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第4章 背中合わせの答え
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手口が同じで、数人と付き合って食事して、だけど別れ話を切り出されるとブチ切れるんだ。そうして先週も別れ話の最中にレストランで殺害して、店員を巻き込んで刺して逃げた。ここで、犯人を見つけたと同時に隣に君たちがいて、まさかのプロポーズだったからね。坂井さん、たばこの根元まで吸ってたよ。あんな坂井さん見れるのは、刺激的だったなあ」
松林さんはそう言ってニヤニヤと笑いながら私の頭を撫でると、向こうにいる店側の従業員たちのほうに行ってしまった。
私は店の外に出て話している坂井さんたちの方に向かった。ドアを開ける手前で、二人の声が聞こえてきて、私はドアを開けずに二人からは死角に隠れて俯いた。
「お前、結婚、本気なんだよな?プロポーズしてたよね、雪子に。なのにさっき、なんで一人で逃げた?雪子をひとり置いて」
坂井さんは翔平の胸倉を掴んで顔を近づけて言うと、翔平は動揺したように目を逸らしていた。
「あ、あれは、俺もパニクってて」
「ふざけんなッ!婚約者だ、コイビトだとか言う前に、そういうとこだ。人ってのはな、緊急時ほど本性が出るんだ。あんたは雪子を置き去りにした!もしあれで何かあったら、絶対許さねえ!!」
ギリギリと歯を食いしばって坂井さんが怒っている。私は、何故かまた涙が溢れてきて、壁に背中をつけて俯いた。
松林さんはそう言ってニヤニヤと笑いながら私の頭を撫でると、向こうにいる店側の従業員たちのほうに行ってしまった。
私は店の外に出て話している坂井さんたちの方に向かった。ドアを開ける手前で、二人の声が聞こえてきて、私はドアを開けずに二人からは死角に隠れて俯いた。
「お前、結婚、本気なんだよな?プロポーズしてたよね、雪子に。なのにさっき、なんで一人で逃げた?雪子をひとり置いて」
坂井さんは翔平の胸倉を掴んで顔を近づけて言うと、翔平は動揺したように目を逸らしていた。
「あ、あれは、俺もパニクってて」
「ふざけんなッ!婚約者だ、コイビトだとか言う前に、そういうとこだ。人ってのはな、緊急時ほど本性が出るんだ。あんたは雪子を置き去りにした!もしあれで何かあったら、絶対許さねえ!!」
ギリギリと歯を食いしばって坂井さんが怒っている。私は、何故かまた涙が溢れてきて、壁に背中をつけて俯いた。
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