続・君につづく道

第29部 優しいうたがきこえる

3

「理、明日から仕事なのね」

私は雑誌を閉じて言うと、理は眉をひそめて頷いた。

「そうなんだよ。かったりぃな…」

「休み、長かったもんね。そりゃ、行きたくなくなるわ」

「だろ？連休明けって、コレがいやだな。雪子は？面接？」

「うん。明日、二社行ってくる。早く決まってくれないと、私も収入的にヤバい」

「イチャイチャ、足りた？」

私の耳元で囁くと、私は思わずキョロキョロして、

「ちょっと、こんなとこで何言うの？」

と頬を赤らめて言うと、理はぷっと吹き出して笑った。

足りてない、って言ったら、また今夜も寝かせてくれないだろうし、足りてるって言ったら、嘘だ、とか言って、やっぱり攻める。

どの道、私に逃げ場はないんだ。

「今夜はスマホ講座だな。よろしく。先生」

理はそう言ってふざけたように笑うと、私も釣られて笑ってしまった。

「ねぇ。また今度は真冬の雪が降り積もる時期に、あのコテージ、行きたいわ」

私は理の手を握りしめて言うと、理は頷いて手を握り返してくれた。

「寒そうだけど、あそこの暖炉、使ってみたいよね」