君につづく道〜禁断の13〜

第10章 歪んだ愛は狂喜

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なのに私はさっき、違う人を思い浮かべてしまった。

久我さんと私は、エレベーター脇に向かい合わせに立っていた。

「今日何時に終わるの？夜、ご飯食べに行かない？」

久我さんが優しく誘ってくれると、私は何故か戸惑ってしまった。行きたくないわけじゃない。

でも、今一緒にいたい人は…。
 

そこに、エレベーターのドアが開くと、数人の刑事が降りてきた。その中に、理がいて、私と理は驚いて顔を見合わせた。

『雪子ちゃんに大嫌いっていわれて、灰になって落ち込んでたよ』

松林さんの言葉が、耳に残る。私は思わず頬が赤くなって、顔が熱くなってきた。理は、一緒に来た他の刑事達と廊下を歩いていき、奥の会議室へと、振り返ることもなく行ってしまった。私はグッと拳を固めて、顔を上げると、久我さんを見つめて、

「久我さん。ごめんなさい。私…今日は先約があるので」

と断ると、久我さんは驚いて私を見つめて、

「え？」

と言って肩に触れようとしたけど、私は久我さんにペコリと会釈して、足早に事務所に戻った。

もう、ダメだ。こんな気持ちのまま、結婚なんて出来るわけない。このまま、何もなかったかのように付き合っていけない。心の中にいる人を、忘れることなんか出来ないから。

私は事務所に戻って仕事を再開すると、

「もう戻ったの？」

「早くない？」

と千春さんたちが不思議がっているけど、私は微笑んでパソコンを立ち上げた。