃない?戦いとかもだけど、生活とか、資金繰りとか、こそ泥とか。」


 レオがため息をついて、ライラに答える。


「……あいつ、知識は持っているからな。今回ここに来たのも、サドから言ってきたことだったからな。

それにネットに繋がってるだろうから、生活知識とかも持っているようなもんだな。

泥棒とかも心配していたけど、でかい敵を倒したから一定期間は大丈夫とか……結構助かってるな。」

「んじゃあ、サド君がリーダーみたいな……」

「無いな。あいつは弱そうだからな。マークⅢにも舐められてるし、あいつ自身も自覚している。今回でもすぐ私を頼りにしてたし。」

「んじゃあ、あなたは?」

「集団が残した機体を受け継いで、そのパイロットを今やってる。大体の場所なり、決めてるのは私だけど、面倒くさい時はサドに全部任せてる。」

「……ここに来たのも、サド君に行き先を任せた感じ?」

「私は最初、行く気なかったんだけど。」


 レオは気軽に話しながら、待っていた。

 下から何かが来ている音がする。レオはその元を辿る。すると、1機の敵機体【Meteorメテオ_Coasterコースター】が自動操縦によって近くにやってくる。

 レジスタンス機はまだ来ないようだ。エレベーターがやってくる。サドが戻ってきた。


「……少し時間かかっちゃった。レジスタンス機はまだだけど、今のうちに下でみんなを居住コンテナに入れる。」

「コンテナで大丈夫なのか?」

「四角の球状緩衝型だから、咄嗟の移送には丁度いい代物さ。人も安心して入れる。」



 エレベーターに乗って下へと向かう。B4階からB5階までの距離が長く、若干退屈に感じた。



 扉が開くと機体とコンテナがあった。ライラはこのコンテナに見覚えがある。


「……はぁ……またこれに乗るなんてね。」

「でも、これで最後になるはず。」

「向こうに行って、後はしばらく匿うだけか。んじゃ、ちゃっちゃと終わらせてアニメでも見るか。」


 サドがコンテナを開けて、地球の人達を誘導する。このコンテナは後ろに付けて引っ張るタイプだ。下に球型キャスターが付いている。


「皆さん!このコンテナを使って移動します。走らず前から順番にお乗りください!」


 女性達はそれぞれ前から順番に乗る。ライラとオルガはサドに近づく。


「サド君。」

「サドお兄ちゃん。」

「構わず行ってください。レオを守ってくださったこと、とても感謝しています。後はお任せください。」

「こっちなんか……」

「ここを出てからにしましょう。まだ、終わっていないので。」

「………。」


 ライラは手を強く握りしめて、オルガを置いてコンテナに入る。


「お兄ちゃん……」


 オルガは俯く。サドは彼女を説得する。


「……僕は、地球のみんなとレオを守りたい。だからあのロボに乗って、みんなを後ろから守るのさ。

もし守りたいなら、さっきの様にお姉さん達を守るんだね。……また会いましょう。」


 サドの顔が向く方向に、オルガも自身の顔を向けた。コンテナの入り口である。彼の顔をもう一度見てから、オルガは早歩きで入っていった。

 最後に残ったのは、年長のテリーサであった。テリーサはレオに対して伝えたいことがいくつかある。


「あなたには、何とお礼を申せば……」

「まだ終わってねぇよ。」

「同じ地球の被害者であるライラを、救ってくれたのも、大事にしてくれたのも、あなた方がやったことなんでしょう……。

地球の者として、深く感謝申し上げます。お礼はどうすれば……」

「いいよ、別に。」

「いえ……」


 テリーサは彼女のために、何をすれば良いか分からなかった。何をプレゼントするべきか、何をしてあげるべきか、悩んでいた。

 レオがきっぱりと言う。


「……一番の礼は……“生き延びろ”。あんたらが本当に地球に帰りたいって思うなら、執着してでもこの場を切り抜けるんだ。」

「しかし!」


 レオは横にあるコンテナに親指を指した。


「あのコンテナは安全らしい。それはあんたらも知ってんだろ。

安全な場所にいてくれ。後は守る。あんたらが生きていてくれたら、また楽しく話もできるだろ。」


