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第29部 優しいうたがきこえる
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私が言うと、美夜は微笑んで頷き、仰向けに寝返って天井を見上げた。
「ゆきねぇのおかげで、私は滋のことが好きだって言う気持ちと向き合えたわ。出会って9年よ。ここで恋愛になるなんて思わなかった。不思議よね。これから遠恋になっても、もし近くにいて付き合えても、私はこの気持ち、きっと変わらないと思うの。滋にも、そう思っててもらいたい」
「美夜」
「うん?」
「良かったね」
私がたった一言そう言うと、美夜は涙ぐんで頷いた。
「うん…!」
*
そして、結局美夜は静岡に引っ越すことになった。静岡のおばあさんは元気だし、一人でも大丈夫、と言っていたけれど、やっぱり一人では可哀想だと思う。美夜がそのことを気にしているのなら、なおさら。おばあさんも、そんな美夜の気持ちが嬉しかったのか、引っ越してくると伝えた時は喜んでいたという。
滋は納得してなかったみたいだけど、とりあえず休みの日には静岡に会いに行く、と約束して、二人は静岡と東京に離れて交際をするようになった。私も理も、祐さんも、静かに見守ることにしたんだ。
「ゆきねぇのおかげで、私は滋のことが好きだって言う気持ちと向き合えたわ。出会って9年よ。ここで恋愛になるなんて思わなかった。不思議よね。これから遠恋になっても、もし近くにいて付き合えても、私はこの気持ち、きっと変わらないと思うの。滋にも、そう思っててもらいたい」
「美夜」
「うん?」
「良かったね」
私がたった一言そう言うと、美夜は涙ぐんで頷いた。
「うん…!」
*
そして、結局美夜は静岡に引っ越すことになった。静岡のおばあさんは元気だし、一人でも大丈夫、と言っていたけれど、やっぱり一人では可哀想だと思う。美夜がそのことを気にしているのなら、なおさら。おばあさんも、そんな美夜の気持ちが嬉しかったのか、引っ越してくると伝えた時は喜んでいたという。
滋は納得してなかったみたいだけど、とりあえず休みの日には静岡に会いに行く、と約束して、二人は静岡と東京に離れて交際をするようになった。私も理も、祐さんも、静かに見守ることにしたんだ。
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