42 / 260
第3章 いびつなトライアングル
8
しおりを挟む
「坂井さんが九州に行った時さ、あいつ、結構落ち込んでたんだよ。ボーッとして休みの日は部屋に篭りがちだった。俺、ちょっと心配だったから、ちょくちょく雪んちに行ってたんだ。泣いたり喚いたりするような、感情的なとこは一度も見たことないし、それはちっちゃい頃から変わらないんだ。おふくろもさ、よく言ってた。普通はさ、子供は寂しがったり、泣いたり、我儘言ったりするけど、雪子は一度もそういうことしたことないんだ。だから、雪子は多分、甘え方を知らないんだと思う。でもさ、雪子のそういう…自分をもっとさらけ出せるような人が、あいつのそばにいて欲しいと思う。それが、今の彼氏なのか、坂井さんなのかは分からないけどね。…坂井さん。あんたの気持ち次第だね」
滋はそう言って、残りのビールを飲み干した。ほろ酔いになってきたのか、滋は頬を赤くして、俯いて微笑んでいる。
誰を、思ってるんだろうな。
そして、雪子はいつも冷静な判断をしたり、その対処をしたり、みんなの背中を押してくれる存在だった。本当は美夜みたいにすがったり甘えたりしたいんだろう。でも、雪子は素直に曝け出せない性分なんだろう。
俺は、雪子が心を落ち着かせる居場所になれるだろうか。それとも、彼氏がその役割を果たしているのだろうか。
それはまず、自分の気持ちを認めるところから始めなくてはならない。目を背けてばかりいても、何も始まらない。何も、変わらない。
雪子をこのまま、誰かに取られていいのか?
滋はそう言って、残りのビールを飲み干した。ほろ酔いになってきたのか、滋は頬を赤くして、俯いて微笑んでいる。
誰を、思ってるんだろうな。
そして、雪子はいつも冷静な判断をしたり、その対処をしたり、みんなの背中を押してくれる存在だった。本当は美夜みたいにすがったり甘えたりしたいんだろう。でも、雪子は素直に曝け出せない性分なんだろう。
俺は、雪子が心を落ち着かせる居場所になれるだろうか。それとも、彼氏がその役割を果たしているのだろうか。
それはまず、自分の気持ちを認めるところから始めなくてはならない。目を背けてばかりいても、何も始まらない。何も、変わらない。
雪子をこのまま、誰かに取られていいのか?
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
【R18 大人女性向け】会社の飲み会帰りに年下イケメンにお持ち帰りされちゃいました
utsugi
恋愛
職場のイケメン後輩に飲み会帰りにお持ち帰りされちゃうお話です。
がっつりR18です。18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。
お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?
さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。
私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。
見た目は、まあ正直、好みなんだけど……
「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」
そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。
「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」
はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。
こんなんじゃ絶対にフラれる!
仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの!
実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる