続・君につづく道

びぅむ

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第29部 優しいうたがきこえる

9

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「偉いな、美夜。俺だったら離れるなんて耐えられなくて、3日も持たずに死ぬかもな」

と理が呟く。やっぱりね。

「え、でも、坂井さんだって、前に北海道に出向したじゃん?えーと、1年?」

と美夜が言うと、隣で滋が頭を横に振り、

「一年行くはずが、雪子に会いたいがために半年で無理やり強制終了して帰ってきたんだけど。おっさんの忍耐は当てにならないぞ」

と冷たく言い放った。

返す言葉もありません。

美夜もドン引きして、

「マジか!一年も持たないのか!」

と言いながら呆れている。

「あの時は大変だったんだぞ。俺のことも巻き込んで。雪子もなんだかんだで寂しがって泣くし、おっさんは大人の虚勢張って強がってるし。情けね。だから、とにかく、俺も離れるのは嫌だ」

「駄目な大人で、すんません」
と、理。

「すみません」
何故か私まで、頭を下げる。

「そ、それはしょうがないとしても、滋はさっ…ガキなのよ。静岡と東京なんて近いでしょ?北海道とは違うわ。遠恋じゃないわよ」

「まったく…」

滋は面白くなさそう。でも、そんな滋を見るのは初めてだ。いつか、こんな日が来ると思ってた。まさか、美夜が相手だとは思わなかったけれど。
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