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7.レナーテ(5)
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お父様とお母様と屋敷を出て港へ向かう。もうここに戻ることはない。未練を断ち切るために早めに船に乗り込む。夜になり出港の時間が来た。薄暗い中、港をじっと見る。
(探したってリュークがいるはずない。今頃フェリシア様と一緒にいるに決まっている)
船が動き出すとあっという間に港が見えなくなる。お父様とお母様には気持ちの整理をするために少しの時間一人で過ごしたいと頼み甲板にいる。
空を見上げれば満天の星が輝いている。いつかの、幼い日にリュークと将来を約束した時のように綺麗な星空だ。笑って過ごした日々を思い出すと切なく胸が軋む。あの時、二人で見た星空を私は今たった一人で見上げている。
船はマーセン王国へ向かう。お兄様が先に行ってこれからの生活のための準備しているのでマーセン王国に着けばすぐに快適な暮らしができるだろう。マーセン王国なら言葉も文字も分かるし、お祖父様からたくさんの人を紹介してもらっていたので、私にとってあの国は第二の故郷のようなものだ。この国より気風もあうからきっと楽しく暮らせる。
でも――リュークはいない。
今まで私は何度もお祖父様に連れられリュークと船で旅をした。船に乗る時は必ずリュークが一緒だった。
寂しい。悲しい。そして彼を諦めてしまった自分自身が悔しい。こんな気持ちになるのならあの時自分から駆け寄ってリュークを連れて逃げてしまえばよかった。思い出すと視界がぼんやりと歪む。涙が瞳から零れ出しそうになる。
夜の海で見る星空は近く感じる。あまりにも明るくて落ちてきそう。今まで私は何度もリュークと美しい星空を眺めてきた。これからもずっと続くはずだった。
今甲板にはほとんど人がいない。私はモヤモヤする気持ちを大きな声を出して発散することにした。どんな言葉も波が掻き消してくれる。
「リュークの馬鹿! せめて一発殴らせなさいよ。それで許してあげるから。本当は私以外の人と幸せになるなんて許せないけど、でもフェリシア様との幸せを祈ってあげる……のはどう考えても無理。でも、リュークに不幸になって欲しいとは絶対に思えない。私はリュークが好きなの。どうしようもなく好きなの――!」
私の声は誰にも聞かれず海へと消えていく……はずだった。
「私もレナーテが好きだよ」
応えるように耳馴染みのある優しい声が波音を超えて耳に届く。振り返るとそこにはリュークが微笑んで立っていた。でも服は平民が着る地味なもので長く美しい金髪は首元でバッサリと切られている。
「うそ……本物のリューク? 髪はどうしたの? その格好は?」
「酷いな。レナーテは私が本物かどうか見分けられないのかい?」
「見分けられるに決まってる! でも信じられない。だってリュークはフェリシア様を選んだのでしょう? 公爵家に婿入りするんでしょう?」
「私はそんなことを言った覚えはないよ?」
「そうだけど。私に会いに来てくれなかったし、リュークは今日私に気付いたのに無視したわ」
「うん。ごめん。でもあのときはそうするしかなかったんだ。仕方ないとはいえレナーテを傷つけてしまった。だから一発、いいや気が済むまで殴って、それで許して欲しい」
私は顔を真っ赤にした。波の音で誤魔化せていたらよかったのに全部リュークに聞かれていたようだ。私はどんなに怒っていてもリュークを殴ったりしない。
「仕方ないから一度だけ、一度だけなら許してあげる。でもいいの? 私はもうこの国には戻らないわ」
「私も戻らないよ」
リュークは未練などなさそうにあっさりと言う。
「ねえ。リューク。もしかしたらこれって駆け落ちじゃない?」
「そうだね。駆け落ちだ」
私たちは顔を見合わせて笑った。将来を誓い合った恋人たちがすべてを捨てて逃げていく。大変なことなのにロマンティックだなんて思ってしまった。
「いいの? 本当に私を選んでくれるの? 私の顔にはそばかすがあって全然美人じゃないわ」
「レナーテは誰よりもかわいいよ。私は君のそばかすが大好きなんだ」
「健康なのが取柄なだけの女で、料理もできないし」
「貴族は自ら料理をする機会がないからね。私だって出来ないよ。出来ないことは一緒に学ぼう。それに健康な体さえあればどこでも生きていける。それが一番だと思わないかい?」
「そうだけど。でも……私の家は爵位を売ってしまったからもう貴族じゃない。リュークとの婚約も解消されてしまったし」
「父が勝手にレナーテとの婚約を解消してしまったが私は受け入れていない。だけど私も家も国も捨てたから貴族じゃなくなった。そんな男は嫌かい?」
「嫌なわけない! 私はリュークが好きなの」
「私もレナーテが好きだ。私と駆け落ちしてくれるかい?」
私の瞳には涙がたまり、そして溢れ出し頬を濡らす。これは喜びの涙だ。
「……いいわ。する! 駆け落ちするわ」
リュークが破顔して私を抱き締めた。リュークの胸に顔を埋め私も彼の背に手を回した。
「私はレナーテを愛している。だからどんなことをしても幸せにする」