 レオは真面目な表情で、テリーサを見送る。彼女は一言だけレオに言う。


「レオさん!」

「………。」

「逃げ切れたらまた!」


 テリーサもコンテナに入っていった。サドが補助階段をしまい、コンテナを閉ざす。



 姉弟はレジスタンス機を待つ。壁を背にしてじっと待っていた。レオから話しかける。


「……あとどれぐらいだ?」

「そろそろだね。機体が侵入してから、警報が鳴り響くはず。レオはレジスタンス機に乗ってコンテナのみんなを運んでほしい。

僕は後方を見張る。もし、相手が強敵ならあの機体が呼べるはずさ。」

「あの機体って……何だよ。」


 サドはレオの顔を見て言う。


「……【ラグナロク】。端末で呼び出せるようにしている。」

「あいつか。大事な場面で使うよ。向こうにも“リソース”という概念があるらしいし。」

「相手も大型機体、生半可な攻撃が通じるとは思えない。敵がみんなに危害を加えるようなら存分に使ってもいいよ。レオのものだから。」

「……上等だよ。」


 レオも覚悟を決める。

 突然サイレンが駐機場に鳴り響き、場内が赤く染まっていく。アナウンスも同時に行われた。


『駐機場に侵入。機体は50mの大型。直ちに阻止せよ。繰り返す……』

「レジスタンス機が来るまで待っていて!」


 サドが走る。【Meteor_Coaster】のコクピットも梯子はしごのような側面から登って中に入る。カードが必要なドアだが、P-botピーボットの力で無理やり認証して開ける。

 機体は【オートマ】であり、ブレインチップを頭部に付けるだけで良いらしい。機体を起動させてコンテナを運ぼうとする。





『……そのコンテナで何を運んでいる。』





 その時、多くの機体がこの駐機場に姿を現す。それはまさしく、政府の機体に間違いなかった。【Polaris5G】、憎きロキが乗っていた機体だ。彼女の一言でサドは確信した。


(ロキの……側近だな?)


 【Polaris5G】に乗っているのは、【リネア・フューニス】……かつてロキに仕えていた側近である。事情を尋ねる。


『お前は誰だ。』

『……なるほどな。君が彼らを逃がそうと……なら好都合だな。』


 隣から【Polaris4G】が現れ、そこから男性の声が聞こえてくる。【ボレアリス】であった。背後にはサドと同様の【Meteor_Coaster】が4機あった。

 ボレアリスはサドに近寄る。


『……我々のために、尽くしてくれれば……褒美の一つや二つは与えてやろう。』


 サドは無言を通す。返事もしない。ボレアリスは更に話を進める。しかし、彼が透過技術によってコンテナ内の物を見破ってきた。


『………ッ!地球人だと!』

『逃がすつもりか?それとも献上するつもりか?譲ろうが譲るまいが、お前の存在は死に値する。逃がすと思うなよ。』


 フューニスが脅しをかける。

 サドは無言で待っていた。そんな彼にボレアリスは痺れを切らした。


『……いい加減、失せろ!』


 ボレアリスは武装の1つである、【フレアゲート】の銃口を向ける。その火力をサドは見ていた。すぐに腕を払って弾き飛ばす。

 炎が上に上がる。天井に届くはずもなくそのまま消えていく。その行為に、フューニスは許さなかった。


『まさか、手を出すとはな。そこまでして、死にたいようだな!』


 ボレアリスもまた彼を許さなかった。


『“楽園”の邪魔しやがって……醜く溶けろ!クソ野郎がッ!!』


 トリガーを引こうとした時、ボレアリスの機体に勢いよく別の機体が衝突してきた。

…レジスタンス機であった。サドは伝える。


『レオ!構わずコンテナを運んで!早く!』

「……分かった!」


 レオはすぐにレジスタンス機に乗り込む。それをフューニスの機体に搭載された武装、【合体剣】の小型機が光線で狙い撃つ。

 それをサドが自身の機体を張って守る。レオは急ぐ。機体を起動してレジスタンス機を動かす。コンテナの下から緊急用の頑丈な紐を引っ張り出して、下町の駐機場への道へ向かう。


