続・君につづく道

びぅむ

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第28部 ファーストキス

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フォークを手に取って、白い皿に盛られた野菜を食べ始める。雪子も穏やかな笑みを浮かべて、ナイフとフォークを取る。仕草の一つ一つが、綺麗なんだよな。

「あのね。へんなこと、聞いてもいい?」

「ん?」

「高校の時、先生のこと好きだった?」

「は?!!」

思わず大きな声が出てしまった。レストランにいた数人の客たちも、俺を見る。雪子もびっくりして俺を見つめていた。

「び、ビックリした…」

「いや、俺の方がびっくりしたんだけど」

何を急に言い出すかと思ったら…。

「別に、いいの。なんでもないわ。ちょっと…耳にしただけよ」

そんなことを雪子の耳に入れるのは、1人しかいない。南崎だろう。あの女、ほんとに。だから、雪子を会わせたく無かったんだ。何を言い出すか分からなかったから。

「…今更、そんな昔のことを蒸し返してむかついたりしたいから安心して。別に言わなくてもいいの。ごめんね。聞かなかったことにして」

雪子はそう言って、微笑んで食べ始める。俺は少し考え込んでから、顔を上げて雪子を見た。

「南崎だろ?そんなこと言うの。別に隠すつもりもないけど、先生のことが好きだったってのはちょっと違うかな」
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