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第5章 奇跡のあと
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「泣けばいい。泣いていいんだ。殴りたいなら、殴ればいい。怒りたいなら怒ればいい。もう、誰も責めたりしない。俺が、ここにいるから。だから、俺に全部ぶつけていい…」
坂井さんの瞳にも涙を浮かべて言うと、私は坂井さんの胸に顔を埋めて、
「うわああああああっ!あああああっっ!!」
と子供みたいに、大声で泣いた。
こんなに泣いたことは、ない。
声を張り上げて泣いたことなんて、一度もない。でも、今度ばかりは止められなかった。
こんなに残酷で辛過ぎる悲しみなんて、知らない。
何故神様はこんなに残酷なんだろう。何故こんな仕打ちをするのだろう。
滋も言ってた。ぬか喜びさせといて、次の瞬間奈落の底に突き落とすなんて…酷い、って。私たちは、こんな仕打ちを受けるような罪を犯したの?
違う。
萌梨は、ただ一人を愛しただけよ。
たった一人の妹を守りたかっただけよ。
苦しみの先に生まれた新しい命を、育みたかっただけなのよ。
それのどれが、罪だと言うの?
溢れ出る思いは、もう彼女には届かない。
誰もが、きっと同じ思いだろう。
当たり前に過ごせると思っていた「明日」が消えた日。
みんなが、泣いた。
泣いて、泣いて、涙が枯れてしまうかと思うくらい泣いて。
当たり前にやってくると信じていた『明日』を、永遠に失った日。
この日のことを、私たちはこの先ずっと忘れられなくなった。
坂井さんの瞳にも涙を浮かべて言うと、私は坂井さんの胸に顔を埋めて、
「うわああああああっ!あああああっっ!!」
と子供みたいに、大声で泣いた。
こんなに泣いたことは、ない。
声を張り上げて泣いたことなんて、一度もない。でも、今度ばかりは止められなかった。
こんなに残酷で辛過ぎる悲しみなんて、知らない。
何故神様はこんなに残酷なんだろう。何故こんな仕打ちをするのだろう。
滋も言ってた。ぬか喜びさせといて、次の瞬間奈落の底に突き落とすなんて…酷い、って。私たちは、こんな仕打ちを受けるような罪を犯したの?
違う。
萌梨は、ただ一人を愛しただけよ。
たった一人の妹を守りたかっただけよ。
苦しみの先に生まれた新しい命を、育みたかっただけなのよ。
それのどれが、罪だと言うの?
溢れ出る思いは、もう彼女には届かない。
誰もが、きっと同じ思いだろう。
当たり前に過ごせると思っていた「明日」が消えた日。
みんなが、泣いた。
泣いて、泣いて、涙が枯れてしまうかと思うくらい泣いて。
当たり前にやってくると信じていた『明日』を、永遠に失った日。
この日のことを、私たちはこの先ずっと忘れられなくなった。
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