続・君につづく道

第28部 ファーストキス

9

雪子が照れながら言うと、俺も思い出して少し笑った。

「あの時な。…そう。手を出すつもりなんかなかったし、そのつもりで部屋に呼んでたわけじゃなかったけど、なんでだろうな。気がついたら、触りたいって思うようになってたんだよな。でも、ここで手を出したら犯罪だ。10代だ！って言い聞かせて、頭の中で必死に理性と戦ってた」

それが、初めてキスした時、頭の中で何かが弾け飛んで、キスが気持ちいいってことしか感じなかった。そのキスがファーストキスだったなんて…。雪子の《初めて》が、まさかこんな形で手に入れられてたなんて。

「…私はあの時…あの頃、理と一緒にいて、同じ空間にいられることが、すごく嬉しかったわ。楽しかったし。でも、私のことなんか子供扱いだったから、相手になんかしないだろうなって諦めてたの。なのに、キスしてくるから、びっくりしたわ。あの時、家に帰ってから、ずっとニヤニヤしっぱなしだった。でも、まだ恋してるってことに気付いてなかったの。なのに、会うたびにキスされて…それが心地良くて、その時に芽生えた感情の正体が分からなくて、戸惑ってたわ」