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第10章 歪んだ愛は狂喜
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そうして、理と一緒に倉庫に向かった。
横領などに関わった資料などはここに全て集めているらしい。各部署は通常業務に追われているので、倉庫しか空きがなかったみたいだ。持ってきたパソコンをテーブルに置いてコンセントを繋げると、私は椅子に腰を下ろして、
「じゃ、ここでやります。何か文書を作る…」
と言いかけると、理は後ろから私を抱きしめてきた。
「え?な、何して…」
「やっぱり、触りたい…」
耳元で、理の低い声が囁くと、私はそれだけで胸が締め付けられてキュンと切なくなった。
「理…?」
「頼むから…」
「え?」
「嫌いなんて、言うなよ」
優しくて悲しそうな声でそう言われると、何故か私の方が悪いことをしちゃったみたいな気持ちになって、涙が溢れてきた。
「…好き…」
今は、素直になれる。涙が溢れて、頬に流れ落ちてしまうと、私は理の腕に触れて目を閉じた。
「嫌いなんて、嘘。嫌いになれたら、楽だったよ。でも、無理。好き。大好き。だから、ほんとは…」
理は私の肩を後ろから掴んで立ち上がらせると、私のうなじに唇をそっと当てた。
「触れても、いいの?」
「うん…。いい。触って。…もっと…」
「でも、俺なんかは…」
いつもの理らしくない…。ほんとにそんなにショック受けて、落ち込んでたの?
横領などに関わった資料などはここに全て集めているらしい。各部署は通常業務に追われているので、倉庫しか空きがなかったみたいだ。持ってきたパソコンをテーブルに置いてコンセントを繋げると、私は椅子に腰を下ろして、
「じゃ、ここでやります。何か文書を作る…」
と言いかけると、理は後ろから私を抱きしめてきた。
「え?な、何して…」
「やっぱり、触りたい…」
耳元で、理の低い声が囁くと、私はそれだけで胸が締め付けられてキュンと切なくなった。
「理…?」
「頼むから…」
「え?」
「嫌いなんて、言うなよ」
優しくて悲しそうな声でそう言われると、何故か私の方が悪いことをしちゃったみたいな気持ちになって、涙が溢れてきた。
「…好き…」
今は、素直になれる。涙が溢れて、頬に流れ落ちてしまうと、私は理の腕に触れて目を閉じた。
「嫌いなんて、嘘。嫌いになれたら、楽だったよ。でも、無理。好き。大好き。だから、ほんとは…」
理は私の肩を後ろから掴んで立ち上がらせると、私のうなじに唇をそっと当てた。
「触れても、いいの?」
「うん…。いい。触って。…もっと…」
「でも、俺なんかは…」
いつもの理らしくない…。ほんとにそんなにショック受けて、落ち込んでたの?
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