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12.愚かな男の過ち(アドリアン)
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婚約解消の手続きのために来たシエナとウラリーのいる部屋から悲鳴が聞こえた。慌てて駆け付け部屋に入ればそこで二人は向かい合っていた。
「た、助けて! アドリアン様!」
シエラは短剣を振り上げウラリーは怯えながら後ずさりをしていた。
「シエナ! 何をしている。今すぐその短剣を捨てるんだ!!」
シエナは首を傾げ静かに私に向かって笑いかけた。その表情は儚く消えてしまいそうだった。
「シエナ。そんなことをしたら君を捕えなくてはならない。今ならなかったことに出来る。だからその短剣を私に寄こせ!! お願いだ!!」
私の制止する声にシエナは静かな微笑みで返した。
「さようなら。殿下」
その言葉に目を瞠り絶句した。
シエナは悲しそうな顔を向けると一瞬の躊躇いもなく自分の胸を短剣で刺した。そのまま床に倒れるとあっというまに床に血だまりが出来る。
その胸元からは真っ赤な血が止まることなく溢れ出す。まさかそんなことをするとは考えもしなかった。
「シエナ! しっかりしろ! 誰か医者を!! シエナ死ぬな。私をおいて逝かないでくれ! 君を愛してる、君だけを愛しているんだ。シエナ……頼む……目を、開けてくれ。シエナ……シエナ……」
彼女から返事はない。
「シエナ。愛しているんだ。だから死なないでくれ!! シエナ!!」
シエナの顔は青ざめ体は冷たくなっていく。それなのに口には静かな笑みを浮かべている。私が似合っているといった淡い色の口紅がよく映えて残酷なほど美しい。
駆け付けた医者は手遅れだと首を振る。信じられなかった。いつだって死と隣り合わせにいたのは私で、シエナは私にとって生の象徴だった。シエナが私より先に逝くはずがない。
「シエナ! シエナ! 目を開けてくれ。頼む……、お願いだ……」
足元は彼女の血で染まる。抱きしめているシエナの体が冷たくなっていく。どれほど呼んでも彼女の瞳が開くことはなかった。
―――― シエナをわたしがころしてしまった。
ランドロー公爵は彼女の遺体を公爵邸に引き取ると速やかに葬儀を済ませた。自死は罪とされているので表向きは病死と公表された。彼女を慕うものは多く、その悲しみは深い。
「すまない。公爵。私のせいで……」
涙を流す私に公爵はただ表情を変えることなく言い捨てた。
「いいえ、これはシエナをあなたの婚約者にした私の罪です」
その言葉は何よりも私の胸を抉った。これこそが責め苦だった。だが当然だ。公爵にとってこの婚約は何の利益もなかった。それでも婚約を許してくれたのに手酷く裏切ってしまった。彼の心情は私より悲痛なものだろう。愛するたった一人の娘をこんな形で失ったのだ。私はこれ以上詫びの言葉を言えなかった。その権利すら持ちえなかった。私が彼女をここまで追い詰めてしまった。
私は抜け殻になった。こんなことになるのなら健康にならなければよかった。そしたらシエナと二人いつまでも慈しみ合い寄り添って生きることが出来た。たとえ私の時間に限りあってもそれこそが幸せなはずだった。
私は間違えたのだ。地位を諦め宰相を拒みシエナだけを選べばこんなことにならなかった。だが王太子であることを捨てた自分に存在価値があるとは思えなかった。それが怖く、また健康になり王太子としての仕事ができるようになりいずれ王になれる、諦めていた全てが手に入ると欲をかいたせいで私は最も大事な心から愛する人を失ったのだ。シエナも公爵も私に見返りを求めなかったのに彼女の献身を踏み躙り傷つけ悲しませた。私はシエナに一言も説明をしていなかった。それは不本意な噂を肯定したも同然だった。それを信じ失意のまま逝かせてしまった。
私は秘密裏に王弟である叔父上に連絡を取った。
そして宰相を失脚させるための助力を願った。国内で宰相に対抗できる力を持つのは彼だけだった。もし失敗して殺されても私に悔いはない。この時になって気付いたが宰相は私がいなくなればどのみち権力を失う。私の次に王位継承権を持つのは従弟だ。王弟である叔父上は大公となったときに継承権を放棄している。叔父上と宰相は仲が悪いから同じ神輿を担くことはないだろう。私がいなければ宰相が自分の駒に出来る王子がいなくなる。もっと早くそのことに気付けば逆に脅すことが出来たかもしれないが、私はシエナを失うかもしれない恐怖で考えが至らなかった。私は何も見えていなかった。
