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第5章 奇跡のあと
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収穫の手伝いを終えて、手を洗って美夜と居間に入ると、祖父母と祐さん、圭太くんが円卓を囲んでいた。凜ちゃんはとなりの部屋で眠っている。坂井さんは縁側で煙草をふかしていて、空を見上げていた。
「よし。じゃ、帰りましょうか。あれ?滋は?」
滋の姿がない。私はキョロキョロして辺りを見回していると、祐さんが顔を上げて私を見た。
「なんか、さっき会社の同僚から電話があって、トラブルが起こったからすぐに戻らなきゃならなくなって電車で帰ったよ。駅までのバスもちょうど来たから」
「え、そうなの?気付かなかった」
私は頷きながら答えると、坂井さんが「うっくらしょ」とか言いながらだるそうに立ち上がり、
「んじゃ、帰るか」
と言って私を見ると、私は何故かどきっとして鼓動が高速に早くなった。
私と坂井さんは、東京に向かう高速道路を走っていた。ラジオをつけていたけれど、全然頭に入ってこない。坂井さんも、口数が少なくて、さっきから煙草をやめない。さすがに吸いすぎでしょう。そう思っていると、高速道路は東京に入るだいぶ手前で、渋滞で動かなくなってしまった。トンネルでの事故渋滞だそうだ。
「チッ。めんどくせえな」
坂井さんがキレ始めている。私は横目で坂井さんを見ると、坂井さんは多分夕べから寝ていないのか、目が充血してクマもできている。私は少し考え込んで、窓辺に頬杖をつきながら、目の前に見えたラブホテル街を見た。
「坂井さん」
収穫の手伝いを終えて、手を洗って美夜と居間に入ると、祖父母と祐さん、圭太くんが円卓を囲んでいた。凜ちゃんはとなりの部屋で眠っている。坂井さんは縁側で煙草をふかしていて、空を見上げていた。
「よし。じゃ、帰りましょうか。あれ?滋は?」
滋の姿がない。私はキョロキョロして辺りを見回していると、祐さんが顔を上げて私を見た。
「なんか、さっき会社の同僚から電話があって、トラブルが起こったからすぐに戻らなきゃならなくなって電車で帰ったよ。駅までのバスもちょうど来たから」
「え、そうなの?気付かなかった」
私は頷きながら答えると、坂井さんが「うっくらしょ」とか言いながらだるそうに立ち上がり、
「んじゃ、帰るか」
と言って私を見ると、私は何故かどきっとして鼓動が高速に早くなった。
私と坂井さんは、東京に向かう高速道路を走っていた。ラジオをつけていたけれど、全然頭に入ってこない。坂井さんも、口数が少なくて、さっきから煙草をやめない。さすがに吸いすぎでしょう。そう思っていると、高速道路は東京に入るだいぶ手前で、渋滞で動かなくなってしまった。トンネルでの事故渋滞だそうだ。
「チッ。めんどくせえな」
坂井さんがキレ始めている。私は横目で坂井さんを見ると、坂井さんは多分夕べから寝ていないのか、目が充血してクマもできている。私は少し考え込んで、窓辺に頬杖をつきながら、目の前に見えたラブホテル街を見た。
「坂井さん」
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