君につづく道〜禁断の13〜

びぅむ

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第3章  いびつなトライアングル

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「坂井さんが九州に行った時さ、あいつ、結構落ち込んでたんだよ。ボーッとして休みの日は部屋に篭りがちだった。俺、ちょっと心配だったから、ちょくちょく雪んちに行ってたんだ。泣いたり喚いたりするような、感情的なとこは一度も見たことないし、それはちっちゃい頃から変わらないんだ。おふくろもさ、よく言ってた。普通はさ、子供は寂しがったり、泣いたり、我儘言ったりするけど、雪子は一度もそういうことしたことないんだ。だから、雪子は多分、甘え方を知らないんだと思う。でもさ、雪子のそういう…自分をもっとさらけ出せるような人が、あいつのそばにいて欲しいと思う。それが、今の彼氏なのか、坂井さんなのかは分からないけどね。…坂井さん。あんたの気持ち次第だね」

滋はそう言って、残りのビールを飲み干した。ほろ酔いになってきたのか、滋は頬を赤くして、俯いて微笑んでいる。

誰を、思ってるんだろうな。

そして、雪子はいつも冷静な判断をしたり、その対処をしたり、みんなの背中を押してくれる存在だった。本当は美夜みたいにすがったり甘えたりしたいんだろう。でも、雪子は素直に曝け出せない性分なんだろう。

俺は、雪子が心を落ち着かせる居場所になれるだろうか。それとも、彼氏がその役割を果たしているのだろうか。

それはまず、自分の気持ちを認めるところから始めなくてはならない。目を背けてばかりいても、何も始まらない。何も、変わらない。

雪子をこのまま、誰かに取られていいのか?
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