24 / 33
24.決死のプロポーズ
しおりを挟む
フレデリックは仕事を調整してアンが来る日は必ず店にいられるようにした。ダイナは何も言わないがニヤニヤとこちらを見ていて何を考えているか丸わかりだ。
フレデリックはアンの警戒心を解くことが先決だと考えた。ただのお使い先の店の人間に込み入った事情のある身の上話など出来るはずがない。もしカーソン侯爵家で辛い目に合っているなら助け出したい。密かにカーソン侯爵家について調査を始めた。だが思うような話を聞くことは出来なかった。たいてい使用人は働き先の愚痴をどこかでこぼすはずなのに、カーソン家の使用人は結束が固く不用意な噂話をする人間はいなかった。アンの事情を探ることに失敗していた。
この国に出店したばかりで商売を軌道に乗せることを先決にしていたので、情報網の構築が出来ていなかった。これは今後の課題だが、それよりもアンのことだ。彼女を守るためには事情を詳しく知りたい。
そんな時、納品のために訪れた男爵家の娘に付き纏われるようになった。その令嬢はファニーといって下品だと感じるほどの甘ったるい香水を纏わせている。側に寄られると吐き気が込み上げる。媚びるように腕にしがみつき胸を押し付ける。貴族令嬢としての嗜みはないのかと不快になり眉を寄せる。
一緒に出掛けたいと言い出したのでやんわりと断る。どうやら平民であることを気兼ねしていると思われた。なぜか令嬢たちは誘いを断られると自分の都合のいいように解釈する。今までもファニーのような反応する女性は多くいた。自国ではフレデリックがシャイで遠慮していると解釈された。たぶん顔がなよなよしているせいだろう。フレデリックは密かに母親似の顔がコンプレックスだった。男なので綺麗と言われても嬉しく感じない。
とにかく言い寄ってくる女性に対し単に興味が持てないだけだが、ファニーにしろ自分が嫌われているという単純な答えを微塵も考えない。そういう女性たちの自分は愛されて当然という考えが好きになれない。
アンと会う時間はフレデリックにとって癒しだ。彼女といる空間は清浄で聖域にいるようだった。アンは慎み深く思いやりがある。ダイナとの接し方でそれが分かる。それでいて簡単には人に甘えない意志の強さもある。話をすれば前向きな考え方をするところも好ましい。
いつしかアンがフレデリックと目が合うとはにかみ目を伏せるようになる。そして少しだけ頬が朱に染まる。自分は期待してもいいのだろうか。フレデリックと同じ気持ちをアンも抱いてくれていると。
きっと彼女を迎えるには解決しなければならない問題がある。まだそれを探れていない。それならばこの想いを彼女に伝え、アンから話を聞いて手を打つのが最善だ。だが彼女は固く口を閉ざす。それならば自分でその問題を洗い出さなければならない。
商売を続けるなら商品以上に情報を手に入れることが必要だ。外国人であるフレデリックが参入してきたことに危機感を覚える商人も多い。商人は一見大らかに見えるが用心深いものだ。
じりじりと焦る気持ちの中、フレデリックは一度国に帰り妹の夫であり義理の弟であるジョシュア・フィンレー公爵と共同開発したチョコレートを取りに戻った。自国の王都に構えたお店の開店は来週だ。ジョシュアの伝手で王家や高位貴族に試食品を贈ったが、評判がよくすでに注文が殺到している。予約の対応に追われながら店舗に並ぶ分の確保に苦心している。品切れにはしたくない。職人を多く雇用したにもかかわらず予想以上の反響に口角が上がる。この状態が一過性にならないように長期的に飽きさせない商品の提供を考えなければならない。フレデリックは更なる開発に頭を悩ませているが、ジョシュアはシャルロッテの喜ぶ顔を継続させることしか考えていない。だがそれがいいのかもしれないと最近思う。ジョシュア曰く「妻が喜ばない商品など売れるはずがない」だ。
このチョコレートを渡したらアンは喜んでくれるだろうか。彼女に「美味しい」と言わせたい。ジョシュアの気持ちを初めて理解出来た気がする。
アンにチョコレートを見せれば目を真ん丸にして見つめていた。どこか幼げに見えるその表情も愛おしい。口に入れ咀嚼すれば頬を押さえ蕩けそうな顔をする。
(ああ、可愛いな)
フレデリックは思いのままアンに告白した。だが彼女は困惑し言葉を詰まらせた。
(私は失敗したのか? 彼女に好かれていると自惚れていたのか……)
死刑宣告を待つように彼女が口を開くのをじっと待つ。
そのとき男爵令嬢がずかずかと部屋に乱入してきた。招いてもいなければ断りもなく入ってくる。非常識な振る舞いだという自覚はないのか。内心で舌打ちし丁重に挨拶をする。フレデリックが商人としてどこまで我慢して対応できるか自信がなかった。よりによって最悪のタイミングだ。ちらりとアンを見れば口を引き結んで男爵令嬢を見ていた。告白してきた男が目の前で他の女性に言い寄られていたら不愉快だろう。
これ以上、誤解をされてはかなわない。今回は仕方なくファニーと一緒に男爵家に行って正式に縁談を断ってくることにした。男爵家は火の車でうちの商会で買い物できる状態じゃない。男爵は娘を使ってフレデリックを篭絡させ金を無心する心づもりのようだ。浅はかすぎて笑える。ファニーに自分が靡くと思われていることが腹立たしい。
男爵に会いきっぱりとファニーとのことを断った。食い下がってきたので男爵が違法賭博に関わっていることを耳打ちし、バラされたくないなら金輪際近づくなと釘を刺す。その情報はたまたま手にしたものだったが役に立った。娘にも言い含めることを忘れず伝えた。
その後、アンに返事を聞いたが彼女は泣きそうな顔で断ってきた。嫌いなのかと問いかければ即座に違うと言う。揺れる瞳にはフレデリックへの思慕を感じる。
(自惚れじゃないはずだ。彼女の心を縛るのは一体なんだ?)
