続・君につづく道

第30部 キケンな歓迎会

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「また知らんぷり…？」

私はムッとして唇を結んだ。

「雪子。トイレで、拭いてくるんだろ、それ。そしたらすぐに席に戻れ。俺がいた方の席に座るんだぞ」

理が優しく低い声で言うと、私はそれだけで嬉しくなって大きく頷いた。少しだけ腕を伸ばして理の背中を抱きしめると、その温もりに安心して、目を閉じた。

「分かった」

「俺は、ちょっとこいつに話しつけてくるから」

佐久間さんは私と理の顔を交互に見て、

「も、もしかして、この人、彼氏？！」

と今更気がついて言っている。私はずっとその背中に抱きついていたかったけど、仕方ないので一旦トイレに向かうことにした。ハイボールは薄いベージュのような色の染みだから、そんなに目立たない。軽く水で濡らしてハンカチで叩いて、ふと鏡で顔を見た。酔ってきたから顔が赤い。やだ、こんな顔。

でも。

理はきっと、来てくれるって信じてた。なんだかんだ言っても、助けに来る人。何年一緒にいても、変わらないよね。

私はそう思って洗面所を出ていくと、そこには理も佐久間さんの姿もない。殴ったりしてなきゃいいんだけど。

大部屋に戻ると、理と佐久間さんはまだいない。私はキョロキョロして席に戻ろうとすると、後ろから理が来て私の腕を掴み、

「だから。そっちじゃねぇっつったろ？」

と言って松林さんたちがいる刑事側の席に連れていくと、空いている席に私を押し込むように座らせて、理は私の右隣に腰を下ろした。