君につづく道〜禁断の13〜

最終話 光のジャスミン

6

＊

数ヶ月後。

とうとう陣痛が起こって、すぐに病院に向かった。美夜も一緒にウチにいた時に、破水してしまったのだ。

その後すぐに範子おばさんが迎えにきてくれて、急いで病院に向かった。元レディースの範子おばさんは、物凄いスピードで車を走らせていたので、少しドキドキもしたけれど。

分娩室に入ってからの記憶は、はっきりしていない。想像以上の痛みに、何度も諦めそうになって、それでも気を奮い立たせて、傍で立ち会ってくれた美夜の手をギュッと握っていた。
時々、美夜と萌梨の顔が重なって見えて、涙が溢れてきたんだ。萌梨が「頑張れ」って励ましてくれているような、不思議な感覚だった。

そんな苦しみの中、長い長い時間を経て初めて産声を聞いて、私は苦しみが終わったことと同時に、10か月も私の中にいた赤ちゃんとようやく会えることの喜びに安堵して、泣いた。


＊

朝の光がカーテン越しに揺れて、目を覚ました。眩しい日差しが目元に差し込む。

瞼を細めながらゆっくりと目を開けると、窓際で真っ白いタオルで包まれた小さな娘を抱いて、愛おしそうに微笑む理の姿を見て、私は初めて感動した。そんな眼差しを、見たこともなかった。

初めて見る「父親」の顔。

声をかけるのも、もったいなかった。

でも、話しかけずにはいられなくて…。

私は初めて恋した少女のような、不思議な気持ちになった。