こんなことでは諦めることは到底できない。僅かでも望みがあるのならアンを自分が幸せにしたい。
「申し訳ないが私は諦めが悪い。あなたが私を嫌いでないならまだチャンスはあると思っている。あなたに好きになってもらえるように努力するので覚悟してください」
「っ……リックさん……」
アンはそれを嫌だとは言わなかった。それこそが彼女の返事だと思うことにした。それ以降も彼女の心の負担にならないように、それでも自分はアンを想っていることを伝えた。
彼女はいつも口を開きかけるが躊躇い思い留まってしまう。そして困ったように笑う。
(彼女を心から笑わせたい。幸せにしたい。まずはカーソン侯爵家から解放しなければ)
アンの事情が掴めない以上、自分でカーソン侯爵家を調べることにした。まずフレデリックは夜会に出てカーソン侯爵夫妻の様子を観察し接触することも考えていたのだが……。
出席した夜会でアンを見つけた。彼女はしっとりとした憂い顔で佇んでいた。深紅のドレスはデコルテが開いていて煽情的だ。会場にいる男がチラチラと彼女を見ている。衝動的に「見るな」と叫び出しそうになるが堪えた。男どもの視線が酷く腹立たしかった。
しばらくするとウイルソン公爵家のヒューゴと踊り始めた。ヒューゴとフレデリックは仕事で関わることがあり友人関係にあった。友人とはいえアンと踊る姿に嫉妬で苛立つ。顔を寄せ話をする姿をイライラと見つめる。あとでヒューゴを呼び出さなくては。短いはずのダンスの一曲の時間がいやに長く感じる。ようやく二人が踊り終わったのですかさずアンに声をかけた。
「アンさん?」
「リックさん?」
「ああ、やはりアンさんだった。なぜここに?」
目を伏せたアンに咄嗟に手を差し出しダンスに誘う。距離を取っているがダンスを申し込もうとしている男が数人こちらを見ている。フレデリックが離れればすぐに声をかけるに違いない。そんなことはさせたくないと牽制するように睨みを利かせた。アンには柔らかい笑みを向ける。
「一曲踊って頂けますか?」
アンは顔を上げ思い切ったようにフレデリックの手を取った。
「はい」
「レディ。お名前を伺っても?」
「ジリアン……ジリアン・カーソンと申します」
「カーソン侯爵家のご令嬢?」
「……はい。事情があってメイドとして働いていますが私は貴族籍に入っています。リックさんは何故ここに?」
カーソン侯爵の娘はイヴリン一人だと記憶している。どういうことだ。
踊りながらジリアンを見つめる。彼女の瞳に自分が映っている。そう思うと胸の中が満たされていく。今は詳しいことは聞かずにダンスを楽しむことにした。ジリアンの動きは優雅でステップは軽やかだ。彼女は貴族としての教養を持っていると確信した。
ダンスが終わるとカーソン侯爵夫人に咎められ、ジリアンは屋敷に帰るように命じられた。
この夜会はヒューゴの家のウイルソン公爵家主催だ。ジリアンの背中を見送るとヒューゴを探し出し話があるから時間が欲しいと頼めば、彼もフレデリックに頼みがあるからと自室へ案内された。
フレデリックはアンの警戒心を解くことが先決だと考えた。ただのお使い先の店の人間に込み入った事情のある身の上話など出来るはずがない。もしカーソン侯爵家で辛い目に合っているなら助け出したい。密かにカーソン侯爵家について調査を始めた。だが思うような話を聞くことは出来なかった。たいてい使用人は働き先の愚痴をどこかでこぼすはずなのに、カーソン家の使用人は結束が固く不用意な噂話をする人間はいなかった。アンの事情を探ることに失敗していた。
この国に出店したばかりで商売を軌道に乗せることを先決にしていたので、情報網の構築が出来ていなかった。これは今後の課題だが、それよりもアンのことだ。彼女を守るためには事情を詳しく知りたい。
そんな時、納品のために訪れた男爵家の娘に付き纏われるようになった。その令嬢はファニーといって下品だと感じるほどの甘ったるい香水を纏わせている。側に寄られると吐き気が込み上げる。媚びるように腕にしがみつき胸を押し付ける。貴族令嬢としての嗜みはないのかと不快になり眉を寄せる。
