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第5章 奇跡のあと
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みんなで美夜の祖父母の家に立ち寄った時、美夜のおばあさんが信州そばを茹でてくれた。そして果樹園で取れた新鮮な果物を、いくつかお土産にくれた。おじいさんが果樹園で仕事をしていると、果物の収穫に美夜が手伝いを始めて、私もそんな美夜を手伝うことにした。
美夜は土日、こうしてよく手伝いをしているそうだ。とても働き者だし、萌梨とは性格が異なるタイプで、みんなの輪の中に入るとすぐにその素直さが可愛がられて、明るくてみんなを和ませる。おばあさんたちの親族も近所で同じように果樹園や工場も持っていて、親族の集会にも連れていってもらっているそうだ。それでも、時々親族の中で、何か噂を聞きつけた心ない連中が、美夜を中傷する。あの事件の噂を…。そんな時は祖父母が必ず助けてくれるそうだ。二度と、美夜に悲しい思いをさせない。それは、私たちみんなの願いだから。
甘夏みかんの収穫をしながら、美夜は嬉しそうに笑っている。同じ果樹園の従業員たちにとても可愛がられている。そんな様子を見て、私はホッとして、甘夏みかんを言われた通り丁寧にもぎ取って開くと、ふと後ろから近づく足音が聞こえた。振り向かなくても、分かる。
「雪子」
坂井さんだ。
「籠、持つよ」
そう言って、坂井さんは私が抱えていた籠を取り上げて両手で持ってくれた。
「萌梨ちゃん、微熱が続いてるって」
美夜は土日、こうしてよく手伝いをしているそうだ。とても働き者だし、萌梨とは性格が異なるタイプで、みんなの輪の中に入るとすぐにその素直さが可愛がられて、明るくてみんなを和ませる。おばあさんたちの親族も近所で同じように果樹園や工場も持っていて、親族の集会にも連れていってもらっているそうだ。それでも、時々親族の中で、何か噂を聞きつけた心ない連中が、美夜を中傷する。あの事件の噂を…。そんな時は祖父母が必ず助けてくれるそうだ。二度と、美夜に悲しい思いをさせない。それは、私たちみんなの願いだから。
甘夏みかんの収穫をしながら、美夜は嬉しそうに笑っている。同じ果樹園の従業員たちにとても可愛がられている。そんな様子を見て、私はホッとして、甘夏みかんを言われた通り丁寧にもぎ取って開くと、ふと後ろから近づく足音が聞こえた。振り向かなくても、分かる。
「雪子」
坂井さんだ。
「籠、持つよ」
そう言って、坂井さんは私が抱えていた籠を取り上げて両手で持ってくれた。
「萌梨ちゃん、微熱が続いてるって」
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