続・君につづく道

びぅむ

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第35部 サプライズを計画しよう

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そこに榊原さんもやって来て、

「おはよう。雪子ちゃん、具合は?」

と聞いてくると、俺は顔を上げて榊原さんを見上げた。

「ういっす。つわりはそんなに酷くないみたいで、落ち着いて来たって。こないだ検診、一緒に行って来たんだ」

「お前が?!世も末だなぁ」

「失礼なオッサンだな、おい!!」

俺は思わず怒鳴った。榊原さんは声を上げて笑うと、ふと俺の左手を覗き込み、

「お前らは指輪しないのか?」

と訊ねて来た。すると松林と芳沢も顔を見合わせた。

「もしかして、結婚指輪買ってないの?!」

「え?いる?」

俺は驚いてみんなを見ると、榊原さんまで俺から離れて、

「そこまで、女心に疎いやつだったとは!」

と言って、みんなは顔を寄せ合って泣いている。←フリ。

え?まじ?いや、いるのか?そんなもん。たかが指輪だろ?もう籍も入れてるんだし。

芳沢は「はあっ」とため息をついて、

「じゃあさ、籍入れたのに、他の男から言い寄られたらどう?いいの?」

と聞いてくると、俺はムッとして、

「殺す」

と即答すると、またみんなは同時にため息をついてヒソヒソと何か話している。

いやな感じだ!

「入籍すればそれでいい、と思ってんのはお前だけ」

「え?」

いつもは冷静な榊原さんが言うと、俺は榊原さんを睨みつけた。
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