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第29部 優しいうたがきこえる
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同じ頃。榊原さんがさゆりさんを連れて東京に戻ってきた。生まれた赤ちゃんを連れて。
俺は雪子と美夜と滋の4人で、榊原さんの家に遊びに行った。美夜のことをずっと気にかけて心配してくれた榊原さんに、滋とのことを報告したい、と美夜が言い出したんだ。
「赤ちゃん~!抱かせてくださいぃ!」
一軒家のリビングで、ソファから立ち上がった美夜は、赤ちゃんを連れて現れたさゆりさんを見るなり目を輝かせて、両手を赤ちゃんに差し伸べた。雪子は吹き出して、
「美夜、テンション上がりすぎ」
と笑って言うと、隣に座っている俺も笑って美夜を見た。
「首は座ってるから、大丈夫。そう。くるむようにね…」
さゆりさんはそう言って、赤ちゃんを美夜に丁寧に渡した。滋も立ち上がって、美夜に歩み寄った。
「榊原さん、この子、男の子だっけ?名前はなんですか?」
滋が訊ねると、キッチンで冷たい麦茶を入れている榊原さんは微笑み、
「一真《かずま》。一つの真実って書く。刑事らしいだろ?」
と答えると、雪子は立ち上がり榊原さんに歩み寄った。
「運ぶの手伝います」
「おぉ、さすがだね、雪子ちゃん。じゃ、頼もうかな」
「はい」
雪子は心違いや気遣いが出来る女だ。俺は感心してソファの背もたれに肘をついて雪子を眺めていた。
同じ頃。榊原さんがさゆりさんを連れて東京に戻ってきた。生まれた赤ちゃんを連れて。
俺は雪子と美夜と滋の4人で、榊原さんの家に遊びに行った。美夜のことをずっと気にかけて心配してくれた榊原さんに、滋とのことを報告したい、と美夜が言い出したんだ。
「赤ちゃん~!抱かせてくださいぃ!」
一軒家のリビングで、ソファから立ち上がった美夜は、赤ちゃんを連れて現れたさゆりさんを見るなり目を輝かせて、両手を赤ちゃんに差し伸べた。雪子は吹き出して、
「美夜、テンション上がりすぎ」
と笑って言うと、隣に座っている俺も笑って美夜を見た。
「首は座ってるから、大丈夫。そう。くるむようにね…」
さゆりさんはそう言って、赤ちゃんを美夜に丁寧に渡した。滋も立ち上がって、美夜に歩み寄った。
「榊原さん、この子、男の子だっけ?名前はなんですか?」
滋が訊ねると、キッチンで冷たい麦茶を入れている榊原さんは微笑み、
「一真《かずま》。一つの真実って書く。刑事らしいだろ?」
と答えると、雪子は立ち上がり榊原さんに歩み寄った。
「運ぶの手伝います」
「おぉ、さすがだね、雪子ちゃん。じゃ、頼もうかな」
「はい」
雪子は心違いや気遣いが出来る女だ。俺は感心してソファの背もたれに肘をついて雪子を眺めていた。
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