続・君につづく道

びぅむ

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第25部 理の反撃

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俺がムッとして言うと、雪子は声を上げて笑った。

誰が見てるかわからないベランダで、俺と雪子は何度もキスを繰り返しては、お互いを抱きしめあっていた。




検察庁で、俺は高野と検事とで、顔を合わせることにした。

検事は、三園《みその》悟士《さとし》。

榊原さんと俺のちょっとした知り合いだ。年齢も俺や榊原さんとはそんなに変わらないだろう。紳士的で、落ち着いた好青年に見える。年齢よりも、若く見えるほどだ。

高野は検事の向かい側に座って、ビクビクしながら肩をすくめて、膝の上で拳を握りしめている。白いワイシャツにノーネクタイで、髪は乱れて白髪も目立つ。

俺は腕を組んで、壁に寄りかかりながら高野を睨みつけていた。

「あ、あんたは…誰だ。なんで示談で済んだ話なのに、懲戒解雇やら、起訴するとか。馬鹿なのか?こんなんで起訴して、勝てると…」

と怯えながら高野が言うと、俺は高野をギロリと睨みつけた。

「あ?!お前ふざけるなよ。自分がなにしたか分かってんのか?!示談で逃げようとしたから、こんなことになったんだ。事を大きくしたのは、貴様だぞ、高野!」

俺が何とか怒鳴りたいのを抑えてそう言うと、検事は溜息をついて俺と高野を交互に見た。
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