5 / 5
5.新しい人生
しおりを挟む
「ひゃっほう~!」
「ルシンダったら浮かれ過ぎよ。ひゃっほうって本当に言う人初めて見たわ」
「人は幸せのあまりに意外な言葉を発することがあるのよ!」
コーデリア改めルシンダは無事に出国して今は船の上である。
喜びのあまりに叫んでしまったが、自分はもう貴族ではなく平民だ。マナーなど気にしないと開き直った。船上で海風にあたり、自由を手にした幸せを全身で受け止めている。過ごす部屋は一等室が用意され人生初の船旅は最高に快適で素晴らしいものだ。
公爵邸を抜け出して船の上で過ごして3日目になる。目的の国まではあと10日はかかるので旅を満喫できそうだ。ルシンダの目の前にはダーナとダーナの弟のバリーが微笑ましそうに自分を見ている。
あのとき公爵邸の寝室の窓を開ければ、長梯子を登ってきたバリーがいた。バリーに目を丸くするルシンダに彼はニッコリと笑い大きな手を差し出した。まるでお城の塔に閉じ込められたお姫さまを救いに来た騎士さながらに。
ルシンダはその笑顔に泣きたくなるほど安堵した。そしてその手を取って静かに寝室を抜け出した。公爵邸の裏側に簡素な馬車が止まっており、中ではダーナが昨日執事から受け取った書類やお金、荷物を持って待っていた。
「ああ、コーデリア様。ご無事でよかった。あの男のことだからこんなことになるかも知れないとバリーを待機させておいてよかったです」
すぐさま乗り込み馬車を全速力で走らせ、エイベルに捕まることなく無事に船に乗ることが出来た。
バリーはエイベルがコーデリアに買い物をさせてくれるために唯一屋敷に入ることを許した商人で、ダーナの1歳下の弟でもある。
そして二人はコーデリアの知り合いというか幼馴染でもあった。二人は大きな商家の子供で、商いの為に実家のブロウ子爵家に出入りしていた。
ある日、バリーが母のお気に入りの花瓶をうっかりぶつかって割ってしまった。誰も見ていなかったのでコーデリアが割ったことにしてバリーを庇った。商人の子供が割ったことを知れば両親は酷い罰を与えただろう。自分ならそこまで酷いことにはならないだろうと身代わりになった。結果的に数回の鞭打ちですんで心から安堵した。
そのことをバリーは心からの申し訳なさと感謝を伝えてくれていた。そして今回助けに来てくれた。ダーナもバリーを庇ったことに感謝してくれて、今回の結婚の話を聞くなりコーデリアを何かあった時に助けたいとアビントン公爵家にメイドとして潜入してくれたのだ。もう用はないと公爵家には今朝のうちに退職届を出したそうだ。
バリーやダーナの両親も公爵邸でのコーデリアの置かれている立場の全てを知っておりコーデリアの味方になり協力を申し出てくれていた。
国外へ出た後の生活は彼らが準備してくれている。後々、このことをエイベルに知られるとまずいので自分たちも商いを国外に移したそうだ。コーデリアの為に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「とんでもないです。もしあの時コーデリア様が庇ってくれていなければ私はこの世にいなかったはずです。あなたを助けることは我が家では当然のことと考えています。どうか遠慮などなさらないで下さい」
馬鹿馬鹿しい話ではあるが貴族は平民の命を軽んじる。自分の名誉の為なら簡単に切り捨てる。コーデリアはその貴族的な考えが大嫌いだった。
確かに幼い時コーデリアはバリーを助けたがそれ以前から実家の子爵家の中で酷い扱いを受けるコーデリアを二人は陰ながら支えてくれた。与えられる食事は生きるギリギリで抜かれることも頻繁だ。彼らは両親が買い物をするために呼び出したときに商品を運ぶ係としてついて来てコーデリアの部屋にこっそり侵入し、柔らかいパンやミルクを持ってきてくれた。彼らがいなければ餓死していただろう。先にコーデリアを助けてくれたのは彼らだ。子爵家で恥ずかしい存在として酷い扱いを受けていたコーデリアにとって二人との交流は宝物だった。ダーナとは親友のように過ごし、1歳下のバリーは弟のように思っていた。
月日が流れいつしか自分の身長を抜いて逞しくなったバリーは、恋慕の眼差しを自分に向けるようになる。コーデリアはこんな惨めな境遇にいる女を好きになるはずがないと思い込もうとしたが、バリーは真剣にコーデリアのことを好きだと告げた。そして大人になったら助け出すから待っていてほしいと請われた。だがバリーと一緒になりたいと望んでも両親が許すはずもない。コーデリアは彼の気持ちに「はい」とも「いいえ」とも返さなかった。自分にとってのまっさらな初恋を心の底にそっと仕舞った。そして18歳になったあの日、エイベルとの婚約を両親から告げられた。バリーにその報告をすると彼は青ざめながら儚く微笑んだ。
「公爵様に望まれて……素晴らしいことです。絶対に幸せになってくださいね。コーデリア様が幸せになることが私の幸せです」