一緒に出掛けたいと言い出したのでやんわりと断る。どうやら平民であることを気兼ねしていると思われた。なぜか令嬢たちは誘いを断られると自分の都合のいいように解釈する。今までもファニーのような反応する女性は多くいた。自国ではフレデリックがシャイで遠慮していると解釈された。たぶん顔がなよなよしているせいだろう。フレデリックは密かに母親似の顔がコンプレックスだった。男なので綺麗と言われても嬉しく感じない。
とにかく言い寄ってくる女性に対し単に興味が持てないだけだが、ファニーにしろ自分が嫌われているという単純な答えを微塵も考えない。そういう女性たちの自分は愛されて当然という考えが好きになれない。
アンと会う時間はフレデリックにとって癒しだ。彼女といる空間は清浄で聖域にいるようだった。アンは慎み深く思いやりがある。ダイナとの接し方でそれが分かる。それでいて簡単には人に甘えない意志の強さもある。話をすれば前向きな考え方をするところも好ましい。
いつしかアンがフレデリックと目が合うとはにかみ目を伏せるようになる。そして少しだけ頬が朱に染まる。自分は期待してもいいのだろうか。フレデリックと同じ気持ちをアンも抱いてくれていると。
きっと彼女を迎えるには解決しなければならない問題がある。まだそれを探れていない。それならばこの想いを彼女に伝え、アンから話を聞いて手を打つのが最善だ。だが彼女は固く口を閉ざす。それならば自分でその問題を洗い出さなければならない。
商売を続けるなら商品以上に情報を手に入れることが必要だ。外国人であるフレデリックが参入してきたことに危機感を覚える商人も多い。商人は一見大らかに見えるが用心深いものだ。
じりじりと焦る気持ちの中、フレデリックは一度国に帰り妹の夫であり義理の弟であるジョシュア・フィンレー公爵と共同開発したチョコレートを取りに戻った。自国の王都に構えたお店の開店は来週だ。ジョシュアの伝手で王家や高位貴族に試食品を贈ったが、評判がよくすでに注文が殺到している。予約の対応に追われながら店舗に並ぶ分の確保に苦心している。品切れにはしたくない。職人を多く雇用したにもかかわらず予想以上の反響に口角が上がる。この状態が一過性にならないように長期的に飽きさせない商品の提供を考えなければならない。フレデリックは更なる開発に頭を悩ませているが、ジョシュアはシャルロッテの喜ぶ顔を継続させることしか考えていない。だがそれがいいのかもしれないと最近思う。ジョシュア曰く「妻が喜ばない商品など売れるはずがない」だ。
このチョコレートを渡したらアンは喜んでくれるだろうか。彼女に「美味しい」と言わせたい。ジョシュアの気持ちを初めて理解出来た気がする。
アンにチョコレートを見せれば目を真ん丸にして見つめていた。どこか幼げに見えるその表情も愛おしい。口に入れ咀嚼すれば頬を押さえ蕩けそうな顔をする。
(ああ、可愛いな)
フレデリックは思いのままアンに告白した。だが彼女は困惑し言葉を詰まらせた。
(私は失敗したのか? 彼女に好かれていると自惚れていたのか……)
死刑宣告を待つように彼女が口を開くのをじっと待つ。
そのとき男爵令嬢がずかずかと部屋に乱入してきた。招いてもいなければ断りもなく入ってくる。非常識な振る舞いだという自覚はないのか。内心で舌打ちし丁重に挨拶をする。フレデリックが商人としてどこまで我慢して対応できるか自信がなかった。よりによって最悪のタイミングだ。ちらりとアンを見れば口を引き結んで男爵令嬢を見ていた。告白してきた男が目の前で他の女性に言い寄られていたら不愉快だろう。
これ以上、誤解をされてはかなわない。今回は仕方なくファニーと一緒に男爵家に行って正式に縁談を断ってくることにした。男爵家は火の車でうちの商会で買い物できる状態じゃない。男爵は娘を使ってフレデリックを篭絡させ金を無心する心づもりのようだ。浅はかすぎて笑える。ファニーに自分が靡くと思われていることが腹立たしい。
男爵に会いきっぱりとファニーとのことを断った。食い下がってきたので男爵が違法賭博に関わっていることを耳打ちし、バラされたくないなら金輪際近づくなと釘を刺す。その情報はたまたま手にしたものだったが役に立った。娘にも言い含めることを忘れず伝えた。
その後、アンに返事を聞いたが彼女は泣きそうな顔で断ってきた。嫌いなのかと問いかければ即座に違うと言う。揺れる瞳にはフレデリックへの思慕を感じる。
(自惚れじゃないはずだ。彼女の心を縛るのは一体なんだ?)
こんなことでは諦めることは到底できない。僅かでも望みがあるのならアンを自分が幸せにしたい。
「申し訳ないが私は諦めが悪い。あなたが私を嫌いでないならまだチャンスはあると思っている。あなたに好きになってもらえるように努力するので覚悟してください」
「っ……リックさん……」
アンはそれを嫌だとは言わなかった。それこそが彼女の返事だと思うことにした。それ以降も彼女の心の負担にならないように、それでも自分はアンを想っていることを伝えた。
彼女はいつも口を開きかけるが躊躇い思い留まってしまう。そして困ったように笑う。
(彼女を心から笑わせたい。幸せにしたい。まずはカーソン侯爵家から解放しなければ)
アンの事情が掴めない以上、自分でカーソン侯爵家を調べることにした。まずフレデリックは夜会に出てカーソン侯爵夫妻の様子を観察し接触することも考えていたのだが……。
出席した夜会でアンを見つけた。彼女はしっとりとした憂い顔で佇んでいた。深紅のドレスはデコルテが開いていて煽情的だ。会場にいる男がチラチラと彼女を見ている。衝動的に「見るな」と叫び出しそうになるが堪えた。男どもの視線が酷く腹立たしかった。
しばらくするとウイルソン公爵家のヒューゴと踊り始めた。ヒューゴとフレデリックは仕事で関わることがあり友人関係にあった。友人とはいえアンと踊る姿に嫉妬で苛立つ。顔を寄せ話をする姿をイライラと見つめる。あとでヒューゴを呼び出さなくては。短いはずのダンスの一曲の時間がいやに長く感じる。ようやく二人が踊り終わったのですかさずアンに声をかけた。
「アンさん?」
「リックさん?」
「ああ、やはりアンさんだった。なぜここに?」
目を伏せたアンに咄嗟に手を差し出しダンスに誘う。距離を取っているがダンスを申し込もうとしている男が数人こちらを見ている。フレデリックが離れればすぐに声をかけるに違いない。そんなことはさせたくないと牽制するように睨みを利かせた。アンには柔らかい笑みを向ける。
「一曲踊って頂けますか?」
アンは顔を上げ思い切ったようにフレデリックの手を取った。
「はい」
「レディ。お名前を伺っても?」
「ジリアン……ジリアン・カーソンと申します」
「カーソン侯爵家のご令嬢?」
「……はい。事情があってメイドとして働いていますが私は貴族籍に入っています。リックさんは何故ここに?」
カーソン侯爵の娘はイヴリン一人だと記憶している。どういうことだ。
踊りながらジリアンを見つめる。彼女の瞳に自分が映っている。そう思うと胸の中が満たされていく。今は詳しいことは聞かずにダンスを楽しむことにした。ジリアンの動きは優雅でステップは軽やかだ。彼女は貴族としての教養を持っていると確信した。
ダンスが終わるとカーソン侯爵夫人に咎められ、ジリアンは屋敷に帰るように命じられた。
この夜会はヒューゴの家のウイルソン公爵家主催だ。ジリアンの背中を見送るとヒューゴを探し出し話があるから時間が欲しいと頼めば、彼もフレデリックに頼みがあるからと自室へ案内された。
10
お気に入りに追加
493
あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。

別に要りませんけど?
ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」
そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。
「……別に要りませんけど?」
※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。
※なろうでも掲載中
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
いつか彼女を手に入れる日まで
月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?

【完結】旦那様、お飾りですか?
紫崎 藍華
恋愛
結婚し新たな生活に期待を抱いていた妻のコリーナに夫のレックスは告げた。
社交の場では立派な妻であるように、と。
そして家庭では大切にするつもりはないことも。
幸せな家庭を夢見ていたコリーナの希望は打ち砕かれた。
そしてお飾りの妻として立派に振る舞う生活が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる