続・君につづく道

びぅむ

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第33部 初夜

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理が頬杖をついて、ニヤニヤ笑って甘えたように言うと、私はまたドキドキして指でケーキのクリームをなぞり、理の唇にあてようとすると、その前に理に食いつかれた。

「はやっ」

「うまいっ」

私たちは顔を見合わせて笑うと、どちらからともなく唇を重ねた。生クリームでベタベタする指を絡めて、理は私の唇を大きく口を開けて塞いで、唇を舌でペロリと舐める。

「指がベタベタするね。洗おうよ」

私が言うと、理は笑って唇を離して、

「そうだな。でも、まずは食べちゃうか?」

と言うと、私はまた頷いて笑った。

「そうだね」

「いや、待てよ。…お風呂のお湯溜めてくる!」

なにを急に思い立ったのか、理は私から離れてバスルームに駆け出した。私は少し笑ったけれど、フォークでまたケーキを食べていくと、美味しくて頬が落ちそうだ。松林さんに改めて感謝して、じっくり味わっていた。

松林さん、私と理が付き合う前から、一番近くにいて見てたから、全部知ってるもんね。

私が妊娠して悩んでいた時。美夜に背中を押されて、理に報告しようと思って署に行った時、階段裏で隠れて2人の会話を聞いてしまったことがあった。その会話のことは、その後だいぶ経ってから松林さんと話してる時にたまたま聞いて、その続きの話があったことを聞いた。私は最後まで話を聞かなかったから、肝心なところが抜けてるんだよ、と教えてくれたんだ。

友達みたいな、優しい人。松林さん。
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