そう送り出してくれたのだが……コーデリアはエイベルに酷い言葉を投げかけられ別邸へと閉じ込められた。
ところが別邸ではなんとダーナがいてコーデリアは目を丸くした。そして「今日からコーデリア様付きのメイドになりました」と満面の笑顔で告げられた。
「弟がコーデリア様は本当に公爵家で幸せに過ごすことが出来るのかと心配しています。もちろん私も心配なので見届けることにしました。ですが……来てよかった。こんな、身代わりなんて酷すぎます!」
二人はいつでもコーデリアが逃げ出せる準備を整えてくれていた。そのおかげで監禁されていたとはいえ穏やかな日々を過ごせた。味方がいると思えば心に余裕が生まれる。もし一人だったら衣食住を保証されていても心は渇いていただろう。2年後に一人追い出されることを考えれば不安と心細さで胸が押しつぶされていたかもしれない。
堂々と買い物のためにとバリーを屋敷に呼んだときには3人で楽しくお茶をした。
約束の2年を迎えるころに、バリーはコーデリアに求婚してくれた。
「ここを出たら私と結婚してくれますか?」
「はい」
今度こそ幸せになれると信じて、思いのままに求婚を受け入れた。密かにバリーのその言葉を期待して彼と結婚したときに商売を手伝えるような勉強を優先的にしていた。
結果的にコーデリアはダーナという親友に見守られ、バリーという初恋の少年と心を通わせた。彼はコーデリアを幸せにするためにと父親に商いを学び、若いながらにすでに国外に支店を立ち上げ順調に経営している。コーデリアが公爵邸で学んだことは彼の伴侶としてきっと役に立つに違いない。経理も接客も勉強した。実践したことはないができる気がしている。ぜひ任せて欲しい。
自分は生まれ変わった。もちろんコーデリアがエイベルと結婚した事実は今の自分、ルシンダには関係ない。もともと白い結婚だったし、向かう先はコーデリアを知っている者がいないのだから問題なし!
バリーを見れば幸せそうに自分に笑いかけてくれる。思わず同じように笑みを返した。
ルシンダの人生の行く先は幸せに満ち溢れていた。
(おわり)
「ルシンダったら浮かれ過ぎよ。ひゃっほうって本当に言う人初めて見たわ」
「人は幸せのあまりに意外な言葉を発することがあるのよ!」
コーデリア改めルシンダは無事に出国して今は船の上である。
喜びのあまりに叫んでしまったが、自分はもう貴族ではなく平民だ。マナーなど気にしないと開き直った。船上で海風にあたり、自由を手にした幸せを全身で受け止めている。過ごす部屋は一等室が用意され人生初の船旅は最高に快適で素晴らしいものだ。
公爵邸を抜け出して船の上で過ごして3日目になる。目的の国まではあと10日はかかるので旅を満喫できそうだ。ルシンダの目の前にはダーナとダーナの弟のバリーが微笑ましそうに自分を見ている。
あのとき公爵邸の寝室の窓を開ければ、長梯子を登ってきたバリーがいた。バリーに目を丸くするルシンダに彼はニッコリと笑い大きな手を差し出した。まるでお城の塔に閉じ込められたお姫さまを救いに来た騎士さながらに。
ルシンダはその笑顔に泣きたくなるほど安堵した。そしてその手を取って静かに寝室を抜け出した。公爵邸の裏側に簡素な馬車が止まっており、中ではダーナが昨日執事から受け取った書類やお金、荷物を持って待っていた。
「ああ、コーデリア様。ご無事でよかった。あの男のことだからこんなことになるかも知れないとバリーを待機させておいてよかったです」
すぐさま乗り込み馬車を全速力で走らせ、エイベルに捕まることなく無事に船に乗ることが出来た。
バリーはエイベルがコーデリアに買い物をさせてくれるために唯一屋敷に入ることを許した商人で、ダーナの1歳下の弟でもある。
そして二人はコーデリアの知り合いというか幼馴染でもあった。二人は大きな商家の子供で、商いの為に実家のブロウ子爵家に出入りしていた。
ある日、バリーが母のお気に入りの花瓶をうっかりぶつかって割ってしまった。誰も見ていなかったのでコーデリアが割ったことにしてバリーを庇った。商人の子供が割ったことを知れば両親は酷い罰を与えただろう。自分ならそこまで酷いことにはならないだろうと身代わりになった。結果的に数回の鞭打ちですんで心から安堵した。
そのことをバリーは心からの申し訳なさと感謝を伝えてくれていた。そして今回助けに来てくれた。ダーナもバリーを庇ったことに感謝してくれて、今回の結婚の話を聞くなりコーデリアを何かあった時に助けたいとアビントン公爵家にメイドとして潜入してくれたのだ。もう用はないと公爵家には今朝のうちに退職届を出したそうだ。
バリーやダーナの両親も公爵邸でのコーデリアの置かれている立場の全てを知っておりコーデリアの味方になり協力を申し出てくれていた。
国外へ出た後の生活は彼らが準備してくれている。後々、このことをエイベルに知られるとまずいので自分たちも商いを国外に移したそうだ。コーデリアの為に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「とんでもないです。もしあの時コーデリア様が庇ってくれていなければ私はこの世にいなかったはずです。あなたを助けることは我が家では当然のことと考えています。どうか遠慮などなさらないで下さい」
馬鹿馬鹿しい話ではあるが貴族は平民の命を軽んじる。自分の名誉の為なら簡単に切り捨てる。コーデリアはその貴族的な考えが大嫌いだった。
確かに幼い時コーデリアはバリーを助けたがそれ以前から実家の子爵家の中で酷い扱いを受けるコーデリアを二人は陰ながら支えてくれた。与えられる食事は生きるギリギリで抜かれることも頻繁だ。彼らは両親が買い物をするために呼び出したときに商品を運ぶ係としてついて来てコーデリアの部屋にこっそり侵入し、柔らかいパンやミルクを持ってきてくれた。彼らがいなければ餓死していただろう。先にコーデリアを助けてくれたのは彼らだ。子爵家で恥ずかしい存在として酷い扱いを受けていたコーデリアにとって二人との交流は宝物だった。ダーナとは親友のように過ごし、1歳下のバリーは弟のように思っていた。
月日が流れいつしか自分の身長を抜いて逞しくなったバリーは、恋慕の眼差しを自分に向けるようになる。コーデリアはこんな惨めな境遇にいる女を好きになるはずがないと思い込もうとしたが、バリーは真剣にコーデリアのことを好きだと告げた。そして大人になったら助け出すから待っていてほしいと請われた。だがバリーと一緒になりたいと望んでも両親が許すはずもない。コーデリアは彼の気持ちに「はい」とも「いいえ」とも返さなかった。自分にとってのまっさらな初恋を心の底にそっと仕舞った。そして18歳になったあの日、エイベルとの婚約を両親から告げられた。バリーにその報告をすると彼は青ざめながら儚く微笑んだ。
「公爵様に望まれて……素晴らしいことです。絶対に幸せになってくださいね。コーデリア様が幸せになることが私の幸せです」
そう送り出してくれたのだが……コーデリアはエイベルに酷い言葉を投げかけられ別邸へと閉じ込められた。
ところが別邸ではなんとダーナがいてコーデリアは目を丸くした。そして「今日からコーデリア様付きのメイドになりました」と満面の笑顔で告げられた。
「弟がコーデリア様は本当に公爵家で幸せに過ごすことが出来るのかと心配しています。もちろん私も心配なので見届けることにしました。ですが……来てよかった。こんな、身代わりなんて酷すぎます!」
二人はいつでもコーデリアが逃げ出せる準備を整えてくれていた。そのおかげで監禁されていたとはいえ穏やかな日々を過ごせた。味方がいると思えば心に余裕が生まれる。もし一人だったら衣食住を保証されていても心は渇いていただろう。2年後に一人追い出されることを考えれば不安と心細さで胸が押しつぶされていたかもしれない。
堂々と買い物のためにとバリーを屋敷に呼んだときには3人で楽しくお茶をした。
約束の2年を迎えるころに、バリーはコーデリアに求婚してくれた。
「ここを出たら私と結婚してくれますか?」
「はい」
今度こそ幸せになれると信じて、思いのままに求婚を受け入れた。密かにバリーのその言葉を期待して彼と結婚したときに商売を手伝えるような勉強を優先的にしていた。
結果的にコーデリアはダーナという親友に見守られ、バリーという初恋の少年と心を通わせた。彼はコーデリアを幸せにするためにと父親に商いを学び、若いながらにすでに国外に支店を立ち上げ順調に経営している。コーデリアが公爵邸で学んだことは彼の伴侶としてきっと役に立つに違いない。経理も接客も勉強した。実践したことはないができる気がしている。ぜひ任せて欲しい。
自分は生まれ変わった。もちろんコーデリアがエイベルと結婚した事実は今の自分、ルシンダには関係ない。もともと白い結婚だったし、向かう先はコーデリアを知っている者がいないのだから問題なし!
バリーを見れば幸せそうに自分に笑いかけてくれる。思わず同じように笑みを返した。
ルシンダの人生の行く先は幸せに満ち溢れていた。
(おわり)
773
お気に入りに追加
704
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説

腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。
四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」
突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。

貴方でなくても良いのです。
豆狸
恋愛
