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第11章 お仕置きです!
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涙が頬に溢れてくると、
「良かった…!また、いなくなっちゃったかもって思った…。良かった」
と言うと、少しだけ泣いた。祐さんと滋は顔を見合わせて微笑みあっている。
少し泣いたらすぐに落ち着いて来て、私は深呼吸をして、天井を眺めながら久我さんの顔を思い出していた。
「祐さん。滋…。あのね。久我さんと付き合ってたけど、あの人の本性までは見抜けなかった。でも、優しかったのよ。紳士らしい穏やかな人で、みんなから人気もあって。でも、別れ話をしたら、豹変したの。凄く怖かった。そしたら、もう何を言っても私の話を全然聞いてくれなくて…。凄い力で掴んできたり押し倒したりして…。話しも通じない。力も敵わない。そう思ったら、こいつ、梶原守留に似てるって思った…」
私はゆっくりとそう言うと、胸がブルっと震えた。
「歪んでた。愛してる、なんて言われても全然伝わらない。怖くて、逃げたいのに、逃げられなくて…。梶原守留みたいに、久我さんも狂気に満ちた顔で近づいてきて、本当に怖かった…。だけど、萌梨の姿を思い出したんだ。萌梨の気持ち、やっと分かったような気がする。怖かった。思ってることをちゃんと伝えたのに、全然伝わらないのって、怖くて…。
「良かった…!また、いなくなっちゃったかもって思った…。良かった」
と言うと、少しだけ泣いた。祐さんと滋は顔を見合わせて微笑みあっている。
少し泣いたらすぐに落ち着いて来て、私は深呼吸をして、天井を眺めながら久我さんの顔を思い出していた。
「祐さん。滋…。あのね。久我さんと付き合ってたけど、あの人の本性までは見抜けなかった。でも、優しかったのよ。紳士らしい穏やかな人で、みんなから人気もあって。でも、別れ話をしたら、豹変したの。凄く怖かった。そしたら、もう何を言っても私の話を全然聞いてくれなくて…。凄い力で掴んできたり押し倒したりして…。話しも通じない。力も敵わない。そう思ったら、こいつ、梶原守留に似てるって思った…」
私はゆっくりとそう言うと、胸がブルっと震えた。
「歪んでた。愛してる、なんて言われても全然伝わらない。怖くて、逃げたいのに、逃げられなくて…。梶原守留みたいに、久我さんも狂気に満ちた顔で近づいてきて、本当に怖かった…。だけど、萌梨の姿を思い出したんだ。萌梨の気持ち、やっと分かったような気がする。怖かった。思ってることをちゃんと伝えたのに、全然伝わらないのって、怖くて…。
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