その後、叔父上の手を借りて調べた結果、オジェ男爵が酔っ払って「自分の娘は本当は聖女じゃない。だが上手くいった」と言っていたという証言を聞き、急ぎ男爵領に向かい厳しく尋問した。そして真実を知る。
私の病が回復したのは神でも聖女の力でもなく異国から取り寄せた薬のおかげだった。私は幼稚な嘘に踊らされたのだ。生まれてきた時から私を苦しめ続けた病気があまりにも呆気なく完治したことで神の奇跡を信じてしまったが、異国ではこの病気の研究が進んでいてすでに特効薬があったのだ。騙された己の滑稽さに笑いたくなる。
私はその場で男爵を切り捨てたかったが、この男の持っていた薬で治ったことは確かだ。公正な裁きにかけることにした。そして神殿と宰相が癒着している証拠を手に入れたので公表して宰相と神官長を更迭し加担した者たちを捕らえた。
私は自分以外の最後の罪人に会いに行った。それでも会うまでは彼女を僅かながらに憐れんでいた。もし彼女が最初から正直に薬のことを話していれば、謝礼を受け取り穏やかな生活を続けていたはずだった。ひとつの嘘を切っかけに宰相たちに利用されてしまったのだと。
「アドリアン様。私たちの結婚式はどうなっていますか?」
能天気にも私に笑顔で問いかけるウラリーに堪えられなくなり大笑いした。この女には罪の意識が全くない。シエナは死んでしまったというのにそれを悼む心もないのだ。自分の望みを叶えることだけにしか興味がないらしい。神殿や宰相に利用されたことに対しての憐れみの気持ちは霧散した。
「はっはははははは」
「アドリアン様?」
「ウラリー、本気で言っているのか? 私はお前と結婚しない」
「う、うそ、だって宰相も神官も大丈夫だって。アドリアン様も正妃にするって言ってくれたわ。私を愛してくれているのでしょう?」
私は凶悪なほどの殺意を行動に移さないように耐えた。帯剣していれば抜刀していただろう。侮蔑と憎悪が体中を支配する。
「愛? ふざけるな。お前を愛したことはない。宰相に脅されていなければ正妃にするなどと言わなかった。それにオジェ男爵から本当のことを聞いた。お前は聖女じゃない。神の話は嘘で私には病に効く薬を飲ませただけだと。お前たちは王家と民衆をたばかった。すでに神官は捕らえ宰相は更迭した。男爵は捕らえて牢にいる。お前も罪人だ。病気を治してもらったことだけは感謝しているが罪は罪だ。そのままにはしておけない」
「なっ、なんで、嫌よ。私は聖女よ! 神殿も認めたのよ!」
「神殿は聖女の認定を誤りだと取り消した。お前はもう聖女ではない」
「そんな…………」
「連れて行け」
「待って!アドリアン様。アドリアン様は私を好きでしたか? 愛してくれていましたか?」
必死に縋る声に心が冷えていく。まだこの女は世迷言を言うのか。愛しているはずがない。「殺したいほど憎んでいる」心の中でそう返した。
私はこの後、王太子を降り王位継承権も放棄する。従弟を次の王太子にすることが今回叔父上に手を借りる条件だったからだ。シエナの死の事実以外のことを全て公表する。そして神殿や男爵に騙された愚かな男として私は人々に嘲笑されるのだろう。
最も重い罪を犯した私に裁きを下す者がいない。シエナを殺してしまったのにその罪を贖うすべが分からない。もう、私には何も残っていない。思い出すのは彼女のことだけだった。
シエナ。愛している。もし時間を巻き戻せるなら、もう一度やり直せるのなら次は決して間違えない。必ず君だけを選ぶ。
たとえ私が病気のままで君にとっての荷物であったとしてもシエナを離さない。王になれなくてもいい。健康になれなくてもいい。私にはシエナだけだ。
私は彼女から貰った指輪を久しぶりに指に嵌めた。以前ウラリーがその指輪に意味はあるのかとしつこく問いかけるので煩わしくなって指から外しネックレスに通して身につけていたのだ。今の自分はこの指輪を嵌める資格がないことは分かっていたがこれだけは手放せない。これはシエナの想いが籠った私への贈り物だった。
胸の中には贖うことの出来ない悔恨と彼女への愛が沈殿し積もっていく。
シエナ、「これからも君だけを愛している」私は嗚咽を堪え震える唇で指輪にそっと口付けた。
愚かな男の呟きは無様に消えてなくなった。
「た、助けて! アドリアン様!」
シエラは短剣を振り上げウラリーは怯えながら後ずさりをしていた。
「シエナ! 何をしている。今すぐその短剣を捨てるんだ!!」
シエナは首を傾げ静かに私に向かって笑いかけた。その表情は儚く消えてしまいそうだった。
「シエナ。そんなことをしたら君を捕えなくてはならない。今ならなかったことに出来る。だからその短剣を私に寄こせ!! お願いだ!!」
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「さようなら。殿下」
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「シエナ! しっかりしろ! 誰か医者を!! シエナ死ぬな。私をおいて逝かないでくれ! 君を愛してる、君だけを愛しているんだ。シエナ……頼む……目を、開けてくれ。シエナ……シエナ……」
彼女から返事はない。
「シエナ。愛しているんだ。だから死なないでくれ!! シエナ!!」
シエナの顔は青ざめ体は冷たくなっていく。それなのに口には静かな笑みを浮かべている。私が似合っているといった淡い色の口紅がよく映えて残酷なほど美しい。
駆け付けた医者は手遅れだと首を振る。信じられなかった。いつだって死と隣り合わせにいたのは私で、シエナは私にとって生の象徴だった。シエナが私より先に逝くはずがない。
「シエナ! シエナ! 目を開けてくれ。頼む……、お願いだ……」
足元は彼女の血で染まる。抱きしめているシエナの体が冷たくなっていく。どれほど呼んでも彼女の瞳が開くことはなかった。
―――― シエナをわたしがころしてしまった。
ランドロー公爵は彼女の遺体を公爵邸に引き取ると速やかに葬儀を済ませた。自死は罪とされているので表向きは病死と公表された。彼女を慕うものは多く、その悲しみは深い。
「すまない。公爵。私のせいで……」
涙を流す私に公爵はただ表情を変えることなく言い捨てた。
「いいえ、これはシエナをあなたの婚約者にした私の罪です」
その言葉は何よりも私の胸を抉った。これこそが責め苦だった。だが当然だ。公爵にとってこの婚約は何の利益もなかった。それでも婚約を許してくれたのに手酷く裏切ってしまった。彼の心情は私より悲痛なものだろう。愛するたった一人の娘をこんな形で失ったのだ。私はこれ以上詫びの言葉を言えなかった。その権利すら持ちえなかった。私が彼女をここまで追い詰めてしまった。
私は抜け殻になった。こんなことになるのなら健康にならなければよかった。そしたらシエナと二人いつまでも慈しみ合い寄り添って生きることが出来た。たとえ私の時間に限りあってもそれこそが幸せなはずだった。
私は間違えたのだ。地位を諦め宰相を拒みシエナだけを選べばこんなことにならなかった。だが王太子であることを捨てた自分に存在価値があるとは思えなかった。それが怖く、また健康になり王太子としての仕事ができるようになりいずれ王になれる、諦めていた全てが手に入ると欲をかいたせいで私は最も大事な心から愛する人を失ったのだ。シエナも公爵も私に見返りを求めなかったのに彼女の献身を踏み躙り傷つけ悲しませた。私はシエナに一言も説明をしていなかった。それは不本意な噂を肯定したも同然だった。それを信じ失意のまま逝かせてしまった。
私は秘密裏に王弟である叔父上に連絡を取った。
そして宰相を失脚させるための助力を願った。国内で宰相に対抗できる力を持つのは彼だけだった。もし失敗して殺されても私に悔いはない。この時になって気付いたが宰相は私がいなくなればどのみち権力を失う。私の次に王位継承権を持つのは従弟だ。王弟である叔父上は大公となったときに継承権を放棄している。叔父上と宰相は仲が悪いから同じ神輿を担くことはないだろう。私がいなければ宰相が自分の駒に出来る王子がいなくなる。もっと早くそのことに気付けば逆に脅すことが出来たかもしれないが、私はシエナを失うかもしれない恐怖で考えが至らなかった。私は何も見えていなかった。
その後、叔父上の手を借りて調べた結果、オジェ男爵が酔っ払って「自分の娘は本当は聖女じゃない。だが上手くいった」と言っていたという証言を聞き、急ぎ男爵領に向かい厳しく尋問した。そして真実を知る。
私の病が回復したのは神でも聖女の力でもなく異国から取り寄せた薬のおかげだった。私は幼稚な嘘に踊らされたのだ。生まれてきた時から私を苦しめ続けた病気があまりにも呆気なく完治したことで神の奇跡を信じてしまったが、異国ではこの病気の研究が進んでいてすでに特効薬があったのだ。騙された己の滑稽さに笑いたくなる。
私はその場で男爵を切り捨てたかったが、この男の持っていた薬で治ったことは確かだ。公正な裁きにかけることにした。そして神殿と宰相が癒着している証拠を手に入れたので公表して宰相と神官長を更迭し加担した者たちを捕らえた。
私は自分以外の最後の罪人に会いに行った。それでも会うまでは彼女を僅かながらに憐れんでいた。もし彼女が最初から正直に薬のことを話していれば、謝礼を受け取り穏やかな生活を続けていたはずだった。ひとつの嘘を切っかけに宰相たちに利用されてしまったのだと。
「アドリアン様。私たちの結婚式はどうなっていますか?」
能天気にも私に笑顔で問いかけるウラリーに堪えられなくなり大笑いした。この女には罪の意識が全くない。シエナは死んでしまったというのにそれを悼む心もないのだ。自分の望みを叶えることだけにしか興味がないらしい。神殿や宰相に利用されたことに対しての憐れみの気持ちは霧散した。
「はっはははははは」
「アドリアン様?」
「ウラリー、本気で言っているのか? 私はお前と結婚しない」
「う、うそ、だって宰相も神官も大丈夫だって。アドリアン様も正妃にするって言ってくれたわ。私を愛してくれているのでしょう?」
私は凶悪なほどの殺意を行動に移さないように耐えた。帯剣していれば抜刀していただろう。侮蔑と憎悪が体中を支配する。
「愛? ふざけるな。お前を愛したことはない。宰相に脅されていなければ正妃にするなどと言わなかった。それにオジェ男爵から本当のことを聞いた。お前は聖女じゃない。神の話は嘘で私には病に効く薬を飲ませただけだと。お前たちは王家と民衆をたばかった。すでに神官は捕らえ宰相は更迭した。男爵は捕らえて牢にいる。お前も罪人だ。病気を治してもらったことだけは感謝しているが罪は罪だ。そのままにはしておけない」
「なっ、なんで、嫌よ。私は聖女よ! 神殿も認めたのよ!」
「神殿は聖女の認定を誤りだと取り消した。お前はもう聖女ではない」
「そんな…………」
「連れて行け」
「待って!アドリアン様。アドリアン様は私を好きでしたか? 愛してくれていましたか?」
必死に縋る声に心が冷えていく。まだこの女は世迷言を言うのか。愛しているはずがない。「殺したいほど憎んでいる」心の中でそう返した。
私はこの後、王太子を降り王位継承権も放棄する。従弟を次の王太子にすることが今回叔父上に手を借りる条件だったからだ。シエナの死の事実以外のことを全て公表する。そして神殿や男爵に騙された愚かな男として私は人々に嘲笑されるのだろう。
最も重い罪を犯した私に裁きを下す者がいない。シエナを殺してしまったのにその罪を贖うすべが分からない。もう、私には何も残っていない。思い出すのは彼女のことだけだった。
シエナ。愛している。もし時間を巻き戻せるなら、もう一度やり直せるのなら次は決して間違えない。必ず君だけを選ぶ。
たとえ私が病気のままで君にとっての荷物であったとしてもシエナを離さない。王になれなくてもいい。健康になれなくてもいい。私にはシエナだけだ。
私は彼女から貰った指輪を久しぶりに指に嵌めた。以前ウラリーがその指輪に意味はあるのかとしつこく問いかけるので煩わしくなって指から外しネックレスに通して身につけていたのだ。今の自分はこの指輪を嵌める資格がないことは分かっていたがこれだけは手放せない。これはシエナの想いが籠った私への贈り物だった。
胸の中には贖うことの出来ない悔恨と彼女への愛が沈殿し積もっていく。
シエナ、「これからも君だけを愛している」私は嗚咽を堪え震える唇で指輪にそっと口付けた。
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