彼が初めて淹れてくれたお茶を口に含むと、舌を刺すような刺激がありました。古い茶葉でもお使いになったのでしょうか。青い瞳に私を映すアントニオ様を傷つけないように、このことは秘密にしておきましょう。

訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果
柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。
彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。
しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。
「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」
逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。
あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。
しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。
気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……?
虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。
※小説家になろうに重複投稿しています。
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます

貴方は何も知らない
富士山のぼり
恋愛
「アイラ、君との婚約は破棄させて欲しい。」
「破棄、ですか?」
「ああ。君も薄々気が付いていただろう。私に君以外の愛する女性が居るという事に。」
「はい。」
「そんな気持ちのまま君と偽りの関係を続けていく事に耐えられないんだ。」
「偽り……?」
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?

この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ
めぐめぐ
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。
アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。
『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。魔法しか取り柄のないお前と』
そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。
傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。
アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。
捨てられた主人公が、パーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー短編。
※思いつきなので色々とガバガバです。ご容赦ください。
※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。
※単純な話なので安心して読めると思います。

大嫌いな幼馴染の皇太子殿下と婚姻させられたので、白い結婚をお願いいたしました
柴野
恋愛
「これは白い結婚ということにいたしましょう」
結婚初夜、そうお願いしたジェシカに、夫となる人は眉を顰めて答えた。
「……ああ、お前の好きにしろ」
婚約者だった隣国の王弟に別れを切り出され嫁ぎ先を失った公爵令嬢ジェシカ・スタンナードは、幼馴染でありながら、たいへん仲の悪かった皇太子ヒューパートと王命で婚姻させられた。
ヒューパート皇太子には陰ながら想っていた令嬢がいたのに、彼女は第二王子の婚約者になってしまったので長年婚約者を作っていなかったという噂がある。それだというのに王命で大嫌いなジェシカを娶ることになったのだ。
いくら政略結婚とはいえ、ヒューパートに抱かれるのは嫌だ。子供ができないという理由があれば離縁できると考えたジェシカは白い結婚を望み、ヒューパートもそれを受け入れた。
そのはず、だったのだが……?
離縁を望みながらも徐々に絆されていく公爵令嬢と、実は彼女のことが大好きで仕方ないツンデレ皇太子によるじれじれラブストーリー。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる