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最終話 光のジャスミン
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ところで。
ここでちょっと時間を遡って…。
雪子の出産1日前。
俺は警察署の中の喫煙所にいて、袴田とタバコを吸っていた。松林は禁煙者だから、自分のデスクにいるだろう。
「え?雪子ちゃん、もうそろそろ出産?!早いな」
「そうなんだよ。少し早まりそうってさっきメール来てさ」
俺はそう言ってタバコを吸っていると、袴田は腕を組みながら頷き、
「そっか。そしたら今夜だって油断できないぞ。帰らなくていいのかよ」
と聞くと、俺は眉をしかめた。
「俺だって帰りたいよ。あの馬鹿が逃亡しなきゃな。あのまま大人しく捕まってくれてればいいのに。何が悲しくて、逃亡されて、追いかけて、また逃げられて…って、こんな時に…!恨むぞ、あの野郎ッ!」
「でもさ。最初の出産の時くらいは、そばについてなきゃ駄目駄目!」
「うん…。そう、だよなぁ」
俺はため息をついてタバコを口から取ると、煙を一気に吐き出した。
ここのところずっと追っていた事件はそろそろ局面を迎えて、被疑者がクラブに逃げ込んだところを逮捕したのだが、移送中に逃亡されてしまった。トイレに行くと言って、トイレの窓から逃げられたのだと言う。見張りの奴らも何やってんだよ!!それがなければ、無事に家に帰れたし、万が一急遽出産となっても、付き添ってあげられる。
ところで。
ここでちょっと時間を遡って…。
雪子の出産1日前。
俺は警察署の中の喫煙所にいて、袴田とタバコを吸っていた。松林は禁煙者だから、自分のデスクにいるだろう。
「え?雪子ちゃん、もうそろそろ出産?!早いな」
「そうなんだよ。少し早まりそうってさっきメール来てさ」
俺はそう言ってタバコを吸っていると、袴田は腕を組みながら頷き、
「そっか。そしたら今夜だって油断できないぞ。帰らなくていいのかよ」
と聞くと、俺は眉をしかめた。
「俺だって帰りたいよ。あの馬鹿が逃亡しなきゃな。あのまま大人しく捕まってくれてればいいのに。何が悲しくて、逃亡されて、追いかけて、また逃げられて…って、こんな時に…!恨むぞ、あの野郎ッ!」
「でもさ。最初の出産の時くらいは、そばについてなきゃ駄目駄目!」
「うん…。そう、だよなぁ」
俺はため息をついてタバコを口から取ると、煙を一気に吐き出した。
ここのところずっと追っていた事件はそろそろ局面を迎えて、被疑者がクラブに逃げ込んだところを逮捕したのだが、移送中に逃亡されてしまった。トイレに行くと言って、トイレの窓から逃げられたのだと言う。見張りの奴らも何やってんだよ!!それがなければ、無事に家に帰れたし、万が一急遽出産となっても、付き添ってあげられる。
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