「私だってリュークを愛しているわ。だから私もリュークを幸せにする」
まるで昔将来を誓ったあの時のように、再び私たちは星空の下でこれから先の未来を約束した。
(探したってリュークがいるはずない。今頃フェリシア様と一緒にいるに決まっている)
船が動き出すとあっという間に港が見えなくなる。お父様とお母様には気持ちの整理をするために少しの時間一人で過ごしたいと頼み甲板にいる。
空を見上げれば満天の星が輝いている。いつかの、幼い日にリュークと将来を約束した時のように綺麗な星空だ。笑って過ごした日々を思い出すと切なく胸が軋む。あの時、二人で見た星空を私は今たった一人で見上げている。
船はマーセン王国へ向かう。お兄様が先に行ってこれからの生活のための準備しているのでマーセン王国に着けばすぐに快適な暮らしができるだろう。マーセン王国なら言葉も文字も分かるし、お祖父様からたくさんの人を紹介してもらっていたので、私にとってあの国は第二の故郷のようなものだ。この国より気風もあうからきっと楽しく暮らせる。
でも――リュークはいない。
今まで私は何度もお祖父様に連れられリュークと船で旅をした。船に乗る時は必ずリュークが一緒だった。
寂しい。悲しい。そして彼を諦めてしまった自分自身が悔しい。こんな気持ちになるのならあの時自分から駆け寄ってリュークを連れて逃げてしまえばよかった。思い出すと視界がぼんやりと歪む。涙が瞳から零れ出しそうになる。
夜の海で見る星空は近く感じる。あまりにも明るくて落ちてきそう。今まで私は何度もリュークと美しい星空を眺めてきた。これからもずっと続くはずだった。
今甲板にはほとんど人がいない。私はモヤモヤする気持ちを大きな声を出して発散することにした。どんな言葉も波が掻き消してくれる。
「リュークの馬鹿! せめて一発殴らせなさいよ。それで許してあげるから。本当は私以外の人と幸せになるなんて許せないけど、でもフェリシア様との幸せを祈ってあげる……のはどう考えても無理。でも、リュークに不幸になって欲しいとは絶対に思えない。私はリュークが好きなの。どうしようもなく好きなの――!」
私の声は誰にも聞かれず海へと消えていく……はずだった。
「私もレナーテが好きだよ」
応えるように耳馴染みのある優しい声が波音を超えて耳に届く。振り返るとそこにはリュークが微笑んで立っていた。でも服は平民が着る地味なもので長く美しい金髪は首元でバッサリと切られている。
「うそ……本物のリューク? 髪はどうしたの? その格好は?」
「酷いな。レナーテは私が本物かどうか見分けられないのかい?」
「見分けられるに決まってる! でも信じられない。だってリュークはフェリシア様を選んだのでしょう? 公爵家に婿入りするんでしょう?」
「私はそんなことを言った覚えはないよ?」
「そうだけど。私に会いに来てくれなかったし、リュークは今日私に気付いたのに無視したわ」
「うん。ごめん。でもあのときはそうするしかなかったんだ。仕方ないとはいえレナーテを傷つけてしまった。だから一発、いいや気が済むまで殴って、それで許して欲しい」
私は顔を真っ赤にした。波の音で誤魔化せていたらよかったのに全部リュークに聞かれていたようだ。私はどんなに怒っていてもリュークを殴ったりしない。
「仕方ないから一度だけ、一度だけなら許してあげる。でもいいの? 私はもうこの国には戻らないわ」
「私も戻らないよ」
リュークは未練などなさそうにあっさりと言う。
「ねえ。リューク。もしかしたらこれって駆け落ちじゃない?」
「そうだね。駆け落ちだ」
私たちは顔を見合わせて笑った。将来を誓い合った恋人たちがすべてを捨てて逃げていく。大変なことなのにロマンティックだなんて思ってしまった。
「いいの? 本当に私を選んでくれるの? 私の顔にはそばかすがあって全然美人じゃないわ」
「レナーテは誰よりもかわいいよ。私は君のそばかすが大好きなんだ」
「健康なのが取柄なだけの女で、料理もできないし」
「貴族は自ら料理をする機会がないからね。私だって出来ないよ。出来ないことは一緒に学ぼう。それに健康な体さえあればどこでも生きていける。それが一番だと思わないかい?」
「そうだけど。でも……私の家は爵位を売ってしまったからもう貴族じゃない。リュークとの婚約も解消されてしまったし」
「父が勝手にレナーテとの婚約を解消してしまったが私は受け入れていない。だけど私も家も国も捨てたから貴族じゃなくなった。そんな男は嫌かい?」
「嫌なわけない! 私はリュークが好きなの」
「私もレナーテが好きだ。私と駆け落ちしてくれるかい?」
私の瞳には涙がたまり、そして溢れ出し頬を濡らす。これは喜びの涙だ。
「……いいわ。する! 駆け落ちするわ」
リュークが破顔して私を抱き締めた。リュークの胸に顔を埋め私も彼の背に手を回した。
「私はレナーテを愛している。だからどんなことをしても幸せにする」
「私だってリュークを愛しているわ。だから私もリュークを幸せにする」
まるで昔将来を誓ったあの時のように、再び私たちは星空の下でこれから先の未来を約束した。
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