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6.仲直り
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オディリアはベッドの上で小さく丸くなって泣いていた。大好きなイデリーナに嫌われてしまった。どうしたらいいのだろう。
扉をコンコンと叩く音がする。顔を上げて扉を見ると、そっと開いて隙間から目を真っ赤にしたイデリーナがこちらを見ている。オディリアと目が合った瞬間、イデリーナは走って部屋に入りベッドへ飛び乗った。そしてオディリアにしがみついて涙をぽろぽろと溢す。
「ごべんだざ~い゛。えっぐ……っ」
「ひっく、う……っ……」
よく分からないけど二人ともお互いにしがみついたまま泣き出してしまった。
「リーナ? ちゃんとリアとお話するんでしょう?」
暫くするとカロリーナ様が近づいてきて二人の背をあやすように撫でて、イデリーナに話しかけた。イデリーナは頷くと涙を拭いて真っ直ぐにオディリアの目を見た。
「リア。勝手な事言ってごめんなさい。さっきはお兄様のことをリアに八つ当たりしただけなの。リアはなんにも悪くないわ。……ごめんね……」
「リーナは私こと、嫌いになったんじゃないの? 私が悪い子だから……」
「リアが大好きなの。絶対に嫌いになんかならない……! リアは悪い子なんかじゃないよ。リアから大事なものを取る子が悪い子なの。もしまた何か取られたら、私が戦って取り返してあげる!」
イデリーナは真剣に味方になってくれた。オディリアのものを取るナディアが悪いとはじめて言ってくれた……。イデリーナに嫌われていないことが嬉しくてオディリアは声を上げて泣いた。そんな風に感情的に泣いたのは初めてだった。
「あ、あありがとう……。うえ~ん…………」
再び二人で泣き出して、カロリーナ様はやれやれと言う顔をしていたけどその瞳は僅かに潤んでいた。夕食では二人は目を真っ赤に腫らしたまま顔を見合わせては美味しいねと食事を楽しんだ。
その夜は二人で一緒に寝ることになりオディリアはイデリーナの部屋に枕を持って行った。大きなベッドに二人もそもそと動きながら横になる。
「リアの妹はどんな子なの?」
「とっても可愛いの。でも、私の持っているものを欲しがるの。最近はお土産とかプレゼントはお父様もお母様も最初から同じものを2個用意して渡してくれるんだけど……ナディアの欲しいものを聞いて買ってくるから私は欲しくないものだったりして少し悲しい」
「リアの欲しいものは聞いてくれないの?」
「うん。聞かれない」
イデリーナは深い溝を眉間に刻んで頬を目一杯膨らませてぷんぷん怒る。その顔がものすごく可愛くてオディリアはくすりと笑った。
「そんなのおかしいよ。もうリアはこのおうちの子になって、そっちのおうちには帰らないで! リーナとずっと一緒にいよう? ね!」
「うん。ありがとう」
そうできたらいいな。ブリューム公爵家の人がみんな大好きだ。ずっとここにいれたら幸せなのに、いつか帰らなければならない。それまではこの優しさの中にいさせて欲しいと願った。
そのとき体の上にポンと何かが乗っかる。二人顔を見合わせその場所を見るとマグが飛び乗り二人を見ている。そしてミーミーと鳴きながら二人の間に潜り込む。くすぐったくて温かい。マグの体温をイデリーナと抱きしめて眠りについた。
数日後、ディック様がイデリーナとオディリアにプレゼントの箱をくれた。
「お父様。なあに?」
「二人が初めて喧嘩して仲直りした記念のプレゼントだよ」
オディリアは気恥ずかしくて少し俯いた。
「もう、お父様ったら馬鹿にしているの?」
イデリーナは揶揄われたと感じて抗議する。ディック様はイデリーナの目線に屈むと優しく静かに言った。
「リーナ。私は真面目だよ。喧嘩は悪いことばかりじゃない。違う人間なら意見が違うのは当然だ。喧嘩になっても話し合い分かりあえてお互いを思いやることが出来たのなら素晴らしいことじゃないのかな? お父様はリーナにそれが出来たことが嬉しいよ。だからお祝いだ」
「はい。お父様。リアと仲直りできてよかったです。だから……プレゼント開けて見てもいい?」
抗議しながらもプレゼントが何か気になって仕方ないようだ。ディックはイデリーナの頭を撫でて笑いながらいいよと許可した。先にイデリーナが箱を開けてキャー!っとはしゃいだ。手を伸ばし取り出したのは大人気のプリンセス・レイチェルの人形だった。イデリーナは人形を抱きしめるとオディリアを見る。
「オディリアも早く開けて」
箱を開けるとイデリーナと同じプリンセス・レイチェルの人形が入っていた。恐る恐る取り出して抱きしめた。欲しかった人形が自分の為に用意されたことが嬉しくてお礼を言いたいのに言葉がうまく出てこない。オディリアが人形を抱きしめたのを見てイデリーナは自分の事のように嬉しそうに笑った。
「お父様。ありがとう。大好き!」
「どういたしまして。私もリーナが大好きだよ」
「ディック様。ありがとう、……ございます。すごく、嬉しいです」
オディリアは声を出した途端、何かが込み上げて涙が零れそうになった。なんとか堪えつっかえながらお礼を伝えた。
「どういたしまして。お気に召してもらえてよかったよ」
イデリーナとお揃いのプリンセス・レイチェル人形はオディリアの宝物になった。
扉をコンコンと叩く音がする。顔を上げて扉を見ると、そっと開いて隙間から目を真っ赤にしたイデリーナがこちらを見ている。オディリアと目が合った瞬間、イデリーナは走って部屋に入りベッドへ飛び乗った。そしてオディリアにしがみついて涙をぽろぽろと溢す。
「ごべんだざ~い゛。えっぐ……っ」
「ひっく、う……っ……」
よく分からないけど二人ともお互いにしがみついたまま泣き出してしまった。
「リーナ? ちゃんとリアとお話するんでしょう?」
暫くするとカロリーナ様が近づいてきて二人の背をあやすように撫でて、イデリーナに話しかけた。イデリーナは頷くと涙を拭いて真っ直ぐにオディリアの目を見た。
「リア。勝手な事言ってごめんなさい。さっきはお兄様のことをリアに八つ当たりしただけなの。リアはなんにも悪くないわ。……ごめんね……」
「リーナは私こと、嫌いになったんじゃないの? 私が悪い子だから……」
「リアが大好きなの。絶対に嫌いになんかならない……! リアは悪い子なんかじゃないよ。リアから大事なものを取る子が悪い子なの。もしまた何か取られたら、私が戦って取り返してあげる!」
イデリーナは真剣に味方になってくれた。オディリアのものを取るナディアが悪いとはじめて言ってくれた……。イデリーナに嫌われていないことが嬉しくてオディリアは声を上げて泣いた。そんな風に感情的に泣いたのは初めてだった。
「あ、あありがとう……。うえ~ん…………」
再び二人で泣き出して、カロリーナ様はやれやれと言う顔をしていたけどその瞳は僅かに潤んでいた。夕食では二人は目を真っ赤に腫らしたまま顔を見合わせては美味しいねと食事を楽しんだ。
その夜は二人で一緒に寝ることになりオディリアはイデリーナの部屋に枕を持って行った。大きなベッドに二人もそもそと動きながら横になる。
「リアの妹はどんな子なの?」
「とっても可愛いの。でも、私の持っているものを欲しがるの。最近はお土産とかプレゼントはお父様もお母様も最初から同じものを2個用意して渡してくれるんだけど……ナディアの欲しいものを聞いて買ってくるから私は欲しくないものだったりして少し悲しい」
「リアの欲しいものは聞いてくれないの?」
「うん。聞かれない」
イデリーナは深い溝を眉間に刻んで頬を目一杯膨らませてぷんぷん怒る。その顔がものすごく可愛くてオディリアはくすりと笑った。
「そんなのおかしいよ。もうリアはこのおうちの子になって、そっちのおうちには帰らないで! リーナとずっと一緒にいよう? ね!」
「うん。ありがとう」
そうできたらいいな。ブリューム公爵家の人がみんな大好きだ。ずっとここにいれたら幸せなのに、いつか帰らなければならない。それまではこの優しさの中にいさせて欲しいと願った。
そのとき体の上にポンと何かが乗っかる。二人顔を見合わせその場所を見るとマグが飛び乗り二人を見ている。そしてミーミーと鳴きながら二人の間に潜り込む。くすぐったくて温かい。マグの体温をイデリーナと抱きしめて眠りについた。
数日後、ディック様がイデリーナとオディリアにプレゼントの箱をくれた。
「お父様。なあに?」
「二人が初めて喧嘩して仲直りした記念のプレゼントだよ」
オディリアは気恥ずかしくて少し俯いた。
「もう、お父様ったら馬鹿にしているの?」
イデリーナは揶揄われたと感じて抗議する。ディック様はイデリーナの目線に屈むと優しく静かに言った。
「リーナ。私は真面目だよ。喧嘩は悪いことばかりじゃない。違う人間なら意見が違うのは当然だ。喧嘩になっても話し合い分かりあえてお互いを思いやることが出来たのなら素晴らしいことじゃないのかな? お父様はリーナにそれが出来たことが嬉しいよ。だからお祝いだ」
「はい。お父様。リアと仲直りできてよかったです。だから……プレゼント開けて見てもいい?」
抗議しながらもプレゼントが何か気になって仕方ないようだ。ディックはイデリーナの頭を撫でて笑いながらいいよと許可した。先にイデリーナが箱を開けてキャー!っとはしゃいだ。手を伸ばし取り出したのは大人気のプリンセス・レイチェルの人形だった。イデリーナは人形を抱きしめるとオディリアを見る。
「オディリアも早く開けて」
箱を開けるとイデリーナと同じプリンセス・レイチェルの人形が入っていた。恐る恐る取り出して抱きしめた。欲しかった人形が自分の為に用意されたことが嬉しくてお礼を言いたいのに言葉がうまく出てこない。オディリアが人形を抱きしめたのを見てイデリーナは自分の事のように嬉しそうに笑った。
「お父様。ありがとう。大好き!」
「どういたしまして。私もリーナが大好きだよ」
「ディック様。ありがとう、……ございます。すごく、嬉しいです」
オディリアは声を出した途端、何かが込み上げて涙が零れそうになった。なんとか堪えつっかえながらお礼を伝えた。
「どういたしまして。お気に召してもらえてよかったよ」
イデリーナとお揃いのプリンセス・レイチェル人形はオディリアの宝物になった。
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