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第2章 二十歳のキス、その先は…
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これが最後のキス?嘘だよね。そんなの…。
そして、キスをしながら坂井さんは目を閉じることもなく、私を見つめていた。その瞳の熱が、まるで愛されていると勘違いしちゃうように、甘く優しい眼差しだった。
どういうことなの?ねぇ、坂井さん。今日で、最後、なの?なんで?
何故か、胸が締め付けられた。苦しくなって、涙が溢れそうになる。でも、泣きたくなかった。泣いたら、きっと坂井さんはめんどくさそうに逃げる。二度と、会えなくなるような気がする。だから、泣かない。
*
そうして。
坂井さんは九州に行ってしまった。とある事件を追って、捜査と人探しなどのために。
そして私は、坂井さんとのキスを忘れようと思って、メールも電話もしないと心に誓ったんだ。
*
それから、2年以上の月日が流れた。
私は二十歳になった。
成人式を迎える頃、お母さんは前より仕事は落ち着いてきて、家にいる時間も増えてきた。執行役員から退いて、上役ではあるけれど多忙に動き回ることもなくなり、私はお母さんと話す機会が増えて、最初は逆に戸惑っていた。お母さんは、祐さんたちの話を範子おばさんから少し聞いているのか、時々その話を切り出してくる。
「今度、連れていらっしゃいよ。その人たち。範子がうるさくって。まぁ、雪子が選んだ友達なら、悪い人はいないでしょ。色々大変だったのね。私はそんなこと、全然知らなかったわ。雪子。辛い時、そばにいてあげられなくて、ごめんね」
そして、キスをしながら坂井さんは目を閉じることもなく、私を見つめていた。その瞳の熱が、まるで愛されていると勘違いしちゃうように、甘く優しい眼差しだった。
どういうことなの?ねぇ、坂井さん。今日で、最後、なの?なんで?
何故か、胸が締め付けられた。苦しくなって、涙が溢れそうになる。でも、泣きたくなかった。泣いたら、きっと坂井さんはめんどくさそうに逃げる。二度と、会えなくなるような気がする。だから、泣かない。
*
そうして。
坂井さんは九州に行ってしまった。とある事件を追って、捜査と人探しなどのために。
そして私は、坂井さんとのキスを忘れようと思って、メールも電話もしないと心に誓ったんだ。
*
それから、2年以上の月日が流れた。
私は二十歳になった。
成人式を迎える頃、お母さんは前より仕事は落ち着いてきて、家にいる時間も増えてきた。執行役員から退いて、上役ではあるけれど多忙に動き回ることもなくなり、私はお母さんと話す機会が増えて、最初は逆に戸惑っていた。お母さんは、祐さんたちの話を範子おばさんから少し聞いているのか、時々その話を切り出してくる。
「今度、連れていらっしゃいよ。その人たち。範子がうるさくって。まぁ、雪子が選んだ友達なら、悪い人はいないでしょ。色々大変だったのね。私はそんなこと、全然知らなかったわ。雪子。辛い時、そばにいてあげられなくて、ごめんね」
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