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第10章 歪んだ愛は狂喜
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「何故、反対してるんですか?」
「それは…彼が刑事だからです。命を狙われたり怪我したり、そういう仕事は野蛮だと言って反対されました」
私が言うと、久我さんは頷いてコーヒーカップを静かに置いた。
「…僕は、その彼と会ってみたい」
「えっ?!」
「僕より、その刑事を選ぶ理由が知りたい。僕は、君の欲しいものを全て揃えられるよ。不幸になんかしないし、危ない目になんて合わせない。苦労もさせないと誓える。寂しくなんかさせない。幸せになれるための努力を惜しまないよ。なのに、何故刑事なんて…」
久我さんはそう言って、テーブルの上に置いた手をグッと握って拳になり、テーブルをゴンッと叩いた。周りの席の人たちも、少し驚いて久我さんを見ている。
「久我さん…、私は」
「僕は諦めません。やっと理想的な女性に会えたと思ったんです。雪子さん。あなたとなら、きっと幸せな毎日を送ることができる。なのに、苦労する道をわざわざ選ぶ事はないでしょう??」
久我さんは淡々と言って身を乗り出して、私の手に触れようと腕を伸ばして来た。それでも、私の心にはちっとも響かない。
ごめんなさい、久我さん。
私は久我さんの手に触れられる前に手を引っ込めて、ゆっくりと立ち上がると、
「ごめんなさい。さよなら」
と言ってそこでまた会釈した。
「それは…彼が刑事だからです。命を狙われたり怪我したり、そういう仕事は野蛮だと言って反対されました」
私が言うと、久我さんは頷いてコーヒーカップを静かに置いた。
「…僕は、その彼と会ってみたい」
「えっ?!」
「僕より、その刑事を選ぶ理由が知りたい。僕は、君の欲しいものを全て揃えられるよ。不幸になんかしないし、危ない目になんて合わせない。苦労もさせないと誓える。寂しくなんかさせない。幸せになれるための努力を惜しまないよ。なのに、何故刑事なんて…」
久我さんはそう言って、テーブルの上に置いた手をグッと握って拳になり、テーブルをゴンッと叩いた。周りの席の人たちも、少し驚いて久我さんを見ている。
「久我さん…、私は」
「僕は諦めません。やっと理想的な女性に会えたと思ったんです。雪子さん。あなたとなら、きっと幸せな毎日を送ることができる。なのに、苦労する道をわざわざ選ぶ事はないでしょう??」
久我さんは淡々と言って身を乗り出して、私の手に触れようと腕を伸ばして来た。それでも、私の心にはちっとも響かない。
ごめんなさい、久我さん。
私は久我さんの手に触れられる前に手を引っ込めて、ゆっくりと立ち上がると、
「ごめんなさい。さよなら」
と言ってそこでまた会釈した。
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