続・君につづく道

びぅむ

文字の大きさ
上 下
612 / 652
第36部 June bride

3

しおりを挟む
「美夜か。悩んでた?」

滋は俯いて膝に肘をかけて言うと、俺は首を傾げた。

「さあな。聞いたのは雪子だ。過去のことを知らない人の方が、本当はいいのかもって嘆いてたって。お前を苦しめてる…みたいに言ってたそうだよ」

「え?!…マジか…」

「なに。怖いの?今更?」

「…あのさ。あいつには他にもいろんな経験があったことは知ってるし、それをどうこう思うことも、ない。だけど…俺が美夜を抱いたら…梶原と同じなんじゃないかって思って…俺は、自分が男だってことが、すごく恥ずかしかったんだ」

滋はそう言って、言葉を失った。俺は、何か言いたくても言葉がうまく見つからなくて、戸惑った。こんな時、雪子ならなんて言うかな…。そう思うと、ふと、顔を上げて滋を見つめた。

「お前は、あいつと同じじゃない」

俺がその言葉を言うと、滋は目を丸くして俺を見つめた。

「俺も思ったことあったよ。昔さ、雪子を抱きたかったのに、まだ10代の雪子を抱けるわけもなくて、気持ちに蓋をしてた。で、二十歳になって再会した時、あいつには彼氏ができて、そいつとエッチした、なんて言ったのを聞いて…腹ワタが煮え繰り返ったんだ」
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...