君につづく道〜禁断の13〜

びぅむ

文字の大きさ
上 下
50 / 260
第3章  いびつなトライアングル

16

しおりを挟む
翔平はゆっくりと立ち上がり、

「雪ちゃん。彼は…?」

と訊ねると、私は微笑んで翔平を見た。

「ほら、前にも話したでしょ?幼馴染みの一つ年上のお兄さんよ。近所に住んでるの」

私が言うと、滋は翔平を見つめて歩み寄り、

「初めまして。佃島滋です」

と挨拶すると、翔平もペコリと軽く会釈をした。

「初めまして。栃原翔平です。こんな夜に、どうしたんですか?」

翔平は、訝しげに滋を見つめている。

「ああ、ちょっと来週の休みのことで・・・」

すると、お母さんがコップにミネラルウォーターを入れてきて、滋に手渡した。

「美夜ちゃんの卒業式のお話?」

お母さんが言うと、私はお母さんを見て大きく頷いた。滋は「そうそれ」と言ってコップを受け取り、ぐびぐびとお水を一気に飲んだ。

「あ、僕はそろそろ帰ります。コーヒー、ご馳走様でした」

翔平はそう言ってお母さんに一礼すると、お母さんは翔平を見つめて、

「もう?もっとゆっくりしていけばいいのに」

と言って引き止めるが、翔平は微笑んでペコリと頭を下げると、

「いえいえ。また今度ゆっくり来ますね」

といって、リビングを出て行った。私はそんな翔平を見送りに、玄関までついて行った。

「滋さん、ずいぶん仲がいいんだね」

「彼はただの友達よ。へんな誤解しないでね」

「夕べ一緒にいたのは、彼かい?」

「違うわ。夕べは・・・」
しおりを挟む

処理中です...