君につづく道〜禁断の13〜

びぅむ

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第8章 さよならの予感

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そんな言葉に操られちゃだめ。坂井さんは…そんなこと言われなくても分かってるはず。今、一番傷ついて辛いのは、そんな坂井さんなのかもしれない。その言葉に振り回されて、そんなふうに泣いてる雪子ちゃんのことも、あの人はきっと気付いてるわ」

範子おばさんが私を優しく抱きしめながら言うと、私はハッとして息を飲んだ。

お父さんに責められてる時も、お母さんに言われた時も、理は一言も言い返さなかった。言い返せなかったんだと思ってたけど、違うんだ。

分かってたから…なんだ。

私が、理に気づかれないように泣いてたのも、知ってたのかな。

どんな思いで?

傷ついてたの?

なのに、理はなにも悪くないのに、私みたいに泣くこともせず、黙って受け入れてたんだ。

どうしよう。

私、理のこと…傷つけてたんだ…!

そう思うと、胸が震えた。どうしたらいいのか、わからなかった。見えなくなった…。

私たちの未来が、見えなくなっちゃったよ…。

私はそう思うと、声を殺して範子おばさんにしがみついて泣いていた。範子おばさんはそれ以上何もいわず、ただ優しく背中を摩ってくれていた。




滋が二階に上がってくると、俺と祐は滋を見上げた。圭太は凛を連れて、近くを散歩してくると言って出かけている。俺はやっとタバコを吸えて、二階の窓のサッシに座ってタバコに火をつけていた。
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