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第32部 旦那さま
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しおりを挟む「そんな…。松林さんが気にすることなかったのに。たまたま2人の会話を聞いちゃって、私が早とちりしたのに」
「そうそう。でも、松林、結構落ち込んでね。そのお詫びにって、入籍のお祝いにケーキ買ってきてくれて、ここに届けてくれたんだと」
理がそう言いながらテーブルに肘をつけて、ケーキの上に乗っているメッセージプレートを指さした。
『Happywedding!Osam&Yukiko』
可愛らしい文字で、ハートのチョコのプレートにそう書かれている。レストランの給仕の男性も微笑んで、
「ご結婚、おめでとうございます」
と言ってくれた。私は感動して、また涙がジワっと溢れてしまった。理は照れたように少し俯いて頭をかくと、私はそんな理を見て、
「ねぇ。これ、後で部屋で一緒に食べたい」
と言うと、理は少し目を丸くして私を見つめて給仕の顔を見上げると、
「すみません。このケーキ、上(部屋)で食べようかと思うんですけど」
と言うと、給仕はしっかりと頷いた。
「この後すぐにお部屋にお戻りですか?それなら、私がお持ちしましょうか」
「いえ。私が持って行きます。ありがとうございます」
と私も答えると、給仕は「かしこまりました」と答えて軽く会釈すると、ケーキを持って奥に行ってしまった。私と理は顔を見合わせると、なんだか嬉しくなって、穏やかに微笑みあった。
折角の記念日。松林さんがくれたケーキは、二人きりで食べよう。
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