『奴を追え!』


 フューニスは部下に指示を出す。サドはすぐにコンテナの背後を守る。全員が追いかけた。

 駐機場の門が開いている。レオは真っ直ぐそちらへ向かった。

 フューニスは容赦無く、小型機から光線を撃ち込む。サドは武装で火炎を放つも、敵の機体には耐性があった。


『逃がすかあアアァァァッッッ!!』


 フューニスは光線をサドの機体に命中する。サドの機体が爆ぜて、関門が爆炎で閉ざされた。

 敵は焼失物を確かめに近づく。フューニスは連絡を取る。


『関門を突破された。これから皆で向かう。絶対に奴らを取り逃がすな!』


 6機が総出でレオ達を追おうとするが、機体の燃料が炎を更に激しくさせ、門ごと包む大火事となっていた。

 根性でも通ろうとした瞬間に、ボレアリスが機体のカメラで1機の反応を受ける。


『なんだあれは……小さな機械……だと?』


 彼らの前に立ち塞がったのは、白黒で人並みに小さな機体、【P-bot_mk.Ⅲマークスリー】。無論、その存在を彼らは知らない。

 マークⅢは両翼にエネルギーの3枚羽を生み出して、本気でフューニス達との戦闘に挑む。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

3024年宇宙のスズキ

神谷モロ
SF
 俺の名はイチロー・スズキ。  もちろんベースボールとは無関係な一般人だ。  21世紀に生きていた普通の日本人。  ひょんな事故から冷凍睡眠されていたが1000年後の未来に蘇った現代の浦島太郎である。  今は福祉事業団体フリーボートの社員で、福祉船アマテラスの船長だ。 ※この作品はカクヨムでも掲載しています。

銀河戦国記ノヴァルナ 第3章:銀河布武

潮崎 晶
SF
最大の宿敵であるスルガルム/トーミ宙域星大名、ギィゲルト・ジヴ=イマーガラを討ち果たしたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、いよいよシグシーマ銀河系の覇権獲得へ動き出す。だがその先に待ち受けるは数々の敵対勢力。果たしてノヴァルナの運命は?

―異質― 激突の編/日本国の〝隊〟 その異世界を掻き回す重金奏――

EPIC
SF
日本国の戦闘団、護衛隊群、そして戦闘機と飛行場基地。続々異世界へ―― とある別の歴史を歩んだ世界。 その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。 第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる―― 大規模な演習の最中に異常現象に巻き込まれ、未知なる世界へと飛ばされてしまった、日本国陸隊の有事官〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟と、各職種混成の約1個中隊。 そこは、剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する世界であった。 そんな世界で手探りでの調査に乗り出した日本国隊。時に異世界の人々と交流し、時に救い、時には脅威となる存在と苛烈な戦いを繰り広げ、潜り抜けて来た。 そんな彼らの元へ、陸隊の戦闘団。海隊の護衛艦船。航空隊の戦闘機から果ては航空基地までもが、続々と転移合流して来る。 そしてそれを狙い図ったかのように、異世界の各地で不穏な動きが見え始める。 果たして日本国隊は、そして異世界はいかなる道をたどるのか。 未知なる地で、日本国隊と、未知なる力が激突する―― 注意事項(1 当お話は第2部となります。ですがここから読み始めても差して支障は無いかと思います、きっと、たぶん、メイビー。 注意事項(2 このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。 注意事項(3 部隊単位で続々転移して来る形式の転移物となります。 注意事項(4 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。かなりなんでも有りです。 注意事項(5 小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

処理中です...